17/08/31 01:44:28.73 CAP_USER9.net
東北の太平洋側と関東を中心に続く日照不足と低温、長雨で、農作物への影響が出ている。テレビ番組などでは「野菜値上がり家計ピンチ」と“消費者目線”で取り上げるが、農産物の出荷量は減り、収益は伸びないなど、一番困っているのは農家だ。「天候不順」の背景にあるのは農家の苦悩。農業の現場からは「実態を知ってほしい」との声が上がっている。
苦悩知って! 病害多発 資材費も
■埼玉県深谷市
東京近郊の野菜産地、埼玉県深谷市では、主産品のナスなど果菜類の収量減少が深刻だ。8月の日照時間は平年の約5割。特に中旬は平年の2倍を超える降雨に見舞われた。湿度が高くナスに病害が多発し、花が咲きにくく実がならず、収穫量が上がらない現状にある。農家の島田富男さん(65)は「雨続きで防除もしにくい。早く天候が安定してほしい」と切望する。
JAふかやによると、厄介なのは雨による泥はねなどで発生する病害だ。ナスが腐って収穫できないケースもあり、JAのナス出荷量は昨年の半分に激減している。営農経済部の野村勝担当は「防除の労力やコストも増えている。農家は採算割れ」と頭を抱える。
■群馬県嬬恋村
夏キャベツの出荷量が全国一の群馬県嬬恋村では、8月の日照時間が平年の5割に届かず、キャベツの玉が大きくならない状況だ。雨量は平年より4割多く、根腐れなど病害が多発して収量も上がらない。キャベツは定植から収穫まで70~90日かかるため、今夏の天候不順を受けたキャベツの収穫が本格化する今後、影響が出かねない。
今シーズン前半はキャベツ出荷が潤沢で、東京の市場価格は最近5年間の最低水準で推移。農家は採算割れに苦しんだ。
8月下旬、農家の石野時久さん(60)は「今年は肥料など資材代も賄えない。雨続きで植えられなかった畑もある」と、小雨の中で収穫していた。別の農家男性(33)は「生育が良いときは安く、高いときは良いものが少ない。農家は値段を決められない。やれることをやるだけ」と打ち明ける。
■東北の米産地
低温・長雨が続く東北では水稲への影響も懸念される。いもち病が出ると収量が減り品質も低下するため、各地のJAは対策本部を設け警戒を強めている。JAグループ宮城は県域で対策本部を設置。JA宮城中央会によると、各JAなどが巡回していもち病の早期発見と防除に努めている。
福島県北部の農業関係者が29日、対策会議を開催。JAふくしま未来は「標高が高い中山間部にいもち病が出やすい」と警戒する。水稲の他、桃、梨は病害発生だけでなく、収穫遅れによる過熟と果肉の軟化に悩まされている。
農家は年間の収穫量を予測して作付面積を決め、収支を計算している。“収穫の秋”の天候不順は農家にとって死活問題でもある。東北、甲信越、北陸では9月上旬から再び低温傾向となると予想されている。台風15号も発生しており、農家は天気のニュースから目が離せない。
不作でも手取り増えず 農産物流通に詳しい東京聖栄大学の藤島廣二客員教授の話
不作で青果物の価格が上がっても、多くの農家は収益を減らしている。かつては不作で野菜が高騰した時代もあったが、最近は生鮮野菜、冷凍野菜ともに輸入が増えており、不作になっても国産の価格が上がりにくく、農家手取りは上向きにくい状況にある。(福井達之)
配信2017年08月30日
日本農業新聞
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