19/07/20 20:30:17.87 hHFuoFX+9.net
財政赤字を積極容認する「現代貨幣理論(MMT)」は、欧米でリベラル勢力がよりどころとした理論だが、日本ではアベノミクスの政策ブレーンなど保守派やリフレ派が入り混じって「異端の理論」に熱いまなざしを送る。
(中略)
■「反緊縮」のリベラル勢力と保守派が共鳴しあう構図
MMTはもともと欧米のリベラル勢力が拠りどころにしたものだ。
その代表は、英国労働党を率いるジェレミー・コービン党首。「人民の量的緩和」を掲げ、イングランド銀行が政府に資金を供給、労働者向けの住宅や福祉、教育などの分野に積極的に財政資金を使って雇用を創出することを提唱し、2015年の党首選で圧勝した。
米国では、「社会民主主義者」サンダース上院議員に共鳴し、昨年の中間選挙、史上最年少で当選したオカシオコルテス下院議員が「グリーンニューディール」を提唱。
サンダース氏も、働く意欲のある人全員を政府が雇って最低限の賃金を支給する「雇用保障プログラム」などを掲げ、来年の大統領選に出馬を表明している。
ケルトン教授はサンダース氏の上級経済顧問でもある。
こうした「反緊縮」の盛り上がりの底流には、90年代から世界を覆ってきた市場重視・「小さな政府」の新自由主義に対する反動がある。
グローバル化やIT化で失業や格差が拡大する中で、財政による雇用創出や所得再分配の役割が重要性を増した。
だが、「新自由主義は、財政危機を口実に緊縮を進めたから、社会サービスが削減され、国民はひどい目にあった。本来ならリベラル勢力が対抗すべきだったが、中道路線で一緒になって緊縮を進めた。それに対する怒りや現状を変えたい思いがMMT支持につながっている」と松尾教授は話す。
政治的には全く異なる立場の保守とリベラルが、積極財政を主張しMMTで共鳴する構図だ。
■財政赤字を「平時」で活用景気過熱すれば増税で調整
MMTは、財政による需要喚起を掲げたケインズ政策や、「デフレ脱却」で財政の役割を指摘したシムズ理論とはどこが違うのか。
ケインズは、大恐慌の経験から、「不確実性」が強まると投資が十分に行われず需要が不足するので、政府が支出を拡大して有効需要を喚起し、民間の投資意欲を高めることを主張。マクロ政策で完全雇用を実現するのが、政府の役割とした。
それまでの伝統的な経済学の考え方は、需要と供給を一致させるように価格が伸縮的に変化するので、完全雇用は市場を通じて達成される。政府は失業問題を考慮する必要はないというものだった。
ただケインズ政策は、不況期の財政出動の後は、民間の投資が誘発されて成長が促進され、税収も回復するので、中長期的には財政は均衡するという考え方。この点では、「シムズ理論」も同じだ。
これに対してMMTの場合は、不況期だけでなく、財政赤字を「平時」でも活用し財政主導で経済を回そうという考え方がにじみでる。この日の質疑でもケルトン教授は、「政府の債務残高は過去に政府が財政支出を税金で取り戻さなかったものの履歴でしかなく、それは民間で貯蓄されている」と、政府債務や財政赤字が膨らむこと自体には問題はないとした。
MMTが強調するのは、
(1)通貨発行権を持つ政府はデフォルトのリスクや財政制約はない、(2)財政赤字は民間の資産増であり民間への資金供給になる、(3)貨幣は税の徴収のために政府が流通させたもので、貨幣価値は政府の信用力で支えられている、(4)租税や公債は財源調達手段ではなく、金利や購買力を調整する手段―といった点だ。
これらの主張の多くは、ケインズ理論などが前提とする財政の考え方と大きくは違わないが、財政赤字や政府の役割をより積極的に肯定しているのが特徴だ。財政の均衡は中長期的にも考慮する必要ないという考え。ただケルトン教授は講演で、MMTが財政赤字を無制限に続けることを肯定しているわけでなく、財政赤字はインフレ率によって調整する考えを強調した。
インフレや景気は税や国債の増減で調整できるし、雇用も政府の「雇用保障プログラム」を通じて調整されるとする。
不況期には、財政支出を増やして政府が働く意欲のある人を最低賃金で雇って支えるが、好況になれば失業が減り、賃金の高い民間に雇用が移動するので、財政支出は減るというわけだ。
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★1が立った日付2019/07/18(木) 05:35:21.09
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