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大阪に本社がある文房具メーカー最大手の「コクヨ」は東京の筆記具メーカー「ぺんてる」の実質的な筆頭株主となり業務提携を求めています。しかし、ぺんてる側はその手法に反発していて、文房具業界の再編につながるのか交渉は難航も予想されます。
「コクヨ」はことし5月に投資ファンドを通じて「ぺんてる」のおよそ37%の株式を実質的に取得したことを明らかにし、事実上の筆頭株主となって業務提携を求めています。
しかし、「ぺんてる」側は出資について事前の連絡がなかったとして反発しています。
「コクヨ」の黒田英邦社長は29日、決算会見で出資について初めて公の場で説明しました。
このなかで黒田社長は「提携に向けて前向きに話し合いを進めている」と述べたうえで、「同じ文具メーカーだが紙と筆記用具で商品は全く異なる上、ぺんてるは幅広く海外への販売チャネルを持っている。両者の強みを生かせば海外事業などでウィンウィンの関係を構築できると思う」と提携の利点を強調しました。
コクヨは業界最大手ですが海外売り上げの割合がおよそ7%と低いのに対してぺんてるは65%余りで欧米を中心にブランド力があります。
人口減少やデジタル化による国内市場縮小に悩むコクヨにとって魅力だといいます。
資本を握ったうえでの提携交渉が文房具業界の再編につながるのか交渉は難航も予想されます。
■コクヨとぺんてるの経緯
コクヨとぺんてるの対立が表面化したのはことし5月。
コクヨが5月10日、突然、ぺんてるの株式のおよそ37%を保有する投資ファンドに101億円を出資し、実質的にぺんてるの筆頭株主となったことを発表したのです。
事前に連絡なく、突然株式を買われたぺんてるは反発。
ホームページで「当社は今後とも、創業来の独立性を堅持する」というコメントを掲載しました。
コクヨが出資したねらいはぺんてるとの業務提携です。
コクヨは年間の連結の売上高が3000億円を超える文房具業界の最大手です。
しかし、国内市場は人口減少に加えてオフィスのデジタル化が進み、市場の縮小という課題に直面しています。
海外での販売展開に活路を見いだしたいところですがコクヨの海外売上高は全体のおよそ7%。
中国やインドを中心に販路を広げていますが、世界規模で広げるためには時間とコストがかかると考えています。
また、主力のノートは国ごとにニーズが異なり、市場開拓は容易ではないといいます。
一方、ぺんてるは売上高がおよそ400億円とコクヨの8分の1程度の企業ですがペンの品ぞろえが豊富なことで知られています。
56年前、「サインペン」の販売を開始し、アメリカのジョンソン大統領が書き心地に感激して、事業が急成長したというエピソードがあり、アメリカやヨーロッパを中心に強固な海外販路を維持しています。
海外売上高は65%余りにのぼっています。
コクヨからすると自社が強みをもつノートやルーズリーフなど「書かれるもの」とぺんてるの強みの「書くもの」の筆記具は商品の重複がなく理想的な提携先だと考えています。
コクヨは「経営陣は毎週のように、ぺんてると今後の提携について話し合いをしている」と両社の関係が良好であることを強調しています。
一方、ぺんてるの反発姿勢は変わっていません。
今月26日、NHKの取材に対してぺんてるは「今回のファンドを通じた出資について、コクヨ側から事前の説明がなかったことは遺憾だ。現時点で業務提携などの協議は実施しておらず、当社として有益かどうか判断する段階にはない」とコメントしています。
さらに関係を複雑にしているのは第3のライバルの存在です。
関係者によりますとぺんてるは、コクヨに次ぐ業界2位の文房具メーカー、「プラス」との提携を模索していたといいます。
プラスとコクヨは文房具やオフィス用品の販売でライバル関係で両社のアルファベットをとって「PK戦争」とも言われています。
プラスとぺんてるの提携を警戒したコクヨが一気に株式の実質的な取得という手法に出たとの見方も浮上しています。
2019年7月29日 17時17分
URLリンク(www3.nhk.or.jp)
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