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■IOCが「完全に不適切」との声明を発表
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性蔑視ととれる発言で批判を集めている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。
自身は発言を撤回して謝罪したが、会見が「逆ギレ」となってしまったこともあり、問題は日々拡大中だ。
菅義偉首相ら政府・自民党は、森氏の会長続投を容認し続ける道と、「自発的辞任」を促す道の両にらみの状態だが、どちらの道も険しい。
問題の発言は2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)の臨時評議会で起きた。日本ラグビー協会での経験談を紹介しながら、女性蔑視発言をした。
この日は、「オリンピック、どんなことがあってもやります」とも発言。世界で新型コロナウイルスの感染が止まらない現状を理解しているのか、という批判もあがった。
その2日前に自民党本部で発言した「(密を回避するために)有名人は、田んぼを走ったらいいんじゃないか」も物議を醸している。
これに対し、内外のメディア、国際機関、女性団体、スポンサー企業……あらゆるところから批判が吹き出しているのはご承知の通り。
野党が森氏を強く批判して辞任を求めるのは当然として、自民党内からも後藤田正純、泉田裕彦の両衆院議員らから責任追及の声があがる。
いったんは森氏の謝罪で「不問」としていたIOC(国際オリンピック委員会)も9日「(森氏の発言は)完全に不適切」との声明を発表した。
IOCの「手のひら返し」は、森氏を守り切れない、という判断に傾いてきたということだろう。「森問題」は新局面を迎えた。
(中略)
■「鈴つけ役」は菅首相しかない
今回の問題が起きてから森氏は、いったん辞意を固めたが、組織委の会長代行・遠藤利明氏、事務総長の武藤敏郎氏らに強く慰留されて翻意したと説明している。
森氏を守ろうとする組織委の体質そのものも批判の対象となっている。
そんな中で菅氏が「組織委に判断を委ねる」という立場をとり続ければ、事実上、森氏の続投を容認することと受け止められる。
これでは、「ラスボス」森氏に忖度しているようで、政権のイメージダウンは避けられない。
政権内部では、森氏が辞任するシナリオが練られ始めている。森氏が自発的に辞める形で、名誉を残して後進に道を譲るイメージだ。
ただ、この場合、問題は2つある。1つは、誰が森氏の首に鈴をつけるか。遠藤氏や武藤氏では役者が違う。
小池百合子東京都知事が訴えても森氏は言うことはきかないだろう。二階氏は、自身も批判されているだけに「鈴つけ役」にはなれない。
役割は菅氏自身が果たすしかない。首相自ら乗り出す場合、失敗は許されないので、綿密なうち合わせが必要だ。
■後任の「本命」は安倍氏。「対抗」は麻生氏か
もう1つの問題は、森氏が退いた後の人事。組織委の会長はIOCとのパイプ役であり、日本政府、民間企業にも太いパイプが必要だ。
今回の場合は開催するかどうか、開催の場合その方法はどうするか、という難問が山積している。しかも開幕まで半年を切っているので「即戦力」であることが必要だ。
その観点で候補を探すと、真っ先に安倍晋三前首相の名が上がる。7年8カ月に及ぶ首相在任中、外国要人とのパイプは随一。
国内の官界、財界ににらみをきかす力も申し分ない。そもそも2013年、五輪を招致した時の首相で、自らIOC総会に出向き招致演説も行った。招致から開催、延期に至った経緯も熟知している。
首相として五輪を迎えることを夢見ていた安倍氏。その夢は叶わなかったが、組織委の会長として五輪を迎えるのは、まんざら悪い話ではないだろう。
森氏は安倍氏の要請を受ける形で組織委の会長に就任した。森氏に会長の後を託されるという展開も、因縁めいている。
(以下略、全文はソースにて)
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