19/01/30 11:50:14.81 M5btNrEM9.net
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「入会金として10万円を請求する自治会があるそうです」。福岡県糸島市の女性から、特命取材班にこんな情報が寄せられた。
事実ならば、一般的なスポーツクラブの入会金を上回る高額。住民が自主運営する自治会で、どうして-。
田畑の広がる農村地帯を訪ね、自治会長の男性に会うことができた。見せてくれた規約には、こう書かれている。
《本会に入会を希望する者は、加入基本金10万円/1戸当たり、下排水費5万円/1戸当たりを添え、入会申込書を提出するものとする》
下排水費5万円、新築物件の入居世帯から徴収
男性によると、転入者の入会には、まず加入基本金10万円が必要になる。さらに、集落に公共下水道が整備されていないため、
生活排水を流す河川の保護に充てる下排水費5万円も、新築物件の入居世帯から徴収している。規約は1988年に定められたという。
合わせて15万円。引っ越したばかりの世帯にとって負担は大きい。集めた会費はどう使うのか。男性は「自治会には多くの資産がある。
維持管理や改修のために会費を積み立てています」と説明した。
公民館や運動場、将来的な改修や補修に備え
この自治会は、子ども会や老人会の集まりで使う独自の公民館や運動場、公園、神社を所有しており、将来的な改修や補修に備えているという。
「公民館は30年ほど前、昔から住む人たちが建設費を出し合って造った。新たな転入者にも公平に負担を求め、施設を使ってもらっています」
自治会に入らなければ原則、こうした施設を使う権利はなく、自治会と連携する子ども会活動にも参加できない。
子どもの交友関係に影響しないか、と心配になるのが親心だろう。
社会教育法では、地域の学習、交流拠点となる公民館は「市町村が設置する」と定められている。行政はどう考えるのか。
糸島市は小学校区ごとに15の公民館を設置している。一方、自治会は市内に160以上あり、それぞれに高齢者サロンやサークル活動に使う
公民館を整備するのは難しい。「地域の活動拠点に使う集会所であれば、自己資金で建ててもらっている」と担当者。
市は自治会の公民館建設に補助金を出し、対応している。
法律に照らしてどうなのか。文部科学省は「自治会が所有するのは、公民館に類似する『自治公民館』に当たる」(地域学習推進課)として問題ないという。
自治会長の男性は話した。「校区に一つでは他の自治会と取り合いになるし、災害時には避難所にもなる。高齢者にとって近くに公民館があった方がいい。
市が財政的に厳しいのは分かるし、自分たちで造るしかない」。入会金に関する不満は聞いていないという。
取材を進めると、驚くべき自治会ルールは、他の地域にもあった-。
住民から集めた資金で公民館を整備する事例、全国にも
自治会への入会金が10万円-。全国自治会連合会(事務局・福島県)の担当者は「それほどの高額は聞いたことがない」と驚くが、
自治会が住民から集めた資金で公民館を整備する事例は、全国的にあるという。
兵庫県南西部の町にある自治会では、「故郷(ふるさと)基金」という名称で、公民館の建て替えや神社の改修費として毎年3万円ずつ、
10年間にわたって徴収している。住民の負担は、毎月の会費や雑費も含めると総額年5万円近くに上る。
無料通信アプリLINE(ライン)を通じ、特命取材班に情報を寄せた自治会員の男性(50)は首をかしげる。「高齢者が増え、公民館の使用が減っているのに、
新築する必要があるのか。神社の改修も特定の宗教のための出費で、おかしい」。それでも毎年、支払っているという。
「釈然としないが、支払いを断れば集落に居づらくなるから」
災害発生時、自治会が果たす役割は大きく…
自治会の歴史は古い。
山梨学院大の日高昭夫教授(自治体行政学)によると、自治会、町内会の組織は全国に約30万団体ある。
団地や新興住宅街を除くと、その多くは江戸時代の村落共同体にルーツがある。
1889(明治22)年の自治体の大合併などをきっかけに、村落共同体はより規模の大きい町村に統合された。村落共同体は公的には姿を消したが、
道路や水の管理、神社の整備などを担う任意の住民組織として存続。戦時下には国策を浸透させる末端機構としても働き、現代まで自治会、
町内会として続いているという。