17/12/09 16:25:47.49 CAP_USER9.net
毎日新聞 2017年12月8日
URLﾘﾝｸ(mainichi.jp)
高麗神社参拝で示された「平和の意志」
《戦後七十年という大きな節目を過ぎ、二年後には、平成三十年を迎えます。私も八十を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました》
２０１６年８月８日の 「象徴としてのお務めについての天皇陛下のお言葉」は、こんな穏やか過ぎるフレーズで始まった。しかし、この「お言葉」には生前退位を希望される「強固なご意志」が隠されていた。
象徴天皇は憲法上、政治的発言が制限されている。それにも関わらず「元首の生前退位」という“究極の政治的選択”を天皇自ら選ばれた。それは、日本国の近代歴史に特記すべき「革命的決断」だった。
そして（僕から見れば）「やりたい放題」の安倍晋三１強独裁政権を大いに慌てさせ、（ご意志が全て生かされた訳ではないが）「退位特例法」を成立させた。天皇は柔らかな人柄とは想像できないほど「強固な意志」をお持ちの方だった。
１９年４月末、ご退位。５月１日に皇太子さまが新天皇に即位されるスケジュールと聞く。天皇が「玉座」におわしますのは、あと５００日余？
どんなご心境なのだろうか？ 残された約５００日間で、両陛下は「何」をなされるのか？ 多くの国民が「天皇の最後のお仕事」をあれこれ想像し、天皇に「何か」を期待しているのだ。
今年９月２０日、 両陛下は１泊２日で埼玉県内を私的に旅行された。そのメインは日高市の高麗神社に参拝されることだった。この「小さな旅」には深い意味が込められていた。
日高市あたり一帯は朝鮮半島から渡ってきた高麗（高句麗）人によって栄えた土地である。「続日本紀」には、東国７カ国に住んだ高麗人が７１６年に武蔵国に移住し、高麗郡を建郡したと記されている。
この高麗神社に祭られているのは、この時の渡来人のリーダー、高麗王若光（こまのこしきじゃっこう）。高麗郡の初代郡長である。高麗神社は昨年、建郡１３００年の祝賀の年だった。境内に若光の石碑が建立され、除幕式が行われている。
実はこの時、天皇は「参拝したい」というお気持ちがあったようだが実現せず、代わりに高円宮家の久子さまが出席されている。
天皇は「朝鮮半島との友好」をことのほか、大事にするお方である。０１年１２月２３日、６８歳の誕生日の記者会見で、天皇は日韓共催のサッカーワールドカップ（Ｗ杯）に触れられ、次のように発言された。
《私自身としては、桓武天皇の生母が百済武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに『韓国とのゆかり』を感じています。武寧王は日本との関係が深く、このとき日本に五経博士が代々日本に招聘されるようになりました。また、武寧王の子、聖明王は日本に仏教を伝えたことで知られております》
桓武天皇は第５０代天皇。天平９（７３７）年生まれで、生母は百済系渡来人氏族の和氏（百済の武寧王の子孫）出身の高野新笠だった。
天皇はこの時「皇室の血には渡来人の血が混じっている」という歴史的事実を話され、韓国に「ゆかり」を感じている！と話された。
もともと、日本人は朝鮮半島を経由して渡ってきた人達の子孫であることは間違いない。縄文時代から弥生時代、古墳時代にかけて渡ってきた世代。 飛鳥時代頃から渡ってきた世代。時代は異なるが、日本民族には朝鮮半島から渡来した「血」が流れている。
天皇はあえて「半島の血」を明らかにして、我々は「朝鮮半島の人と仲良くしなければならない！」と語られた。その天皇が高麗神社を参拝された。これは歴史的な出来事である。
国際状況が緊張している。さらに言えば、米朝が戦争を起こしかねない１７年秋。「渡来人ゆかりの神社」を参拝されたのは「天皇の強固な意志」によるものだった。