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PRESIDENT Online 2021/03/18 17:00
近い将来、確実に起こるといわれている南海トラフ地震と首都直下型地震。もし地震が起きれば、20年間の経済損失は首都直下型で778兆円、南海トラフで1410兆円になると推定されている。元日本マイクロソフト社長の成毛眞さんは「これほどの危機が認識されているにもかかわらず、抜本的な対策が打たれていない。これは思考停止だ」という―。
経済活動の地方移転で被害額は大幅減少
だが、これほどの危機を認識しながらも、現状では抜本的対策を打ってきていない。
たとえば首都直下型の場合、想定される死者の7割にあたる1万6000人は火災が原因だ。被災地全体で約2000件の火災が発生し、そのうち約600件は消火が間に合わず、同時多発的に大火災が起こると推測されている。
建物の過密を減らし、耐震強化を徹底すれば、死者は想定される10分の1の2300人に減らせるという対策も示されているが、対策が進んでいる気配はない。
また、間接の経済被害も、道路や港湾、堤防といったインフラの耐震工事などを進めれば、被害を抑えられるはずだろう。これらの対策には10兆円かかるが、778兆円の被害が530兆円程度に減る試算もある。
財源の問題を指摘する声もあるだろう。それならば、東京一極集中を見直せばよい。経済活動の3割を地方に分散すれば、首都直下地震による被害額は219兆円軽減できるという試算もある。
自然災害はパンデミックとは関係なく襲ってくる。近代日本ではこれらが重なったことはないが、1918~1920年に猛威をふるったスペイン風邪の3年後の1923年は、関東大震災が起こっている。
弱り目に祟り目というが、こちらの都合に関係なくウイルスは到来するし、自然災害も起こる。巨大地震のリスクから目を背けている余裕はないのである。
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