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コロナ禍のもとで、いまも雇用消失と貧困が世界に広がっている。これに立ち向かう対処法としてローマ教皇やグテーレス国連事務総長ら世界の要人たちが言及するのは「ベーシックインカム」の導入である。
すべての国民に最低限の生活を営めるだけの現金を定期支給する。生活保護費のように厳しい審査はいらず、受給者差別も生まれない。究極の安全網とも言える。
もともとは、人間らしさをもたらす経済的安定を求めた左派の主張から登場した制度だった。だがその後は小さな政府をめざす新自由主義の立場からも、社会保障制度のスリム化と抱き合わせで提唱された。
1970年代初め、米ニクソン政権が提出した同制度法案は下院を通過したものの上院で民主党の反対にあい廃案になった。
近年もフィンランドやカナダで実験が行われた。ただし対象は低所得者に限られた。「すべての国民」が「生活を営める水準」で給付された例はまだない。
そのベーシックインカムが菅政権でも検討されるかもしれない。菅義偉首相が就任後いち早く会った民間人であり経済ブレーンと頼む、東洋大教授でパソナグループ会長の竹中平蔵氏が提唱しているからだ。
面談の数日後、竹中氏は出演番…残り:1056文字/全文:1567文字
2020年11月25日 6時30分 朝日新聞
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