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2018年02月21日 水曜日
秋田県立大生物資源科学部の小西智一准教授(生命情報学)と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の高橋洋子上席研究員は、動脈硬化症の原因となり得るリポタンパク質を発見し、「LAC(LDL-Antiprotease Complex)」と命名した。共同研究成果は20日、米科学誌プロスワンに掲載された。
リポタンパク質はタンパク質と脂質の複合体で、食事から吸収した油脂や肝臓で作られた脂質を血液内で運ぶ。4種類あるうち、肝臓で作られたコレステロールを運ぶのが低密度リポタンパク質(LDL)。逆に体内でコレステロールを回収し、肝臓に運ぶのが善玉コレステロールの高密度リポタンパク質(HDL)だ。
動脈硬化症の原因の一つに、脂質と死んだ細胞などが固まったアテロームの蓄積がある。これまではLDLが要因とされてきた。
小西准教授と高橋上席研究員はラットの血清をゲルろ過で分析。従来の超遠心分離法に比べ物質にダメージを与えずに分離できる手法を用い、リポタンパク質が従来考えられていた4種類ではなく、今回発見したLAC1とLAC2を含む9種類であることを確認した。
分離したLAC1とLAC2でコレステロール全体の3~4割を占めたことが分かったほか、血栓を溶かす作用を妨げるタンパク質の含有量も多かった。超遠心分離法では、比重の近いHDLの一部として検出されていた可能性が高い。
20日に県庁で記者会見した小西准教授は「善玉コレステロールとされていたHDLの中にLACが含まれていた。今回はラットの実験だが、ヒトにもあると予想される」と話した。
[ゲルろ過]細かい穴の開いた多孔質ゲルの粒を詰めた水管に、分離したい物質を通して分離する手法。大きな物質はゲルの穴に入らないため、早く通過する。一方、細かい物質はゲルの穴に入り込みながら水管を通るため、より長く時間がかかる。
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