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●被害時の状況とその後
ベッドの上で覆い被され、抵抗するも押し倒される……という状況は午前4時30分頃から約2時間にわたって続いた。それはA子さんにとって、とても長い時間だった。
「恐怖とパニックの中で同じような抵抗をして、その度に押し倒されて、これ一体何回やるんだろう……と。壊れたロボットみたいになっていきました」
「(抵抗を続けていたらラブリさんから)急に『うるさい!』と言われ、びっくりして動けなくなりました。もう無理だと思って目をつむっていたら、身体が幽体離脱するような感覚がありました。それまでも自分が3~4人いるような感覚でしたが、身体から自分の意識が完全に分離したような状態になってしまい、ほとんど動けなくなってしまいました」
虐待や性暴力などの被害に遭った人が被害時に幽体離脱のような感覚に陥ることはしばしばあり、「解離(かいり)」「周トラウマ期解離」と呼ばれる。自分の精神を守るための心理状況と考えられている。
A子さんの具体的な被害は、胸を揉まれる、下着を脱がされ陰部を舐められる、陰部に指を入れ動かされるといったもの。被害は下半身に集中していたという。
同年の6月に性暴力被害者を支援するNPO法人と警察に相談。被害届を出す決心を固め、8月、和歌山県警に被害届と告訴状を提出した。
●「レイプ 死にたい」で検索した
被害によって大きなショックを受けたA子さんに追い討ちをかけたのは、周囲の無理解だった。
相談した人から「女同士はレイプにならない」「(相手が)きれいな女性からだからいいじゃないか」「その行為で(同性愛に)目覚める人もいる」などと言われることがあった。性被害の中でも同性同士や、女性による加害行為は特に可視化されづらく、理解されづらい傾向がある。
Aさんは相談先を探した際のことを、こう話す。
「『レイプ 死にたい』『レイプ 助けて』で検索して、被害者支援のNPOを見つけました。私の被害は一般的には『レイプ』と呼ばないかもしれません。でも自分にとっては『レイプ』だったんです……」
後述する通り、日本の場合、暴力や脅迫を用いて性器に指を挿入する行為は「強制わいせつ罪」に分類されるが、イギリスやフランスでは性交の強要と同等の罰則規定がある。
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