07/12/31 19:46:10
シンジは、不意に開いたエレベーターの扉から乗り込んできた人物を見て驚く。
「あ、と……」
「……」
総司令にしてシンジの父、碇ゲンドウはジロリと自分の息子を見下ろしながら、その背後に立つ。
そして一言。
「24階。」
「……え。」
「24階のボタンを押せと言っている。」
「あ、はい。」
あたふたと言われるままにボタンを押すシンジ。
やがてエレベーターは動き出す。
重苦しい空気の中でシンジは窒息しそうな感覚を覚えるが、
それはわずかな時間の事であった。
エレベーターは静かに停止して24階に到着、扉が開く。
エレベーターを降りるゲンドウは、振り返って一言。
「わかったか。ボタンを押さなければエレベーターは動かない。」
「あ……」
扉が閉ざされ、再びシンジはひとりエレベーターに残される。
(いつから僕はこうしてたんだろう……動かないエレベーターの中で……)
それは、使徒アルミサエルとの戦闘で零号機が自爆を遂げた、
その直後に繰り広げられた誰も知らない一幕であった。