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西日本豪雨で広い範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町地区では、これから最盛期を迎える特産のブドウも甚大な被害を受けた。
「息もできないほどショックだった」。真備町有井のブドウ農家、武本昌子さん(85)は、出荷目前に濁流にのまれ全滅したブドウ「ピオーネ」を初めて目の当たりにしたときのことを振り返る。
堤防が決壊した小田川の周辺には多くのブドウ畑が点在する。武本さんのビニールハウスは小田川から北に約300メートル。息子の堅さん(59)は川の方向を指しながら、「川沿いにあるビニールハウスは全滅」と肩を落とした。
武本さんのハウスは面積が約1700平方メートル、生産量は年間約2600キロあった。収穫期は7月中旬から9月中旬。農協に出荷するほか、親戚や友人にも毎年配っていた。
高さ2~3メートルのハウスは完全に浸水した。約40年ブドウを栽培してきた武本さんは「雨が降っても、今まではこんなことにならなかった」と話す。「正月三が日しか休まず、わが子を育てるように一生懸命やったのに、今年は一つも食べることができない」と声を詰まらせた。
ブドウの木やハウスの支柱は地面から浮かび上がっている。粒は腐敗が進み、葉には泥がこびり付いていた。臭いを抑えるため、手塩にかけて育てたピオーネを土に埋める作業に取り掛かるという。
ハウスの屋根には流れ着いたがれきなどが無数に散らばり、武本さんと堅さんは「どう取り除けばいいものか」と悩む。農業を再開できるかどうか、今は分からない。武本さんは「これも天災だから仕方ない。つらくても歯を食いしばっている」と前を向いた。
7/18(水) 8:35
時事通信
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