20/07/11 14:52:43 vmci4o/B9.net
次の総理」は誰になるのか─歴代最長政権となった安倍晋三・首相にとって“後継者選び”は何よりも「求心力」を維持できる道具だったはずだ。
しかし、コロナ対応で安倍首相の重用する後継候補が何の成果も挙げられず、一気に「遠心力」が生まれ始めた。“だったら俺にやらせろ”─。
都知事選を圧勝した小池百合子氏が国政復帰を見据えるなか、自民党は四分五裂の状態に陥りつつある。
その最大の原因は、安倍首相が「後継者選び」に失敗したことだ。歴代最長政権を誇る安倍首相にとって、「後継者選び」は自らの権力維持の重要な手段のはずだった
(中略)
安倍首相が後継者に据えようとしてきたのが岸田文雄・政調会長だ。
面長の顔に顎を隠せない小さなアベノマスクを国会でも議員会館でも着用し続けて首相に“忠誠”を示していることで知られる。
首相は自分に決して逆らわない岸田氏であれば、退陣後も「院政」を敷けると考えていた。
ところが、その判断は裏目に出た。自民党内に“ボロ神輿は担げない”という不満が広がったからだ。
岸田後継に最も反発したのが菅義偉・官房長官と二階俊博・自民党幹事長だとみられている。
「菅さんは岸田さんと同じ派閥にいたことがあるが、“何がやりたいのかわからない”と政治家としての評価は最低レベルで、
“発信力がないから選挙に勝てない”と総理にふさわしくないと考えている。
二階さんも同じ党三役として、岸田さんの調整能力の乏しさに失望している」(自民党役員経験者)
安倍首相が昨年の内閣改造でその岸田氏を幹事長に起用して後継レールに乗せようとしたときも、二階―菅ラインが阻止。以来、2人と首相との溝が深まっている。
(中略)
“その程度の人物”が総理・総裁候補とあって、「岸田を担ぐならオレが」と首相のお膝元の最大派閥・細田派では、
西村康稔・新型コロナ担当相、稲田朋美・幹事長代行、下村博文・選対委員長、萩生田光一・文科相らがポスト安倍に意欲を見せ始めたのだ。
(中略)
安倍首相が後継者の人選を見誤ったことで、細田派、麻生派の主流派から我も我もと“自称後継者”が出現して政権に遠心力が働いている。
それだけではない。コロナ危機は総裁レースの様相を一変させた。
岸田氏に次いで首相の覚えがめでたい総理候補とされていた加藤勝信・厚労相はコロナ対策が後手後手に回って評価を下げ
、茂木敏充・外相も外交場面そのものがなくなって存在感を失い、レースから脱落しかかっている。
それでもなお、安倍首相は岸田後継を諦めていないとされる。理由は「石破さんだけは絶対に総理にしたくないから」(安倍側近)という。
官邸が警戒しているのは総理・総裁選びと検察の動きが連動することだ。
河井克行・前法相と案里夫妻の選挙買収事件をめぐる東京地検特捜部の捜査は、
自民党本部から夫妻に流れた1億5000万円の“買収資金”の流れの解明を目指している。ターゲットは自民党首脳部だ。
(中略)
かつて田中角栄内閣の跡を継いだ三木武夫首相は、ロッキード事件が発覚すると政敵の田中前首相を守らずに検察捜査にゴーサインを出した。
「今回の選挙買収事件が自民党中枢に波及し、11月危機と重なって次が石破首相になると、
“第2の三木”となって捜査を安倍勢力の弱体化に利用しかねない。そうした懸念があるだけに、石破後継を阻止して安倍総理の意向に従う後継者を選ばなければならない」
首相周辺にはそうした警戒の声がある。麻生太郎・副総理の「9月解散、10月選挙」論も石破後継阻止という首相サイドの思惑と一致する。
永田町には、解散論の裏に安倍―麻生への「政権禅譲」シナリオがあると囁かれている。
「11月危機で退陣に追い込まれる前に、安倍首相が麻生氏に首相の座を禅譲し、麻生内閣が五輪中止など安倍政権の残務整理をする。
9月解散で自民党が議席を減らせば総理交代の口実になるし、一度選挙をやれば自民党議員は当面選挙の心配がなくなるから、
来年の総裁選では人気のない岸田氏を総裁に担ぎやすい」(自民党関係者)
麻生リリーフ首相の後に、岸田“傀儡”政権をつくるシナリオだ。
そして、自民党の外からは、東京都知事選で圧勝し、“いつ国政に復帰すべきか”とひそかに野心を燃やす小池百合子氏が、
自民党の人材不足を象徴する総理選びの迷走を、舌なめずりしながら見つめている。
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