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年賀はがきにして約77億枚分。日本郵政が豪物流子会社トール・ホールディングスの買収で被った損失、約4000億円は、日本人全体が出す年賀状の2年半分にあたる。
携帯電話やインターネットの普及もあって年賀状の発行枚数は減り続けている。
とはいえ約20万人のグループ社員が年末年始に特別体制を組んではがきを売り届けているわけで、こうした地道な努力の積み重ねで獲得した利益が投資の失敗で一瞬にして消えてしまったことに怒りを覚える。
日刊工業新聞は地域経済面で「JAPANPOST 西から東から」を連載中。その取材で訪れたある郵便局長は、高齢化と過疎化が進む地域にあって知恵を絞って地域振興に尽力していた。
役所ともコンビニとも違う独特な存在。貯金や簡易保険を通じて一般家庭のふところにまで通じる。不可欠な社会インフラであり、最前線の郵便局員が民営化の波にもまれながら生き延びる道を探っている。
日本郵政は政府が8割強の株を保有する特殊法人であり、その資産は国民の財産そのものだ。民間企業の投資とは同一視できない。
トール買収は、高値づかみの不用意なものだったと言わざるを得ない。どう取り戻すか、真剣に考えてもらいたい。
2017年4月26日
日刊工業新聞
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