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※アーバン ライフ メトロ
6か月連続「転出超過」の東京
コロナ禍で急増する「脱東京」の動きは、東京圏を拡大させるかも知れません―。
地方分権・創生は長らく実現せず、東京は転入者数が転出者数を上回る「転入超過」が続いていました。ところが、コロナ禍で事態は一転します。
2021年1月29日(金)に総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、2020年12月の東京都の転出者数は2万9710人と前年同月比で17.1%増となりました。対する転入者数は2万5062人と6.9%減少し、6か月連続で転出者数が転入者数を上回る「転出超過」となったのです。
これに対して埼玉・千葉・神奈川の3県では転入超過となっており、長年続いて来た東京一極集中のブームが終わりを告げようとしています。
「脱東京」は2020年の中頃から顕著に
テレワークを採用する企業が急増したことで、脱東京の動きは2020年の中頃から顕著になってきました。
とりわけネット関連の企業はこの動きが顕著で、7月には早くも渋谷区のオフィスを引き払い、栃木県小山市に移転した広告代理店や、東京のオフィスを引き払った広島市のウェブ制作会社が注目されています。
また本社機能は東京に残すものの、社員に通勤圏外への居住を許可する企業では、社員が北海道の実家へ戻ることを検討している事例もあります(『毎日新聞』2020年7月4日付朝刊)。
2015年度より、政府は東京23区から関東圏以外に本社を移した企業の税制を優遇する「地方拠点強化税制」を実施していました。これはほぼ効果がありませんでしたが、コロナ禍でのテレワークの普及は、政府が目指していたものを急速に実現しています。
しかしどのような業務であっても、すべてをテレワークで済ませるわけにはいきません。そのため、今後は東京にアクセスしやすい近距離への移住が盛んになると見られています。
80年代後半から増加した「新幹線通勤」
そこで考えられるのが、新幹線を使って移動に2時間かからない、東京から100~200km圏内への移住です。これらの地域が優れているのは長い年月をかけて、脱東京を検討する人に向けた住宅の整備が進んでいることです。
もともと東京から100~200km圏内の住宅地が注目されたのは、バブル景気で地価が高騰した1980年代後半からです。当時はまだ現在のようなマンション開発は進んでおらず、都心どころか都内にマイホームを持つことすら夢のまた夢。
そうした時代に流行したのが、栃木県や群馬県に一戸建てのマイホームを購入し、都心には新幹線で毎日通勤する「新幹線通勤」です。
この頃の住宅価格を見てみると、都内で一戸建てが1億円といわれる一方、群馬県の高崎市のような新幹線駅のある都市は2000万円台。もう少し東京に近い埼玉県熊谷市であれば3000万円台ですが、熊谷から在来線でひとつ先の籠原駅周辺であれば、2000万円台で一戸建てを購入することができました。
これに加えて、新幹線通勤を考える人が増えた背景には税制改革がありました。
1989(平成元)年以前には、サラリーマンが支給される通勤手当は上限が月2万6000円で、それ以上は所得とみなされ、課税されていました。1989年以降、この上限が変更になるとともに、JR東日本が新幹線定期券の値下げを実施。通勤費の負担が軽減されました。
ちなみに現在は通勤手当は15万円まで、通勤用定期券は15万円までが非課税となっています。この上限枠もテレワークの普及で、会社には週に1~2日程度出社すればよいという人には有効に機能します。
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