18/01/08 22:24:34.72 CAP_USER9.net
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日本全国に70万人がいると推測される、40歳以上のひきこもり人口。NPO法人
「遊悠楽舎(ゆうゆうがくしゃ)」代表・明石紀久男氏も「ひきこもりの中高年齢化はもはや、
全国どこにでも見られる現象です。都市とか地方とか関係なく、日本全国にそういう親子がいる」
と指摘する。その実態に、ノンフィクション・ライターの黒川祥子さんが迫った。
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吉田和彦(52)=仮名=は関西の大学に進み、大学卒業後は就職せず、「勉強を続けたいから」
と父から毎年300万の仕送りを受け、20代半ばから20年間、働くことなく遊んで暮らした。
父は大手建設会社に勤務、300万の仕送りを続ける財力があった。父の死後、母の幸子(81)
=仮名=だけでは仕送りを続けることができず、8年前に和彦は南関東の実家へ戻ってきた。
戻ってきた和彦は働こうとはせず、母に金の無心をするばかり。幸子は遺族年金だけでは
要求に応えられないので、家を3000万で売って分譲マンションに移り、無心されれば渡してきたが
限界がある。渡せないと言った途端、激昂した和彦が暴力を振るったのをきっかけに、幸子は初めて
外部に助けを求めた。
支援員は母・幸子には、息子から離れるために自分の居宅を用意すること、息子にはアパートを
借りさせ、生活保護を取って就労支援の訓練を受け、仕事に就かせるという道筋を提示した。
しかし、和彦は幸子がマンションから出て行くと、ベランダから大声で叫び、近隣からの苦情で幸子を
戻そうとした。支援員が絶対に戻ってはいけないと再三、注意をしても、結局、幸子は戻って行った。
「だって、あの子は、私がいないとダメだから。それに電球を替えたり、いろいろ、やってくれるんですよ」
母と息子の「密着」も、ひきこもり長期化にしばしば見られることだという。この母の息子への執着が、
息子を自立に向かわせず、自分に依存させるように図らずも仕向けていた。
■70万円を4日で使い果たした息子
私の目の前に、和彦がいた。年齢より老けて見えるのは、歯がほとんどないからだろうか。
話すと空気が漏れるため、言葉が聞きとりにくい。不自然なほどの間があり、話しぶりは幼い。
知っていることや体験していることが非常に狭く、その分野だけを力説し、ちょっとでも異を挟むと瞬間、
キレて激昂する。一つのことにこだわる傾向があり、話がなかなか先に進まない。支援員は懇々と話していく。
「キミはこの2年、ずっと家を出てアパートを借りて働くと言ってきたが、何も変わらないよね?」
和彦も金の無心が難しくなったことを悟り、提案した。
「お母さん、俺、関西に戻るよ。そこで再出発するよ」
「本当に? じゃあ、これが最後よ。絶対に最後よ」
幸子は支援員に内緒で70万円を工面して、敷金・礼金に充てるようにと和彦に渡した。しかし和彦は
その金を4日で使い果たし、幸子の元へ帰ってきた。全てが嘘だった。ここでようやく、幸子は決意する。
支援員が作戦を立て、幸子と和彦がデパートで食事をしている時に幸子をトイレに立たせ、そのまま、
あらかじめ借りていたアパートに幸子を逃した。行き先は絶対に告げてはいけないと固く約束をさせてのことだ。
ひきこもっていた和彦も、母の決断でいよいよ動き出さざるを得なくなった。
前出のNPO法人代表の明石氏は、支援の現場で、何度もこのようなケースに出会ってきたという。
「どのお母さんも、息子をダメにした責任は自分にあると言う。甘やかしてきたと。そう言いながら、
50になった息子を甘やかし続けるわけです。それ以外の関係が作れないから。お金をあげれば喜ぶから、
それでいいとずっとあげ続けてきた。ダメなものはダメと教えない。それは面倒なことだから。親が子どもを
コントロールできないばかりか、親自身が自分をコントロールできない。なまじ資産があり、そうできちゃうから」