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日本新聞協会のデータによると、全国紙と地方紙を合わせた一般紙の総発行部数は2007年の4696万部から2016年は3982万部へとこの10年間で714万部もの急落。第2次安倍政権発足後の2013年からは毎年100万部前後のペースで部数が落ちている。
読者の新聞離れに拍車がかかると、対応は2つに割れた。
かつて朝日新聞は「リベラル紙」と呼ばれ、読売新聞や産経新聞は「保守系メディア」と位置づけられていた。しかし、その紙面は保守かリベラルかではなく、安倍首相が「好き」か「嫌い」かに極端に2極化した。それを端的に表わしたのが、10月22日に投開票があった総選挙翌日の社説だ。
〈首相の呼びかけに、国民は強い支持を与えた〉
産経が鬼の首を取ったかのように与党勝利を讃えると、朝日は〈今回の選挙は、むしろ野党が『負けた』のが実態だろう〉と書き、“安倍が勝ったわけではない”という負け惜しみの論陣を張った。いずれも有権者の投票行動の冷静な分析はない。元朝日新聞論説委員で山形大学教授を務めた長岡昇氏はブログでこう書いている。
〈総選挙での自民党の圧勝をどう受けとめればいいのか。新聞を読みながら、つらつら考えました。古巣の朝日新聞には「なるほど」とうなずく解説も、「そういう見方もあるのか」と目を見開く記事も見当たりませんでした。(中略)安倍首相が大嫌いであることだけはよく分かりました〉
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長岡氏は産経の報道については何も言及していない。だが、“大好きな安倍首相”が敵視する朝日への批判を産経は見逃さなかった。安倍側近記者を自他共に認める阿比留瑠比・編集委員がこのブログを取り上げ、『「安倍大嫌い」と延々と書く朝日新聞』というコラムをものした。
目下、その朝日と産経は、ニュースの伝え手ではなく、当事者となって「親アベvs反アベ」の代理戦争を紙面で展開している。発端は総選挙公示前の10月8日に日本記者クラブで開かれた党首討論にさかのぼる。
朝日の論説委員から加計学園問題を質問された安倍晋三・首相は不満を隠そうともせず、逆に朝日批判を展開。国会の閉会中審査(7月)で加戸守行・前愛媛県知事が加計学園への獣医学部新設認可方針を「ゆがめられた行政が正された」と評価したことを引き合いに「加戸氏の証言を朝日は全く報じていない」「国民はよくファクト・チェックをしてほしい」と逆襲に出た。
◆燃える紙面バトル
もっとも、これは首相の事実誤認で、朝日は加戸証言を「紙面に10回以上掲載した」と検証記事を出し、本来なら一件落着のはずだった。ところが、両紙のバトルはここからあらぬ方向に燃え上がっていく。
首相の援軍に乗り出した産経は翌日に阿比留編集委員が〈驕れるメディアは久しからず 朝日・毎日のベテラン記者の噴飯質問に思わず赤面してしまった…〉と書き、選挙戦さなかの10月16日付紙面でも〈読者の安倍への不信感が募るようにレッテル貼りを繰り返す。こんなものは権力の監視でも何でもない〉と朝日の報道姿勢を徹底的に叩いた。
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すると朝日も批判の矛先を転換する。11月3日付の朝日記事は、産経が看板コラム・産経抄に「日本を貶める日本人をあぶりだせ」という見出しをつけてウェブ版で配信したことをとりあげ、〈あぶり出した後でどうしようというのか。こうした言葉が、排他的な言説を拡散し、増幅させることにならないか〉と噛みついた。
両紙はもはや安倍首相も加計問題もそっちのけで互いの報道姿勢を誹謗中傷しあう泥仕合に突入した。メディア法が専門の服部孝章・立教大学名誉教授が語る。
「朝日が産経をいくら攻撃しても、親アベの産経読者に朝日批判のきっかけを与えるだけで、記事の信用アップにはつながっていない。むしろ、権力監視を忘れた低次元の罵り合いが、新聞ジャーナリズムの信頼度を低下させて読者を失っている」
“共倒れ”の道だ。
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