19/11/27 19:43:10 hypzc1M/9.net
<先進国と同レベルの医療を半額で、がキャッチフレーズ>
先進国で医療費が高騰するなか、低コストで高品質の医療、健康に関する様々なサービスを提供するインドのメディカルツーリズム(医療観光)の人気が高まっている。
インド商工会議所とアーンスト・アンド・ヤング社の共同報告によれば、その市場規模は来年までに90億ドルに達する見込み。2015年の時点と比べると3倍に拡大している。
報告書によれば、医療を目的にインドを訪れるツーリストの大半は、デリー、ムンバイ、チェンナイ、バンガロール、ハイデラバード、コルカタといった大都市に滞在している。2015年にインドが受け入れたメディカルツーリストは約23万4,000人だったが、2017年には2倍以上の49万5,056人に増えた。
インドでは外国人旅行者がイギリスやアメリカと同じレベルの治療を受けることができ、費用は約半分だ。
医療目的の旅行者の約半数は、隣国のバングラデシュからやってくるが、残りのほとんどは東南アジア、中東、アフリカから。アメリカ、カナダ、ヨーロッパからのメディカルツーリストはまだそれほど多くないが、ここ数年、増え続けている。
インドには、国際的な医療評価機関として権威ある外来診療プログラム(JCI)の認証を取得した病院が38カ所ある。インドの病院評価機関も619の病院を認証している。さらに、術後死亡率はアメリカでは1.9%だが、インドでは約1.4%だ。
■臓器移植を求める患者も
メディカルツーリズムのコンサルティング会社「ペイシェンツ・ビヨンド・ボーダーズ」の報告によれば、臓器移植、特に肝臓、腎臓、膵臓の手術を希望する患者にとってインドは主要目的地の1つだ。
インド国内でも、各地が外国からのメディカルツーリストを求めて競争している。コルカタ市は、国境が近いバングラデシュから多くの旅行者を集めている。
妻の治療のためにコルカタを訪れているバングラデシュからの旅行者は、コルカタを選んだ理由を説明した。
「バングラデシュには、十分に発達した医療インフラがない」と、彼は言う。「だからいい治療をいい施設で受けたければ、ここに来るしかない。それに移動時間は短く、コストも手頃だ」
インド西部ゴア州のプラモド・サワント州首相は、医療の水準を上げることで、メディカルツーリズムを拡大する計画を立てている。
「治療のためにゴアを訪れる旅行者が適切な治療を受けられず、だまされることもる」と、サワントは言う。「医療観光を促進するためには、いくつかの法律を改正する必要がある」
ゴアのサンジブ・ガウンス・デサイ観光局長は、「政府と民間の協力で州内にいくつかの高度に専門化された医療施設が開設された」と言う。医療目的の外国人旅行者が今後も増加すると期待している。
「世界有数の優れた医療施設や訓練を受けた専門家、最高品質のインフラなど、ゴアは医療観光に最適の場所だ。ゴアに設立された最新の医療施設は常にメディカルツーリズムと健康増進のためのプランを提供している」
さらにデサイは付け加えた。「歯科、心臓治療、美容整形、ヨガ、全身の健康プロファイル、女性の健康プラン、がん検診、アーユルヴェーダ、ホメオパシーなど、多くのヘルスケアプランから選択できるようになった」
インド政府は今年8月ビザの方針を変更、通常のビザがあれば、医療ビザを申請しなくても、インド国内で外国人が治療(臓器移植を除く)を受けられるようになった。
「以前の医療ビザは観光ビザよりもはるかに高価だったし、登録などの煩雑な手続きが要求されたが、現在はすべてが廃止された」と、ハリッシュ・ピライ博士は言う。
「インドの強みは、すぐれた技術を身に着けた医師、サポートスタッフ、看護師が存在すること、そして過去数年の間に開発された最新の設備が導入されていることだ。先進国でもまだ採用されていない最新技術も使われている」と、言うのはインド商務省のダーパン・ジャイン次官補だ。
■インド人患者にもメリット
ピライはさらに、インドを訪れる外国人患者はインド人より高い治療費を払っていること、それがより多くの民間投資と資本を引き付け、より良いインフラとより高い技術につながることを指摘した。
「この価格構造のおかげで、利益をインド人の患者に投じることができる。外国人患者を受け入れることによって支払われる医療費を、インド政府は教育を充実させるために必要としている」と、ピライは付け加えた。
世界のメディカルツーリズム市場は、24年までに1350億ドルを超えると予想されている。
URLリンク(www.newsweekjapan.jp)
2019年11月27日(水)17時38分