08/01/28 20:50:50 edneQ3SG0
歴史考証的にも、ナディアには、重大な疑問点がある。なぜ、ジャンの
住んでいるところを、ル・アーブルに設定したのか?
黒人奴隷の解放といえば、我々日本人には、アメリカぐらいしか想像しない
のが普通だろう。ところが、ヨーロッパでも黒人奴隷は200年もの長きに
渡って、アフリカから輸入されてきた商品であった。
そして、フランスでも事情は同じであり、アフリカからの黒人奴隷の「荷揚げ」
の中心的な場所が、ル・アーブルなのだ。当然のことながら、黒人差別の現実、
黒人を人間とも思わない人が現実には、たくさんいたと思われる。
そんなル・アーブルの町の特徴を、サーカスでヨーロッパを転々としている
連中が知らないわけがない。1話で、ナディアがお嬢ちゃんの姿で自転車に
乗って、パリの中を走っていたが、1889年当時、黒人に対する偏見の
目が、パリでも大きかっただろうことは、容易に想像される。
1話で、ナディアが自分の生まれた場所はアフリカかなあ、と言っているが、
幼い頃サーカスに売られてきた自分は、他の黒人奴隷の人たちと同じような
ものだと感じていたものと思われる。ジャンが、「インド?」と聞くのは、
能天気としかいいようがない。
ちなみに、フランスで奴隷解放が行われたのは、19世紀半ばである。