08/01/08 18:53:27
「心を開かなければ、エヴァは動かないわ」
止せばいいのに私は弐号機パイロットに話しかけている。
「心を閉ざしてるってえの、この私が!」
「そうよ、エヴァには心がある」
「あの人形に?」
弐号機パイロットは引き返せない所まで来ている。彼女はエヴァに心を閉ざし、彼女の母も向こうから心を閉ざした。
シンクロ率が上昇した状態で戦闘に敗北すると、弐号機パイロットも肉体的に傷ついてしまう。それを母は危惧している。
「分かっているはずよ…」
「はっ、あんたから話しかけてくるなんて、明日は雪かしらね?なによ!私がエヴァに乗れないのが、そんなにうれしい?」
壊れた信頼関係。嬉しくなんか無い。見てはいられない。弐号機パイロットの母親は早くエヴァから逃げて欲しいから
シンクロ率を意図的に低下させている。しかしそれを話せば、彼女のプライドを一層傷つける事になる。
「心配しなくても、使徒が攻めてきたら無敵のシンジ様がやっつけてくれるわよ!!私たちはなにもしなくていいのよ!!
シンジだけがいればいいのよ!!はあー。機械人形みたいなあんたにまで同情されるとは、私もヤキがまわったわね」
それとなく助けてあげたい。でも言葉が続かない。自分の乗っているエヴァに母がいる事から目を反らして
なんで誰彼構わずにつっかかるの?どうしてそんな生き方が許されるの?不公平だわ。
「私は、人形じゃない」
「うるさい!!人に言われたまま動くくせに!あんた、碇司令が死ねと言ったら、死ぬんでしょ!!」
「…そうよ」
弐号機パイロットの平手が頬を打ち、乾いた音が響く。頭に来た。から殴り返してあげたかった。
自分の苦しい部分を打ち明けてしまいたかった。大声をあげて泣き喚きたかった。
でも、出来なかった。そんな事をしていいとも、泣き顔を見せていいとも、碇司令の命令には無かったから。