エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~4号機at EVA
エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~4号機 - 暇つぶし2ch81:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 01:26:25
>>80
いや、技術力の問題でしょ。
あの後、地下世界でも恐竜たち(が進化した竜人)が安全に暮らせ、文化を発展させていけるように
ドラえもんがそれらの未来の超技術を記した装置か何かを置いていったんじゃないかと脳内妄想。

ドラの歴史改編により穏やかな種族の国家となった恐竜帝国では青ダヌキの神像が奉られ、ガーディアンとしてサンダルf(ry

82:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 01:31:47
その連中の中に某アメフト漫画世界に脱走して暴れてるのがいるぞ!w

83:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 07:27:01
D&DのPCゲームにも出てきたな、気候変動で地上の支配者の座を追われた爬虫人類の逆襲は。
洋の東西を問わず燃える定番ネタなんだろうな。

84:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 08:04:04
>>81
どっちかっつーと平和を脅かすものとして恐竜帝国に始末されたんじゃ………>サンダルf(ry


>>83
西欧はもとより中近東やキリスト教圏下じゃ、爬虫類系のドラゴンは倒されるべき『悪』となってることが多いし。

85:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 13:11:02
>>84
「倒されるべき悪」としての竜の話が出るとマップスのダード・ライ・ラグンを思い出す。

「竜にさらわれた沢山のお姫様の中に一人くらい、竜と一緒に居たかった女の子も居たよね?」
というラドゥの言葉と「いや・・・やはり姫君は勇者に返すとしよう」というダードの言葉に俺は
漫喫で読んでたにも関わらず泣いちまったよ。

86:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 15:02:03
そういえばアーク編のカムイは一代雑種だから帝位を継いでも子孫残せねえんじゃね?

87:つづき
07/11/21 18:03:16
 ところは変わり、同じく校舎内のアスカに視点は移る。

「でぇいッ!!」

 斬、と一閃。
 アスカが目の前に立ちふさがった異形の化け物を、将造から譲り受けた軍刀「村田刀」
を縦一文字に振るい一刀両断にして飛び退く。
 だが、一体倒しても周りを見れば似たような怪物がぞくぞくと集まってきた。
 アスカはそのまま身をひるがえすと、息をきらせながら独り校舎を走ってわめいた。

「なんなのよコイツら!! ふざけないでよッ」

 アスカはそう叫びながら、この日起きたことを走馬燈でもみるかのように次々と思い出していく。
 彼女の行動を追う前に、その内容をまず記述しておく。

 さて。
 アスカはこの日、いつもの通りに授業をうけ、そして夕刻になっていつものように下校
しようとしていた。
 彼女は日常が続くことを疑わなかった。
 しかし。
 アスカが帰り支度をしようと、友人の数人と雑談をしながら教室に居たとき……丁度、
シンジがケンスケと屋上に行った頃のことだ。
 職員室で作業をしていたはずの彼女たちの担当教師「根府川先生」が、ふらりと顔を覗かせた。

「先生、どうしたんですかぁ?」

 と、女生徒の一人が彼に駆け寄ったときだった。
 根府川が倒れ込んできたかと思うと、次の瞬間にはその腕からまるでゲッターレザーの
ごとく生えた刃がその女生徒の首をはねたのだ。

88:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:04:22
 女生徒は、むろん即死だった。
 首が空を舞って血が飛び散り、それを見た生徒たちの悲鳴がこだまする。
 日常が、地獄絵図の世界に移り変わった瞬間だった。
 教室がパニックに包まれる。
 あとは、襲いかかる根府川を跳ねとばして教室を抜け出し、何人かと連れだって学校か
ら脱出しようと試みたが、その途中で先の根府川のように人外と化した教師や、生徒たち
だったものがわらわらと現れてきた。

 無我夢中で逃げたが、ふと気づくと、アスカは独りとなっていた。
 おそらく、みな走る力も尽きて、怪物の餌食となってしまったのだろう。
 アスカは将造から、テロリストにもなれるほどの戦闘訓練を受けている。たとえこのよ
うな状況でもそう簡単に命を落としたりはしない。
 が。
 脱出しようにも、階段や通路のいたるところに怪物と化した彼らがうろついており、さ
しものアスカも退路がなかった。

(嫌だな……あたし、こんなところで死んじゃうのかな)

 一瞬、あきらめが彼女の脳裏をよぎった。
 だが同時に、希望もよぎる。

(……そうだ! パパから貰ったアレがロッカーに!)

 と、アスカこの窮地を脱するべく武器を求めた。
 将造から譲り受けた軍刀「村田刀」である。
 アスカは近頃将造の影響がいよいよ強くなり、銃刀法違反もどこふく風で刀を持ち歩く
癖がついていた。
 それを思い出して、危険を承知でロッカーのある我が教室へ戻った。
 すでに根府川の姿はなく、首をはねられた生徒の骸があるのみであった。

89:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:05:23
 だが、軍刀を取り出す最中に、その生徒が起き上がってくる。
 悲鳴をあげる間もなく襲いかかられたがアスカは軍刀を腰にやって、将造からおそわっ
た居合いの技をあびせてこれを撃退。

 軍刀の切れ味は異常なほどに鋭く、相手の胴体を真っ二つにして切り裂いてしまうほどだった。
 おそらく、将造が敷島あたりに頼んで必要以上に強化させた代物だったのであろう。
 ともかく、アスカはこの地獄でクモの糸にすがりつくことに成功した。
 刀を持ち歩くことで普段は白い目で見られるだけだったが、よもやこんな形で役に立つ
とはアスカ自身、思いもしなかった。

「もし、パパに出会ってなかったら、アタシとっくに喰い殺されてた……」

 と、不思議な運命を感じながら、学校を脱出すべくひた走った。
 以上、彼女の回想である。
 アスカは身をひるがえして通路を走ると、その最中で、保健室へと繋がる通路にでた。
 すると、
 
「ぎゃああああ……ッ!!」

 と、前方の通路から聞き覚えある声が響いてくる。

「鈴原ッ!?」

 声のする方に走っていくと、保健室が見えた。なにやら、入り口付近に血液らしきもの
が飛び散って無惨な光景が広がっている。
 ばっ、と飛ぶように保健室にアスカが踏み込んだ。
 するとトウジに覆い被さるヒカリの姿が見えたがその胴体には、目を背けたくなるほど
の穴が空き、血にまみれた臓器が飛び出している。
 それが動いてトウジに覆い被さっているとなっては、アスカの目にも彼女がすでに人間
でなくなっていることは瞬時に知覚できた。

90:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:06:42
「ヒカリ、鈴原……」

 ぐちゃぐちゃと、エビやカニの身をむしるような音がする。
 それがヒカリによって食いちぎられたトウジの首筋から発しているものであることはす
ぐに解った。吐き気のするような異臭と共に、血だまり広がっていた。
 やがて、アスカの接近に気づいたヒカリが頭をあげる。
 トウジの最期の抵抗だったのであろうか、その眼球の片方が、つぶされていた。

「……」

 それを見てアスカはだまって一歩、下がった。
 そして。

「許して、ヒカリ」

 つぶやくと、ぶんと脚を振り上げてからその頭へ強烈な蹴りをあびせると靴底からおび
ただしい量の鉄のトゲが跳ねとばされるように生える。
 その勢いでもって顔面を串刺しにすると、ばしゃっと砕いた。脚を下げると、トゲは収納される。
 おそらくこれも将造から授かった戦闘靴なのだろう。

 ヒカリから解放されたトウジが、ぴくりと反応をしめす。
 だが、すでに生命が維持できる状態でないのは明らかである。
 助けようもなく呆然とするしかないアスカだったが、トウジはかすれる視界に、その姿
をみとめたのか食い破られた喉から空気を出しながらも、力尽きる寸前に、

「惣、流……碇に会うたら、殴ってすまん、いうといて、くれ……」

 と、わずかに聞き取れる言葉を残して果てた。
 無惨に崩れた友人たちを前に、アスカの心中に無念という想いの嵐が吹き荒れる。

「誰がこんなことしたのか知らないけれど、絶対に許さない……」

91:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:07:44
 ぎり、白木の柄を握りしめ唇をかみ切るように独白して、きびすを返した。
 保健室を後にして、そこに迫っていた怪物の一体を居合いで音もなく切り裂いくと、ア
スカはその骸が地に着く前に駆け出した。

「……ねえッ!! 生き残りはいないの!?」

 その叫びが校舎中にこだまする。
 すると、それに反応したのか走る廊下の側面の教室から、戸をぶちやぶって何者かが転
がり出てきた。
 怪物か、とアスカは軍刀を構えたが

「惣流さん……私。敵じゃないわ」

 顔をあげるのはレイであった。
 生きた人間の言葉に、瞬間安堵の息がもれた。
 軍刀を降ろして片手で乱れた髪をかきあげると汗をぬぐっていった。

「ねえ、どうなってんのよこれっ」

 もう訳が解らない、といった風に聞くアスカ。
 その問いが返ってくることはないだろうと思ったが、しかしレイは答えた。

「この怪物たちは……インベーダー。流さんたちが、戦ったことのある敵よ。
 生き物にも、機械にも、なんにでも寄生して増殖する敵」
「インベーダー……ヒカリも鈴原も、それにやられたのね」

 アスカが敵の名を復唱する。

 ―日常を壊した憎い敵の名はインベーダー。

 そう、胸に刻むためにだった。

92:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:10:42
支援した方がいいんかのう

93:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:12:06
「でも。それがどうしてこんなところに」
「インベーダーも本来、この世界にあるはずのない存在。それがこの世界に
干渉したとすれば、原因は異空間に繋がりのあった第九シト……かもしれない。
 あるいは第九シトそのものが、すでに寄生されていたのかも」
「まってよ……それじゃゲッターはまだしも、あれに飲み込まれたシンジは!?」
「……すでに寄生されていたと考えると、この事態の説明もつくわ。抵抗できない私たち
を最初の餌食にすれば、あとは楽に増殖できるもの」

 レイが答えた。
 非情の現実にアスカが、嗚呼、と深いため息をもらす。
 シンジは、ゲッターエンペラーを率いる竜馬がじきじきに守りにくるほど、この世界の
未来になくてはならない存在ではなかったのか。

「あいつが敵かもしれないなんて……どうすんのよ、これから……」
「とにかく、逃げましょう」

 レイの言葉に、アスカが彼女によってその胸ぐらをつかんだ。
 その表情はまるで般若のようになっていた。

「あんた、あんたの中には碇ユイの魂も入ってんでしょ!?
 自分の息子が死んだかもしれないってのに、なんで落ち着いていられんのよ!
 どうしてエヴァに関わる人間は、みんな冷徹なのよッ。あたしのママもそうだった!!」

 と、アスカは殴りかからんばかりに勢いで迫る。
 だがレイは言葉を選びつつ、懇願するかのようにいう……普段の彼女からは想像もでき
ないほどに、感情的な声色だった。

「お願い、心を静めて、惣流さん。ここで私達まで死んだら、なにも果たせなくなってし
まう。あなたのお義父さんだって悲しむ。
 それに私はゲッターの使徒としてこの世界に来ました。仮にシンジがインベーダーに寄
生されていたとして、この魂に代えても必ず助け出します」

94:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:13:24
 と、いうレイに、しかしアスカは唐突に言葉づかいが変容したのを見遁さなかった。
 いまのレイには碇ユイの魂が混在しているのは、すでに書いた。

「あんた……今は「ユイ」ね。悪いけどファーストの姿に敬語は使わないわよ」
「ええ」
「……取り乱して悪かったわね。確かにここでわめいてても仕方ないわ……ついてきて、
学校から脱出する。でも、あたし以外は戦闘できないんだから前に出ないでよ」

 レイの説得に、アスカが再び生気を取り戻す。
 頭をもちあげて脱出の経路をうかがうが、あちらこちらからインベーダーの呻きが聞こ
えている。

 ―果たして、軍刀の一振りだけでこれを切り抜けられるだろうか。

 アスカの額に冷や汗がにじむ。
 そう思った時だった。
 急に背後から、急にパンパン、と手を打ち鳴らす音がきこえる。
 はっ、と振り向くとそこには、

「いや、立派立派。ご立派」

 いつもの制服に身を包んだ彼の姿があった。

「シンジ!?」

 それに一瞬、アスカが歓喜の色を浮かべたが、すぐに打ち消される。
 なぜなら、彼の着ているワイシャツがはだけて、その内からのぞく肌は一部が黒ずんで
腐敗したようになり、ときおりそれが、もぞもぞとうごめいているのだ。
 そして邪悪といっていいほどの笑みを表情にうかべているが、逆にその眼は、まるで死
人のように生気がなかった。

(やっぱりシンジが寄生されていたのね……)

95:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:14:26
 アスカは心で嘆き、しかし口元を引き締めて軍刀を構える。
 たとえシンジがインベーダー化してしまおうとも、こんなところでむざむざと殺される
つもりはない。
 アスカには守らねばならないものがあるのだ。
 岩鬼組の若頭が、たかが寄生生物ごときに倒されたとあっては岩鬼の名に傷が付く。
 そう思うと、心の炎がめらめらと燃え上がっていくのを感じて、

(負けるか! シンジを取り戻してインベーダーにはオトシマエをつけてやる!!)

 と、眼光もするどくにらみ付けた。
 すると邪悪な笑いのままシンジがいった。

「怯えることはないんだ、アスカ。僕たちは、人類補完計画を経て一つになるだけだから
……さあ、心を開いて進化の道を……」

 そういってアスカに手を伸ばすシンジ。
 その瞬間、ひゅんと振るわれた刀の一撃に腕がばさりと斬られ、落ちた。
 シンジは先の無くなった腕の付け根をきょとん、と見つめている。
 だが……血が、出ていない。それどころか、腕の中には黒い不定形のなにかがごそごそ
とうごめいているのがみえる。
 それを見てアスカが一瞬、言葉に詰まる。
 が、やがて吐き捨てるようにいった。

「寄生虫なんかに、求愛されるほど落ちぶれちゃいないのよ」
「知り合いだったから、優しくしたかったんだけど……仕方ない」

 と、いってシンジは指をならす。
 それを合図に壁を、天井を、床を、窓を突き破ってインベーダーに寄生された生徒たち
のなれの果て次々と群がってくる。
 その数、ざっと数十はくだらなかった。
 アスカたちは瞬く間にとり囲まれて身動きがどれなくなってしまう。

96:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:15:32
 その様をみるシンジが、

「この肉体は非常にみずみずしかった。おまえたちはどうかな?」

 と、ケラケラ笑った。
 まるで、首の筋をナメクジに這われる感覚を受けたような、嫌な笑い方だった。
 これにいままで冷静をつとめていたレイが、激高をみせる。

「……インベーダーッ!!」

 詰め寄ろうとするが、今度はアスカがそれを止めた。

「バカっ。必ず助けるっていった直後に特攻してどうすんのよ!? あんたら親子はそろい
もそろって、ホンッとに駄目ねッ!!」
「ご、ごめんなさい……」

 アスカはレイを引き戻すと、お互いを背にした。
 むらがるインベーダーに背中を見せずに済むようにだ。

「ファースト、後ろから敵が近づいたら言って。たたっ斬るから」

 アスカが軍刀を構えていう。
 だが、いくらひとかたまりになろうと多勢に無勢である。一度に攻め込まれたら、ひと
たまりもないだろう。
 二人は額に汗をにじませる。
 そのときだった。

「祭り会場はここけぇのお!?」

 と、野太い声がしたかと思うと突如天井に空いた穴から轟音がひびき、さらに弾丸の暴
風雨が吹き荒れた。

97:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:16:35
 銃弾は掃射されてアスカ達をとりかこむインベーダー共の肉をぶち破り、周囲のものを
粉のように砕きながら一気に掃射されていく。
 インベーダー共の奇妙な悲鳴がひびく。
 それと共に左腕に巨大なガトリングガンを備え付け、もう片方にはゲッタービームガン
を抱えた将造が降ってきて、どすん、と着地した。
 それを認めたアスカの声が華やぐ。

「パパ!!」

 アスカの視線の先に映るのは狂喜に満ち満ちた将造の表情だった。
 その顔のまま、ぐるりとアスカに振り向いて彼は言う。

「おおアスカぁ。ワレぇ楽しいことするようになったけぇ! わしも混ぜちゃれや!」

 だが、他のインベーダーを盾にしてガトリングの弾幕を逃れていたシンジが将造むかっ
て飛び出してきた。

「人間が一人増えたところで、なにができる!?」

 その口を大きくあけて、喉の奥からおびただしい量の甲殻類かなにかに丸い目がぎょろ
りとついたようなものを吐き出してくる。
 シンジに取り憑いているインベーダーの一部といったところだろうか。
 それが将造にたかるように襲いかかっていった。

「パパぁっ!!」

 アスカの悲鳴がひびく。
 だが、将造はそれを素手で受けると、もの凄い形相になり、

「なんじゃあ紫色のカニなんぞ出しよって! こんなもんは」

 と大口を開けると、一気にすくって飲み込んでいってしまう。

98:ここまで 支援ども
07/11/21 18:17:50
 がばがばと、まるでソバでもかきこむかのような勢いだった。
 それを見たシンジが笑う。

「アハハ、自分から寄生されにいったか。賢明な判断だ」

 だが。

「……わはははは!! カニはいくらでも出せ! わしのメシになるだけじゃあッ」

 と、インベーダーを一気に飲み込んだ将造はしかし寄生されることもなくケロリとして
言い放ったあとに、盛大な屁を放って大笑いした。
 呆然とするシンジ。
 自分からインベーダーを飲み込もうものなら、普通はあっという間に腹を食い破られて
しまうはずだったからだ。

「ば……バカなっ!?」
「がんぼたれえ。わしを誰やと思うとる……」

 将造がニヤリと笑って、ガトリングガンを外すと右手にかかえていた、ゲッタービームガンをセットする。
 がしゃりと構え、叫んだ。

「オレは極道兵器だ!!」

99:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:36:36
ちょwwwwインベーダー食いやがったwwwwwwwww

100:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:37:25
GJ!初めてリアルタイムで見れた。しかし将造、インベーダーを飲み込むてw

101:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:37:49
ちょwwwww若wwwwwww

102:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:40:06
屁ぇこくなwwwwww

103:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 18:57:03
エヴァのりてえと言ってシンベーダーになにかされたケンスケだけ生き残ったら皮肉だな。

104:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 19:30:29
インベーダーとなるとこりゃあシンジは助かりそうもねぇな・・・


って思ったら将造wwwwwwちょっと望みが出てきた気がする。

105:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 19:54:52
流石極道兵器wwwwwwwwwwwwwwww

106:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 21:21:01
いまさらだが
こいつ人間じゃねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

107:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:00:53
岩鬼がインベーダーを食ってるところを読んで
ゲッターでもエヴァでもないがガイバーのアプトムに融合捕食されそうになっても
普通に主導権を奪った上に「こいつはスゲェ身体じゃぁぁ!!これでわしは極道バトルクリーチャーじゃい!!」
とか言い出しそうだと思ったw

108:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:07:12
>>107
いや、きっと将造がアプトムを融合捕食するんだよ

109:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:11:49
極道という未知のエネルギーの顕現だろこの男ww

110:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:14:07
てかどうやったら死ぬんだこの人

111:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:15:07
さすがにアンリ・マユの泥は無理だな

112:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 22:38:08
型月厨は巣穴から出てくるな

113:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 23:00:40
なぜみんな邪鬼王を忘れているのだ

114:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 23:40:50
ちょwwwww
こりゃさすがの旦那でも喰えそうにないな。

115:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 23:53:56
慎一も忘れるなよ

116:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 04:48:10
インベーダー食いやがったwwwしかもそれが別に不思議ではないのが素晴らしいwwwww
どこぞの悪の泥だろうが怪獣王も苦戦するヘドロだろうが核爆弾だろうが喰いそうだ

117:つづき
07/11/22 15:04:53
「オレは極道兵器だ!! うらぁッガキどもっ、わしの背に隠れえッ」

 その言葉と共に、かつてイスラフェルとの戦いで使用されたときよりも太くなったゲッ
タービームが発射されて洪水のような緑色の光が校舎中に溢れていった。
 大量のゲッター線を浴びせられるインベーダーたちが、その体を崩壊させていく。

「く、に、人間めっ!!」

 あふれかえっていたはずのインベーダーを瞬く間にせん滅させられていく様に、さしも
のシンジも恐怖を覚えたのか背後にあった窓ガラスを後ろ飛びに飛んでぶち破ると、その
まま空に浮いて逃げ出した。
 将造は、

「逃がすかボケぇ!」

 と、ゲッタービームガンをそのほうに向けて狙い撃ちしようと右目のレーザー照準を撃
ち出すが、アスカがすがりついて止めた。

「ま、まってっ」
「なんしよんじゃアスカ!! おどれも寄生されたかッ」

 攻撃の邪魔をされて将造が恐ろしい声をだす。邪魔をすれば義娘でも容赦しない、と
その血走る目がいっていた。
 それがすこしの冗談でもないことは、アスカが一番よく知っている。
 だが、彼女はシンジをどうあろうとも助けると心に決めたのである。
 ここで消滅させてしまったら、それはかなわなくなる……そこでアスカは将造を止める
一計を瞬時に思いついた。

「シンジはあたしが婿にもらって次期組長にするから殺しちゃ駄目っ!!」

 むろん、口からでまかせである。
 さしもの将造もこれには呆気にとられた。

118:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:06:44
「あぁん!?」

 と、素っとん狂な声をだして攻撃の手を止めると背後からすがりつくアスカへ向いた。
 そのアスカが続ける。

「あたしにもやり方があるの、それに文句つけるならたとえパパでもぶち殺す!」

 と、威勢よく言う。
 まあそれはよかったのだが、しかし奥歯がガチガチと振るえてしまって、いまいち迫力
にかけている。
 インベーダーを相手にするよりも、将造に逆らうことの方がよほど恐ろしいらしい。
 だが、そんなアスカを見て将造はなにかを思い出したかのように笑った。
 この時すでにシンジの姿は見えなくなっていた。

「うはは……昔、わしが親父にいったのと同じこといいよる」
「ううっ」
「まあええ。あんガキにわしの組がつとまるは思えんが……たぶん、わしもいつまでもこ
こにゃ居れんじゃろう。次期組長は、ヌシの好きにせえ」
「えっ……?」
「じゃかしい。アスカ、もうここはゴキブリの巣じゃ。一匹でも残せばまた繁殖しよる。
 元から絶つぜ!」

 そういうと、将造はゲッタービームガンを外して床においた。

「こいつの炉心を融解させるんじゃ。ゲッター核爆発で始末しちゃる」

 そのパネルの一部を開くと、現れたボタン類をなにやら操作してから再び閉じた。 
 自爆のコードでも入力したのであろう。
 敷島の性格ならば、まちがいなく自爆可能なように設計するはずだった。
 将造はかたわらのガトリングガンを装着し直すと、それを肩にかつぎ、

「脱出じゃあ!」

119:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:08:56
 そう叫んでから、三人は一目散に外へ向かって駆け出した。
 脱出経路を行く内にぱらぱらと生き残ったインベーダーが現れるが、すべて将造のガト
リングガンからいずる、弾丸の嵐に粉砕されていく。
 あっという間に校庭へ出た。
 そして門から通りへ駆け出したころに、背後の校舎が緑色の光につつまれながら大爆発
を起こして消え去っていく。

 たとえ小型ゲッター炉心といえども、メルトダウンすれば校舎のひとつ程度の敷地はゆ
うに吹き飛ばす威力がある。
 アスカ達まで吹き飛ばされずに済んだのは、幸運だったかもしれない。
 激震にレイがつまづいて転んだ。
 アスカが手を差し出して起き上がらせると、ふと頭をあげた彼女の目に消えゆく学校の
姿が入った。

「ヒカリ、鈴原……みんな。仇は討つから」

 そういって、再び駆け出して、やがて安全なところまで離脱する。
 レイが走り疲れて、その場にへたり込んでしまう。
 アスカはまだ立っていられるが、極度の疲労を顔に表している。
 平然としているのは将造だけだった。

「よし……ヌシらはネルフへ行け、いま竜馬の野郎は大空で敵と戦争してよる。もぬけの
カラの本部の守りについてこい。あのガキが来ないとも限らん」
「敵って……シト?」
「おおよ。エヴァとシトとインベーダーの融合体じゃあ!!」

 将造はガトリングガンを天に突き上げていうのだった。


・・・


120:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:10:11
 時は幾分か巻き戻って、アスカ達の第壱中学校が地獄と化する以前のことになる。
 ジオフロント、ネルフ本部はそれよりも早く混乱に包まれていた。

「何!? 空輸中の3号機が襲われただと!?」

 と、作戦司令室で受話器ごしに叫ぶのは冬月であった。
 通話の相手は、先の4号機ゲッター炉心メルトダウンの件でエヴァ建造に怖じ気づいた
米国から、その3号機を空輸するために飛び立った輸送機の乗員からだった。
 乗員は悲鳴まじりに空輸中の3号機に突然、正体不明の物体が衝突して、すぐに異変が
起きたことを伝えている。

 四〇メートルの物体を収納することは不可能だったため、船底につり下げる形で運ばれ
ていた3号機が、物体衝突後に勝手に動き出したというのだ。
 この報告にゲンドウと冬月は、レイが3号機に浸食型のシトが接触することを予告して
いたことを真っ先に思い浮かべた。
 しかし、

「もうシトに浸食されていたのか!? だが、飛行能力のない3号機を空中で乗っ取ったと
ころでどうするつもりなのだ……」

 と、冬月がいったが通話の相手は、

「3号機は、輸送機まで浸食して同化しているんだ!!」

 と泣くような勢いでいった。そして、

「もはや機が持たん、我々は自爆を試みる。それでも駄目ならあとは頼む!!」

 それが、最後の会話となった。
 受話器ごしに爆音が聞こえ、あとはノイズだけが残る。

121:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:11:13
 冬月は渋い表情になり、受話器を静かにおいた。
 するとゲンドウが応じてオペレーターに輸送機の位置をレーダーで監視するように指令
を飛ばす。
 それにはシゲルが応じた。
 が、レーダーに映った点は輸送機が今だ健在であることを示していた。

「……依然、輸送機は日本上空の領域へむかって進行中です」

 シゲルが力なくいう。
 冬月がしかめっ面をして頷く。

「自爆も失敗……か」
「ああ。完全に予想外の出来事だ。シトもシナリオを変更しているということか」
「いや……シトにしちゃあ、やり方が派手すぎる」

 と、二人の会話に割り込んできたのは珍しく作戦司令室に居た竜馬だった。
 彼はこの日、偶然にもシンジたちの登下校に付き合わず暇を持て余して、シゲルと雑談
していたところである。その最中で4号機消失と3号機の件を知ったらしい。
 竜馬へ向かって頭上の冬月が身を乗り出す。

「どういうことかね」
「俺の直接体験じゃねえが……知ってるんだよ。かつて、こういうやり方で攻めてくる奴
らがいたのをな」
「本当か」

「ああ。俺たちはインベーダーと呼ぶが、ゲッター線を喰って宇宙をさまよう寄生虫だ。
 奴らがどっかから来て、シトもろとも3号機を乗っ取ったのかもしれねえ。
 だったとすりゃ、厄介だぞ。生半可な攻撃を加えてもいくらでも再生してくるうえ、下
手に近寄りゃ有機体も無機物も見境無しに寄生されちまう」

 竜馬がいった。

122:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:12:31
「ゲッター線を喰うだと……それではゲッターロボでも対処できんではないか」
「そこは逆手を使う。奴らが吸収しきれねえ量のゲッター線をあびせて、飽和状態にして
ぶち殺すんだ。それができねえなら、復活できねえぐらい徹底的に叩きつぶす」

 このあと、それを将造がアスカ達の学校で実行することになる。
 先に書いたゲッタービームガン炉心の融解である。

「……難儀な相手だな」

 ゲンドウがいった。
 だが、竜馬はその拳をボキボキと鳴らして笑った。

「それだけ戦いがいもあるってもんよ。どのみち空を飛ばれちゃ弐號機以外のエヴァには
手出しできねえな……俺が出る」
「一人で大丈夫か」
「俺を誰だと思ってんだ。それよりゲンドウ、非番の連中をとっとと集めやがれ」
「ああ、わかっている」

 竜馬のいう非番の人間は、ミサト、マヤ、そして学校にいっているはずのシンジ、アスカ、
レイの五人だった。
 だが竜馬は、その学校で異変が起きていることをまだ知らなかった。
 彼は走ってゲッターの格納されている第八ケイジへむかう。
 タラップを伝い、すでに合体状態になっているゲッターの頭部コクピットに飛び乗ると
すぐに炉心に火を入れた。
 ギュオー……ン、という音と共にブラックゲッターが眼を覚まし、黄色い目に赤くぎら
ついた瞳が浮かび上がる。
 竜馬が叫んだ。

「ゲッターロボ、発進!!」

 ぶわりと黒いマントがたなびき、解放された天井の射出口むかってゲッターが飛び出していく。

123:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:13:47
 ゲッターは黒いマントに身をくるんで頭だけを露出させた状態で一気に地上へと駆け抜
けると空へ舞い上がり、弾丸のような勢いで虚空へ突っ込んでいった。
 久しぶりの一人乗りでの出撃である。
 ゲッターは通常、三人のパイロットが揃うことでフルパワーを発揮するので、今、この
ゲッターは単純計算で三分の一の力しかないことになる。
 それでも、出力を改善されたブラックゲッターの飛行はそれ以前のフルパワー状態より
も、かなり上回った速度で可能なようだった。

「この世界でゲッターをいじくれる奴に逢えたとはな。世の中解んねえもんだ!」

 竜馬が珍しくコクピットで迫り来る圧をものともせずに独り言をつぶやくと、視界に
3号機に乗っ取られた輸送機の姿があらわれる。
 すでに高度は一〇〇〇〇メートル。
 大気が薄くなり、辺りの色彩がくっきりと鮮やかになった世界に、これが元は機械だっ
たものかと疑いたくなる、まるで生き物の内臓が超高々度を飛んでいるような物体にゲッ
ターが迫っていく。
 それが元輸送機であると確認できるのは、唯一、姿がほとんど変わっていない3号機が
つり下げられていることだけだった。
 それを見て竜馬がいよいよ大声になって叫んだ。

「やはりインベーダー野郎か! なにをしに来たか知らねえが……今度こそは、根絶やし
にしてやるぜええッ!!」

 叫びと共にマントにくるまれたゲッターから紅い光線が次々と乱射されていく。
 ゲッタービームの乱射だ。
 この原理だが、ゲッターをくるむマント、つまりゲッターウイングは一種のバリア的な
性能も備えており、この中でゲッタービームを乱反射させて撃ち出している。
 当然のことながらそんなことをすれば、本体のゲッターもダメージをうけてしまう。
 少しも臆すということを知らない竜馬だからこそ可能な荒技だった。
 ゲッタービームの雨が襲いかかり、すぐに3号機がA.Tフィールドを展開するものの紙
のように破られていった。
 が、その本体に命中する前に輸送機の巨体かすべてビームを吸収してしまって、ビクともしない。

124:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:15:34
 すぐさま反撃がきた。
 内蔵のような輸送機の一部を切って撃ち出してくる弾丸だ。

「ちっ!」

 だが、竜馬はその場を横っ飛びに離脱してなんなく回避する。
 そんなゲッターに、地上のネルフから通信がはいる。

「戦闘中だ話しかけんな!!」

 と言いながらも竜馬は通信をうけた。
 コクピットのモニタにミサトの姿うつった。非常招集をうけて到着したばかりなのだろ
う息が乱れているようだった。
 その彼女が、モニタにかぶりつくような勢いでいう。

「リョウ君! 聞いて、今、MAGIから3号機にコンタクトできたんだけど、パターンが青
とオレンジ、白を繰り返してるのよ!!」
「何ィ……」

 竜馬が驚いたのは、こういうことだ。
 ネルフのスーパーコンピュータMAGIは目標の生体反応を色分けしたパターンで表示して
いる。このうち青がシト、オレンジはヒト、白は正体不明、という意味だ。
 今回における正体不明は間違いなく竜馬のいったインベーダーであろう。
 つまり目標は、シトとヒトとインベーダーの生体反応を内包していることになる。

「シトがインベーダーに喰われてたってことか。だが、ヒトってのはどういうことだ」
「刺さっているだけのはずのプラグ内部にシンジ君の同級生、相田ケンスケ君と照合される
ヒトが乗っているの! でも、何度呼びかけても反応がないのよ」

 ミサトがいう。
 彼女は状況がまったく理解できない、という風だったが竜馬は「そうか」と、なにかピ
ンと来た様子で敵の攻撃をかわしつつもいった。

125:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:17:20
「ミサト。3号機に衝突した正体不明の物体てえのが、たぶんケンスケのことだ」

 暗い声でいった
 どうして、というミサトの問いに竜馬は間髪をいれずに

「恐らくケンスケがどこかでインベーダーに寄生されて飛んできやがったんだ。じゃなき
ゃ、そこにあいつがいる理由がねえ」
「そんな。なんとか、救助しないと……」

 人命を気に掛けるミサト。
 だが、竜馬はモニタの中で頭をふった。

「奴らに寄生された人間は、まず助からん。最良の手段はこれ以上、苦しまねえように跡
形もなく消滅させてやることだけだ」

 と答えた。

「そ、そんなッ!」
「ミサト。ためらうんじゃねえ……人間の弱さにつけこむのが奴らの狙いだ!
 俺はコイツをぶっ潰すッ!! ゲンドウ、解ったか!!」

 竜馬が叫び、ミサトが、ゲンドウにばっと振り向いた。
 それにゲンドウが席をたって応じる。

「仕方あるまい。現時点をもって3号機は破棄。以降、目標を第十シト・バルディエル、
およびインベーダーとして認識する」

 ゲンドウはつとめて冷静な声でいう。
 敵の出方がどうであろうと、ここで司令官が慌てたり、ためらうそぶりを見せれば現場
の士気などはあっという間に崩壊してしまうだろう。
 彼の判断は賢明といえた。
 だが、ミサトはケンスケごと敵を消滅させることに迷いを捨てきれない。

126:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:18:44
「シンジ君にどう話せっていうんです……」

 ぎり、と親指の爪をかむ。そんな時だった。
 外部からの通信を受け取ったマコトが顔面蒼白となってわめきたててきた。

「葛城三佐っ、そのシンジ君たちが!! 諜報員からの情報です、第壱中校内で今の
インベーダーという存在に酷似している敵が出現!! すでに大多数に死傷者が出ている模様ッ」
「な、なんですって……ッ」

 マコトの報告に、ミサトが度を失った。
 生徒の大多数……ということは、シンジ達が生命をつないでいる可能性はごくわずかでしかないだろう。
 それを聞いていた竜馬が再び割り込んでくる。

「おいっ! 今の話は本当か!?」
「本当ですよ!!」
「なんで学校なんざに……まさか、あの球野郎の時にシンジに……?
 チッ……おいミサト!! 加持に連絡とって将造の野郎に協力しろって言え! 学校に向
かわせろッ。早くしねえと街中がインベーダーで溢れかえっちまうぞ!!」

 竜馬はそういい、あとは通信を遮断した。
 そしていよいよコクピットの中で凄みの効いた笑みを浮かべるとレバーを思い切りひいいてから、ぐんと倒して叫ぶ。

「ケンスケ……先に地獄で待っていやがれ!!」

 ブラックゲッターは竜馬の叫びでマントを解放すると、両腕を十字に組んでそのままつ
り下げられた3号機改め、バルディエルに突撃していく。
 バルディエルは上部の輸送機ボディを引きちぎった弾丸を飛ばして接近を阻止しようと
するが、竜馬はゲッターが損傷を受けても構わず突っ込んで激突する瞬間に、大きく腕を開くと抱きつく様に体当たりした。
 A.Tフィールドが展開されるが、それも素通りするかのように破って、勢いを殺さぬま
ま輸送機からバルディエルを引きちぎると、離脱していく。
 腕の中でバルディエルが暴れるが、ゲッターは飛びながら凄まじい腕力のブリーカーをかけていった。
 バキバキと拘束具が砕かれていき、エヴァだった素体の部分が露わになる。

127:ここまで
07/11/22 15:21:36
 バルディエルは口をあけ、苦しそうにうめく。
 それで反応が鈍くなったとみるや、ゲッターはぐわりと両の手で敵を持ち上げると地上へ向かってぶん投げて落とした。
 凄まじい勢いで落ちていく敵をすかさずゲッターも急降下して追うと、右の脚をつきだしてその腹にぶち当てた。
 さらに落下速度は増していく。
 落下先は日本列島を飛び越え、北京のあたりだった。
 みるみる内に地上が大きくなっていき、やがて墜落して叩きつけられる。

 大地に激震が走って、まるで隕石でも落ちたかのように辺り一帯に衝撃波が広がって地面がえぐれていく。
 もうもうと舞う土砂と共に、高度一〇〇〇〇メートルから落とされて全身を砕かれたバルディエルから血液だのオイルだの
液という液が噴き出していくが、ゲッターはすぐに立ち上がると、トゲの生えた拳でもってやたらめったらと殴りつけていく。
 そしていよいよ相手が動けなくなったと見るや、びゅんっと飛び下がって両腕を開きつつ竜馬が叫んだ。

「ゲッターッビイイイィムッ!!」

 収束されたビームを一点に集中照射され、バルディエルは蒸発するように消滅。直後、大爆発が起きる。
 さきほどの土砂に加えて、さらに大地がえぐられ吹き上がり辺り一面は何も見えなくなるほどになった。
 その中に竜馬のゲッターチェンジの声がひびく。ほどなくして、

「ゲッターミサイル!!」

 土砂の空間の中から、巨大なミサイルの二発ずつが上空へ向かって二〇回ほど連射で撃ち出されていった。
 ゲッター3最大の武装だ。照準は、バルディエルから切り離した輸送機である。
 ミサイルは一気に空へと駆け上って主を失い制御不能になっていた輸送機めがけて命中し、高々度で爆散し果てた。

 ゲッターミサイルには超高濃度のゲッター線が封入されている。
 インベーダーと化した輸送機も、これを四〇発も喰らったことでゲッター線の過剰吸収となり飽和状態になったのだった。
 やがて土砂から再びブラックゲッターが飛び出して、日本へ向かって飛んでいく。
 だが竜馬はそのコクピットの中で、鬼のような形相で前を見つめ、

「インベーダーめ……俺の舎弟を可愛がってくれた礼をしてやる。覚悟してやがれ」

 そう、つぶやくのだった。

128:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 15:36:08
GJ!
しかしこれでアスカ、レイ、未登場のカヲルを除いたチルドレンと候補生は全滅・・・

129:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 16:11:43
もはやシナリオも何もあったもんじゃないくらいに混沌として来てるな

130:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 16:17:40
インベーダーsueeeeeeee!
それより極道兵器tueeeeeeeeeeee!!
さらにそれより竜馬Tueeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!


131:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 16:47:04 c6Kj2gIQ
虚無っちゃダメだ…虚無っちゃダメだ…

132:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 19:07:58
完全にエヴァがゲッターにのまれたなwwwエヴァ涙目www


133:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 19:09:44
まだだ…まだ分からんよ

134:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 20:43:46 Ul3peKV6
石川信者はこんなので満足だろうがどう見ても最低系踏み台クロスです本当に(ry

135:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 20:46:44
まぁなかなか無茶クロスだからなぁ戦力的に

136:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 20:53:26
確かにエヴァが踏み台にされてるなとおもう

137:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:02:47
ダイナミック系の作品とクロスすると大概こうなるよ。もうなれたぜ

138:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:18:29
>>134-136
うるせえ!てめえらもエヴァもゲッター線のおににみこまれちまったんだ!
運命だとおもってがまんしやがれ!

139:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:32:21
ちなみに将造がインベーダーを飲み込んで平気なのは体内に搭載された超小型ゲッター炉心のおかげだと思う。
食ったはしからゲッター線で飽和させてるんだな、きっと。

140:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:35:16
つうか元々参号機は踏み台

141:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:35:25
>>134~137、石川版ゲッターとのクロスだとエヴァのキャラが薄すぎるから仕方がないと思うのだが?
デモンベインとかみたいに竜馬とかに対抗できるだけの精神力とか勢いがないと食われるのは仕方がない。

142:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:44:58
まあ牛とか髭とかいちおくえんとか言わないだけマシだと思っとくか

143:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:47:19
>>139
喰われたインベーダーが、たまたま生き残って進化したらどうなるんだろうか

144:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:50:56
>>141
いやデモベは勢いだけだろw

まぁエヴァ原作はこの辺から坂を転げ堕ちるような感じだったからな
寧ろ竜馬の活躍でエヴァ勢が皆助かって幸福になったとかの方がありえない展開w

145:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 21:52:23
オマイらせめてトウジと委員長に対して哀悼の意を示せよ







ついでで良いからケンスケにもな~w

146:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:05:46
というか『主人公が真ゲッターの竜馬』の時点で
エヴァは踏み台どころか土台にすぎない。

147:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:13:19
そんな信者に冷や水をぶっ掛けるのが俺のジャスティス

148:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:44:35
むしろ石川作品以外でゲッターと並べる物を挙げてほしいぐらいだ

149:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:50:22
>>148
間違いなくグレンラガンと言い出すやつがいるな

風呂敷を畳む(笑)

150:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:53:38
トミーノとか

151:つづき
07/11/22 22:54:34
・・・


 深い暗闇の中で、五人の醜悪なる老人が立ち並んでいる。
 彼らは巨木ほどもある大きさの、中に橙色の溶液が満たされたカプセルを取り囲むよう
にして、なにやら詮議にふけっていた。
 彼らこそは今まで何度か打倒されるべき存在と目されてきた、ゼーレの幹部である。
 その内の一人で、もっとも年かさに見えて肥えた老人がいった。
 機械仕掛けの目隠しのようなものを着けていて、その目の色をうかがい知ることはでき
なかったが、歪む口元は彼が不機嫌であることを知るに十分だった。

「あの流竜馬という男が来てからというもの、シナリオは狂いに狂った」

 その言葉に、他の老人達も連鎖するかのように、

「そう。もはやシナリオも何もあったものではない」
「修正は不可能といっていい」
「ゲッターの出現、碇とネルフの行動、鈴の裏切り、チルドレン候補の全滅……すべて予定外の出来事だよ」
「これ以上だまってみている訳にはいかん。我々は人類補完計画を遂行せねばならぬ」

 と、口々にわめきたてはじめた。
 彼らの信奉する、この世の歴史の全てがつづられたという「裏死海文書」に書かれてい
ない内容の事件が次から次へと起こったのだ。
 ゼーレに大きな焦りが生じ始めていた。

 もっとも、たかが古びた本の一冊がこの世の在り方をすべて記述していて、それに従っ
て人間がうごくなどというのは滑稽な話で、そこに書かれていないことが現実に起きるこ
となど、当然のことと考えるのが普通だ。
 だが旧約聖書……すなわち、ユダヤ教の聖典を妄信しすぎて、ねじ曲げるほどの彼らは、
文書に書かれていることこそがこの世の全てであり、その内容を実行する自分たちこそは
人類の導き手と思っていた。

152:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:56:04
 ゼーレの老人たちは、その計画を無理にでも進めるためにみずからシナリオを変更して
人類補完計画を推し進めることを考えていた。
 もはやその時点で、彼らの信奉する文書に何の効力もないことが実証されているような
ものだが、それを決して認めようとはしない。

 ―ひたすらに人間は神に懺悔せねばならぬ。

 それだけが老人達の考えることだった。
 世を生きるにあたって、人が宗教の力を借りることは健全なことだ。
 不毛の大地に、裸一貫で投げ出された人間の心は、なんとも弱いものである。
 そこで己を大きく超える神という存在を創造してそれに付き従えば幸せが訪れると考え
ることで、あらゆる困難に打ち勝てるのなら、これ以上の健全はない。

 だが、やがて困難に打ち勝って豊かな生活を手に入れたあともなお、自分たちの考えた
ぐう話を妄信して思考停止するのは、愚かの極みといっていいだろう。
 人間は地球の生物において最も高い知能を得たが、それにおぼれた者の行動原理など、
昆虫以下と成り下がるのである。
 だが、それに彼らが気づくことは永遠にないだろう。

 例の機械のバイザーをつけた老人が、カプセルに手をやった。
 その中に浮かぶ、銀髪の少年の姿をみつめた。
 あごが鋭く目鼻立ちは整い、その肉体の彫刻のようなしなやかさは、まったくの美少年
といっていいほどだった。

「そろそろ……我々の切り札に目覚めてもらおう。タブリス、我々のシナリオの要よ」

 そういうと、反応したのかタブリスと呼ばれた少年が閉じたゆっくりと目を開く。
 さて、ここでこの物語において最後の人物紹介をしよう。
 彼らがタブリスと呼ぶこの少年……もう一つの名を、渚カヲルという。
 今後は、カヲルという名称をもって彼を呼称することにする。

153:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:56:10
>>149
ここにはいろんな作品のファンがいるからキチガイじみたアンチ発言も程々にな

154:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 22:58:02
 生年月日二〇〇〇年、九月一三日。セカンドインパクトと同日とされているが、これは
いつわりだ。それ以外の経歴は一切不明。
 おそらく、その本当の年齢は人間など、とうにおよばぬほど、悠久の時を生きながらえ
てきた存在であろう。
 彼はアダムより生まれし最後の子供、最終シトである。
 様々なシトに特殊能力があったが彼のもつ能力とは、ひとつ。
 アダムおよびリリスのコピー、つまり、エヴァを自在に操ることができる能力。

 ゼーレは彼を初号機に、そして残り一二体のエヴァにダミープラグを用いて、人類補完
計画の儀式を行う腹づもりであった。
 だが、それにはまだ、倒さねばならないシトが三体残っている。
 それも裏死海文書に書かれたことらしいが、ゼーレは思いのままならないネルフを切っ
て、カヲルによって残りのシトをせん滅、計画を実行する予定だった。
 本来、彼の出番はネルフによってすべてのシトが撃破された後の出来事だったはずなの
だが、ゲッター出現からはじまったシナリオの狂いがが、ゼーレの行動を早めた。

 また渚カヲルというのは、ネルフに潜入して最終的にはエヴァを奪取するまでに用いる
偽名であった。
 すでに彼の戸籍情報は上の生年月日をもって登録され、最後のチルドレンとしてネルフ
に配属される予定が決まっていた。

 カプセルの中に浮かぶ、裸体のカヲルを前に老人達がぶつぶつとつぶやいている。
 異常な光景であった。
 そして、まるでそれを戒めるかのごとく、音もなく彼らの背後に近寄った影から嘆息がもれた。

「はあ……これが最後のシト。結局、行き着く先は人間とは……所詮は太陽系の生物と、いうことか」
「何者ッ!?」

 侵入者に五人の老人達がいっせいに振り向いた。
 そこにいたのは、

「しょ、初号機パイロットが、なぜここにいる!?」

155:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:00:53
 シンジだった。
 片腕を失ったが、なおも残った腕で警備についていたのであろう人間の頭をわしづかみ
にして、たたずんでいる。
 そして彼は掌に力をこめると最初、肉に指が食い込み血が噴き出したかと思うと、次に
は頭がい骨ごとその頭をぐしゃりと砕いてしまった。
 頭部の中を構成する物質があたりに撒き散らされる。
 シンジは手についた血と肉と骨の残骸を、ぺろりと舐め取るとニタリと笑った。

「あなたたちの人類補完計画を、さらに補完してあげようと思った来たんです」
「……なんだと」
「人類は神に懺悔する必要はない……だが、生命のスープとなってひとつの生命体に変わ
るのはいいことです。なぜなら」

 というと、シンジの無くなった片腕から次々と将造に襲いかかったのと同じ甲殻類のよ
うなモノが連なって老人達に襲いかかっていく。
 それは老人達の体にまとわりついて、あっというまに全体を埋め尽くしていく。
 そのおぞましさに、彼らは声にもならない悲鳴をあげた。

「それが僕たちにとってもっとも、都合がいいから」

 シンジは五つの人間だったものを無視して、カヲルの入ったカプセルを見上げた。
 彼は、その眼をかっと見開いてシンジをみつめている。
 今、起こった出来事をすべて見ていたのだろう。その口を半開きにしていた。
 シンジが失った方の腕を掲げる。
 すると、一瞬で骨が再生してその周りに肉が巻き付くように生えていき、瞬く間に再生
させると突然カプセルに殴りかかった。

 ごんっと鈍い音が、暗闇にひびきわたる。
 破壊するつもりのようだった。
 一撃で割ってしまう事はできなかったが、もう一発、さらに一発と殴りつけるとカプセ
ルは全体にヒビを走らせて、橙色の液を漏らし、そのあと一気に砕け散った。
 あふれる液体と共にカヲルがカプセルから解放されていく。

156:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:03:52
支援

>>153
そんな風に見下すから評判悪くなるのに……

157:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:04:13
 彼は、空に浮くと飛んでシンジから間を取るように離れた。
 そして濡れた銀の髪をかきあげると、静かにいった。

「……やあ。予定していたよりも早い出会いだね、碇シンジ君。僕に用かな?」

 そういうと、シンジは目をつむった。
 そして「んんっ」と喉を鳴らし、

「ガンガンガンガン、若い命が真っ赤に燃えて~♪」

 と、妙にハイテンションな唄を唱いはじめた。
 これに呆気にとられたカヲルが両手をだらり、とたらしてしまう。
 すると、シンジは唱うのをやめ、笑顔でいった。

「歌はいいねえ、リリンの生み出した文化の極みだよね……そう思うでしょカヲル君」
「……なぜ、その名を知っているんだ」

 渚カヲルの名を知る者が現時点でゼーレ以外にあるはずはなかった。
 彼をネルフに配属する計画は、完全な極秘裏に行われていたのだから。
 ゼーレのスパイを続けていた加持ですらも、まだその核心までには至っていない。
 だが、その答えはシンジにとって簡単なことだった。

「僕たちは個にして全。そこの年寄りから聞いたんだよ、今しがた」

 老人達の記憶とも同化したと、彼はいう。
 それにカヲルが眉をつりあげた。

「インベーダー……レリエルとバルディエルを喰い、なおも僕やリリンすらも食い尽くそ
うというのか。どん欲だね」
「喰う? それは違うよカヲル君、より優れた生命体が宇宙の覇者となる。それは他の生
命体と戦うことなく同化できる、我々インベーダーにこそ相応しい。喰うのではなく一つになるだけさ」

158:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:05:49
「同じことじゃないか。でも、これをみて確信したよ……そこの死体共がなにを思っても
リリンの力は宇宙に必要だってことを。
 自分で進化することも忘れた君たちのような寄生虫を消し去るためにね」
「寄生虫よばわりとは……ずいぶんだなぁ、カヲル君。でも、すぐにでも僕たちのすばら
しさは理解できるようになる」

 そういうと、シンジは含み笑いと共に空を飛んだ。
 彼は人類補完計画に必要なカヲルをも同化しインベーダーの仲間に引きずりこむつもり
だった。
 瞬時にカヲルへ寄って腕を伸ばすと、しかしカヲルもその腕を振り上げてA.Tフィール
ドを発生させるとシンジの接触に抵抗する。
 それにシンジがまた嘆息した。

「さすがシト。そのサイズでもこれだけ強力なA.Tフィールドを展開できるんだね」
「A.Tフィールドは心の壁……誰だって持っている。悪いけど君たちインベーダーは好意
に値しないんだよ」
「それはどういう意味?」
「嫌いってことさ」
「じゃあ無理にでも好きになってもらおうかな」

 というと、シンジはかつてゲッターロボがサキエルにやったように、カヲルの展開する
A.Tフィールドに腕を突っ込むと、力任せにそれを引きちぎりはじめる。

「くっ……」

 カヲルの表情が歪んだ。
 彼の想定以上に、インベーダーと化したシンジの力が強大だったのだ。
 必死にA.Tフィールドの強度を維持しようと力むが、じりじりとフィールドをこじ開けられていく。
 さながら、相撲でもとっているかのような勢いだった。
 やがて軍配はシンジにあがる。

159:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:07:18
 さきほどカプセルにやったように、ある程度までカヲルのA.Tフィールドをこじあける
と後は、せきを切ったかのような勢いで完全にフィールドが破られてしまう。
 カヲルにシンジの魔の手が迫った。
 とっさにカヲルはそ腕を掴み払おうとしたが、掌に激痛が走った。
 しまった、と思った時にはすでに遅い。
 掴んだ部分からざわざわとインベーダーがカヲルの掌を通じ、その体に浸食していく。
 シンジが高笑いをした。

「ハハハ、ハハハハッ。バカだな、僕に触れればどうなるか解ってるだろう」
「うぐ……ッ」
「シトもヒトも、インベーダーと一つになる。それが最良の選択だよ、カヲル君」

 そういってシンジがカヲルの腕を掴み返した。
 そこからも、さらにインベーダーが肉をやぶり、血管を通って浸食していく。
 血が滴りおちた。
 シンジが怪力でカヲルをぐいっと引き寄せていく。
 額と額が接触するほどになって、シンジの眼がカヲルの眼を覗き込んだ。
 その眼は濁って何の生気も感じさせなかった。
 見たくないとばかりにカヲルが目をつむる。

「残念、ここまでか……だけど、今の接触でわかったよ。君たちはゲッターエンペラーを、
そしてエヴァ終号機を異様に恐れているね。それが恐いから今、その主が庇護下を離れた
時を狙って同化しようとしてきたわけだ。無様だよ。
 リリンは無限に進化していく。寄生しなきゃなにもできないインベーダーごときが敵う
相手じゃないよ。僕を同化したところで、彼らは止められない」

 罵るようにいった。
 カヲルの言葉にシンジはしばし止まったが、やがて、

「……黙れ」

 と、竜馬やゲンドウあたりが喋ったのではないかと思うほど低いを声をだすと、口を大きく開ける。

160:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:07:41
しえーん

>>156
キチガイじみたは余計だった、ちょっと反省してる。
だが見下してる点では>>149も大概だと思うぞ。いちいち(笑)とか付けてるし。

161:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:08:42
 そして中からカサリと何かがうごめいたのが見えると同時に、カヲルの口を塞いだ。
 カヲルがうめいた。
 シンジの喉が、異様なまでに波を打っている。
 インベーダーが流れ込んでいるのだろう。しばらくそのままだったが、やがて喉の波打
ちが止まるころになると、カヲルの反応が鈍くなった。

 それを確認したシンジが、掴んだ腕を放して彼から離れる。
 すれば、支えを失ったカヲルがその場にどさりと倒れ伏した。
 シンジが無表情でそれを見つめている。
 やがて、倒れたカヲルがぴくりと反応し両腕で地面をつかむと、むくりと顔を上げる。
 その眼は、シンジと同じように濁っていた。

「起きたか。じゃあいこうか、カヲル君」
「うん、そうだね、シンジ君……」

 カヲルが、不気味に笑った。







「結局、シンちゃんは行方不明、か……リツコも戻ってこないし」

 と、自宅マンションで酒をあおりながらいうのはミサトだった。
 例の学校壊滅のあと、ネルフ本部にもどったアスカ達の口からゲンドウをふくめてネル
フの職員は事のてん末をすべて聞かされていた。
 その中でも、一番ショックを隠しきれないのはミサトだった。

162:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:09:42
支援
ちょwwwww二人組完成wwwww

163:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:09:56
急展開だな

164:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:10:16
 ミサトはシンジとの共同生活の中で、彼の保護者的なイメージを内にかかえつつあった
が、彼の危機に瀕して彼女はなにをすることもできなかった。

 テーブルの上に、いくらかのつまみを置き、それを時々口にしながらうわごとのように
同じことを何度もつぶやいている。
 その向かいに座っているのは竜馬とアスカだった。
 テーブルの下ではペンペンが、エサのイワシを丸呑みにしている。

「ミサト、飲み過ぎだ」

 無愛想に竜馬がいう。
 それが気に障ったのだろうか、ミサトは目をつりあげると竜馬にくってかかる。

「なによッ!! もとはといえば、リョウ君がしっかりシンちゃんを見てないからあんなこ
とになるんじゃないっ。彼を守りに来たって一番最初に言ったのはウソだったわけ!?」

 と、ミサトは酔いの勢いも手伝ったのかまるで竜馬に喧嘩をもとめるかのようだった。
 だが喧嘩っ早いはずの竜馬は乗らない。

「言い訳はしねえよ」

 と、一言いうとつまみを口に放ると腕を組んで黙ってしまった。
 気まずい沈黙が流れる中、アスカが無言で座った椅子に脚をぶらぶらさせていた。


 そして、ジオフロント、ネルフ本部のゲンドウ執務室。
 その異様に広く、ぽつんとその一部に机がおかれただけの部屋においても同様の
空気が流れていた。
 ゲンドウが冬月を相手に将棋を将棋を指しているが、なかなか次の一手が出てこない。
 冬月がつぶやくようにいった。

165:ここまで 支援ありがとう
07/11/22 23:11:27
「碇、お前の番だぞ」
「わかっている」
「息子のことが心配なのは解るが……」

 と、いいかけた時だった。
 その机のかたわらの電話機が激しく鳴り響く。
 すぐに冬月がとった。

「私だ」
「副司令ですか」

 という通話の相手は、加持であった。
 だが受話器越しに彼はいつもの飄々とした調子ではなく、焦りが感じられた。
 それを察知した冬月がいった。

「まて、わかった。要点だけいってくれ」
「助かります。ゼーレの幹部にシンジ君が接触した形跡があるんです。今後の彼らの動向
に注意してください、何が起こるか解りません」
「碇の息子が、だと……」

 その言葉に、ぽろりとゲンドウの手から飛車の駒がぽろりとこぼれるのだった。

166:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:17:34
誤字……だよね?>終号機
違うとしたら物凄いwktkしてしまう字面なのだが。

167:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:19:39
カヲルまでインベーダーの踏み台に…ククッ…
ゼルエルなら、ゼルエルならきっと…(つかサンダル、マトリ、イロは欠番すか?)
こうなったらゼルエル、アラエル、アルミサエルでゲッターエンジェルチームを…

168:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:22:23
それにしても職人さんマジで超人です。一ヶ月もしないでこのボリュームを書き上げるとは・・・
体を大事にして欲しい。無理をしないでくださいね。それにしてもGJ!!

169:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:26:05
恐るべしインベーダー……
残りの使徒が全て食われてる気がしてきた
GJ

170:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:27:02
>>166
前スレの904あたりでエンペラーと一緒に宇宙食いまくってたエヴァじゃね?
つかまとめサイトまだあ?
理想郷あたりで
「ゲッター(石川版)と他のロボットアニメとのクロスの名作を捜しています」
とか捜索願いが出たらすぐに紹介すます。



171:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:30:42
>>167
隼人あたりが残りの使徒と交渉してヒト&シトの共同戦線が…
で、擬人化したゼルエルあたりが率いるゲッターエンジェルチームとEVAチームが体育会系な喧嘩を…

172:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:31:36
>>170
理想郷の屑は帰れ
あそこのガキが流れこんで来たらスレが死ぬ

まさにインベーダー

173:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:33:57
>>170
言い出しっぺの法則



と、言いたいが理想郷の厨房かよ……

174:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/22 23:34:09
>>171
ありえなくも…ないか。
『アーク』の恐竜帝国との共闘とゲッターザウルス出撃という例もあるし。

175:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 01:01:53
そんなやばいの?理想郷の住人って。

176:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 01:22:02
>>175
やばいってレベルじゃねーぞ



管理人はいい人だが

177:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 01:30:55
一言で表すなら『ピラミッド』
良識ある人ほど少なく、モラルの欠如した人ほど多い
管理人の心痛は計り知れない

178:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 05:20:31
なんか凄い方向に進んでるなあ
ゲッター詳しくないから分からないけど、これはいいと思う
エヴァが踏み台じゃなくて土台になってる所とか
人の死に方とか救い無さそうな雰囲気はエヴァっぽい
アスカとレイだけが無事なのはどうなんだろう?
調べたらゲッターではミチルって女の人が死んでるみたいだし
とにかく作者さんGJ

179:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 09:51:40
>>171
擬人化使徒のデザインは吉崎観音かw

180:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 09:59:21
良い作品があり、良い管理者が居る。
だがそれゆえにそれに倍する電波作品と更にその数倍のDQNが住まう場所。

それが理想郷クォリティー

181:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 11:20:48
DQNの例は>>170

こんな風に紹介されたせいで流れこんできたDQNに神スレを潰されたことがある

182:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 14:34:41
今までにゲッペラーからスペアが配達された奴っている?

183:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 14:36:35
危険な流れだな…これじゃまとめどころじゃないな。
一応前スレ保存しといて良かった。

184:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 14:40:19
理想郷から厨が流入されちゃたまらんからな

185:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 14:50:26
>>172の言う通りまさにインベーダー

一度侵食されたらスレを完全に食い潰すまで離れないしな

186:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 15:14:56
理想郷とやらがどこの事かググッても一見わからなかったが知らない方がいいかな?

それはそうと>>182
『アーク』に出てきた分艦隊―あれでもたぶんごく小規模な―にも
ムサシ司令官のスペアが常備されていた事を考えると、こないだ本艦隊に
文字通り身を投じたリツコがいまごろネルフ主要メンバーを量産ベースに乗せて
いつでも派遣OKにしてるのでは。
もっともあれも思想面でかなりヤバい方に逝っちゃってるから手放しでは
安心できないけど。

187:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 15:27:42
>>186
知らない方が幸せかもしれない
が、どうしてもというならURL貼るがどうする?

188:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 15:41:45
ありがと、でもやっぱりいらない。
余計な火種に持ち込む事になったら申し訳が立たん。

189:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 16:08:08
「理想郷で紹介します」と書いて
「このスレを潰します」と読む

190:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 16:08:25
Arcadiaでググレ

191:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 16:12:32
いい加減理想郷の話題やめないか?

192:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 16:19:34
アルカディアと言い換えるとハーロックが出てくるぞ?
近年では芋づる式に999とかヤマトとかもついてきます

193:つづき
07/11/23 17:49:03
 冬月は加持へ身辺に注意するように、とだけいって通話を終えると、受話器をおいて
ゲンドウの方をみた。
 それに応じたゲンドウが、眼鏡のズレを直していう。

「ゼーレが強硬手段に出てくることは予想していたが……これは」
「なぜ、彼がゼーレに接触したか解らんな」
「可能性があるとすれば、インベーダーの手による人類補完計画の発動だ」
「む……碇、それは……そうかっ」

 と、いって冬月がゲンドウの飛車を封じるようにブロックを仕掛けながらいった。
 これに、はてといった表情になったゲンドウが次の手を考えて、駒を手中でもてあそび
ながら話をつづける。

「流によれば、インベーダーは相手に寄生することでその勢力を伸ばす存在だ。なら彼ら
にとって人類補完計画発動後の、生命のスープと化した人類はまさに蜜だろう」
「……そのために初号機パイロットに寄生したのか。たしかにリリスのコピーたる初号機
を制御下におけば、ガフの扉が開かれた後の世界を自由にできる」
「奴らは、我々の地球を他の宇宙への侵攻の拠点にするつもりなのかもしれん」
「ふざけた話だ」
「好きにはさせんさ。ここは我々の住みか……む、王手だ」

 と、ゲンドウが角を指す。
 それに冬月がうっ、となって止まった。

「……ううむ」

 気づけば、辺りは敵兵に囲まれている状態だった。
 しかし、

「参った」

 とはいわない。

194:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:50:15
 まだまだ、なにか手があるはずだと長考に入る。
 しばらく腕を組んだまま硬直していると、やがてゲンドウが盤から目をそらして執務室
の巨大なガラス張りに首を回した。
 それを見て、冬月が席をたつ。

「降参か?」
「いや、喉が渇いた。碇、上の自販機で茶でも飲まんかね」

 降参してたまるか、という表情をする冬月にゲンドウが珍しく吹きだすと、やがて自身
も席をたっていう。

「手の込んだ長考だな……まあいい。付き合おうか」

 この現在、時刻は午前の三時半。深夜であった。
 ミサトたちは明日の勤務を考えれば酒を飲んだくれている時間ではないし、ゲンドウた
ちが、執務室で将棋を指しているような時間でもない。
 シトに加えて現れた、インベーダーという敵の出現が、それが瞬時にしてシンジをはじ
めとする、チルドレンたちを飲み込んだ衝撃が、彼らに極度の緊張を与えていた。
 エレベーターに向かいながら、ゲンドウがいった。

「もう王手だ。再戦にすればいいだろう」

 それに冬月が、

「私は諦めるのが嫌いな性分でね。ついでに再戦も嫌いだ」

 と、いつになく雄弁にいう。
 ただその言葉が、単純に将棋の勝負を指していっているのではないことはゲンドウにも
理解できた。
 エレベーターの手前に立つと、その到着を待つ間、静かにいう。

195:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:51:22
「やはり、冬月先生はいうことが違う。なに……私も諦めやしませんよ」

 そういうと、丁度エレベーターがやってきた。
 二人は乗り込み上層を目指す。
 すでに食堂は閉まっているが、最近設置された冷凍食品の解凍自販機もあるので、茶と
共に軽食を取ることもできた。
 夜勤の供としては最良であろう。
 しかも、職員価格で購入できるのは助かった。
 もっとも、この二人は飲食に関する金銭を気にするような経済状態ではないのだが。
 そして上層にあがり、茶で喉を潤しながら冬月がつぶやいた。

「……加持君は、突っ込みすぎだ。命取りになるぞ」

 加持は、もともとゼーレ・政府・ネルフの三重スパイだった。
 このうちでもっとも世界への影響力が強く力をもつのがゼーレであり、この組織を裏切
るということは、それすなわち裏切り者の生命が絶たれることを意味する。
 ゲンドウが紙のカップをわずかに握りしめた。

「彼はセカンドインパクトを起こした、人間を恨み尽している。
 それでも……私に復讐するよりゼーレを叩きつぶすことを選んだ。私にできる償いがあ
るとすれば、その方向に全力を注ぐしかない」

 ゆっくりいうと、手に持ったカップを口に付けて中の茶を一気に胃へ流し込んだ。
 そして冬月がだまってそれを見つめているのだった。

 間。

 やがて場面は移り、いずこかの日も当たらぬ地下通路へ。
 そこの臭く、狭い通路の壁に、寄りかかるようにして加持がいた。
 みれば、体のあちこちから出血している。
 もっとも酷いのは右肩で、その付け根の部分が散弾に撃ち抜かれたのか、ざくろの様に
なってはじけていた。

196:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:52:24
 すでに体をめぐるべき血液が足りなくなってきているのであろう。
 加持は、そのままずり落ちるように床に転がった。

「ぐ……」

 と、うめく。
 生き残った方の腕で血だらけのワイシャツの胸ポケットに手を伸ばすと、たばこの箱と
ライターを取り出し、口にくわえると火を付けた。
 そして苦しそうに煙りを吸ってはいたあとに、たばこを放り捨ててつぶやいた。

「へっ。ここまでか……もう少し生きたかったがな……」

 しばらく虚空を見つめていたが、やがて携帯端末を取り出すと、血に塗れた指で滑りな
がらもなんとか操作をしてコールをかけた。
 通信先は、ミサトの住むマンションだった。
 数コールの後に浮かない声のミサトが相手にでる。
 それを確認した加持は、なるべく息を吸うようにしてから喋りはじめた。

「よお。葛城……元気か」
「あんまり元気じゃないわ」
「そりゃ、そうか。だが俺もちょいと元気じゃないんだ」
「か、加持君……?」
「悪ぃ……ドジっちまった。血が出すぎて、もう、動けそうもねえや。最期に女の声聞き
たいなんて我ながら情けないと思うが、どうしても話しておきたくてな。許せ」

 その言葉に、通話先のミサトがふっ、と息を吸ったようだった。
 愁嘆場になりそうだな、と思った加持はそこで彼女がなにか言う前に我が身が砕けんば
かりに苦しいのを抑えて先手をきる。

「葛城。シンジ君のことを頼むって流君にいっておいてくれ」
「でも!」
「あばよ。生きてられたらまた会おうぜ」

197:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:53:28
 それだけいって通話を切った。
 喋り終えると、残っていた体力を使い切ってしまったのだろう、その視界がだんだんと
にじみ、ぼやけていくのが知覚できた。
 そして奇妙な眠気が加持を包んでいく。
 そのとき、彼を見下ろす形で子供ほどの小さな影がぼんやりと映るのが見えた。
 かすれゆく意識の中で、加持はそれをかつて見捨てた兄弟たちの魂だと思い、いった。

「やあ……迎えにきてくれたのか?」

 それに、ずい、と影が近づいた。


 一方、ミサト。
 通話が切れるや、持っていた受話器を粗々しく叩きつけるように置くと、あとは机に突っ伏した。
 残る竜馬とアスカも、受話器から漏れる会話は聞こえていた。
 竜馬は腕を組んだままじっと瞳を閉じて瞑想のようになり、アスカは両の拳をにぎりし
めて膝の上におき、うつむいている。
 しかし、すぐに立ち上がった。すたすたと自分の部屋に歩いていき、トートバッグと軍
刀を持ち出すといった。

「ちょっと散歩にいってくる」

 それにミサトは答えず竜馬が、

「……気をつけろよ」

 と短く答えた。
 アスカはうんというと、玄関で靴に履き替えると外出していく。
 そして竜馬も椅子を立ち上がると、

「俺は寝る」

198:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:54:32
 といって納屋の自室へと消えていった。
 そこは、極度に狭いながらも、うまいこと仕切りで分けて竜馬とシンジの両人が使用し
ていた部屋だ。
 竜馬がふとシンジが寝ていた布団を見ると、すでに戻ることのない主を待つ、DATの再
生機やレコード盤や、チェロが寂しげに置かれていた。
 なお、DATというのはデジタル・オーディオ・テープの略称であり、むずかしいことを省
いて説明すれば要するに従来のカセットテープよりも高音質を求めることのできる音声メ
ディアである。

 さらに、レコード盤は管理や使用に際して神経を使わないとすぐに痛めてしまう不便な
ものだが、じつはCDのようなデジタルメディアではカットしてしまう、人間の可聴域を超
えて聞こえない領域の周波数までも収録しているゆえ、視聴者にとっては、より生の演奏
に近い感覚が得られるという。
 人間は、聞こえる音のみで空間を把握しているわけではないからだ。
 こういう少し踏み入った音の世界が、シンジの趣味のひとつだったのであろう。

 人付き合いが苦手ゆえに、逆に音楽という人間の感情がこめられて奏でられる時間に、
何か深く感じ入るものがあったのかもしれない。
 シンジ自身は、チェロを弾いたりマニアックな再生機で音楽をたしなむことを「なんと
なく続けたから」の一言で済まして、本人も納得してしまっているフシがあるが、人間の
心は何となくで済むほどに単純ではないだろう。
 普通の少年として生まれて歳を経れば、あるいはこういう趣味人として生きる道もあっ
たかもしれない。
 むろん、竜馬がそんなわずらわしい感情など考えることはなかったが。
 
 竜馬はどすんと、汚れに汚れた我が布団に寝っ転がると、腕枕をして天井を見るとやが
て目を閉じた。
 しばらくそのままにしていると、閉じたはずの納屋の戸がすっと開く。すでに居間の電
気は落とされて光が差し込んでくることはなかったが、風が動くのを感じた。
 ミサトであろう。
 竜馬は、だが、目を開けずにそのまま動かなかった。
 そうしているとミサトがいよいよ竜馬に近づいてきた。

199:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:55:47
 さらに黙っていると、彼女はその手を竜馬のごつい腕の上にのせてくる。
 この時点で、竜馬が目を開いた。
 そして、

「なに考えてやがる」

 と、低くいった。
 ミサトがビクリと反応するが、かまわず続ける。

「おめえ、ふざけんじゃねえぞ」
「ご、ごめんなさい……そんなつもりじゃ……」

 ミサトが身を引くと、すぐに竜馬が身を起こす。
 太い首をゴクリと鳴らし、横目でミサトを見ながら立ち上がっていう。

「おい、てめえのフェラーリの鍵をとってこい」
「えっ」
「いいから早くしろ」

 竜馬はそういうと、黙って玄関へ歩いていってしまう。
 仕方なくミサトは言われたとおりに愛車の鍵を探して手にとると、すでに消えた竜馬を
追って階下へ降りていった。
 そしてマンションの駐車場にたどり着くと、そこには竜馬のバイク、隼がエンジンの唸
りをあげて、フェラーリ328GTSの前で待っていた。
 ミサトがおかしな顔になる。

「なんなのよ」
「いいからさっさとエンジンかけてついてきな」
「ま、待ってよ。暖気しないと……」
「そんなもん走りながらやれ」

200:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:55:56
支援
加治さあああああああん!!

201:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:57:17
 竜馬にいわれて、ミサトは渋々車のドアを開くと中に滑り込むように乗り込んだ。
 そして鍵を差し込みエンジンに火を灯す。
 旧い車ゆえに始動に手間取っていたが、やがてグオン、と独特の重低音が響き渡る。
 それをみて竜馬はバイクを外に向けて発進させていく。
 あわててミサトもギアを入れ、その背を追いかける。

 竜馬は誰も走ることのない国道に出ていくと、最初はゆっくりと四〇キロほど速度で流
すように走っていき、やがていくつかの交差点を経たあとに、どこまで続く長い直線の道
へと躍り出て、そこで停車した。
 バイクから降りてミサトに近づいていくと「俺の横に並べ」と手で指図した後に、ニヤ
リと笑っていった。

「チキンレースしようぜ。曲がりに差し掛かる前、早くブレーキかけた方が負けだ」
「なっ……嫌よ、そんなこと!」
「やれ」

 竜馬はいやがるミサトにどすん、とシートの横に拳を突いて脅す。
 いつになく凶悪な表情になっている竜馬に恐怖を覚えたミサトはうめきながらも、了承
してハンドルを握った。

「よし」

 というと竜馬がバイクに戻る。
 そしてお互いに並ぶと、竜馬が三本指を掲げて、アクセルを、一吹かしする。
 三回吹かしたらスタートしろという意味であろう。
 さらに二回目が吹かされ、三回目が吹かされた直後ミサトの車が急発進した。
 わずかに遅れて竜馬がつづく。

 始まってしまえばもはや後には戻れない。
 気を抜けば大クラッシュを起こして次には命がないだろう。
 ミサトがハンドルを持つ手に集中した。
 互いに超高性能車である。

202:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:58:29
 みるみる内に速度が上がって延々と続いているはずの直線の終わりが、あっという間に
見えてきた。
 竜馬がミサトを追い越していく。

「……さすがハヤブサ。ゼロ加速がハンパじゃないわね」

 と、舌打ちしながらミサトもアクセルを目一杯に踏んでいくと、次第に迫るビルの壁が
巨大になっていく。
 ちらりと前を行く竜馬をみるが、まだ止まる気配がない。
 すぐにミサトの感じる限界地点が迫ってきた。
 死の恐怖が彼女を支配する。

(……もう、ダメッ)

 瞬時に脚を踏み換え、ブレーキペダルを車がスピンしないように踏み込んだ。
 ぐっ、とシートベルトに体を押さえつけられ、辺りに派手なスキール音を撒き散らしな
がら車が速度を減少させていく。
 やがて停止して、

(リョウ君はッ!?)

 と、顔をあげた。
 しかし竜馬のバイクは止まらずにビルの中心へと突っ込んでいく姿を最期に衝突し、空
に舞い上がってその身を包むカウルとフレームを砕きながら散った。
 ドンッ、と爆音が響く。ガソリンに引火したのだろう、深夜の街に紅蓮の炎があがる。
 それを見るミサトの眼が大きく開かれて、悲鳴があがった。

「嫌ァァァッ!!」

 頭を抱えて絶叫する。
 だが、ぬっとドアの横に人の気配を感じて、頭を向けてみると、

203:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 17:59:33
「隼人のようにはいかねえか……許せ、ハヤブサ」
「はぇ!?」

 いつの間に脱出したのだろうか、竜馬が破片で切れた頬からつたう血をぬぐっていた。
 すかさずミサトがシートベルト解除して外に飛び出すと、ふわりと舞って平手が竜馬の
頬に飛んだ。

「なにしやがる」
「馬鹿!! なんでこんな無意味なことすんのよ、死んだらどうするつもりだったわけ!?」

 かなきり声でいうミサト。
 だがその問いに竜馬は答えずに、逆に彼女に聞いた。

「恐かったか」

 そういうと、ミサトはいよいよ激情し、竜馬の胸ぐらへ掴みかかった。
 目を、竜馬のようにつり上げ、腹の底から怒りを吐き出すように、

「当たり前じゃないッ!!」

 と叫ぶと、竜馬はふっと息をはいて、

「なら、まだ大丈夫だな」

 と応じた。ミサトが「えっ」となるが、そのまま竜馬がつづける。

「人間が本当にやべえのは、死ぬのが恐くなくなった時だ。なにしでかすか解ったもんじ
ゃねえからな」
「あんたはどうなのよ!」
「俺は常になにしでかすか解んねえから、いいんだよ」
「くっ……」
「後追いでもしそうな感じだったんでな、試してみた。が、俺の考えすぎだったようだ。悪ぃな」

204:ここまで
07/11/23 18:01:19
 会話になっているようで成立しない会話に、ミサトは疲れを感じて黙って車に乗り込ん
でしまった。
 どうせ脚を失ったから竜馬も乗ってくるだろう、とそのまま待っているが、いつまでた
っても助手席のドアは開かれない。
 それどころか竜馬は、

「どうした、帰らねえのか」

 と、きょとんとした顔でいってくる始末だった。
 あきれてミサトがいう。

「どうしたって、リョウ君バイク壊しちゃったでしょ。乗らないの」

 というと、

「おお、なかなか度量あるじゃねえか。怒って帰るかと思ってたぜ」
「早く乗れッ」

 ミサトが一喝すると、竜馬が乗りづらそうにして助手席に滑り込んできた。
 当たり前だがフェラーリの車にサルーンの様な乗り心地はない。
 やがて転回すると、再びマンションに向けてもどっていく。見れば既に日が昇りかけて
いる時間であった。

「……帰ったら出勤の準備ね」

 ミサトが漏らすのだった。

205:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 21:29:00
GJ。・・・加持も寄生されちゃったかしらん?

206:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 22:31:27
加持さんちょっと口調が編だたなあ

207:つづき
07/11/23 23:03:28
 一方、彼らが深夜の街を暴走している最中、アスカは軍刀を片手に、機能の生き残って
いる繁華街を散歩していた。
 あからさまな凶器を手にうろつく少女に、だれかが通報しているようだったが、それは
意味を成さない。
 彼女が刀を持ち歩くことは、すでに黙認するように各機関へ指令が飛んでいるのだ。

 アスカがいく。
 既に将造によって心身ともに鍛えられたその精神は、若干一四にしてすでに鋼のように
強固となっていたが、それでも自身が想った人間が死ぬのは耐えきれなかった。
 自暴自棄になるほど追い込まれはしないが、自宅で寝るような気分にもなれない。
 つまらなさそうに歩いていく。
 そしてしばらく街を往くと、その視界に見覚えのある顔が飛びでくる。

「あ……菅原さんに、高倉さん」

 と、彼女が呼ぶのは岩鬼組の重臣ともいえる二人だった。
 なにやら困った顔になっていて、彼らはアスカを見つけるとぱっと駆け寄ってきた。

「おお、姐さん! ちょうどええところに」
「どうしたの」
「若と、ついでに敷島のじじいがどっかに消えよったんじゃ。姐さんと一緒かと思ったん
じゃが知りませんかのう」
「知らないわ。ねえ、パパまで消えちゃったの……?」

 アスカが度を失う。
 まさか将造に限って、と思うが加持の死を伝えられた直後である。
 それも、加持と将造は互いに連絡を密に取り合っていたという事実もある。
 あるいはその余波で、将造も命を狙われたのでは……と弱気になるのも仕方なかった。
 菅原と高倉は、アスカも将造の行方を知らないとみると、二人で「一旦、事務所へもど
るか」と合点して、アスカに向いて頭を下げる。

208:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:05:16
「とにかく、わしらは若い衆を総動員してさがしますけえ」
「姐さんも心配でしょうが、いまはお勤め、頑張ってください」
「う、うん……」

 アスカが答えると、二人は風のように走っていってしまった。
 街往く人々は、強面の男ふたりに頭を下げさせる少女は何者だ、という目で彼女をみつ
めていたが、しかしその本人は雑踏の中で独りたたずむのみであった。

(嫌……あたしを独りにしないで。どうしてママもパパもあたしを捨てちゃうの……)

 そう思っても、答える者はだれもいない。
 悔しそうに握りしめた軍刀を見ると、夜の闇に紛れるように走り出すのだった。

・・・

 やがて、夜が明けた。
 結局アスカも出勤前にはマンションに戻ってきて、ネルフへ出向く準備を整える。
 登校は、もちろんない。
 すでに校舎が消滅してしまい、他はこの地に通うべき場所がないのだ。
 まさか、エヴァのパイロットが他県に転校するわけにもいかないだろう。
 そうだとすれば、彼女にのこされた仕事はネルフにおいて、万が一のシト襲来にそなえ
て待機することのみであった。

 ミサトは竜馬のおかげで多少は覇気を取り戻しているが、やはり生気がない。
 作戦司令室には全体的に暗く落ち込んだムードが漂っている。
 そんな中のことだった。

「……フィフスチルドレン?」
「うむ」

 と、ミサトの疑問に答えるのは冬月だった。

209:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:07:02
 冬月がいうに本日付で、損失したシンジの代わりにエヴァ初号機のパイロットとして新
たな人材が送られてくるのだという。
 それにミサトが首をかしげた。

「言いたくないのですが、第壱中学校の子たちがチルドレン候補だったんでしょう。それ
が全滅したのにどうして……登校拒否児なんて居なかったはず」
「それが、どうやらゼーレから直接、送り込まれることになった。名を渚カヲルという。
 レイと同じく過去の経歴が一切不明のチルドレンだ」
「……どうも、臭いますね」

「やはりそう思うかね。昨日、加持君から連絡があってな……ゼーレに初号機パイロット
が接触した可能性があるといっていた」
「加持君が……」
「……ああ。下手をすれば、ゼーレはインベーダーに乗っ取られている可能性がある。と
すればそれが送ってくるチルドレンは」
「刺客そのものの可能性が高い、と」
「まだ確定ではないがな。監視は怠れん」

 そんなことを話していると、だんだんと時間が過ぎてフィフスチルドレンがやってくる時間になった。
 これを迎えるためにミサト、竜馬とアスカが動員される。
 ゲンドウ、冬月、レイ、マヤ、マコト、シゲル、他オペレータ各員が固唾を呑んでフィ
フスチルドレンを連れてくるのを待った。
 竜馬とアスカがミサトに随行したのは、万が一、カヲルがゼーレの、いやインベーダー
の刺客だった場合を考えて、それが牙を剥かないように、あるいは剥けば即座にせん滅で
きるようにしていためだ。

 それゆえ竜馬にはサブマシンガンが持たされている。
 アスカはいつもの軍刀だ。
 さらに、ゲンドウと冬月を含めた各員も武装して、なんとも物々しい待遇であった。
 それを受ける側のカヲルも雰囲気はしっかりと感じ取っていたようで、竜馬に出会うな
り苦笑いしていった。

210:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:08:55
「やあ、あなたが流竜馬さんだね。ウワサ通り、凄そうな人だ」
「なぜ俺を知っている」
「流竜馬、ゲッターロボのパイロット。この業界じゃ知らない人はいないよ……失礼だけ
どあなたはもう少し、自分の立場を自覚したほうがいい」
「けっ、口のへらねえ小僧だ」
「それが僕の取り柄みたいなものだから」

 というと、カヲルはまた笑顔を作ろうとするが、竜馬の顔を見続けるとすこし苦しそう
な表情になって額をおさえた。
 どうしたの、とミサトが覗きこむ。
 それにカヲルは、

「くっ……い……いや、なんでもないんだ」

 といって平静を装うが、それは誰の目に見ても異常があるように見える光景だった。
 アスカがそれをみていった。

「こんなのでシンジの代わりになるの?」

 そのものずばりである。
 だがそこで落ち着きを取り戻したカヲルがアスカを流し目でみる。
 そして、

「シンクロテスト。してみれば解るさ」

 といって後は黙った。
 アスカはいけすかない野郎だ、と思ったがこれ以上口に出せば自身のストレスも相まっ
て大騒動を起こしかねないと思ってこらえた。
 やがてカヲルは作戦司令室に通されてゲンドウをはじめ、各員に挨拶を交わした後に
早速、初号機でのシンクロテストを行うこととなった。

211:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:11:14
 カヲルのプラグスーツは黒一色。細身のその体に張り付く黒色は、よりその姿を細くみ
せて彼の端正な顔立ち共にミステリアスな印象をもたせた。
 同時にアスカとレイもプラグスーツに着替えて、各々のエヴァに乗り込んでいく。
 やがて、シンクロテストが始まった。
 リツコがいないので、技術部のサポートとリツコに師事しているマヤを中心にその行方を見守る。

 しばらく、マヤは各機のシンクロ率の度合いを示すグラフに見入っていたが、その目が
みるみる内に驚愕の色に染まっていく。
 初号機のシンクロ率がバネのように跳ね上がっていくのだ。
 既にその率は八〇パーセントを超えていた。

「信じられない」

 と、マヤが思わず漏らす。
 レイは初号機を起動させるに足るシンクロ率を得るまでに七ヶ月の時間を要し、アスカ
も記録はないが、弐号機を自在に動かせるようになるまで、それなりの時間が要ったのは想像に難くない。
 即日に動かせたシンジでも、シンクロ率は四〇パーセント止まりだったのである。
 それが、この得たいの知れないチルドレンはいきなり八〇パーセントの数値をたたき出
してみせ、なおも、その率は上昇していくようだった。
 作戦司令室の人間たちが固まる。
 ミサトが爪を噛みながら思案にふけっていた。

(これほどとは……ゼーレお墨付きだけあって、天才児なのか、それともやはり)

 渚カヲルは、インベーダーと化したシンジによって取り込まれたゼーレからの刺客か。

 というのがミサトも含めた全員の思惑であった。
 プラグ内にモニターされる映像の中のカヲルはそれを知ってか知らずか、目を閉じなが
ら不敵な笑みを浮かべているのだった。
 不気味な沈黙が流れる……。
 誰かがそれに耐えかね、口を割ろうとした、その時だった。

212:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:13:01
「……あっ。こ、駒ヶ岳付近にパターン青の反応!!」

 と、レーダーに異変を察知したシゲルが振り向いて叫ぶ。
 それと同時にコンソールを操作するマコトが、その周辺の映像を作戦司令室のメインス
クリーンに映し出した。
 ネルフの全体に、総員第一種戦闘配置の指令が飛び回って警報が鳴り響き、新たなシト
の姿が明らかになる。
 どうやら、山岳の上に浮いていることから飛行能力があるようだった。
 ただ、

「なんだ、あのビラ付きのまんじゅうみてえな野郎は……」

 それを見て竜馬が変な声をだす。
 そういうのも無理はない。今までもシトは生物とも機械ともつかない、妙な姿をしたも
のばかりだったが、今回のシトもご多分に漏れず、奇っ怪な姿をしていた。
 全体像は首のない人間、といった感じで最初のサキエルや、イスラフェルと同型ともと
れるスタイルをしていたがそれらと違うのは、凄まじいまでの寸胴だということである。

 竜馬がまんじゅうと称したのんは、この辺りからであろう。
 胴長で、あるのだかないのだか解らない魚のヒレのような脚がちょろりと生え、さらに
腕に当たる肩から下も、蛇腹に折りたたまれた、紙のようなものがひらひらしているのみだった。
 お世辞にも強そうといは言えない相手である。
 だが、竜馬は言う。

「ああいう、ふざけた格好のやつに限ってとんでもねえ野郎だったりするもんだ」

 このシトを、ネルフは第十一シト・ゼルエルと名付けた。
 倒すべき敵を確認した作戦司令室はにわかに喧騒につつまれ、パイロット達も出撃準備
に入っていく。
 隊の構成は飛行可能なゲッターと弐號機による同時攻勢。
 バックアップはネルフの戦闘部隊によって行われる。

213:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:14:56
 初号機は、カヲルの信頼性から待機。零号機はその見張りとして同じく待機だった。
 万が一ゲッターと弐號機が敗北するならば、飛び出していく算段だ。

(うちの最強の二体。まず、そんなことは無いと思うけど……)

 とミサトは思うものの、迫るシトから感じる威圧感に、ただごとならぬ不安感を隠しきれなかった。
 各ケイジからゲッターと弐號機が出撃していく。
 空に飛び上がって一気にシトのいる方向へと向かって直進していく。
 先手必勝である。竜馬が叫んだ。

「アスカ! まず俺が弾幕を作る。そいつを壁に近づいてA.Tフィールドを中和しろ」
「わかったッ」

 そういうと、空に浮かぶゼルエルの姿がみえてきた。
 竜馬が照準をそれにあわせて、叫んだ。

「トマホゥゥゥク、ブーーメランッ!!」

 ドシュン、とゲッターの肩から巨大な戦斧がいくつも飛び出し、ゲッターはそれを器用
に指に挟んでつかむと一気に敵に向かって放り投げた。
 回転するゲッタートマホークの大群が襲いかかり、ゼルエルはA.Tフィールドを展開。
 それがバルディエルと同程度のものならば、弐號機の力を借りずともフィールドを突破
できる算段だったが、竜馬も新しい敵相手にそこまで油断はしない。
 予想通り、襲いかかったトマホークは玩具のようにはじき返されてしまった。

「やはりダメか」
「あんたにばっかり手柄取られてたまるもんですか!」

 と、トマホークを壁にゼルエルに取りついた弐號機が自身のA.Tフィールドを展開して
ゼルエルのフィールドを中和していく。

「よーしっ。見てなさい、こてんぱんに……」

214:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:16:55
 といったときだった。
 ゼルエルの頭(人間でいうところの首もと辺り)らしき、頭骨もどきの目の穴がぎらりと光った。
 それを見た竜馬がとっさに、まずい、と感じ弐號機に向かって跳ね飛んでいく。

「アスカ、離れろッ」

 そういうが、途端に腕の蛇腹な紙のようなものがしゅるりと動き、弐號機に巻き付く。
 アスカが気味の悪さに悲鳴をあげた。

「なにこれぇッ!! やだ、離れられないっ……」

 そういう間にもゼルエルの目穴の光りはいよいよ、大きくなっていく。エネルギーチャ
ージ完了といった風体だった。
 その光景に、かつてのラミエルを思い出した竜馬が叫ぶ。
 ゲッターが弐號機に迫った。

「アスカッ!」

 そしてゲッターが弐號機を跳ねとばすのと、ゼルエルの目穴から怪光線が発射されるの
は、ほぼ同時だった。
 間一髪。
 なんとか光線の軸から外れて二体は山辺に激震と共に転がるが、外れた怪光線が一瞬で
光軸にあった山間部を蒸発させながら空間へ消え去っていくのが見えた。
 強い。
 かつて竜馬が戦ったラミエルの加粒子砲をかるく上回る威力だった。
 それを目の当たりにした弐號機がゲッターを引っ張り起こしながら、ゼルエルから
距離を取るように後退していく。

「なんて威力なの……竜馬。うかつに接近するのは危険だわ、離れてっ」
「うるせえ、俺は敵に背中見せるのは好きじゃねえんだよッ!!」
「ちょっと竜馬!?」

215:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:20:30
 アスカの判断はこの場では賢明といえたが、今の攻撃で竜馬の闘争心にめらめらと火が
ついてしまったらしい。
 ゲッターが弐號機の制止を振りほどいて、再びゼルエルに激突していった。
 その頭部に蹴りをみまうと、一瞬、よろけたゼルエルにがっぷりと組み合う。

「この野郎、ぶっ殺す!!」

 と、語気もあらくコクピットでレバーを荒々しく倒す竜馬。
 ゲッターの全身が唸りをあげて、ゼルエルを潰そうと覆い被さっていく。
 だが。
 ゼルエルは蛇腹の紙のような腕を横に伸ばすと、それを一度細切れにしてから再度あつ
めて人の腕を形作ると、ゲッターの両腕を引き離すように掴んだ。
 力比べの様相になる。
 だが、ゲッターのパワーに自信のあるはずの竜馬の顔がうかない。

「ぐ、ぐぐ、ぐおおおお……ッ!!」

 額に血管をうかべて力むが、ゲッターの腕はぎりぎりとゼルエルに引きはがされていく
とやがて、バキン、とその関節に異常な音が発生して、血液のようなオイルがゲッターの
腕の節から噴き出していった。
 ゼルエルの力は彼の想像を超えて恐ろしいまでの領域にあったのだ。
 だが、それに竜馬はコクピットで口の両端をつり上げて不気味に微笑む。

「け、やるじゃねえか……久しぶりだぜてめえみたいなのはッ!」

 と威勢はいい。
 しかし次の瞬間、ゲッターはその両腕をゼルエルにもがれて衝撃で後ろに吹き飛ばされていく。
 それでも竜馬はゲッター最大の武器を叩き込むべくレバーを全力で倒して叫んだ。

「ゲッタアアアッ! ビィィィイィイムッ!!」

 のけぞって吹き飛ばされるゲッターの腹から、球体がのぞいて極太の光が溢れるようにゼルエルに直進していく。

216:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:22:40
 一矢でも報いてやるという竜馬の闘志がそのままぶつけられたものだった。
 ゲッタービームは先ほどの怪光線のお返しとばかりに、ゼルエルを包み山を砕いて貫いていく。
 が。

「ゲッタービームが……ッ」

 吹き飛ばされるゲッターを救おうと寄るアスカが、ゲッタービームの洗礼をあびてもビ
クともしない敵の姿を見て、言葉につまった。
 さらに次の瞬間、ゼルエルの目穴が光った。
 怪光線である。
 だが、

(早い!?)

 さきほどよりも発射までの動作が短いのだ。
 焦るアスカが倒れるゲッターを引きおこそうとするが、間に合わずゼルエルの怪光線が
二体をつつんでいく。
 アスカはとっさにA.Tフィールドを展開してゲッターを守ろうとするが、ラミエルの加粒子砲
よりも威力の高い怪光線である。
 防ぎきれるはずもなく、まともに直射をあびてしまう。

「キャアアァアアァッ」

 アスカの悲鳴がひびいた。
 やがて、照射が終わるころには弐號機は全身をズタボロに溶かされていた。
 弐號機がぐわらりと崩れ落ちていく。

217:ここまで
07/11/23 23:25:10
 ゲッターの方は弐號機が影になったおかげで、致命傷を免れていた。しかし、やはり満
身創痍となっている。
 それでもなお立ち上がった。
 竜馬がアスカに通信を入れる。

「生きてやがるか」
「……くぅぅ……へ、平気、こ、これぐらい……っ」
「まだ飛べるか?」
「プラズマ、ボムス……まだ動くわ。でも、戦闘はもう……」
「動けりゃいいぜ。俺が囮になる間に退けッ!!」

 というと、竜馬は返答を待たず弐號機をゼルエルの正面から外れるように蹴り飛ばすと
同時にゼルエルに突撃した。
 突撃ばかりで果たして利口な戦法とはいえなかったが、こうなってしまった以上は離脱
する間にも怪光線に撃ち抜かれてしまうだろう。

 助かるためには、スキを作らねばならなかった。
 それにはどちらかの犠牲が必要だ。
 両腕を失い、そこからオイルを吹き出す痛ましい姿のゲッターが、ゼルエルに再び肉迫していった。

218:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:31:21
乙です!
久し振りにリアルタイム遭遇!

あああゲッターが、ゲッターがあああああ…
犠牲が必要って、どうなっちゃうのー
シンジやカヲルのことも気になるし
加持さんも…

しかしこの物語、誰にも荒らされたくないけど
ここだけに置いておくのはあまりに惜しい…
ううむ…


219:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:33:26
ううう…ゼリエルならゼリエルならやってくれると信じていたっす…

220:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 23:34:10
>「俺は常になにしでかすか解んねえから、いいんだよ」 
ひでえwwwwww自覚してんのかよwwww


って投下早ェ!?規制対策ですかい?

221:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 03:48:46
なんか板変わった?前の方が使いやすかったんだけど

222:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 08:58:54
逆境ですね

さて、カヲルはどう動く?
将造×敷島コンビの行方は?
リツコさんは戻ってくるのか?(個人的にココが一番心配)


それにしても、このハイペース…
職人さんの執筆部屋は通常の十倍のゲッター線濃度なのかしら

223:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 10:29:52
それでも真ゲッターなら…!

224:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 13:35:09
>>218
惜しくない惜しくない。ここだけに置いとけ
万が一やるんなら全部終わってからだ!

225:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 13:36:46
>>218
理想郷に帰れ

226:218
07/11/24 14:01:37
別に理想郷とやらの住人じゃないよ
つかそういうところがあるってここのスレで聞くまで知らなかったし
行ったこともない場所の住人に認定されても困る

ただ、これだけの素晴らしい物語なのにここにだけ置いてあるのは
もったいないなあと思っただけ
人に気軽に紹介できる場所じゃないしね


227:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 14:15:40
スレ違いだ余所でやれ、それとあまり連呼すると検索に引っ掛かる可能性があるから止めろ

228:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 14:34:26
その出自に関わらず、出張ると邪魔だ。黙ってろ

229:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 17:09:57
その理想郷の住人が来たらどう荒れるの?
作者をけなしまくるとか?

230:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 17:41:34
だから、もうその話はやめましょう。紹介をする必要はスレの平安のためにも必要ないです。

231:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 17:49:51
ゲッター線に導かれた者は自然とこのスレにたどり着く筈だ
宣伝など無くてもな、俺やあんたらがその証拠だ

232:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 18:23:36
とりあえず、理想郷で紹介された場合だとまともな人だけじゃなくおかしなのも見る可能性があるからじゃないか?
具体的にはAAや埋めで荒らしまくっている基地外とか?
あとゲッタークロスオーバーWikiでもつくろうか?


233:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 19:15:43
それが最善だとおもいます。常に最悪の事態を想定した方がいいと思います。

234:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 19:21:49
まぁ今まで「エヴァを踏み台にしてる」うんぬんいって荒らされなかったのが不思議なくらいだしなぁ。
そっとしておくのが一番かな。

235:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 21:00:24
たまに他作品を引き合いに出してその作品のファンを煽るおばかさぁんはいるけどね

236:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 21:03:14
>>235
おばかさぁんで吹いたw
寛平ちゃんは反則だよ

237:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 21:03:28
なんだか「ゲッターと弐號機があればネルフ最強だぜwww」って流れが覆ったな。
この後何が起こるか。リツコも帰ってこないのに敷島行方不明じゃメカニックが・・・

238:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 21:08:41
大丈夫、隼人、武蔵、弁慶を引き連れて帰ってくるから

239:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 21:53:41
うっかりアニメ版のを連れてきちゃってみんな涙目

240:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 22:04:59
ついでに真ゲッター持ってきたりして

241:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 22:05:06
いや、アニメ版でも十二分に戦力になると思うぞ。リョウなんか比較対象がアレだから
「大人しい」とぁ「優等生タイプ」と称されるけど、刀振り回して鬼を斬殺する高校生を
普通は大人しいとは言わないよねぇ。

242:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 23:00:20
ゲッタークロスものでいうと「少年兵シンジ」の作者がナデシコとゲッター
のクロス書いてたな
ナデシコよう知らんので読むの途中で挫折したが

243:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 23:29:59
>>241
たしかに、原作漫画版のは名前が同じだけのは完全に別な高次元の戦闘生物ですから。


>>242
ああ、あれですね。ナデシコとクロスするのはいいですが、黒アキト逆行要素がある時点でTT
むしろ、逆行ではなく始めからTV版とのクロスにして、ここのSSように、ナデシコを土台にして
良い意味塗りつぶして(ナデシコ世界にゲッターによる粛清の嵐を!!)いく感じにしてくれれば良かったのに。
特にナデシコは、劇場版で嫌いになりました監督のエゴがひどい、なぜあれが指示されているのかわからない。
復讐のスタンスも生ぬるいし、石川先生のキャラを見習えといいたい。

244:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 23:55:31
>>235
さっそく来たよ、そのおばかさぁんが


なあ、>>243

245:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/24 23:59:13
>>244!ゲッタースルーだ!

246:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/25 00:18:40
甘いな!粘着ビースト!

247:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/25 08:27:56
誰も突っ込んでないけど>>207にでてくる岩鬼組の菅原と高倉の元ネタは菅原文太と高倉健だな。

248:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/25 10:11:00 oivBow2q
>>239
TV竜馬はなにげに真っ黒

249:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/25 15:25:20
>>248
kwsk

250:つづき…の前に
07/11/25 18:34:59
とりあえず紹介とかはナシで。
気に入ってそういってくれた人、ごめんね。


つづき


 その様子が、作戦司令室にもはっきりと伝わっている。
 彼らは最初ゲッターと弐號機があまりにあっけなく敗れる様を信じられない、といった
風だったがすぐに現実に戻って、初号機と零号機の発進許可を求めた。
 よろしいですね、と確認するミサトにゲンドウが応じる。

「やむを得ん。初号機と零号機を発進させろ」

 というと、すぐにミサトが手をふって采配ふるった。

「エヴァ両機はただちに発進、零号機をバックアップに初号機を前衛に出せ」
「りょ、了解ッ」

 ミサトの指示を皮切りに、オペレータたちが機械の駆動部品のようになって動く。
 
 そして視点を戦場へ戻そう。
 両腕を失ったブラックゲッターがゼルエルに激突する寸前、竜馬がレバーを引き戻すように操作し、

「喰らいやがれ!!」

 と、上半身のイーグル号が分離した。
 ゲッター本体のダッシュと、ゲットマシンのロケット噴射の二段加速による勢いでもっ
てぶち当たり、イーグル号がスリングショットの弾のごとく弾かれ飛んだ。

251:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/25 18:36:32
 瞬間、どうっと盛大な音が響いてゼルエルがゆらめき、バランスを崩し横転していく。
 そのスキにイーグル号がゲッターの体に戻り、再びブラックゲッターと変じて大地に降
り立つが、まるで体力の尽きた人間のように立て膝をついてしまう。

 もはや、これ以上の戦闘はできそうにもなかった。
 コクピットのコンソールには機体各部のダメージが限界に達していることをパイロット
に伝えており、外から見てもあちらこちらから溢れるオイルと共に放電を起こして今にも
爆発してしまいそうな状態だった。

 だが、竜馬はコンソールの警告を無視してゲッターに最後の力を振り絞らせると、ふわ
りと舞い、起き上がろうとするゼルエルにボディプレスを見舞った。
 すれば敵が一瞬ひるみ、同時にゲッターは転がり落ちて仰向けの状態になる。

 即座に竜馬がコクピットから脱出するが、逃げるつもりではないようだった。
 彼はとなりに伏すゼルエルの巨体を横目にゲッターの胸を滑って降っていき、そして腹
にたどり着くと、その一部にある小さな突起を押した。
 と同時に、いくつかのボタンが並べられたパネルが顔をあらわす。
 竜馬がそれを操作しながら、

「追い詰められた人間が、なにをするか見せてやるぜ」

 といった。
 その姿は、先の将造の行動を思い出させる。
 将造は学校にてインベーダーをせん滅するために、ゲッタービームガン炉心の融解を実
行したが、竜馬は同じ事をゲッターそのものでやろうとしているのだ。

 フルサイズのゲッター炉心が自爆すれば、その破壊力はどれほどのものになるかは見当
もつかないしそれによる被害も予測できない。
 しかも、だからといってゼルエルを撃破できるとは限らないのだ。


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