18/07/17 13:50:07.22 CAP_USER9.net
2018年7月17日
URLリンク(yomidr.yomiuri.co.jp)
URLリンク(image.yomidr.yomiuri.co.jp)
生後間もない赤ちゃんにできる赤いあざ「乳児血管腫」。あざが大きくなって、体の機能の発達に支障が出たり、痕が残ったりすることも珍しくない。しかし、一昨年、あざの成長を抑える効果の高い飲み薬が初めて登場し、治療の幅が大きく広がった。(中島久美子)
■ 発症率は1%前後、痕や赤みが残り悩む人も…
神奈川県の女児(1歳4か月)は、生後すぐの頃から右のまぶたの上半分にあざがあった。あざは少し膨らんでおり、放置すると弱視につながる恐れがあった。痕が残る心配もあり、女児は生後2か月から約1年間、シロップ剤「ヘマンジオル」を飲んだ。
1歳の誕生日を迎える頃には、あざは外見上、ほぼわからなくなった。「どこかにぶつけたの?」と心配してくれた知人や親戚も、「すっかりなくなったね」と声をかけてくれた。
女児の母親(39)は、「よく見ると、薄い赤みがわかります。でも、この程度なら、娘も受け入れてくれるはず」と話す。
乳児血管腫は、毛細血管の細胞が増殖して発生する良性の腫瘍だ。日本人の赤ちゃんの発症率は1%前後。頭や顔、首にできやすい。
あざのでき方によって、皮膚表面に薄く広がる「局面型」、こぶのように盛り上がる「 腫瘤しゅりゅう 型」、皮膚の少し深い場所にできる「皮下型」、これらが混じった「混合型」がある。
ほとんどは生後1~4週頃にでき始め、急速に大きくなる。1歳を過ぎると腫瘍の成長は自然に止まり、次第に縮小して赤みも薄れることが多い。だが、皮膚のたるみやしわ、こぶといった痕が目立ったり、あざの赤みが残ったりして、周囲の目が気になり、悩む人は少なくない。
■ 空腹時は飲ませない
URLリンク(image.yomidr.yomiuri.co.jp)
局面型ならレーザー治療が有効な場合もある。大きな腫瘤型などに限り、やむを得ず、ステロイドを使ってきたが、適応外の上、乳幼児では重い副作用に対する懸念が強かった。
そこに登場したのが、腫瘍の成長を抑え、自然に縮小する傾向も加速するヘマンジオルだ。1日2回、授乳後にスポイトで飲ませる。臨床試験では、服用した乳児の8割で、ほぼ痕がわからなくなった。厚生労働省研究班の診療指針でも、有効な治療として推奨されている。
実はヘマンジオルは、一から新規に開発されたわけではない。同じ成分を含む錠剤は、古くから心臓病の治療薬として使われてきた実績がある。この薬で心臓病の乳児を治療したフランスの医師が、あざも小さくなったことに気づき、開発につながった。
ステロイドと比べて、重い副作用は少ないとされるものの、心拍数が低下したり、低血圧や低血糖になったりする恐れがある。初めて飲む時や増量時は、服用後最低2時間、赤ちゃんの様子を丁寧に見守る必要がある。家庭でも、空腹時に飲ませないなどの注意が求められる。
大切なのは、1か月健診などで相談し、早い段階で治療経験豊富な医療機関を紹介してもらうことだ。あざの大きさや部位によって、経過観察という選択肢もある。
神奈川県立こども医療センター(横浜市)の皮膚科部長・馬場直子さんは「副作用を考慮すると、一律に治療を勧めるわけにはいきません。安全に飲むポイントを親に理解してもらうことも大切です」と話す。