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東大が一度も超えられない「女子2割の壁」 その背景は
2020/2/29 16:00
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東京大学の学部生に占める女性の割合は、これまで一度も2割を超えたことがない。なぜなのか。
東大の女子学生がつくるフリーペーパー「biscUiT(ビスケット)」は昨秋、「女子2割の壁」を特集した。代表で2年の徳永紗彩(さあや)さん(20)は「女子学生の間で、こういうことも女性差別的だよね、嫌だよね、という会話が増えた。この環境の背景や影響について、調べてみようと思った」と話す。
最近では、東大男子と他大女子が入る「東大女子お断り」のインカレサークルが、学内外から批判を浴びた。
キャンパス内でも、そうしたインカレサークルの男子学生が、他大女子の話題で盛り上がる会話が聞こえてくる。「バカ」「アタマが弱い」「あの子はかわいい」……。女性を見下したり、外見を「品評」したり。徳永さんは「女性をモノのように扱っている。差別意識がにじみ出ていて、聞いていて苦痛」と話す。自分の大学なのに、その大学の女子学生だからという理由で排除されてしまう。そうした疎外感が「じわじわと効いてくる」。
そんな「2割」の風景は、日常の端々にあるという。
例えば、体育の授業で使う更衣室。「競技によっては、女子が着替える場所がない。そういうちょっとしたところで、なんとなく居場所がないんだなと感じます」。授業でキャリアについて議論していても、結婚や育児の影響をほとんど考えずに将来像を語る男子とは、隔たりを感じるという。
東大の学部生の女子比率19.3%は、京都大の22.3%や大阪大の34.3%と比べても低い。日本の大学全体では、学部生260万人のうち女子が45.4%だ。
昨年の入学式の祝辞で、社会学者の上野千鶴子・東大名誉教授は、「2割の壁」や、女性教授が1割に満たないこと、歴代総長に女性がいないことなどを挙げ、長年、男性優位な構図が変わっていないことを批判した。「偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点で、すでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」
「biscUiT」の特集では、「進学校」とされる各地の共学高校に取材。東大受験者の数に明らかな男女差があることを伝えた。
東大生と高校3年生あわせて約1千人にもアンケート。「親元から通える学校に行って」と親類らから言われたことがある高校生のうち、7割は女子だった。「女子2割は公正な入試の結果。何が問題なのか」との声もあった一方、回答した東大生は男女とも8割が、女子比率の低さを問題視していることもわかった。
徳永さんは福岡の共学校出身。高校では「男女の能力差を感じたことはなかった」のに、東大では「どこを見ても男子だらけ」で面食らった。入学時、約30人のクラスで女子は5人で、「女友だちが4人しかできない」と焦った。いくつかのサークルの新歓に顔を出したが、どこも女子が圧倒的に少なく、女友だち欲しさにbiscUiTに入ったという。
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