17/11/20 08:09:59.55 CAP_USER9.net
医療現場でも深刻化する過労死問題。「働き方改革」による残業時間の罰則付き上限規制は、医師については適用を五年間猶予されたが、「(上限規制は)地域医療を崩壊させる」との意見が根強い。ただ、現場の医師からは「医師はスーパーマンでも聖職者でもなく、ただの人間。それを忘れないでほしい」との悲痛な声が漏れる。 (藤川大樹)
都心から一時間ほどの郊外にある中核病院で一昨年三月、女性内科医(37)が仕事の重圧と過労から心を病み、退職した。
祖母が開業医、父が小児科医という医師の家系に育ち、「幼いころから生き物の体の構造に興味を持ち、医者になるのが夢だった」。都内の医科大学を経て、その付属病院に入局。糖尿病や肥満などの生活習慣病の患者らを診察してきた。
女性にとって、大きな重圧だったのは、月に三回ほどの夜間当直と、急患・急変に対応するため自宅で待機する勤務だ。夜間当直は、外科、内科、循環器内科から各一人が午後五時から翌午前九時まで、急患の対応に当たる。専門外の患者も診なければならない。
「突然来た腎不全の患者や腹痛で転げ回っている患者を、適切に診断・治療し、必要があれば、専門の医者に引き継ぐ。的確な判断を求められる場面がひっきりなしに続きます」
急患がない日もあれば、一晩で二十~三十人を診察する日も。一人では手に負えず、救急搬送の受け入れを拒否すると、翌日、当直責任者から呼び出され、叱責(しっせき)を受けた。当直明けの翌日も通常の診療が待っており、連続勤務は三十時間近くに上った。
こうした毎日が続いた結果、女性は慢性的な疲労から、うつに近い状態となり、退職を決意。今は都内の別の病院で非常勤で働く。
厚生労働省で八月に設置された医師の働き方改革に関する検討会での議論に対して、女性は「できるだけ現場の意見を取り入れた改革を、早期に行ってほしい」と訴える。
さらに「医療業界はこれまで熱意があり、無理な働き方をする医師に支えられてきた。その結果、奪われてきた命がある」と続け、こんな問いを投げかけた。「あなたは睡眠不足の医師の手術を受けたいですか
配信2017年11月20日 朝刊
東京新聞
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