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大阪市の吉村洋文市長は28日、特定の民族や人種への差別をあおるヘイトスピーチの抑止策として、インターネット上の動画投稿者の実名取得に向け、市条例の改正案を来年2月議会に提案したい考えを明らかにした。
有識者の審査会の意見を踏まえ、ヘイトスピーチと認定した投稿者の氏名の開示義務をプロバイダーに課し、氏名公表に向けた方法を検討する。
通信の秘密との兼ね合いがあるが「違法なヘイトスピーチを不特定多数に知らしめる人の氏名を保護する必要はない」と述べ、条例の実効性を高める狙いを強調した。
全国で唯一のヘイトスピーチ抑止条例の完全施行から7月1日で1年になるのを前に、毎日新聞のインタビューに応じた。
市条例では、ヘイトスピーチの行為者は氏名・団体名を公表できる。条例に基づき投稿動画4件をヘイトスピーチと認定したが、いずれも個人情報保護や通信の秘密との兼ね合いで実名は特定できず、投稿者名での公表にとどまった。
吉村市長は、憲法が保障する表現の自由の重要性を前提としながら「ネット社会の自由は行き過ぎている。投稿者名の公表でも意義はあると思うが、不十分。
一つしかない氏名の公表が、抑止効果と拡散防止措置につながる」と述べた。
審査会の意見を踏まえて今年秋以降に改正条例の骨子案を固め、パブリックコメントなどを経て来年2月議会に提案したい意向。
憲法上の制約などから審査会が開示義務の実現は無理と判断した場合、国に対応策を要請する考えも示した。【岡崎大輔】
配信 2017年6月29日 07時30分
毎日新聞
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