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感染防止対策の決め手とされる新型コロナワクチン。その開発は欧米企業が大幅に先行する中、国内メーカーも開発を急いでいます。その1つ、大手製薬メーカー・塩野義製薬が手がける国産ワクチンの臨床試験の様子が初めて公開されました。
岐阜県池田町にあるバイオ医薬品の生産工場。今月1日、大型の機材が次々と運び込まれていました。
ここは、国内製薬大手・塩野義製薬が開発を進める国産ワクチンの生産拠点です。工場の奥には、巨大なタンクや遠心分離機も設置。年内に年間3000万人分のワクチンが製造できる体制を築こうと、作業は急ピッチで進められています。
「塩野義製薬が考えているのは、承認が下りたらすぐ製造、間がないようにと。(工場の)設計と(ワクチン)開発が同時並行で進む異例の事業」(UNIGEN戦略渉外部 福岡 真 マネジャー)
アメリカやイギリスなど世界66か国で接種が始まっている新型コロナワクチン。世界で使われているファイザーやアストラゼネカのワクチンは、これまで一度もヒトへのワクチン接種に用いられたことがない技術で作られています。これに対し、後を追う塩野義は、すでに実績のある「伝統的な手法」をワクチン開発に用いています。
「インフルエンザ(ワクチン)等で使われてきた伝統的な手法の延長。少なくとも製法に基づく、非常に大きな安全性のデータベースがある。現在までのところ(開発)はかなりうまく進んでいるのではないか」(塩野義製薬 手代木 功 社長)
大阪市にある臨床試験や治験を専門に行う病院。冷蔵庫から取り出されたのは、現在、まさに開発が進む塩野義のワクチンです。
これは「news23」で初公開となる臨床試験の様子です。部屋に入ってきた被験者の女性が右腕を出し、看護師と反対の方向を向きます。そして・・・
「じゃあチクッとしますね。強い痛み、しびれはないですか? ゆっくり薬液入りますね。じゃあ後、抜くだけですので」(看護師)
塩野義は最初の臨床試験を去年12月から214人の成人の日本人を対象に行っています。そのデータは、今月末から順次、集めていくとしています。
頭痛薬やうがい薬などの家庭用医薬品で知られる塩野義。インフルエンザ治療薬など、これまで数多くの抗ウイルス薬を開発しています。その塩野義が会社として初めて乗り出したワクチン開発。国からおよそ400億円の支援を受け、去年4月から取り組んでいます。
塩野義が用いる「伝統的な手法」とは、「組み換えタンパク」と呼ばれる技術です。その仕組みは・・・。新型コロナウイルスの表面には、人体が異物と認識する“目印”となる「スパイクたんぱく質」という突起があります。その遺伝子情報をもとに、遺伝子組み換え技術を使って“目印”となるたんぱく質を人工的に作り出します。それをもとにワクチンを生成。ヒトに投与することで、体内にウイルスを攻撃する「抗体」ができます。この「抗体」こそが、本物の新型コロナウイルスの感染を防いだり、重症化を防いだりする役割を果たすのです。
特徴は大きく2つ。実績がある手法のため、安全性の面でも副反応が想定しやすい点。そしてもう1つが温度管理しやすいという点です。
「現時点ではインフルエンザワクチンと同じように通常の冷蔵保存、2度から8度ぐらいで十分流通させられる」(塩野義製薬 手代木 功 社長)
今月中旬にも国内での接種が始まるファイザー製のワクチンは、マイナス70度という超低温管理が課題となっています。一方、塩野義のワクチンは冷蔵レベルの温度管理が可能なため、流通も容易になるといいます。
年内にも臨床試験の最終段階に進み、一日でも早い承認申請を目指したいとする塩野義。海外と比べ、国産のワクチン開発が出遅れていますが、それでも手代木社長は開発を進める意義について・・・
「今後も毎年ずっと(海外のワクチンを)買い続けることができるんだろうか。グローバルには『いやいや日本ばかりでなく、私たちの国にも少し下さいよ』という中で、やっぱり一定量については我が国で作ることを目指すべきではないだろうか」(塩野義製薬 手代木 功 社長)
変異ウイルスへの対応も難しくないといいます。
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