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新型コロナワクチン、2回目で強い副反応の傾向 同じ職場での同時接種は避けるのが無難 米国立機関の日本人研究者
菅義偉首相は首都圏の新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除を決め、ワクチン接種を感染対策の「決め手」と位置づけた。医療従事者らへの優先接種開始から1カ月が過ぎ、2回目の接種も進む。重い副反応のアナフィラキシーの発症が確認され、4月以降の高齢者らへの接種を前に期待と不安が入り交じる。米国で2回の接種を終えた米国立研究機関の峰宗太郎博士研究員(ウイルス免疫学)に、ワクチンの安全性などを聞いた。(後藤孝好)
―米国では日本より接種が進んでいるが、副反応の心配は。
「日本で接種が始まったファイザー社や承認申請中のモデルナ社が製造するワクチンは、局所の痛みや腫れなどの副反応が他のワクチンと比較してやや多めに出る傾向にある。一方で、これまでファイザーとモデルナを合わせて2億回以上、打たれているが、ワクチンが原因で死亡に至ったり、後遺症が残ったりしたと断定されるものはない」
―日本でも重い副反応であるアナフィラキシーが確認された。
「アナフィラキシーはファイザー社製で100万件に4・7件、モデルナ社製で2・5件あったと報告されているが、アレルギーの一種であり、対応が可能だ。93%が接種後30分以内に起き、速やかにアドレナリンを投与すれば回復しており、恐れすぎる必要はない。打った後、しっかり経過を観察することが重要だ」
―何年かたってから副反応が出る可能性は。
「生ワクチンだと体に感染を起こすので、ワクチン株のウイルスが体内に残って潜伏感染性のものが悪さをすることは原理的にあり得る。ファイザー社、モデルナ社のワクチンは、人工的に作った遺伝物質であるRNAを使っている。mRNAワクチンは新しい技術で、これまでのワクチンより不純物が少なく、シンプルな構成で、安全性は高いと考えられる」
―著書でワクチン接種は大規模な社会的人体実験と指摘していたが。
「世界で初めて実用化された技術なので、動物実験に続いて行われるのはヒトの臨床試験。実社会でどのくらい効くかや、集団免疫が成立するかどうかは、社会的な人体実験をやるしかない。言葉として恐ろしい表現という感じはあるが、一定のリスクと比べて得られる恩恵は大きく、世界的にはワクチンで希望の光が見えてきた段階だ」
―自身で2回接種して異常はみられたか。
「打ったのはモデルナ社のワクチンで、1回目も2回目も接種した時は痛くもなんともなかったが、2回目の時は打った翌日に全身の倦怠感が激しくなり、仕事に行く気が起こらなくなるほどの状態だった。風邪やインフルエンザの初期段階のようなだるさで、寒けを感じ、節々が痛くなり、昼寝するなどしていた。副反応は3日目には治ったが、1日間はちょっと重めの全身症状が出た」
―2回目の接種の方が副反応は出やすいのか。
「1回目より2回目の副反応が多く、強く出る傾向があることはデータで示されている。既に感染したことがある人も、副反応が出やすいことも分かっている。米疾病対策センター(CDC)や各州の保健当局は、副反応で仕事を休まざるを得ないことを想定し、同じ職場が集団接種で同時に打つのはやめた方が良いと指摘している」
―ある程度の副反応が出る可能性があっても、接種した方がいいのか。
「世界的にも不安を抱く人がいないわけではないが、ほとんどの国では打って当たり前で、ワクチンは水道などの公共財のように大事なものとして受け止められている。米国の行政当局は、まれに副反応があるが、それを上回る効果があると言い切っている。日本でも正確な情報を丁寧に伝え、不安を解きほぐしていくことが求められる」
―妊婦や妊娠を考えている人はどうしたらいいか。
「妊娠を計画している人は問題ない。妊婦は米国などで1万人以上が接種しているが、早産や流産などの悪いことは今のところ起こっていない。(略)」
「子どもの治験をやっていなかったため、安全性や有効性が分からず、今はまだ打てない。(略)」
みね・そうたろう 1981年、京都府生まれ。39歳。京都大薬学部、名古屋大医学部卒、東京大大学院医学系研究科修了。国立感染症研究所などを経て2018年から現職。医師、薬剤師、医学博士。新型コロナウイルス感染症などの情報をネットで発信する「こびナビ」運営団体の副代表。共著に「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」。
東京新聞 2021年3月20日 06時00分
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