20/06/13 20:09:50.82 ciZGcYiw9.net
なぜヒト属は、われわれ現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)ただ1種しか残っていないのか。ネアンデルタール人をはじめとした旧人は、なぜ絶滅してしまったのか。熾烈な生存競争の結果、より辺境の地へと追い立てられた旧人は、やがて人跡未踏の山岳地帯の奥に姿を消す。そこで彼らは絶滅したのではなく、実は息を潜めて住み永らえてきた。
「山の奥で毛むくじゃらの大男に遭遇した」とする雪男伝説が真実味を持つのは、同じような話が世界各地で伝えられているからだ。北米カナダのロッキー山脈では、その巨大な足跡からビッグフットと呼ばれる未確認生物が知られている。その地方の先住民の間では、昔からサスクワッチと呼ばれて恐れられていた。他にもヒマラヤのシェルパやヤク飼いの間で信じられているイエティ、中央アジアのアルマスティ、東南アジアのスマトラ島を徘徊するオランペンデクと、枚挙にいとまがない。
そして、その真偽を突き止めようとする探検隊や調査隊も多く登場し、ときおり足跡を発見したとか、遠くから写真や映像で姿を捉えたという発表がなされる。しかしそのたびに、真相はより一層、闇の中に紛れてしまうのだった。
英国オックスフォード大学の人類遺伝学者、ブライアン・サイクスも、雪山をさまよい歩く怪物の痕跡を探っている一人だ。ただし、サイクスたちの研究チームには、これまでにない最新の科学兵器がある。DNA分析だ。
研究チームは、標本の保存状態がどんなに悪くても、50年前までのものならDNAを抽出できる技術を開発して、調査の幅を広げることに成功した。サイクスは、「標本の表面についた人間のDNAによるコンタミネーション(汚染)を完全にクリーニングする技術を開発した。また標本には表面が丈夫で内部が保護されている体毛を選んだ」と語る。
■未確認生物の標本30点をDNA分析してみると
サイクスは、過去50年にわたって雪男のものではないかと言われてきた体毛や毛髪の断片を集め、分析した。そして標本中のDNAを、30万種以上の生物の遺伝子配列を記録した国際的なデータベース「GenBank」にある情報と照らし合わせた。比べたのはミトコンドリアDNAという母親によって伝えられる遺伝子である。
サイクスらが世界各地の博物館や個人が所有する未確認生物の標本30点をDNA鑑定した結果は実に興味深いものだった。そのほとんどが、ありふれた動物の体毛であることがわかったのだ。
ビッグフットの毛とされていた北米の標本のうち3点は牛で、羊、アライグマ、ヤマアラシの毛もあった。スマトラ島の類人猿オランペンデクの唯一の試料は、熱帯の森に棲む大型哺乳類バクのものだった。ロシアの中央アジアで見つかったアルマスティの標本3点は、実は馬の毛であることがわかった。中には、アメリカクロクマやアライグマの毛もあった。どちらもロシアには生息していない種で、これではつじつまが合わない。中には人間のものと判明した標本さえあった。テキサス州で見つかったビッグフットの頭髪とされるものが、実は普通の人間のものにすぎなかったのだ。
■ヒマラヤの雪男とホッキョクグマの意外な関係
※省略
とはいえ、雪男の遺物のDNA分析が、まったく不毛な結果を積み上げただけではない。体毛のDNAを使ってビッグフット、イエティ、雪男の正体を追い求めてきたブライアン・サイクスは、2012年になって、雪男伝説と古代のホッキョクグマの系統との特異な関係を突き止めた。
研究に用いられた標本の一つは、フランスの登山家の一人が1970年代にインド北部のラダック地方で手に入れたものだ。またあるものは、10年ほど前に、ラダックから1290km離れたブータンで見つかった1本の毛だった。サイクスによれば、この2種類の標本から取ったDNAは、なんとノルウェーの北極圏で2004年に見つかった12万年前のホッキョクグマの顎骨から取った遺伝子の特徴と一致したと言うのだ。
二つのサンプルが遠く離れた場所で発見され、また、その時期が比較的最近であるという事実から、この毛の持ち主は絶滅せず生き永らえている12万年前のホッキョクグマの子孫である可能性がでてきたのである。
ヒマラヤに住む毛むくじゃらの怪物は前世紀から知られ、シェルパやヤク飼いたちがその足跡や頭皮、毛などを発見したと報告してきた。この怪物は猿に似た獣で、立ち上がるとその身長は5mになるといわれてきたが、実は大型のホッキョクグマの一種だったのかもしれない。食物の少ない山間地で生息できるのか疑問は残るが、最新のDNA鑑定は確かにそう語っている。
6/13(土) 12:10配信
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