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外国人共生策124列挙 政府検討会 日本語試験9カ国で
2018年12月18日 朝刊
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外国人労働者の受け入れを拡大する新制度に絡み、政府の検討会は十七日の会合で、生活支援などの取り組みをまとめた総合的対応策の案を示した。医療や福祉、防災など各分野の行政サービス多言語化や一元的相談窓口設置の推進が柱で、災害時に外国人へ必要な情報を提供するコーディネーターの養成、日本語学校の基準厳格化など計百二十四の施策を盛り込んだ。二十日に案を確定し、月内に関係閣僚会議に諮る。
政府が新たな特定技能1号の在留資格を得るのに必要な日本語試験を当面、九カ国で実施する方針であることも分かった。当初はベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの七カ国に一カ国を加えた八カ国で実施予定としていたが、ネパールとモンゴルを加えた。総合的対応策では、受け入れに介在する悪質ブローカーの排除のため、来年三月までにこの九カ国と政府間文書の作成を進めるとした。
災害時のコーディネーターは行政の情報を整理し、避難所にいる外国人に必要な情報とのマッチングを図る。二〇二〇年をめどに都道府県と政令指定都市に配置できるよう、本年度から養成研修を実施。防災や気象情報に関係するホームページの多言語化も進める。
留学生を受け入れることができる日本語学校を指定する告示の抹消基準を改める。生徒の出席率や生徒に占める不法残留者の割合を厳格化し、新たに日本語能力試験の合格率も取り入れる。外国人の社会保険加入を促進するほか、医療費の未収を防ぐためキャッシュレス決済による支払い確保や民間保険加入も進める。
特定技能1号への移行者を多く見込む技能実習制度では現在の十カ国に加え、新たに中国、インドネシア、タイとの二国間協定を結び、悪質ブローカー排除を目指す。
◆道筋示さず 現場任せ
政府が十七日に示した外国人との共生を図る「総合的対応策」案は、外国人が行政サービスを受けるための多言語対応の充実や、劣悪な労働環境から外国人を守るための監督強化が列挙された。
だが具体的な取り組みを医療機関や自治体、担当各省庁などの現場に委ね、実現への道筋や期限がはっきりしない項目が目立つ。省庁間の連携強化も課題だ。
医療分野では、地域の中核的な医療機関で通訳の配置や、外国人患者の受け入れマニュアル整備を進めるとしたものの、どの医療機関に通訳を置くかやマニュアルの内容などは、各都道府県に委ねられた。
対応策は、改正法が新たに設ける在留資格「特定技能」の取得に必要な日本語試験を、当面九カ国で実施すると記した。ベトナム、中国などでの実施が固まっているのに、法務省の担当者は記者団に「外務省で検討中。詳細は把握できていない」と詳細を語らない。
日本語能力が不十分な外国人の日本語教育では、生徒の八割を外国人が占める公立夜間中学を拡充する方針も盛り込まれた。現在は東京、大阪など八都府県に三十一校が設置されており、来年四月に埼玉、千葉両県に一校ずつ新設する。将来は全都道府県での設置を掲げるが「促進する」とだけで時期は明示していない。
各省庁の連携にも課題が残る。
外国人の社会保険への加入促進に向け、法務省が「特定技能」の資格を認めた外国人の情報を、厚生労働省に提供する。両省はこれまで、不法就労取り締まりのため、厚労省の雇用状況報告を基に、法務省が外国人の在留を管理してきた。だが法務省幹部は「情報のマッチング(突き合わせ)が不十分」だったと連携不足の現状を明かす。
国会の審議で、技能実習生の劣悪な労働環境が焦点となった。法務省は二〇一七年に失踪した実習生二千八百七十人のうち、三人に二人に当たる千九百三十九人の時給が最低賃金以下だったとの野党の指摘を踏まえ、不正が疑われる実習実施機関に対する調査結果を、来年三月末までに公表する方針だ。
対応策では、労働基準監督署と入国管理局が連携し「適正な労働条件と雇用管理の確保」のために監督体制を強化するとした。今後も不正が発覚するようなら、労基署と入管の連携不足が厳しく問われる。 (新開浩)