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政府は来年度から、大学への留学生や外国人研究者らにビザ(査証)を発給する際、経済安全保障強化の観点から審査を厳格化する方針を固めた。安全保障に関係する先端技術や情報が、留学生らを通じて中国などに流出しているとの懸念があるためだ。
来年度から 発給拒否も
国家安全保障局や外務、法務、経済産業、防衛各省などが疑わしい人物についての情報を共有し、ビザ発給業務を担う在外公館でも活用できるシステムを構築する方向だ。該当する外国人からビザ申請があった場合は、発給の拒否も検討する。外務省は2021年度予算の概算要求で、審査厳格化の関連事業に2・2億円を計上した。
米国や豪州は近年、中国が留学生を使って組織的、戦略的に外国技術の獲得を狙っているとして警戒を強めている。今年7月には、中国軍に所属しながら身分を偽ってビザを取得し、大学で研究者などとして活動していた中国人4人を米司法省が逮捕、訴追した。米国では情報機関が留学生の経歴や個人情報を調べ上げ、ビザ発給を拒否する事例が増えている。
日本ではビザ発給の段階で米国のような厳格な調査は行われておらず、「米国に拒否された中国人留学生が、ターゲットを変えて日本に来ている」(経済安保に詳しい専門家)との指摘がある。政府内でも、現状のままでは、米国の大学や研究機関との共同研究ができなくなるとの懸念が広がっていた。
ビザ発給審査の厳格化のほかにも、政府は来年度から、経済安全保障の取り組みを強化する。
防衛省は、防衛政策局に「経済安全保障情報企画官」のポスト新設を検討している。各国が軍事面での活用に向け、人工知能(AI)やレーザーなど新技術獲得競争を繰り広げている実態を踏まえ、主要国の動きを分析して保全策を検討する。
経済産業省は、大学などが持つ軍事転用可能な最先端技術の流出を防ぐため、国際的な動向を調査する。そのうえで企業や大学に管理徹底を促すための説明会を開く考えで、概算要求では18・7億円の関連経費を計上した。
読売新聞 2020/10/05 08:32
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