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2018/6/12
消費に占める食費の割合を示すエンゲル係数がここ数年、上昇する傾向にあり、昨年も高止まりしました。原因を巡って議論が起きています。
19世紀のドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルはベルギーの家計を調べ、家計の所得水準が低いほど生活費に占める食費の割合が高いという傾向を発見しました。所得水準が低くても生命を維持するために一定以上の食費は必要なためで、エンゲルの法則と呼ばれています。
日本のエンゲル係数(2人以上世帯)をみると、高度成長期の1960年代は30%台。以来、低下傾向が続き、2005年には22.9%となりました。06年に上昇傾向に転じた後、14年以降に急上昇し、一昨年は25.8%、昨年は25.7%でした。
今年初めの国会で野党議員は最近のデータを示し、「国民の生活が苦しくなっている」と政府・与党を批判しました。一方、安倍晋三首相は物価変動に加え、食生活や生活スタイルの変化が原因と反論しました。生活スタイルの変化とは外食や調理品への出費の増加を指します。
みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは13年から17年までの上昇幅(2.1ポイント)を要因別に分解しました。消費増税による食品価格の上昇分が0.6ポイント、消費税以外の要因で食品価格が上昇した分が1.5ポイント、物価変動の影響を除く食費の減少分がマイナス0.3ポイント、消費支出の減少分が0.3ポイントでした。末広氏は「生活スタイルの変化を示すデータはない。安倍政権の経済政策、アベノミクスの影響で円安が進み、食品の輸入物価が上昇した効果が大きい」と指摘しています。
ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事は06年以降の上昇は、世帯主の高齢化に伴う収入の減少や、調理品や外食への出費の増加が原因で、14年以降の急上昇は、やはり食品の価格上昇が原因とみています。国民の生活が苦しくなったかどうかはさておき、エコノミストによる要因の分析はほぼ一致しています。
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