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「暗記が多すぎる歴史教育を変えたい」と話す桃木至朗教授(大阪府豊中市の大阪大学)
URLリンク(www.kochinews.co.jp)
脱暗記中心教育を
坂本龍馬が高校の教科書に掲載されなくなるかもしれない―。大学と高校教員らでつくる民間団体「高大連携歴史教育研究会」(会長=油井大三郎・東京大学名誉教授)が高校の歴史教科書の本文に掲載する用語を半減させる精選案を公表したことでそんな物議を醸したが、同研究会は「それは誤解」と主張している。どういうことか。案作成の責任者を務めた大阪大学の桃木至朗教授(62)を訪ねた。
同研究会の提言は、龍馬など一部の用語を「教科書の本文に掲載する必要はない」という内容で、本文以外の資料などに収録することに反対しているわけではないという。
精選の背景には、知識偏重型の入試や学校教育の弊害があると主張する。
桃木教授によると、現在の歴史教育は暗記一辺倒になっているのが現実だといい、「人名や事件といった用語は、時代の流れを理解する手掛かりにすぎない。現在の入試制度ではそれが“王様”になっており本末転倒だ」と用語精選の意図を強調する。
実社会では「教科書を完璧に覚えても未知の課題は解決できない」と指摘。暗記中心の歴史教育からの脱却と入試改革の必要性を訴えている。
龍馬「本文以外で詳しく」 桃木至朗・阪大教授に聞く
主体的に考え 調べる学習を
高校の歴史の教科書本文に掲載する用語の精選案を公表した「高大連携歴史教育研究会」で精選作業の責任者を務めた桃木至朗・大阪大学教授(62)に、その意図や今の日本の教育について聞いた
―11月に各メディアで取り上げられ大きな話題になった。
「事務局にも反対意見が寄せられるなど反響があった。特に意見が多かったのが坂本龍馬。ただ、誤解があるのかなと思う」
―誤解とは。
「私たちは龍馬を教科書から消そうと言っているのではなく、教科書の本文からは削除してもいいんじゃないかと」
―同じことではないのか。
「教科書の本文の用語というのは、入試における必須暗記事項の扱いで、全国の高校生が覚える事項だ。ただ、教科書には本文以外にも資料やコラムがある。本文にはなくても、例えば明治維新を学ぶなら高知では龍馬、北海道では榎本武揚を本文以外で詳しく学べばいい」
―「誤解」の意味は分かったが、本文用語を減らす必要はあるのか。
「歴史には漢字や英単語のような文部科学省が決めた習得すべき基準がなく、用語は増える一方になっている。1950年代に1300から1600語だったのが、今は3千から4千語を暗記させられている。ベテランの先生に聞いても、正規の授業だと2千語ぐらいしか教えられない」
―どうしてそんなことが起きるのか。
「ニワトリが先か卵が先かという話だが、大学入試が関係している。特に難関私大などが、これに答えられたら大学教授になれるほどの知識を求める問題を出す。そうすると高校の先生から『入試に対応できる教科書をつくって』という要求が出る。教科書会社は買ってもらえないと困るから教科書に盛り込む。難問が出された当初は多くの大学教員が『とんでもない問題だ』と思っていても、しばらくすると『教科書に載ってるから出していいんだ』となる。その悪循環。入試を機に用語は増えてきたが、そこに学問的根拠はない」
―子どもにとって良い状況ではない?
「そもそも歴史が暗記科目になっている。高校での歴史教育の主目的は、時代の流れや社会の仕組みを理解すること。その手がかりとして人名や事件といった用語があるのだが、今の入試制度では学習の手がかりにすぎないものが王様になっている。本末転倒だ」
―暗記主体で知識偏重の教育の弊害は以前から指摘されている。
「例えば、『日本の若者は近現代の戦争について全然知らない』と海外で批判されるが、知識はあってもしゃべれないのだ。大学入試センター試験ならあっという間に答えを出せるのに、自分で説明できるようになっていない」
「国際学力調査で正解が複数あるような問題に日本の子どもは対応できないと言われている。大阪大には優秀な学生が来るが、世の中の全ての問いに一つだけ正解があると思っている学生は結構いる。子どもの時から一問一答で正解が出るという教育で育っているから、明らかに考える力が弱ってきている」
続きはソース 高知新聞 2017.12.27 08:15
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