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2020/06/05(金)
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中国で新型コロナウイルスの流行によるマスク需要が落ち着いたのに伴い、マスクの生産設備や原材料が値崩れを起こしている。新規業者の参入が相次いだことで、マスク市場は既に供給過剰に陥っており、一部の原材料はピーク時の数十分の一まで値下がりした。春節(旧正月)前後から始まった「マスクバブル」は、約3カ月の短期間で崩壊した格好だ。
4日付21世紀経済報道、財経天下週刊(電子版)、毎日経済新聞(同)、ニュースサイトの界面新聞などが伝えた。
中国には現在、マスクに関連する経営免許を持つ企業が4万7,000社あり、うち約9,000社は1月25日以降からマスク生産を手掛けている。中国のマスク生産能力はもともと世界最大だったが、新型コロナの発生で需要が爆発的に伸びたことから、確実に利益が見込める市場として新規の参入が相次いだ。本業の生産活動がストップした自動車メーカーなど、異業種企業も積極的にマスク生産に乗り出した。
業界関係者は「資金がある人はマスクに投資し、資金がない人も高利の借金をしてでもマスクに投資していた」と説明。初期の頃には生産設備1台で1日10万元の利益が上がり、「2~3日稼働させれば設備投資の元は回収できた」という。
その結果、それまで1台当たり20万元(約306万円)程度だった生産設備は瞬く間に50万~100万元に高騰。原材料となるメルトブローン不織布に至っては、1トン当たり2万元程度だった相場が80万元にも跳ね上がった。
一方、国内のマスク市場は4月初旬ごろまでに落ち着きを取り戻した。当初は日産2,000万枚程度だった生産能力が短期間で3億枚超に拡大したことに加え、4月8日にコロナ流行の中心となった湖北省武漢市の封鎖が解除されるなど、感染状況が収束に向かい始めたためだ。
その後、多くのメーカーは感染が急速に拡大していた海外への輸出に活路を見いだす作戦に転じた。しかし、一部の輸出先で中国製マスクの品質が問題化。当局は4月26日から非医療用マスクの輸出管理規定を強化し、品質やブランドの競争力がない新規参入業者は八方ふさがりの状態に陥った。
一時は品薄で市場から消えていたマスクは現在、インターネット通販で使い捨てタイプが1枚0.5元以下で出回っている。メーカーが仮に原料のメルトブローン不織布を1トン当たり30万元以上で仕入れていた場合、ほぼ利益度外視で製品を投げ売りしていることになる。
各メディアの調べでは、メルトブローン不織布の相場は現在、低品質のものは1トン当たり数千元に下落している。5月中旬から下旬の1週間での値下がり幅は、高品質のものでも約65%に達しており、低品質不織布は原価割れを起こしている状態という。
一時は1台100万元に値上がりした生産設備の相場も、本来の20万元程度まで下げ戻した。ピーク時には納品まで1~2カ月待ちが発生していたが、現在は在庫がだぶついている状況だ。ある代理業者は「一部の設備メーカーはもう数週間も受注がない」とした上で、「大幅な値引きなしでは在庫を処理できない。高価な設備が今や売れない鉄くずになった」と嘆いている。