17/05/15 18:43:17.42 CAP_USER9.net
今春、発刊された宗教年鑑に、真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)が2015年末の信者数(門徒数)を、前年の約2・5倍の791万8939人と掲載し、「急に増えたのはなぜ」と話題になっている。宗教年鑑にある宗教統計調査を過去にさかのぼって調べてみると、大谷派だけでなくほかの伝統教団でも、信者数が急増していたり、逆に長年同じ数字が載っていたりする。算出方法が各教団にまかされているためだという。数字の根拠を尋ねてみた。
■独自の算出方法、世帯数×3で急増も
宗教統計調査は、各教団の報告をもとに文化庁宗務課がまとめている。大谷派では2010年以降、5年に一度行う調査で判明する「門徒戸数」に、総務省が毎年発表する平均世帯人数をかけて算出していた。2010年以降は320万人台の信者数を届け出ており、14年末は320万4160人と報告していた。
同派は15年末の数字を報告するにあたり、これまでの「門徒戸数」を使用した算出方法を一新した。
近年、東京や大阪など都市部に住み月参りなどを近くの寺で行う一方、墓のある地方の寺にも盆に参拝するなど、2カ所以上の寺とつながりのある門徒が増加していることから、重複を避ける独自の数値「門徒指数」で算出している。
さらに「法事などでは門徒として把握している人だけでなく、子どもや孫世代まで参加している」との理由で、子や孫など「2世帯」を加え、世帯人数を3倍にした。その結果、国内最大級の浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、下京区)の792万2823人に匹敵する791万8939人と届け出た。
大谷派広報は「念仏の教えは子や孫たちが集い、仏法を聴聞することで受け継がれていく。これまでの数字は1世帯だけでしか計算しておらず、より実態に即した数値となった」と説明する。
過去の宗教統計調査を見ると、これまでにも信者数が急増した教団はあった。
浄土真宗本願寺派は12年に前年比で約86万人増の780万360人になったと報告した。同派は1988年の692万1908人以降、700万人弱で推移していたが、近年は800万人弱となっている。同派は「信者数は独自に算出しているが、その方法については答えられない」と回答した。
一方、浄土宗(総本山・知恩院、東山区)は1999年以降、602万1900人という数字を変えていない。担当者は「10年に一度宗派が行う宗勢調査に基づいている。100%回答が得られるわけではないため、推計して算出している」と話す。
宗教統計調査には神道系、仏教系、キリスト教系、諸教を合計した全国の信者総数も記載されている。各宗教団体が届け出る信者数を文化庁宗務課が合算して総数を出す。戦後、信者総数は増加傾向で、最多の1985年には日本の総人口の2倍弱にあたる2億2379万人を記録した。
21世紀に入ってからは微減が続いているものの、最新の2015年末段階でも総人口を上回る1億8889万2506人となっている。宗務課は「政教分離の原則に基づき、何をもって信者とするかは各宗教団体に任せており、各団体が報告した数字をそのまま載せている。神社の氏子と仏教の檀家(だんか)の双方に計算されている可能性などもある」としている。
■正確さ期すと国家統制に
龍谷大の田中滋教授(宗教社会学)の話 宗教統計調査は法律に位置づける類いのものではない。米国ならば、調査そのものが、間接的に信仰の告白を強いるものとして「信教の自由」の問題から違憲になる。統計調査を続けるならば現在のまま法外な数字を計上している方がよい。今後、文化庁宗務課がデータの正確さを期そうとすることこそ、宗教の国家統制につながり危険な動きだ。
ソース/京都新聞社
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