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はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言 岸氏「謝罪します」
「#metoo に背中を押されました。必死の訴えで、少しでも世の中が良い方に変わることがあれば」
2017/12/17 11:01
Takumi Harimaya
播磨谷拓巳 BuzzFeed News Reporter, Japan
自らが受けた性暴力について語り、連帯する「#metoo(私も)」。米国ハリウッドに端を発するこの動きは世界中に広まり、日本にも変化を生んでいる。
BuzzFeed Japanもこの動きを後押しするため、「#metoo」に関連した記事を発信し続けている。その中で、「私も証言したい」と連絡をしてくる人もいる。
作家・ブロガーとして有名なはあちゅうさん(本名:伊藤春香)も、その一人だ。
大学卒業後、2009年に入社した大手広告代理店「電通」でセクハラやパワハラを受けたという。BuzzFeed Japanは、はあちゅうさんの証言を受け、複数の電通社員に話を聞き、はあちゅうさんが「加害者」と証言した男性にも取材をした。
その男性とは、岸勇希氏。
2004年に電通に入社し、その4年後に「コミュニケーションをデザインするための本」を出版。2014年には電通史上最年少でエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任し、2017年に独立。株式会社「刻キタル」の代表取締役に就任している。
世界最大級の広告の祭典「カンヌライオンズ」で金賞をとるなど、国内外での受賞歴も多数ある広告業界で日本有数の人物だ。
はあちゅうさんは当時のことを忘れられずにいたという。最近、岸氏が新たな本を出版したことで露出が増え、その苦しさが蘇ってきたこと、#metooの動きがきっかけとなり、証言することを決意した、と話す。
以下、はあちゅうさんや電通社員らの証言、そして岸氏の回答を載せる。
「体も使えないのか?」
はあちゅうさんは2009年に慶應大学を卒業。同年、電通に入社した。中部支社に配属されたはあちゅうさんは、東京本社への異動を希望していた。
岸氏は当時、すでに本を出版し、業界で著名なクリエイター。新入社員だったはあちゅうさんにとっては、憧れる存在だった。「気にいってもらえたら、早く希望の場所にいけるかもしれないという思いがありました」
岸氏に異動に関する相談にも乗ってもらっていたはあちゅうさんが、これはハラスメントだと感じるようになったのは、中部支社から東京本社に配属が決まった2010年3月頃からだという。
「本社に異動した頃、岸さんから『今すぐ飲みの場所に来い。手ぶらで来るな。可愛い女も一緒に連れてこい。お前みたいな利用価値のない人間には人の紹介くらいしかやれることはない』などと言われるようになりました」
「深夜に『俺の家にこれから来い』とも言われました。当時、私は田町に住んでおり、彼の自宅は浜松町だったので、歩ける距離にありました。突然電話がかかってきて、どこで何をしていようと、寝ていても『今から来られないのか』と言われました。『寝ていました』と言うと、行かないでも許してくれることもありましたが、翌日、『お前はこの会社には向いていない。CDC(岸氏が所属していた部署)にきたら深夜対応も当たり前だぞ』と言われました」
呼び出される時間はまちまちだったという。夜10時のときもあれば、深夜1時のときも。岸氏が眠る朝方まで帰ることも許されず、月に1~2回の頻度で自宅に誘われた。深夜だけに友人を連れて行くわけにもいかず、家に行くときは毎回1人だったという。
「自宅にいくと、黙って正座をさせられて、彼が作業をしているのを延々と横で見させられるか、彼の仕事の功績を聞いて、それを褒め続けたり、岸氏の嫌っている人を一緒にけなすなどさせられたりしました。そして、当時、岸氏は私の友人と付き合っていたのですが、『こうやってこの時間にお前が俺の家にいることを言ったらどう思うかな。お前が誘ってきたことにもできるからな』などと言われました」
「『俺に気に入られる絶好のチャンスなのに体も使えないわけ? その程度の覚悟でうちの会社入ったの? お前にそれだけの特技あるの? お前の特技が何か言ってみろ』と性的な関係を要求されました。『お前みたいな顔も体もタイプじゃない。胸がない、色気がない。俺のつきあってきた女に比べると、お前の顔面は著しく劣っているが、俺に気に入れられているだけで幸運だと思え』と」
続く