18/12/30 06:44:43.70 CAP_USER9.net
「THIS IS JAPAN NAVY, THIS IS JAPAN NAVY」ー この言葉にショックを感じた人もいるかもしれない。そういえば私たちの国、日本は、Navy(海軍)を保有しているのか?
韓国海軍駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題で、防衛省が12月28日、機内から撮影した映像を公開した。映像には「日本国海上自衛隊」との翻訳字幕が付いている。他方で、隊員が「KOREAN NAVAL SHIP」と呼びかけたシーンは「韓国海軍艦艇」と訳されていた。当然といえば当然ではある。
だが、私たちは、同じ概念を国外と国内で「言葉の使い分け」をしている現実を、改めて目の当たりにすることになった。
NHKなどのテレビニュースでは字幕も含めそのまま映像を流していたので、「JAPAN NAVY」に気づいた人も多かったようだ。ツイッター上でも話題になっていた。だが、今朝の全国紙はすべて日本語表記に直されており、「JAPAN NAVY」という表記は見当たらなかった(読売、朝日、毎日、産経、日経、東京の29日付朝刊を調査)。
私たちの社会の公的な言論空間(国内)では、自衛隊は「軍(戦力)ではなく、実力組織」とされてきた。憲法9条2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」(land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained:防衛省HPの英訳より)と明記されているため、政府は「通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」との見解を維持してきた。「国際法上、一般的には、軍隊として取り扱われる」との認識を示しつつも、自衛隊を「軍隊」と同視してはこなかった。
3年前に「我が軍」と言った安倍晋三首相が批判を浴びたように、日本国内では「軍」と「呼ぶ」あるいは「同視する」こと自体がタブー視されてきた。しかし、他国軍との交流や共同軍事演習も行っている自衛隊(Self-Defense Force)は、対外的には軍隊(Force)と同視され、軍事用語の使用が禁止されているわけではない。このたび、海上自衛隊(正式にはJapan Maritime Self-Defense Force、JMSDF)が現場の実務では「Japan Navy」で通用しているという事実が(別に隠していたわけではないだろうが)、白日のもとに晒されたわけである。
ここで、いまいちど、自衛隊のホームページ装備品を見てほしい。
諸外国の軍隊と同じような装備品を持ち、国防を担う軍事組織であるという事実は否定できないはずだ。それでも、私たちの社会は「言葉の言い換え」によって、いわばオルタナティブ・ファクト(代わりの事実)を信じることにしてきたのである。
古くは「退却」を「転進」と言い変え、現実から目を背けた。最近も「戦闘」を「衝突」に、「空母」を「多用途運用護衛艦」に言い換えるなど、枚挙にいとまがない。戦後社会を貫くオルタナティブ・ファクトの最たるものが、「自衛隊は『軍』ではなく、『実力組織』」ではなかろうか。
改めて、米国日本占領軍軍事顧問団本部幕僚長として、自衛隊の前身である警察予備隊の創設を指揮したフランク・コワルスキー大佐の言葉(約半世紀前)が、思い起こされる。
アメリカおよび私も個人として参加する「時代の大うそ」が始まろうとしている。これは、日本の憲法は文面通りの意味を持っていないと世界中に宣言する大うそ、兵隊も小火器・戦車・火砲・ロケットや航空機も戦力でないという大うそである。
出典:フランク・コワルスキー「日本再軍備‐米軍事顧問団幕僚長の記録」中公文庫、95頁
(参考:誰もが憲法9条に対してクリーンハンドではない、ということ ~今後の熟議のために 2015/9/23)
平成の時代に入り、冷戦が終結して30年近く、憲法9条の矛盾問題はさんざん議論が交わされてきた。しかし、私たちは、すでに「軍」を持っている国なのかどうか、という基本的な問いにも答えられないまま、平成の幕が閉じようとしている。
URLリンク(news.yahoo.co.jp)
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