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2020.5.17 21:13
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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、行政や民間の子育て支援に空白が生じ、危機感が高まっている。乳幼児の集団健診や離乳食講座の休止が相次ぎ、親たちが育児相談を受ける機会も減少。休校の長期化で虐待リスクがある子供たちの安否確認にも影響が生じかねない状況で、支援策の在り方が課題となっている。(三宅陽子)
受診者が1カ所に集中すれば感染リスクが生じるとして横浜市は4月9日~今月29日まで、生後4カ月、1歳6カ月、3歳の集団健診を休止している。福岡市は4カ月健診を医療機関で個別受診できるよう準備を進めるが、休止する他の集団健診の再開時期は未定のまま。担当者は「再開には3密(密集、密接、密閉)を避けるような態勢が必要。どういう形でできるか」と模索が続く。
相談の機会が失われることは、産後鬱などを見逃し、ネグレクト(育児放棄)なども早期発見できない可能性もある。元児童相談所長でNPO法人「おかやま児童虐待事例研究会」の松尾冀(のぞむ)代表は「健診休止で親が抱える不安などに潜む虐待リスクが見過ごされる恐れもある。健診の対象世帯には子育てに関する問診票を送付し、返事がない世帯には保健師が家庭訪問をするなど、きめ細かな支援が必要」と指摘する。
こうした中、乳幼児の集団健診の休止を決めた東京都荒川区では4カ月健診の対象世帯に保健師らが電話をかけ、子供の成長や育児不安などを聞き取る対応を実施。必要があると判断すれば、家庭訪問や医療機関への橋渡しも行っている。
各地では「離乳食講座」の休止や中止も相次ぐが、石川県野々市(ののいち)市では7カ月と10カ月の乳児向けに離乳食レシピの動画を公開。管理栄養士らが監修を務め、栄養バランスなどに配慮した内容で好評を得ている。
東京情報大の市川香織准教授(母性看護学)は母子健康手帳の活用を勧める。「母子手帳では質問に答えることで子供の成長状況を確認できたり、年齢ごとに体重や身長を書き込んで平均的な値と比べたりもできる」と説明。「心配に思うことがあれば書き込んでおき、遠慮なく保健センターやかかりつけの医師らに相談してほしい」と求める。
一方、休校措置の長期化で、各家庭の子供の状況把握が難しくなっていることの懸念も深まっている。札幌市児童相談所では、寄せられた3月の虐待通告件数が前年同月比1・5倍となる約150件に上ったことも判明。在宅勤務などで保護者のストレスが子供に向かっている可能性もある。
「休校の間、子供たちは家庭でどう過ごしているのか、担任らが各家庭を訪問し、生活の様子を確認するといった支援も必要。対面が難しければ、インターホン越しでも対応を続けてほしい」。松尾氏はそう呼びかけている。
乳幼児健診の相次ぐ休止を受け、小児科医の平岩幹男氏を中心に各家庭でチェックしてほしい子供の健康確認ポイントをまとめ、ウェブ上で公開している。
公表資料は自宅でも子供の健康状態を把握しやすいよう、年齢ごとの注意点や医師への相談目安が分かりやすく解説されている。
例えば、4カ月健診の項目では、体重はこの時期、週に200~300グラム程度増えることが多いとし、増え方が100グラム以下ならかかりつけの医療機関への相談を推奨。首がすわっているかを見る目安は、「たて抱きにして首を自由に動かすかどうかを見て下さい」などとしている。
1歳6カ月健診、3歳健診の対象者の健康観察ポイントも掲載されている。
平岩氏は「子供の状態によっては、医療機関で診てもらう必要もあり、不安なことはかかりつけの医師に相談すべきだ」と説明。感染リスクを恐れ、医療機関での予防接種をためらう人が出てくることも懸念し、「はしかなど別の感染症が流行することになりかねない。スケジュール通り接種してほしい」と話す。
家庭でできるチェックポイントは、URLリンク(rabbit.ciao.jp)で見ることができる。