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2018年02月22日
鎌田 れい : 仲人・ライター
新宿のカウンセリングルーム。カウンセラーの男性と私は、会員の小宮省吾(40歳、仮名)が来るのを待っていた。ところが、約束の16時を10分過ぎても、現れなかった。約束に遅れてくるようなタイプではない。携帯に電話したがつながらない。
嫌な予感がした。
「事務所に何か連絡が入っていないか、ちょっと聞いてみます」
カウンセラーにこう告げ、部屋を出てスタッフの女性に連絡をしたが、省吾からは何の連絡も入っていなかった。
私の脳裏に断崖絶壁に1人たたずみ、強風に吹かれながら海を見下ろしている省吾の姿が思い浮かんだ。その脳裏映像が今度は、1人暮らしをしているマンションの1室で、天井にくくられたロープを思いつめた表情でジーッと見つめている省吾の姿に切り替わる。いらない心配だとはわかっていても、嫌なことばかりが思い浮かんできた。
「とにかく連絡して!待っているからね。何時になってもいいから電話かメールをください。」
LINEにメッセージを送り、それから何度も電話をして着信歴を残した。
部屋に戻り、カウンセラーの男性に言った。
「すいません。連絡がつきません。でも、何の連絡もしないで約束をすっぽかすような男性ではないんです。それだけに心のダメージが心配です。1時間だけ来るのを待っていただいてもいいですか?」
そうして1時間待ったけれど、彼は現れなかった。
40歳独身男が憔悴しきった理由とは
結果から言えば、その日、省吾は新宿に来ていた。しかし、携帯電話を家に忘れてきたことに駅を降りてから気づいた。携帯がなかったために、場所がわからず、さらに私にも連絡ができなかったという。
「約束をすっぽかしてしまう形になりました。社会人として最もしてはいけないことをしてしまいました。本当に申し訳ありません」
それから2時間後、省吾からのLINEを見て心底ほっとし、いらない心配をしていた自分に苦笑いをした。
なぜ私がそこまで心配をしたのか。そして、なぜ心理カウンセラーとともに省吾を待っていたのか。それは省吾が10月末にプロポーズし、それを受けてもらった女性から、3週間後に“婚約解消”されたからだ。その直後に面談をしたのだが、その憔悴ぶりがあまりにも痛々しかったからだ。
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2018/02/24(土) 02:45:42.56
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