07/12/10 23:38:35
>>597
嫌ならこのスレ見なければいいじゃん
601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:42:07
>必要があるのかよ
正に必要ないのにエヴァ板で暴れてるから、他行ってやれと言われるんだろ
602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:43:48
>>599
①最近になってこのスレを知った。
②クライマックスが近いのでそれに当てられた。
③②の理由で「勝ち逃げ」されるのが我慢ならなかった。
④受験シーズンだから。
⑤理由は無い。荒らしたいだけ。
603:名無しが氏んでも代わりがいるもの
07/12/10 23:44:31
早く職人さん投下してくれないかな
続きが楽しみでしょうがない
604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:45:49
>>602
⑥テスト明けだから
が抜けてるぞ
605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:46:23
荒れてるタイミングがどうであろうと、何の正当性にも繋がらないけどなw
606:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:47:26
⑦ゲッター厨のキモさがそろそろ我慢ならなくなった
ゴキブリ見つけると落ち着かなくなるよね
607:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:48:37
お前ら(一人かもしれんが)、その辺にしとけ。
たかが二次創作で踏み台だのマンセーだの。
まぁ、確かに「エヴァからゲッター成分抜いたらスカスカ」とか言われりゃ、腹も立つだろうが。
608:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:49:34
つかゲッター的なものをゲッター成分と呼ぶのが痛すぎるんだが
腹が立つってより失笑
なんでもエヴァの影響とか言って勝ち誇る恥ずかしいエヴァ厨と同じだよな
609:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:50:37
あらゆる作品信者をいじめて遊ぶのが俺のジャスティス
ちなみに新シャア板でザクでなのは(笑)をいじめてたのも私だ
610:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:51:05 YqcuPmQk
>>607
失敬な!
魔獣戦線成分やデビルマン成分、ウルトラマン成分にトランスフォーマー成分と
他にも盛り沢山ですよ!!!
611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:52:21
え?このスレの奴全員ゆとりだろ?
石川厨はACE3の影響でOVAマンセーしてるゆとりで、
エヴァ厨は映画の影響でマンセーしてるゆとりだろ?w
馬鹿じゃねえのwwwwwwwwwwwwwww
エヴァ厨はスレをスルー出来ないゆとりwwwwwwwww
石川厨はレスをスルー出来ないゆとりwwwwwwwww
きめえからスレたてんなよ石川厨wwwwwwwww
きめえから板つくんなよエヴァ厨wwwwwwwww
ゆとりだからスルースキルも煽り耐性もないんだよなwwwwwwwww
どうせニコニコ出身だろwwwwwwwww
ニコニコに帰れよゆとりwwwwwwwww
ゆとりしかいないスレと板wwwwwwwww
だってゆとりじゃないなら石川好きは懐かし漫画板でまったりしてるだろwwwwwwwww
ゆとりじゃないならエヴァ好きはスレ無視して他のスレでまったりしてるだろwwwwwwwww
だからゆとりはきめえんだよwwwwwwwww
死ねよゆとりwwwwwwwwwうはwwwwwwwww
612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:52:45
>>607
たかが二次創作と言うなら、拘らずにスレ潰すか板移動するかしろよ
なに偉そうに言ってんのw
613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:54:10
>>612
草生やしてんじゃねえよwwwwwwwwwwwwwww
ゆとりは10ch帰れよwwwwwwwww
エヴァ厨も石川厨も同じくらいきめえwwwwwwwww
いい加減気付けよゆとりwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
614:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:54:28
なんて幼稚な奴らだ
こんな明らかなマッチポンプに引っ掛かるとは
615:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:55:01
なんなんだこの流れは
616:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:55:02
>>610
その通りだな
様々な過去作品の影響と庵野自身の感性とで作られてる
石川石川言ってオナニーしてるゲッター厨の勘違いは気持ち悪い
617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:56:24
>>614
お前もこんなスレにいる限り幼稚wwwwwwwww
スルー出来ないエヴァ厨と石川厨の仲間入りwwwwwwwwwwwwwww
これだからゆとりはwwwwwwwwwwwwwww
キモスwwwwwwwwwテラキモスwwwwwwwww
ゆとりはワンピース(笑)でも読んでろよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:57:13
石川厨だのエヴァ厨だのって両成敗でいいからお前ら
と り あ え ず 落 ち つ け
現実はエヴァみたいに人間スープの集まりじゃないんだから、嫌なら見なけりゃいいし、そして煽るな。
皆が社会の底辺ではない人間らしい人間であることを望む。
619:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:58:51
>>612
偉そうに見えたか。すまないな。
移転するにしろ継続するにしろ、職人の意見を聞かなければ。
俺達名無しだけで決められることじゃない。
620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/10 23:58:54 jAJKuy4Z
何でキリコすぐ死なへんの?
621:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:00:01
>>618
嫌ならお前がこのスレ見なきゃいいじゃん
つかあんたは>>585と>>595そのままだな
わざと?
622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:00:07
ゴメン誤爆した
623:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:01:44
何沈静化してんだよwwwwwwwwwwwwwww
反論出来ないっすかwwwwwwwwwwwwwww
論破(笑)してみろよwwwwwwwwwwwwwww
ゆとりなんだろwwwwwwwwwwwwwwwwww
だから石川厨もエヴァ厨もクズだらけなんだよwwwwwwwwwwwwwww
とりあえず腐女子連中にこのスレ教えとくわwwwwwwwwwwwwwww
せいぜい罵り合いしててくださいwwwwwwwwwwwwwwwwww
624:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:03:06
>>622
正直、ID出ない板じゃ何が何の誤爆かまるでわからんw
625:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:03:29
>>621
すぐ他人につっかかるwwwwwwwwwwww
さすがゆとりwwwwwwwwwwwwwwwwww
あ、もしかして腐女子(笑)っすかwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwwwwwwww
626:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:04:12
取り敢えず職人にはSSの完走をしてほしいです
627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:04:13
>>624
キリコに決まってんだろwwwwwwwwwwwwwww読解力ねえなゆとりはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
628:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:05:02
626訳
:荒らし行為を止めるつもりなどさらさらありません、俺が楽しければいい
629:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:05:14
>>624
キリコの件について誤爆した
630:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:06:11
>>621
いや、俺は続き楽しみにしてる側だか?
結局は双方とも華麗に受け流せって事よ。
早く続き投下されんかな?
631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:08:02
>630
このスレ自体が荒らし行為→だからそれを指摘される
それが嫌ならスレ見るなって事だ
632:名無しが氏んでも代わりがいるもの
07/12/11 00:08:29
>>626
ですね、このまま終わってしまったら俺は火星に旅立てないw
633:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:09:16
ゲッター厨には馬耳東風だなw
ハルヒ厨やギアス厨ですら、自分らが何をしてるかって自覚くらいはあるんだが、
それすらないってのが凄すぎるw
634:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:13:36
何をしてるか?
クロスオーバーだろ?違うのか?
635:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:14:23
>>633
何回言ったら分かるのwwwwwwwwwwwwwww
お前もクズ石川厨と同じクズwwwwwwwww
それとも認めたくないのかな?かな?
これだからゆとりは幼稚な煽り方しか出来ないんだよなwwwwwwwwwwwwwww
きめえwwwwwwwww全員きめえwwwwwwwwwwwwwww
636:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:15:20
ゆとりゆとりとうるさい奴がwの連発ですごく馬鹿に見える件だが、
学校教育はゆとりでなかったとすると家庭の問題だな。
親のお里が知れるというものだ。
あと板云々と粘着してる奴は、楳図かずお自宅問題で近隣住民と称して
「景観、景観」と言い立てるが実は1キロ以上離れたよそ者だったクソババの同類。
板住民でもなけりゃそもそもエヴァファンでもないただの荒らし。
637:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:16:12 J/j7A5gl
>>634
クwロwスwオwーwバwーwwwwwwwwww
妄想はらくがきちょう(笑)に書き込んでろよwwwwwwwwwwwwwww
違う作品同士が混じるわけねーだろwwwwwwwwwwwwwww
これだからゆとりはwwwwwwwwwwww
馬鹿ばっかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
638:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:16:18
年取ると図々しさに磨きがかかって自分の恥に気づけなくなる人がいる
ゲッタオタとかほとんどはもういい年だろうし
639:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:18:02 J/j7A5gl
>>638
だから石川厨もエヴァ厨もロボゲで流れ込んだゆとりだってのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
それくらいも分からないくらいお子様ですかwwwwwwwwwwwwwww
ゆとりはニコニコに帰れよwwwwwwwwwwwwwww
640:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:18:46
スルースルーと言っても、スルーすりゃ済む話でもないからなぁ。
確かにこちらにもまずい点はあったわけだし。
641:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:21:27
>>637
違う作品同士が混じりあうことをクロスオーバーと言うんだがね
フィッシュされてみた
642:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:24:08
>>640
まあ事実他作品批判が過去にあったからなぁ
ファンは広い心を持って作品を受け入れる必要があると思うんだ
そこら辺は個人の良識や知識が試される所だと思う
643:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:28:49
>>637
スパロボ、ナムカプ全否定じゃねぇか
644:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:30:20
ゲッターじゃなくて他作品にあてはめて考えれば想像しやすいんじゃない?
①エヴァ板にハルヒとのクロススレを立てる
②ハルヒキャラ(長門あたり)が能力の差を見せ付けて大活躍!
③ハルヒファンが集まって、最高、神だと大絶賛!
④エヴァ踏み台にするなよ、ここはエヴァ板だ、やりたければ移動しろと言われると
「エヴァが大した事ない(そして長門が凄い)から仕方が無い」「悔しいならその逆を書けばいいだろ(長門には勝てないからできないだろうけど)」「嫌なら見るな」
これで叩かれない方がおかしい
645:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:31:11
>>637
クロスオーバーの実例
・マーブルのアメコミ(バットマン×ジャッジドレッドなど。最近混ざり過ぎてわけわからん)
・逆襲のギガンテス(長谷川祐一の怪作。イデオンとUCガンダムのクロス)
・東映まんがまつり(マジンガーZ対デビルマンなど)
ぱっと挙げただけでもこれだけあるが
646:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:32:43
>>643
ある意味スマブラも追加で
647:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:35:36
>>644
踏み台踏み台言い立ててるのは約一名のためにする粘着でしかない訳だが
648:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:37:15
ゆとりくんは論破(笑)されて泣いて逃げましたwwww
649:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:40:02
>>647
今日のやり取り以外でも既出(過去スレでも出てたはず)
それに対する反応も、>>478など認めたうえでの発言
650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:41:12
>>644
②と③は妄想じゃん。
ゼルエルにフルボッコされたり肝心な時に指を咥えてるしかなかったりで
最終的な勝利条件はシンジに掛かってるわけだし。
651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:41:19
というか4スレ目まで来ていきなり言われてもな…。
これまで平和だったのに、いきなり荒れ始めて。
約一名の粘着にしか見えない。
652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:47:12
>651
つ >>575
653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:48:39
>>645
イデオンとガンダムのクロスめちゃくちゃ興味出たw
654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:51:14
一人の粘着であろうとなかろうと、こちらにも非があったのは事実。
ま、その「非」も自演だった可能性も否定できないが、そんなことまで疑ってちゃきりがない。
とりあえず俺達に出来るのは、
・他作品を引き合いに出さない
・他作品を軽々しく批判しない
くらいか。
655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:53:35
ワロスばっかの露骨なのにまで反応するなよ
論破できなきゃ負けだとでも思ってるのか
656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:55:26
とりあえず、軒を借りてるみたいな気持ちはあった方がいいんじゃね?
657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:55:38
既出既出言ってる奴が居るが、少なくとも1レス1分間隔で流れる変態的な流れはなかったぞ
ゲッター厨や石川厨だのって言葉さえ殆ど出てない。過去ログが>>1からリンクしてるのを忘れるなよ
そこに一日100レスなんて流れが唐突に出てくるなんぞ、どう考えても妙な粘着だろ
ID出ない板なんだし
658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:56:26
>>605
659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:57:16
しっかし見てたら「ほっとく」だの「こちらにも非がある」だの腰が引けてる意見ばっかで笑えるw
そんなんだから付け上がられんだよw
660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:58:00
>>657
ここ最近の流れが異常なのは確かだけど、
そういう感想を抱く人間も少なからずいるんだろうな、って事は心に留めとくべきかも。
661:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 00:58:12
一匹粘着が入り込んだのは間違いない。
662:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:00:00
反論できないからって話逸らして誤魔化しても意味が無い
663:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:00:36
>>659
なら、お前ならどうする?
それだけ偉そうに言うからには、さぞかし立派な案だろうな。
664:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:02:40
粘着は一人かもしれんが、煽り耐性がないのもセットになってるみたいだな…
665:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:03:04
エヴァ板ではこのスレしか読んでいないが、よその板のクロスオーバースレでも
クライマックスに近付いてきた辺りでおためごかしの言い掛かりをこね始めて
あわよくば作者のやる気を失くさせて中断に追い込み脳内勝利宣言したがる
ドブネズミ野郎が時々涌いてた。今日粘着してたのもそのクチだろ。
盛り上がってたスレをつぶした俺凄くね?とかひたりたいだけでエヴァ好きでも
なんでもねえよ。
666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:06:56
>>663
どこが偉そうなの?ただ単にいちゃもんつけられただけなのに「自分も悪かったから反省しよう」みたいな考えを笑っただけだよw
どう見ても馬鹿が暴れてるだけだからいちいち自虐的にならなくていいよ^^
667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:10:47
煽り耐性ってのは煽りを無視することであって煽った内容を見て「自分達も反省しよう」って考えることではないと思う。
堂々としてればいいんじゃない?
668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:11:15
まあまあ喧嘩腰はやめようぜ
669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:14:52
次の投下が待ち遠しいな
670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:14:54
>>656
軒を借りてるっつっても煽りと腐女子の妄想以外では
誰もエヴァを軽んじてたりはしてなかった件。
他の作品が引き合いに出された時にそれをキライな奴が叩き出したりの要自重クンは存在したが。
粘着は明らかにエヴァ好きとは違うポイントで騒いでたし。
え?庵野やエヴァが他作品に影響受けまくってる云々?
それはエヴァ好きなら別に恥じたり怒ったりするポイントではない。庵野をマンセーするポイントだ。
671:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 01:15:48
最後2行だけ無理やりだろw
672:つづき
07/12/11 02:45:54
「来る……」
アークの手のひらの上で、シンジがいった。
「ああ、来るね。彼らが」
「私たちに取り込まれることを拒む者」
カヲルとアスカの相づちに、シンジは大きく頷く。
「ゲッターロボ、そして流竜馬。あれを倒さない限り、完全勝利は決してみえてこない」
シンジはそういうと、アークの手のひらから飛んで胸の中央にある球体になった部分に
触れると、めり込むようにして消えていった。
なお、ここでゲッターロボアークについて少し詳細を記しておこう。
ゲッターアークは、ゲッターロボの発明者である早乙女博士が生涯において制作した中
で最後期作にあたるものだ。
細かな開発時期は、真ゲッターの開発過程における、とされている。
不安定なゲッター線エネルギーの安定を最優先してつくられた、試作真ゲッターの一つ
とでもいえる機体だった。
安定しているということは、常に最大の効率で戦闘を行えるということであり、先にも
起動不能になった真ゲッターに比べた場合、潜在能力は劣っても信頼性は極めて高い。
兵器としては、最大出力が高いが常に不安定な機体より、多少出力は低くとも安定して
いるものの方が強力たり得るのは、当然だろう。
ただ、ゲッター線の器として考えた場合はその限りではないのだが。
カヲルの言葉を信じれば、これはあくまで模造品だということだった。が、本物のアー
クと同等の物であるとするならば、以下のような構成になっているはずだ。
いわゆる、ゲッター1の形態がアーク。同じくゲッター2の形態がキリク、そしてゲッ
ター3の形態がカーンである。
総称としてはゲッターアークでいい。
673:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:46:56
なお、これも他のゲッターロボ同様に三機のゲットマシンによる分離・変形を行うのだ
が残念ながら、各ゲットマシンの名称は不明である。
なので、ここでは単純に一号機、二号機、三号機と表記したい。
つぎに武装のことだ。
まず、基本の内蔵火器は変わらない。
ゲッタービーム、ゲッタートマホーク(ダブルトマホーク型、双刀に合体可能)だ。
そして、この機独特であるのが、先に見せた背中の魚の骨のようなものを展開させて繰
り出す超高圧電撃サンダーボンバーと、もうひとつ。
腕に巻き付いている形状記憶合金のような、長大な三連の刃を起こして敵を切り刻む、
近・中距離用格闘武器バトルショットカッターの存在だ。
また、もっとも特徴的なのが弐號機を喰らった時にみせた噛み付きと、両手の爪によっ
て文字通り肉弾戦が可能なことである。
そのためゲッターアークは他のゲッターに比べると、顔が人間じみている。どことなく
初号機をほうふつとさせなくもない。
キリクは全身がバラの形を模した刃物といっても過言ではない体に、ドリルとウインチ
アームの二種類へ自由変形する両腕が武器だ。
そしてカーンは、手脚が超巨大なスパイクタイヤで出来ているような形態であり、実際
に車輪そのものに変形して相手を押しつぶすこともできる。
以上のことから、通常の状態にある真ゲッターと比較しても遜色ない戦闘力を秘めてお
り、敵として考えた場合は非常に厄介な相手だった。
やがて、シンジがカヲルの座る一号機のコクピットに現れる。
彼は音もなくカヲルに背後から近寄ると、その肩にふわり、と両腕をまわしていった。
「カヲル君、代わってくれないかな。竜馬さんは真ゲッター1で来る。なら僕がアークで
息の根を止めてあげたいんだ」
「ああ、いいよ。君の望みは僕の望みでもある」
674:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:48:12
カヲルは、その黒目だけを横にやりながら応えると目の前のコンソールをパチパチとい
じくった。シンジが回した腕を、ゆっくりと離す。
するとカヲルの座っていたシートだけが、その下に空いた穴に飲み込まれていった。
しばらくしてから無人となって返ってくる。
そしてシンジがシートに収まると、スクリーンに二号機へと映ったカヲルの姿と、さら
に三号機の中にいるアスカが映った。
シンジはアスカに向かって問いかける。
「アスカ、気分はどう?」
「こんないい気持ち、生まれて初めて。今まで苦しんでたのがバカみたい」
「ふふふ。そういってもらえるとうれしいな」
「さて……聖戦だね。シンジ君」
「そう、結局は時天空さえ倒せればいいんだ。ここらで人間には退場してもらおう」
かつてと変わらない口調で、しかし三人は明確に人類を滅ぼすことを確認しあう。
思えば、いままで何度も彼らの立ち振る舞いを描いてきた。
どうやらインベーダーに寄生された彼らは、人間であったときの記憶と、インベーダー
としての意識が融合しているようだった。
だがインベーダーに感情はない。
好きと言っても、うれしいと言っても、彼らが人の感覚である、こころの変化を起こして
いるのではない。
生前の記憶にのまねごとを、機械的にしているのみである。
いわば、知恵のあるゾンビのようなものだった。
そしてシンジがコントロールレバーを握りしめると、その真下から真ゲッターが弾丸の
ように突撃してくるのが確認できた。
間もなく、竜馬の怒号が響く。
「シンジィィィィイイイイッ!!」
「いくよ、アスカ、カヲル君。ゲッタートマホークッ」
675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:49:26
シンジが叫ぶと、アークの両肩から巨大な両刃のトマホークが射出される。
それを左右の手で引き抜き、柄と柄をつなぎ合わせて双刀とすると、それを振り回しな
がら迫る相手に向かって突撃していく。
対する真ゲッター1も自分よりも巨大なゲッタートマホークを両手に持ち、アークと激
突する瞬間に胴体を回転させるかのような勢いで振り払った。
ぐわん、と空間を切り裂いて刃が敵に襲いかかる。
が、アークも双刀の片側でもってそれを弾くと、もう片側を真ゲッター1に向ける。
どんっ、と半分が柄から離れて撃ち出された。
トマホークが迫る。
竜馬が唸った。
「むおおっ!」
それと共に真ゲッター1はゲッタートマホークを手から放し、左腕の巨大カッターで撃
ち出されたトマホークを受け止めると、ぶんと振り払って捨てた。
息はつかない。そのまま、
「ゲッターッビィィィイムッ!!」
と、腹部から赤色の濁流をアークに向かって解き放つが、相手も、
「ゲッタービームぅ!!」
額に埋め込まれた球体から、やはり赤い光線を発射すると真ゲッター1のビームを受け
止めた。両者の威力は拮抗しているようで、どちらに押し出されることもなく、やがて
エネルギーを失って消滅する。
これを見て将造が叫ぶ。
「バカタレ、同系統でやり合おうてどうする! こういう小手先で攻めてくる野郎は力で
押しつぶしちゃるんじゃ、真ゲッター3じゃ竜馬ァ!!」
「操縦できんのかよッ」
676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:50:28
「こんなもんレバー倒しゃ動くわいっ、チェンジゲッターすりぃぃッ!」
将造がレバーを折るような勢いで倒すと、アークの目の前で真ゲッターが分離して蜂の
ように舞うと、その真上で真ベアーを先頭にしてチェンジしていく。
そしてアークの頭上で真ゲッター3が出現すると、黒く大きな影となって覆い被さって
きた、と思えばその巨大なキャタピラのついた、扁平の脚で垂直に踏みつけると剛速球の
下降がはじまる。
すれば将造は、
「ミサイルストームじゃ!」
と、脚の上部を展開させて無数のミサイルを撃ち出していく。
それは下降の速度も上回って飛ぶと反転し、真ゲッター3に踏まれて身動きのとれない
アークの下部へ迫るが、命中には至らなかった。
アークがオープンゲットしてミサイルを回避してしまったのだ。
通過した全弾が真ゲッター3に命中していくと、もうもうと空に爆煙が舞った。
その隙を縫ってアークが、
「チェンジ、キリク」
と第二の形態に切り替わると、高速度をもって爆煙を突き抜けて真ゲッター3に近づく
と巨大ドリルと化した両腕を突き出して襲いかかってくる。
将造がオープンゲットで回避しようとするが、寸前で間に合わず一撃を食らって腕に損
傷を受けてしまう。
次の瞬間でようやっとオープンゲットできた。
やはり、さすがの将造といえども初乗りではなかなか息が合わないようだ。
対して相手はインベーダーという、意識の共同体だ。
分が悪い。
「バカヤロー!」
「じゃかあしい!」
「喧嘩しないで! 離脱するわよ、チェンジゲッター2!」
677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:51:30
リツコが叫んで真ゲッター2がキリクより離れるべく、急加速を開始するが相手の方も
同速でもって追いかけてくる。
もとより、どちらも同じ開発時期にある同士である。
潜在能力の差はあれど、基本性能に違いはないのだ。
「逃げるのかい」
カヲルが真ゲッター2の後ろ姿を見て、うすら笑った。
それが聞こえていたのであろうか、真ゲッター2から右腕のドリルが撃ち出される。
キリクはそれを両腕のドリルを交差させて防いだ。
その間にリツコは再びオープンゲットし、また真ゲッター1の姿へと戻り、迫るキリク
にゲッタービームを撃ち出すが、オープンゲットで回避されてしまう。
だが、竜馬は諦めずにさらに一発、二発と、ビームを乱射しながら叫んだ。
アークのゲットマシンはそれらをたくみに回避しつつ、三号機を先頭にチェンジした。
「チェンジ、カーンッ! ほらほらっ、もっと逃げたらどぉ?」
「逃げるかよこの野郎!」
「じゃあ遠慮しなぁい」
と、竜馬の反論にアスカの声が響くと、全身スパイクタイヤへと変じたカーンが真ゲッ
ター1に突撃してくる。
竜馬はさらにゲッタービームを撃ちまくって迎え撃つが、見た目通り頑丈なのだろう、
全てはじかれてしまう。しかも、それが思わぬ高速で激突してくるので、竜馬にも反応す
る余裕がなかった……いや、訂正する。
竜馬に油断があった。
ゲッター3系統のパターンであるカーンならば、速度が殺されると思ったのだ。
実際、竜馬が乗ったことのあるゲッターロボでは、どれもゲッター3系はパワー重視で
速度はなかった。
が、アークにおいてはその常識は通用しない。
ゲッターに慣れすぎたがゆえの誤算であった。
回避に失敗した真ゲッター1が、自身を削るカーンをなんとか防ぎ止めようと抱えた。
678:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:52:34
「このやろ負けるかぁあああっ!!」
震えるコクピット内で吼える。
竜馬が熱くなりすぎて冷静でなくなっていくのがリツコにわかって呼びかけるのだが、
聞くものではない。将造が叫んでも同じだ。
だが、つづいて竜馬の脳裏に聞いたことのある声がひびいた。
これに竜馬は目をはっとさせる。
「……アルミサエルか!?」
(竜馬、冷静になれ。お前の使命は少年を救う事、我らの使命はタブリスを救う事。相手
を破壊することではない!
落ち着いて距離を取り、真シャインスパークをつかえ。我らをアークへ導くのだ)
「偉そうにいいやがる、やってやろうじゃねえかっ」
と、アルミサエルの言葉に幾分か落ち着きを取り戻した竜馬は、カーンを抑える四肢に
くわえて、悪魔の翼ともいえるゲッターウイングを羽ばたかせると、それも手脚のように動かした。
敵の背後へ翼を伸ばし、引っぺがすように力をかける。
すれば、カーンの激突する力が削がれて離脱する隙が生まれた。
死中に活である。
竜馬が叫ぶ。
「オープンゲット!」
どん、と真ゲッター1が三つに弾け飛ぶと、支えを失ったカーンが弾丸のように突き抜
けていく。それが軌道を戻して、アークにチェンジし直す頃には、遠くにすでに真ゲッタ
ー1が構えている姿がみえた。
その様子が、先ほどまでとは異なっているのを感じてシンジが手をとめる。
同時にアークも動きを止めた。
「シンジ、今助けてやるぜ。ちょいと手荒だがな! リツコ、将造、気合い入れろ!」
「ええ!」
「オオヨ!」
679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:53:36
やっと意思がひとつになったようだ。
ぶお、と真ゲッター1の足下から上昇気流のような緑色の光が立ち上ると、コクピット
ではゲッターエネルギーを示す数値が、うなぎ登りに上昇していく。
その余波なのか、それぞれのコクピットも異様な高温にされされる。
空調は完全に機能しているのに、それすらも追いつかないのだ。
にじみ出る脂汗をなめて、竜馬がいった。
「いくぜアル公」
(承知)
「真ッ!! シャイン・スパーーーーークぅッッ!!」
竜馬の叫びと共に、光を帯びる真ゲッター1が空を超えて天を突き抜けるようにして上
昇していく。その凄まじい速度は、一瞬にして大気圏を飛び出すほどだった。
宇宙に出た真ゲッターは、間近に迫る月を背に反転して直角に再び地球へと落ちると、
火の玉になってアークのいる領域に突入していく。
この往復に掛かった時間は、わずか数秒に過ぎなかった。
それによる機体への負荷、音速による衝撃波は、数値にしてみれば恐ろしいものであっ
ただろうが、真ゲッターにとっては何の影響もない。
むろん搭乗者も負けてはいなかった。
竜馬と将造は鼻血を吹き、リツコは吐血するが彼らはくたばらない。
普通の人間だったらとっくに肉塊と化している頃だろう。
そして、意思と摩擦で火の玉となった真ゲッター1がアークに一瞬で迫る。
そのまま、かすれるように通過していく。
外れたか。
と思われたが、違う。通過の瞬間、真ゲッターの体より出でたアルミサエルが、アーク
の胸に突き刺さったのだ。
真シャインスパークは、そのために発動させたに過ぎない。
この、超に超がついた高速移動だけはアークが真似できない動きだったからだ。
アークに突き刺さったアルミサエルが、一気にその中へと消えていった。
すると、
680:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:54:55
「こ、これは……っ!?」
アルミサエルの浸食を受けたアークのコクピットで、シンジが、いや、シンジに取り憑
いたインベーダーが狼狽しはじめた。
こころのあるはずのない彼らに、ヒトのこころを追い求めたシトのこころが決壊したダ
ムの水のようになって溢れてくるのだ。
それはインベーダーにとっては、殺虫剤を吹きかけられた虫けらも同様の苦しみをもた
らすものであった。
彼らが苦しむこともなく、悩むこともないのはこころがないからであって、それを植え
付けられれば人間同様の苦しみを味わうことになる。
シンジ、カヲル、アスカ。それぞれに寄生していたインベーダーは、はじめて味わった
感情というものに頭を抱えながら苦しんでいく。
その中で、
「シンジ君、いやコーウェン君、ま、まずいんじゃないかな、これは」
「そ、そうだカヲル君、いやスティンガー君。このままでは、我々はこころという奇怪な
ものに崩壊させられる。この体に取り憑いていられなくなってしまう……!」
と、二人に取り憑いていたインベーダーが言い合う。アスカに取り憑いていたものは何
も喋らないが、考えることは同じようだった。
シンジ改め、コーウェンがわめく。
「おのれ、シトめ……! こうなればっ」
「人間共よ、悪魔となったエヴァンゲリオンに滅ぼされるがいい!」
コーウェン、そしてスティンガーが地獄の底から響いてくるような声で体を震わせた。
その外では、アルミサエルの浸食によりアークの体に今まで倒されたサキエルからアラ
エルまでを彫像にしたようなものが、盛り上がるように生えている。
それを、オープンゲットによって吹き飛ばすと三機のゲットマシンが十字架につるされ
たようになっていた初号機に、それぞれ突っ込んでいった。
それを見て竜馬が目を剥く。
681:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 02:57:09
「あいつら、何をする気だ!?」
(まずい、竜馬。我らの思ったよりも呪いが深い。蟲どもは初号機の魂をも取り込むつも
りだろう。もはや我らの意識も限界だ。あとは、あとは……リリスにっ……)
そこまででアルミサエルの声が途絶えた。
見れば、先ほどよりもさらに巨大になった月を背後にして、ゲットマシンと融合した初
号機が吼えて十字架から離れていくではないか。
そして、大きく口をあけたまま大の字になって覆い被さってくる。
「……上等じゃねえかあっ!」
対する真ゲッター1は、竜馬の言葉の通りに初号機と同じように大の字になると、お互
いの掌をがっぷりと組み合わせて空中で押し合う形になった。
すこし初号機が押したかと思えば、真ゲッター1が押し返す。また初号機が押す。
その繰り返しだ。
相手が巨大なインベーダーであると考えれば、むやみにゲッタービームを撃つわけにも
いかない。ゲッター線をエサにするから、下手をすれば強化してしまう恐れがある。
そうしてしばらく押し合いへし合いしていたが、やがて初号機がひときわ大きく吼える
と、真ゲッター1が押され始めた。
覚醒した初号機の力なのか、はたまたアークを融合したことによるものなのか。
それは解らないが、脅威の威力を発揮する初号機を押し返すことができず、真ゲッター
の喉元に初号機の大きく開いた口が迫る。
「……こりゃやべえぜ」
スクリーン一杯に迫る初号機の大顔を前に、竜馬がニタつきながらいう。
こんな時でも表情が「喜」であるのが彼が戦闘狂といわれる原因だろう。
しかし、その時だった。
喜の表情が竜馬から消え失せる。
警告音が鳴ると、真イーグルのレーダーに、超高速で接近する点が表示されたのだ。
ゲッター以外にこんな速度を出せる物体があるはずはない。
682:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 06:40:31
さるさんにひっかかったか。
683:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 06:44:31
支援します。
684:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 07:30:29
使徒の自己犠牲技に続いていよいよ3号機の宿命か…これはwktkせずにはいられん(´゚д゚`)
685:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 12:03:52
これからも期待に応えて予想を裏切ってくれると信じて支援
686:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 12:49:57
息もつかせぬバトルの連続、マジで凄すぎる…
ガンバレ負けるな真ゲッター!!!
687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 15:37:59
接近のためだけとはなんと勿体ない、いや贅沢なシャインスパークの使い方だろうか。
唐突にごく個人的な好みを言わせてもらうと、
使徒の発言は台詞じゃなくて地の文で意図を伝聞してもらう方が異質な精神っぽくて好きだったりする。
688:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 16:07:12
>>687
――○○○は×××だ。
みたいな感じ?
689:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 17:10:42
>>688
ちょっと串団子買ってくる
690:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 18:53:40
>>689
ついでにみたらし団子と甘納豆を買ってきてくれないか?
寒い日に熱~い緑茶飲みながら食べると楽しいんだ。
「美味しい」とか「温まる」でもあるんだけど、何というか“楽しい”
691:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 19:00:42
それに気が合う話相手でもいりゃ最高だな
692:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 20:11:58
ユイか、それともレイか?
どちらにしろ特攻には違いないな。
燃え○いの~ちの~片□切符~ってか!?
693:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 20:30:55
いや、勝っても負けても世界作り直しっぽいから
♪ビッグバーーン!ビッグバーーン!ビッグバーーン!
かもよ。
694:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 20:37:27
>>688
伝えられた人(例えば今回なら竜馬)が鸚鵡返しとかで翻訳して伝えるとか、
言ってしまえば、「~~という思惟が伝わってきた」とかそんなんでもいい。
とにかく、体裁が台詞じゃないって形。
作中人物か地の文(神)かが介在しないと言語の形にならないとかそういう感じ。
書いてみてすげぇ押しつけがましいと思った。
作者氏は気にせんと書いて下さい。
695:つづき
07/12/11 22:12:40
「イーグル号! レイ、てめえなにしにきやがったぁッ」
竜馬がわめくが、イーグル号から返信はない。
だが、真ジャガーの中でリツコは迫るイーグル号の中にいるであろう、レイとその中に
宿るユイの魂のことを思い浮かべるのだった。
(ケジメをつけにきたのね)
と。
ちょうど、真ゲッター1がついに押されきって、その首に初号機の歯がかかっていた時
のことであった。
バキバキと響く上部の破壊音を無視して、リツコがつぶやくように、
「レイまで巻き添えして、本当に勝手ね」
というと、ざっと通信にノイズが走り、
「私の意思でもあります。終号機への進化には私の魂がなければダメだもの」
と、レイの声が真ジャガーの内部に響いた。
交信は可能な状態だったということか。
だが、それは他の機には聞こえていなかったらしく竜馬と将造は、初号機を抑えようと
躍起になるのみだった。
彼女からの呼びかけには一切応じていない。
唯一、レイの声を聞き届けたリツコが目をつむってから、応じた。
「今更だけど、あなたを人形扱いしてきたことを謝るわ。本当に人間らしいのは……誰あ
ろう、レイだったのかもしれないわね」
「ありがとう。赤木博士」
交信は、それで終わった。
696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:13:46
後はリツコが息を吐き終えない内に、虚空から初号機めがけてイーグル号が突っ込んで
いき、最後にドンッと、いう爆発音を派手に鳴らして圧壊していく。
もともと推力だけを異常強化した機体だ。
最大速力での体当たりができる設計にはなっていない。
だが、同時にその衝撃は真ゲッター1から初号機を引きはがすことに成功すると、のた
うつ初号機を巻き添えに花火のように上昇していった。
ぐんぐんと高度を上げていく。
一体、どこまで登ったのであろうか。
大気圏なのか宇宙空間なのか解らないところまで登ると、月の白い壁を背景に、イーグ
ル号は華となって散りゆく。
爆炎の赤とゲッター線の緑の光が混じり合って初号機を包み始めた。
そこにユイの声が響きわたる。
(生き物は進化することにその意義がある……生きた証だけを残すために、今ある命を奪
うことなど宇宙の掟が許さない! 終号機の可能性を潰させる訳にはいかないわ!
過去の私よ、私と共に虚無へと消えろッ。全てをリリスに託して!!)
同時に、イーグル号が完全に爆散して果てた。
だが残ったユイの叫びは光となって、初号機の中のシンジたちへ注がれていく。
シンジを、アスカを、カヲルを、春光のような暖かい光がふわりと包む。
すれば、そこから逃げるように黒い影がどばっと溢れ出た。
これこそは寄生していたインベーダー共の正体だ。
影は、三人から離れると、いよいよ初号機からも引きはがされていく。
そうして空中に現れた影は実体化して黒い塊となり、初号機から逃げて空を舞った。
だが初号機はそれを追いかけない。
動く必要がないのだ。
初号機は背負った菱形二対のA.Tフィールドを消滅させると、代わりに天使の羽根のよ
うな光の翼を背に八対も現出させて大きく羽ばたいた。
そこから光球が出でた。
697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:14:46
それは黒い塊を追いかけて命中するように触れると、黒い塊をスプーンですくい取られ
るプリンのようしてえぐっていく。
執拗に追いかけ、なんどもなんども体当たりする光から、黒い塊はほうほうの体で逃げ
まどっていった。
やがて、なんとか光球をふりきって生き残った塊はふたつへ分かれ、ひとつがサングラ
スをかけた黒色の大男へと変じ、もうひとつは異様に肌の青い小男へ変じる。
手前からコーウェンとスティンガーである。
かつて、竜馬たちと戦い滅ぼされる直後に復活を叫んで消えた敵だった。
二人は苦しみ、もともと醜悪な顔をさらに歪ませているが、それでもなお飛ぶと、月に
向かっていった。
そのなかでコーウェンが憎々しげに叫ぶ。
「なんと……なんということだっ……」
ぎりぎりと、その分厚いたらこ唇の中に生えた大きな歯を軋ませて震える。
それに応えて横を飛ぶスティンガーが、過呼吸のような息を繰り返しながら叫んだ。
「で、でも、もう我らの目的は達成されたんだよコーウェンくんっっ。
たとえ初号機を取り戻したところで、補完計画は遂行され我々の子供達も今まさに落ち
ようとしている! 再生の力も持たぬ人間に、もはや為す術などないぃぃッ!!」
負け惜しみのようなセリフを残しながら、コーウェンとスティンガーが月の中へとめり
込んで消えてゆく。
だが、彼らのいうとおりでもあった。
眼下には血のような色の、命という命が液体と化してひとつになってしまった海がどこ
までも広がって、それと同じ色の赤い空には、まさに今地球に落ちんとする月が顔を覗か
せている。
比喩表現ではない。
じっさいに月の表面に、左右に一つずつのくぼみ出来るとその中に、赤く血走った目玉
がぎょろりと浮かんで、その下には魔女の鼻のような山がぼこりと盛り上がっている。
698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:15:50
そして憤怒の表情を表す、ねじ曲がった口が開き、中から全てを飲み込まんとするよう
な暗闇を見せているのだ。
まさしく、迫り来る顔面だった。
その迫力に圧倒されたのか、天使の羽根を羽ばたかせながらも初号機が高度を急激に落
としていってしまう。
内部のエントリープラグには、今し方インベーダーの戒めから解放されたばかりの三人
がすし詰めになっているが、誰もまだ眼を覚ましていない。
とすれば、ここまでの初号機は誰が動かしていたのか。
おそらくレイであろう。
過去の自分と共に散っていったユイの魂に代わって、リリスの魂を宿すレイが初号機の
コアに宿ったのだ。
初号機の最終進化形態は終号機である。
それに自分が必要だといった彼女の言葉を信じるならば、間違いないであろう。
八対の天使の羽根が生えたのは、その影響か。
だが初号機は墜落するように赤い海に落ちると、沈んでいく。
そのまま奈落の底までいってしまうかと思われたが、しかし初号機に向かって蛇腹状の
腕がびゅんと伸びてくると、それをからめとってふわりと浮き上がらせた。
それがゴムのように戻って消えると次の瞬間、
「チェェエエエンジッ、ゲッターーーッワンッ!!」
と、竜馬の雄叫びが赤い海を駆け抜けて響き渡った。
同時に真ゲッターが初号機に魚雷のように突進してきて初号機を抱きかかえると、その
まま上昇していった。
やがて海面近くで止まり、初号機をゆっくりと降ろして自身の隣に据える。
つづいてリツコがコンソールの上をピアニストのように指を走らせると、初号機のプラ
グにアクセスを試み、強制的に回線を開いていく。
すれば真ゲッターのスクリーンに眠る少年少女の姿が、ぱっと浮かび上がった。
不良とヤクザと年増が、それぞれに呼びかける。
699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:16:58
「起きろシンジ!」
「起きんかいアスカぁッ!!」
「タブリス、起きて。アルミサエルの遺志を継ぐのよ」
と。
すれば、竜馬の声にシンジが、将造の声にアスカが、リツコの声にカヲルがそれぞれ
閉じた眼を開いていく。
「竜馬さん」
「やっと目を覚ましがったな、このクソガキが」
竜馬の野太い声に、シンジがはっと覚醒したようであった。
だが、同時に彼は己が頭を抱え込むと消えてしまいそうな声を震わせていう。
インベーダーに取り憑かれていた時とは、天地ほどの差だ。
「母さんと、綾波の声が聞こえて……で、でも僕は……この手でみんなを……取り返しの
つかないことを、僕は……っ」
支配されていても、すべて自分の肉体がやった事を見ていたのであろう。
とするならば、彼はその手で親友たちを殺めて、無関係の人間をも手に掛けていくのを
全て知覚していたことになる。
よくぞ、狂わなかったものだ。
あるいはユイが壊れていた彼のこころを癒していったのであろうか。
ともかくシンジは精神も疲労困ぱいだったが、竜馬は容赦しない。
「うるせえ!! 悩むのは後にしやがれっ、今はてめえの落とした月をなんとかしなきゃあ
いけねえんだ。お前の力を貸してもらうぜ!」
「僕の……?」
「そうだ。こうなりゃ一蓮托生よ。この水になった連中にも働いてもらうぜ」
竜馬がいうと、真ゲッターの腹部からダクトが伸びていった。
700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:18:01
それは初号機の胸へと突き刺さって、溶着したように固定されると、さらに真ゲッター
の関節という関節から大小長短あらゆるダクトが伸びて、同じようにエヴァの関節に
突き刺さっていく。
初号機がまるで重病患者のような姿になっていく。
そうするとシンジの体のあちらこちらにチクチクとしたむず痒い痛みが走った。
これに、
「あぁぅ……」
と、彼が悶えたが、その肩に乗ったアスカとカヲルの掌が耐えろ、と呼びかける。
妙な感覚に必死に耐えていると、やがて完全に接続が終わったようだった。
真ゲッターから初号機にむかってエネルギーが流れこんでくるのを、シンジは体の芯か
ら熱されていくような感覚で理解する。
その真ゲッターから、竜馬の声が響いてきた。
彼は問う。
「シンジ。てめえの望む世界はなんだ。この地獄か!」
「……今まで通りの世界がいい。こんな形になってまで他人と一緒になりたくない」
「なら再び人類が地上に広がる様をイメージしろ! この海を作ったのがエヴァの力だと
するなら、その逆の力もまたエヴァは持っているはずだ!!」
「竜馬さん」
「インベーダー野郎に目に物見せてやろうじゃねえか。人間の恐ろしさをな!」
その言葉に、シンジが深く頷いたかのように見えた。
彼は静かに目を閉じると、なにやらぶつぶつとつぶやき始める。よく聞いてみればどう
やら、知人友人の名前を挙げて声にしているようだった。
それのみにではない。
知識にあるだけの、あらゆる人種、すべての生き物の名称をも挙げていく。
解らないものは地球に住まう大いなる命としてイメージする。
名前が一つ挙がるごとに、真ゲッターから送り込まれるゲッター線エネルギーが反応し
てダクトが輝いた。
701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:18:08
猿なんぞされると思うから規制されるんじゃ~!支援
702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:19:33
それを受けるにつれて、初号機の瞳に変化が生じる。
まるで、真ゲッターのように黒目が浮かびあがっていくではないか。
同時に初号機の羽根がばさりと羽ばたいた。
すれば、今度は初号機の方からエネルギーが逆流して、真ゲッターへ流れ込んでいく。
各ゲットマシンのコンソールに、アルミサエルが融合した時をもはるかに上回る数値の
ゲッター線指数がはじき出されていった。
初号機の羽ばたきに合わせるように、真ゲッターの羽根もいよいよ巨大化して左右へと
広がっていく。
エヴァンゲリオンとゲッターロボが共鳴しているのだ。
空間が震える。
いよいよフルパワーとなる二体が、渦をつくって海上へと浮かびあがっていく。
風が吹き荒れた。
だが浮かびあがるのは、何も二体の巨人だけではなかった。
ざばり、赤い海からヒトの姿が現れたのだ。
誰だろうか。
驚くべきことに、それは学校と共に吹き飛んだはずの鈴原トウジだったのだ。
衣服を一切身にまとっていないが、確かにトウジであった。
そして彼が出現したのを皮切りに、ケンスケが、ヒカリが、ざばり、ざばりと赤い海か
ら浮かび上がって、空へ浮いていく。
その勢いは次第に増していき、ヒトを初めとして樹木から単細胞生物に至るまで、地球
上に住まうありとあらゆる生命が赤い海から、次から次へと浮かびあがっていく。
目に見えなくとも細菌やウィルス類も浮かび上がっているだろう。
なにが起きているのか。
リツコは、はるかな未来において終号機が、自身の内部にひとつの宇宙を創り出してし
まうまでの創造の力を手に入れるといっていた。
ならば、生命の進化を司るゲッター線エネルギーの力を受ける初号機が、その鱗片を見
せ始めているのだ。
703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:20:39
再生の時だ。
滅びた生命がよみがえっていく。
赤い海が再び個々の生命となりて蒸発していった。
すると、天の底が抜けたような大雨が降り注いでくる。
宇宙から見れば、地球がガス惑星のように見えるほどの雲が立ちこめていたであろう。
滝のような雨が乾いた大地に、本来の海を満たしていく。
そこには文明の産物であるものは何も無かったが、代わりに緑が広がって土のにおいも
香る世界が地球全土に広がっていった。
まるで、新世界がそこにあるようだった。
地球が現在の状態に至るまでを、超スピードで見ているかのようだ。
それを、ただひとつ残った文明の所産であるネルフ本部が肉眼で捉えていた。
ゲンドウも冬月もミサトもマコトもマヤもシゲルも、その他に生き残っていた全ての職
員たちも再生していく地球の姿を目の当たりにする。
みな、息を呑まれていた。
やがてその監視するモニタに、一列に並んで天空へと浮かび上がっていく真ゲッターと
初号機の姿が浮かび上がった。
その現場では、将造が大笑いをしていた。
「うはははは……体が熱いのお! こんなに気分が高鳴るのは久しぶりじゃあっ」
「ついに、終号機への夢が繋がったわね」
リツコも笑った。
そして竜馬。
「見たかシンジ、これがお前たちの持つ創造の力だ」
そういうが、シンジはまだ自分のしたことが信じられないらしく、丸く目を見開いて辺
りをきょろきょろとしているだけだった。
704:ここまで
07/12/11 22:23:11
もはや落ちてくる月のことなど、眼中にもない。
くすり、とカヲルが笑った。
アスカはしょうがない奴だ、といった風に彼を見ている。
「竜馬さん……み、みんな空に浮いてる」
「今はゲッター線が初号機を通して、すべての生命に力を貸している。あのインベーダー
野郎共を完全に消滅させるためにな。
ここからは戦う力の出番だ。ストナーサンシャインを使うぞ」
「ストナーサンシャイン」
「ああ。真ゲッター最大の武器だが……ゲッター線は生命のエネルギー。生きようとする
意思を持つ者すべてが扱える武器だ。地球の総力で月を撃つ! お前も手伝えっ」
そういうと、真ゲッターと初号機をつなぐダクトが全て解除された。
そして真ゲッターが深く腰を落とすと、ボールを両手で持つように両の掌を開いて、そ
れを腰の横へと回していく。
ごうごうと掌の間に電撃が走って、虹色に輝く光の球体が生まれていく。
すると、辺りに浮く人間たちが真ゲッターと同じ姿勢を取った。
その手の中にそれぞれのサイズに見合った光球が発生して、辺りが虹色に輝いた。
周辺の人間だけではない。
作戦司令室も含めて、世界中の人間が同じ動作を取って真ゲッターと同じ姿勢を取って
ストナーサンシャインを撃つ体勢になっていくのだ。
そしてシンジの初号機も腰を落とすと、両の掌を開いて上下に向かい合わせると空間を
作った。そこにやはり七色の光球が生まれていく。
みな見つめる先はひとつ、落ちゆく邪悪な顔をもった月だ。
それが見えない地球の裏側では、ただ天空に向かって睨み付けるような視線を送る。
やがてシンジと竜馬が叫んだ。
705:ごめんもう一個いけた
07/12/11 22:24:24
「竜馬さん!!」
「いくぞシンジィ!!」
ふっと、息をつく。
そして次の瞬間、地球全土から一斉に声が轟いた。
「ストナーーーッ!! サァァアアアンッシャィィィイイイイーーーンッッ!!」
怒号に地球が震えた気がした。
宇宙から見た地球の表面全体から七色の粒が舞い上がってばっ、と弾けたかと思うと、
それらが月に向かい飛んで一つとなり、やがて虹色に輝く光の波に変じていく。
美しい七色の波が月を飲み込んでいく。
そうすれば月に張り付いた顔が恐怖に歪みゆく。
命の輝きを受けて苦しむが、それもいつしか虹の光の中に消えていってしまった。
だが、虹の光はそれだけにとどまらなかった。
地球軌道の周辺が、全て虹色の光に包まれていく。
それが一瞬だったのか、しばらくだったのか、それとも永い時間だったのかは解らない
が、光が収まって晴れる頃には、月の姿は跡形もなく消え去っていた。
地球生命の勝利だ。
9レスに制限が変わったみたい。
706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:25:28
ストナァァァ・・・って、寸前で終わりかwww
なんという焦らしプレイ。だけどGJっす!
707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:28:27
感動。ただ感動。
708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 22:50:02
さて、どうする?
709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/11 23:13:06
エピローグか、それとももうひと波乱かw
710:名無しが氏んでも代わりはいるもの:
07/12/11 23:37:55
それにしてもなんて、凄いSSだったんだ。完結までおそらく一ヶ月チョイでこのボリューム!!
このクオリティー!!
もはやいうことはありません。
711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 04:36:46
まだ終わってないよ…ね?
しかしこんなにドキドキワクワクハラハラザワザワする読み物は
久し振りだ!
マジメにアニメで見てみたいよ
712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 07:34:46
敷島「まだ終わりじゃないぞい。もうちょっとだけつづくんじゃ」
713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 07:57:26
>>712
それを敷島に言わせるとなんかニュアンスが違うw
714:名無しさん@お腹いっぱい
07/12/12 09:07:33
>>711
アニメは無理でしょうが。せめて挿絵付きの本で読みたいです。
サウンドノベルに成ったら最上でしょうが・・・。
715:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 13:28:01
実際にこんな小説でたら買うだろうな~
と思うくらいのクオリティー…読ませてくれてありがとう
716:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 15:47:00
まとめにUPしようとしたがWIKIWIKIが堕ちている!?
717:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 18:39:15
そういう時は、まず落ち着いて素数を数えつつ感情をこめてゲッターの力を信じるんだ…
718:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 19:36:39
インベーダーの悪あがきだろう
719:つづき
07/12/12 20:22:37
今回の投下で最後だけど、ちとレス数が足らないので今と、0時以降に分けて投下するです。
真ゲッター、初号機と共にストナーサンシャインを放った生命たちが、それぞれの住み
かである空へ、地へ、海へと元在った場所にゆっくりと、ゲッター線の光と初号機から舞
い散る光の羽根に包まれて、舞うように還っていく。
その上を、真ゲッターと初号機が飛翔していった。
それぞれ悪魔の羽根と、天使の羽根を生やした二体の巨人が並び飛ぶ姿は、人々の、い
や、すべての生命体にとってどのように感じられていたのだろうか。
個々に想いは違ったであろうが、どこからか歓声が沸くとそれが数珠のように連鎖して
声の輪となって広がっていく。
「なるほど……ガイア理論をあえて絵に表現すれば、こうなるということか。アルミサエ
ル、君もゲッターを通してこの生命の素晴らしさを感じたんだね」
と、眼下で小さくなっていく生命を見ながらカヲルがいった。
なお補足だが彼のいったガイア理論とは、一九六〇年代によって大気学者ジェームズ・
ラブロックという人物によって提唱された仮説である。
地球と地球生物は、互いに干渉し合いながら環境というひとつのシステムを作り上げる
ことで存在するものであり、すなわち完成しているものだとする理論だ。
先に乱筆した、宇宙システムにおける話を地球に限定したものともいえる。
この考え方には異議も存在するが、我々日本人には非常に理解しやすい話でもある。
なぜなら、日本特有の宗教観である八百万のカミが万物に宿り天下の全てと共にある、
という考えにガイア理論は似ているからだ。
720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:23:46
神様が全知全能の存在でなくてもいいから、この国は仏教をはじめキリスト、イスラー
ム、ユダヤ、その他あらゆる宗教が根付いてしまうのである。
こころを寛容するという意味で考えれば、今のところこれ以上の概念はないだろう。
だから、もしガイア理論が確かであれば幸せなことかもしれない。
そう考えれば、ゼーレの老人たちのように人類は行き詰まった不完全な群体などと思い
詰める必要性もないのだから。
また、仮にガイア理論が間違っていたとしよう。
それでもゼーレのようになることはない。
なぜなら、自然人類学的にも、ヒトという種が行き詰まっているとは考えられていないからだ。
我々ホモ・サピエンスは、肉体そのものよりも脳の進化を促進してきた種であるが、そ
の脳はまだまだ進化途上にあるものなのだ。
現時点で進化の可能性がまったくないのならばまだしも、人類は可能性に満ち満ちてい
るのに、今の価値観や考え方で、自らそれを断ってしまうのは悲しすぎるというものだ。
生物の進化をうながすゲッター線は、そういう自己否定の病に陥った生命に可能性を示
すためにも、あるいは存在したのかもしれない。
カヲルがそんなことを思案していると、やがて二体の巨人は唯一残った文明であるネル
フ本部の上空へと到達した。
その下では。
すでに作戦司令室のあったブロック以外は崩壊状態にあり、まわりには大穴が空いてジ
オフロントのはるか地底が露出していた。
その内部にあった遺跡も消滅している。
だが、そこに居た人々も、真ゲッターと初号機が飛ぶ姿を見ていたのであろう。
みな思い思いに地上へとはい上がって、その帰還を待ちかまえている。
721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:24:50
そこにまず、初号機が大地へ降り立った。
そして首からエントリープラグを射出すると、真ゲッターがそれを引き抜き着地すると
ゆっくり屈んでプラグを地に置いた。
プラグからLCL溶液が噴出していくと、ハッチが開いて中からよろよろのシンジとアス
カが現れ、後ろから何事もなかったかのようなカヲルが現れる。
つづいて、その上から竜馬、リツコ、将造の三人が降ってきた。
数十メートル上から落ちたはずだったはずだが、みな当たり前のような顔をしている。
もはや真ゲッタークラスのパイロットになる人間になど、常識は通用しない。
物理的に考えるのは、止めたほうが無難であろう。
そして、それを出迎えるのはゲンドウだった。
「よう、おっさん自ら出迎えたぁ気前がいいじゃねえか」
それを見て竜馬が笑う。
「まあな……しかし。ユイはまた行ってしまった、か」
「あいつにゃあいつなりの考え方があったんだ、察してやれ。それよりてめえ、また前と
同じこと企むならこの場でぶち殺すぞ」
「いや……もう目が覚めた。それに、これだけの事が起きたのだ。誰かが責任者となって
罪を負わねば、世界中の人間が納得しないだろう。その役目は、人類補完計画に関わった
私にある」
「そうかい。ならいいさ」
それだけいうと、竜馬はきびすを返した。
これに、まさかもう帰るのか、とミサトが思って、
「り、リョウ君、まさかもう行っちゃうの?」
722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:25:52
といったが、その予想が的中していた。
竜馬は手をひらひら振ると、
「俺の役目はここまでだ。こんなとこで三文芝居打って帰るのは嫌なんだよ」
そう応えるのだった。
すれば、焦るようなシンジが近づいていく。
彼は、
(なにか、なにか最後にいっておかなきゃ)
と思うのだが、近づいたはいいものの、どういう言葉をかけたらいいのか解らない。
しどろもどろになった挙げ句、シンジは「竜馬さん」と、彼の名前を呼ぶことだけでう
つむいてしまった。
これでは恋する少女だ。
場が変な空気につつまれてしまう。
すると竜馬は、
「あばよダチ公!」
弾けるようにいい、シンジの背中をどんっ、とゲンドウの方へ押しつけるようにした。
だが竜馬の怪力のことだ。
彼は押しつけるつもりでも、ぶつかるような勢いでシンジはゲンドウに沈んでしまう。
「い、痛い……」
と、苦痛に顔をゆがめるシンジを抱き留める形になるゲンドウが、やはりどうしていい
かわからないような目をサングラスにかくして、うろたえる。
723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:27:14
それを見てミサトは、
(だめだこりゃ)
と思うのだった。
彼女はもう対人恐怖症親子のことは無視するとして、友人のリツコへ目を向けた。
「リツコ、やっぱりあなたもリョウ君と行くの」
「ええ。ちょっとだけ名残惜しいけどね……もうエヴァを作る必要もないでしょう。
この世界に私がいなくても問題はなにもないわ」
「初号機はどうするのよ」
「それは、ね」
と、リツコがカヲルに目を向けた。
その視線に彼はにこりと笑っていった。
「シンジ君、本当は初号機の主は君だけど、これから終号機になるためにどこかで眠りに
つき、長い年月を掛けて進化しなきゃならない。君はまだ生き足りないだろう?
だから、君がこの世の生を終えるまで初号機は僕が預かっているよ。リリスには、いや
綾波レイには僕から伝えておくからさ」
「でも……」
「気にしなくていいよ、一緒に寄生された仲じゃないか。それにしてもすごい初対面だっ
たよねぇ、僕たち」
「……はは、ははは」
インベーダーに支配されていた時の記憶が残っているので苦笑いするしかなかった。
カヲルもシトとはいえ、大した度量である。
さて。
次にアスカと将造、加持の極道チームに目を移そう。
724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:28:15
どうやら、将造も真ゲッターの力を借りて元いた世界へ帰るつもりらしい。
彼いわくコクピットに座った瞬間、すべてが解ったとのことだった。
ハッタリである可能性も捨てきれないが。
だが、それに嘆くのはアスカだ。
「ここに残ってよっ。再会できた途端にお別れなんて、あたし嫌っ!」
そういうが、将造はアスカの両肩を掴んで唾を飛ばして叫ぶようにいった。
「なにをぬかすか。岩鬼組は銀河極道連合をこさえるんじゃあ!
竜馬の下駄ペンペンとやらなんぞに負けちゃおれんけぇ。
ワシはワシの世界でやるが、ヌシがこの世界の岩鬼組を率いよって、そして宇宙を支配
してから再びワシんところへ来いや!」
と、ただ言葉だけ聞けば狂人のたわごとのような事をわめく将造だったが、彼がいうと
そうしなくてはならない、あるいは、そうする事が宿命のような気分にさせられてしまっ
てアスカは思わず頷いてしまう。
「う、うん……わかった。あたし行くから、待ってて」
「よし! 加持ィ、後は頼むでえ」
「ああ。同じ人間兵器同士のよしみだ、岩鬼組の運営は俺がやってみるよ」
と、急かす竜馬のせいで別れの挨拶もいい加減なまま、将造も真ゲッターに向かった。
本当であれば将造みずからが配下の者達に上記の旨を通達しておくべきだったのだが、
しかたがあるまい。
やがて竜馬とリツコ、将造の三人を乗せた真ゲッターはふわりと浮かびあがると、次に
は、あっという間に宇宙へ飛び去ってしまった。
つづいて、カヲルがプラグを置き捨てたまま初号機の肩に乗ると、それははふたたび天
使の羽根を展開させる。
そして、
725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:29:16
(じゃあいこうか、リリス)
(……私、リリスに戻るつもりはないわ。だって人間気分の方が楽しいもの)
(おっとごめんよ。綾波レイ)
とカヲルが、初号機の魂となったレイとしばらく語り合うと、真ゲッターと同じように
飛び去り虚空へと消えていった。
彼の言葉を信じるなら、地球圏のどこかに隠れてシンジに再会する日を待つのだろう。
それは、寿命が無いに等しいシトにとっては退屈な余暇程度だったかもしれない。
このとき、すでに空は夕暮れになっていた。
あの赤い雨を降らせたおぞましい空の赤ではなく、美しく焼けた紅い色に染まった天を
拝んでシンジ達が風を浴びている。
その中で冬月が、
「全て終わったか……文明を一から造り直すことになるな。それまではここが難民キャン
プと化しそうだよ。先が思いやられる」
というのだった。
が、その時のことだ。
「いかーん! 置いてかれてしもうたあっ!!」
と、どこからか敷島がばたばたと騒ぎながら走ってくる。
服を着ていることからみると、どうやら補完にも巻き込まれず生きていたらしい。
だが、来るのが遅い。
ちなみにその後ろを、敷島の真似をしてバタバタとペンペンが走っていた。
彼はおそらく補完されたと思うが、復活後、帰巣本能でも働いて戻ってきたのだろう。
ペンギンに帰巣本能はなかった気もするが、まあいい。
726:残りちょっとだけど後で
07/12/12 20:30:18
「敷島のじいさん。どうするんだい、たぶんもう戻ってこないぜ」
加持がいうと、敷島はしばらく唸っていたがやがて、
「……まあ、どうせ今後食うものを求めて暴動が起きるじゃろう、武器が必要になるな!
わしゃ武器を作れるならどこでもええんじゃい! どれ、まずは石槍でも作るか」
と、開き直っていた。
元ネルフの面々が呆然としている。
これだけ戦い抜いたあとに、休もうともせずにさらに戦うことを考え、はしゃぐエネル
ギーに毒されてしまいそうだった。
そうこうしていると、誰かの腹の虫がなった。
これに皆、何も食べていないことを思い出したのか一気に空腹感を感じた様だった。
ミサトが向こうで木をへし折って出来た棒きれに、尖った石をなにかのツルで巻き付け
ている敷島を見ながらいう。
「ま、とりあえずご飯よね。狩りにでもいこうかしら。ねえ加持君」
「なんで俺にいうんだよ」
「だってそれがヒトの習いじゃない。狩りは女の仕事じゃないわよ」
「は、早く復興しねえかなぁ……いったい何十年かかるんだろ」
加持が、がっくりと肩を垂れるのだった。
・・・
727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:32:20
なんというハッピーエンド
支援
728:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:33:36
ラーーイジング!支援
729:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 20:57:07
とりあえず、Change16としてUPしてこよう。
0時以降の投下分は明日足すことにして。
730:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 22:23:47
隼人「また、残された・・・。」
731:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 22:29:39
どこまでもアグレッシブ博士な……
そして極道王参戦フラグ成立。
732:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 22:41:57
寝る前に覗いたら何という展開…職人さんGJそして乙!
いや、むしろ「ありがとうよダチ公!」
今夜はよく眠れそうだぜ…お前がくれた明日の夢を見ながら…
733:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 22:46:16
なんという敷島博士。どうみても危険物
更にどうでもいいところではあるが、加持さんが「極道チーム」扱いされてるところに吹いたw
それに竜馬の「あばよダチ公!」良いな。原作漫画で使った時の「今生の別れ」と意味合いは少し違うけど、
親しみとイキの良さがない交ぜになってるのが凄く良いや
734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/12 23:13:46
ステキなハッピーエンドにほわほわしてますが、
まだこれで終りじゃないんだよね…
最後にドカンとひっくり返るなんてことはないよね? ね?
735:ラスト
07/12/13 00:04:02
そして、真ゲッターと初号機が地球を去ってから一〇年の歳月が流れた。
世界は一からのやり直しとなったが、しかし人類には蓄えられた知識がある。
全人類は懸命の復旧作業によって、わずかではあるが、一〇年で種々の燃料が復活して
それをもって発電所を造り、動かし、再び電気の恩恵を得られるようになっていた。
さらに特筆すべきことがある。
それは、季節の復活だった。
ゲッター線の力なのか、それとも初号機の福音か、解らなかったが、ともかくこの星に
春夏秋冬というものが復活したのだ。
小さい子供達にとっては、物心ついたあとに感じる初めての四季であろう。
なお、今は冬である。
ところは日本列島本州、神奈川の某所へ移る。
その建設途中の街の一角をびゅん、と一台のバイクが走りぬけていく。
車種は、ホンダドリームCB750FOURだ。
この車両は以前の稿でも名前が挙がっているのだが、記憶されているだろうか。
そう、ミサトが竜馬のために足として見つくろったバイクだ。
結局、彼がこのバイクに乗ったのは試乗の一度くらいで、後は乗らずじまいだったが、
竜馬が触れたことで、ゲッター線の加護でも受けたのだろうか。
文明の利器は全て消滅したはずだが、これだけは完全な状態で残されていたのだ。
なお、今このバイクに用いられている燃料は、トウモロコシやサトウキビなどから生成
するアルコール燃料だった。
というのも、化石燃料は石油採掘施設が整いきらず、生成できたものはすべて産業へと
回されてしまって個人での使用には目処がついていないのだ。
736:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:05:06
そこで、アルコール燃料の出番となった。
現代では、生成するにあたって必要な作物を育てるための土地が、供給需要に対して間
に合わず膨大となってしまうゆえ、なかなか実用化されないものだ。
が、この世界ではもとより化石燃料が限られているせいで、産業が大幅に縮小されてい
るせいで生産される一般車両も極端に少なかった。
そのため、狭い土地での少量生成でも十分に全体へ行き渡ったのだ。
いましばらくの間は、これが大きな商売にもなるだろう。
我々の住む現代とは逆の状況なのだから、皮肉といえた。
ところで、バイクのライダーは誰だろう。
丈が詰まったのが特徴の黒い皮ジャケットと、パンツを上下に着用して頭にはフルフェ
イスのヘルメットをかぶっているせいで、誰だか解らないのだ。
バイクは舗装された道から外れたり、また入ったりしながら突き進んでいくと、郊外の
一軒家に突き当たる。
そこで停車してライダーがヘルメットを脱ぎ取ると、正体が現れた。
「ふぅ」
その、白い息を吐くのはシンジだった。
一〇年の歳月は少年を二四歳の男へと成長させていたが、やはりその細い肩と、はかな
げな顔は変わっていない。
母親に似たせいだろうか。
だが、背はかなり伸びていて、およそ一八〇センチはあるのではないかと思われた。
彼は一軒家の玄関を叩くが、その瞬間に戸が開いた。
現れたのは、ミサトである。
その速さにシンジがちょっと驚く仕草を見せた後、柔らかく笑うのだった。
737:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:06:16
「お久しぶりです。もしかして玄関で待っててくれたんですか、ミサトさん」
「直四の音が聞こえたからね。シンジ君、背も高いし似合ってるわよ~。アスカはもう来
てるわよ。さあ入って入って」
シンジはずいぶんと背も高くなって成長が垣間見られたが、ミサトの方はすこし肌が衰
えたぐらいで、一〇年前と大して変わっていない。
精神年齢のせいだろうか。
なお肉体年齢を書くのは、彼女へ敬意を表して遠慮しておくとしよう。
そしてシンジが家に上がると居間にアスカの姿があった。
椅子にすわる彼女は髪をショートカットにして、和服に身を包んでいる。
彼女はシンジにわずか遅れて二三歳だったが、すでに極道の貫禄たっぷりで椅子の周辺
だけ空気が異様に違っているほどだった。
そんな彼女が入ってきたシンジに気づくなり、
「あ、シンジ、久しぶりぃ」
と、明るくいった。
もともとシンジに比べれば成長の兆しが強かった彼女だ、昔のように変に去勢を張るよ
うな癖は、取れていたようだった。
だが、その代わりに本物の凄みがある。
笑っているのだが、目の奥が光っているのだ。
(極道の女だもんなぁ……)
と、シンジは思って身震いするのだった。
それにアスカが感づくと頬を膨らませて、
738:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:07:19
「なによ」
というと、シンジは、
「いや、なんでも」
はぐらかすと、さらに笑ってごまかすのだった。
これにアスカは頭を振ると
「はっきりしないのは昔から変わってないわねぇ」
と、ため息をつくのだった。
この昔ながらの掛け合いに、ミサトがニヤニヤしている。
彼女は二人に近づきつつ一升瓶を片手にいった。
「さあさ。二人とも、今日は一〇周年ってことで呑みましょう」
この日、シンジとアスカがミサトの家に集ったのは大した用事ではなかった。
ただ、それぞれ仕事と目標を持って互いに会うことも少なくなったので、ときどきこう
して会合を設けているわけである。
今日はたまたま、この三人だけだったが、加持にトウジやケンスケ、ヒカリといった、
旧友たちと会うこともある。
色々因縁の過去もあるが、全部インベーダーが悪いことにして彼らは確執を忘れた。
主にその音頭を取ったのはトウジだったのだが……まあ、それは置いておこう。
なお、アスカ以外の人間がどんな職業や目標をもっているのかは、すべて読み手の想像
にお任せしたいと思う。
739:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:08:23
そして、酒盛りがはじまった。
話すことは生活のこと、仕事のこと、人間関係のこと、経済の話、世界情勢、政治、環
境、哲学、あるいは各々の娯楽と、およそ話になるものは全て話にしていたが、どんなこ
とを話していても最後のあたりでは必ず、あの男の話題が飛び出してくる。
あの男とはもちろん、
「リョウ君は今頃どこで、どうしてるのかしらねぇ。まさかリツコのやつと毎晩、あんな
ことやこんなことをっ」
「歳くって色ボケしてんじゃないわよミサト。あいつはどーせ戦争戦争、でしょ」
「竜馬さんだからなぁ……」
と、忘れようとしても忘れられない破天荒すぎる男のことだ。
話題のシメとしては格好の材料であろう。
彼とはいつしか、終号機と共に再会する日が来るはずだ。
だが、それは気の遠くなるほど未来の話だ。
いまのシンジ達には、想像も及ばないことだった。
そして、あっという間に日が落ちて夜になると、闇夜に月が浮かぶ。
……今、月と書いた。
たしかそれは破壊されて消え去ったはずなのだが、ではなぜ空に浮かんでいるのか。
ほとんどの人間は理解できなかったが、シンジたちにはその正体が分かっていた。
「あれは月じゃなくて終号機のマユだよ。綾波とカヲル君の声が教えてくれるんだ」
とは、シンジの弁だ。
月はただ宇宙に浮いているのでなく、重力において地球と密接な関係にある。
一説によれば、海の満ち引きにとどまらず、生物のリズムにも影響があるそうだ。
740:おしまい
07/12/13 00:09:27
カヲルとレイがそれに気づいたのか、地球生物の生命リズムを崩さないために、いつの
間にかエヴァンゲリオンを月の代用品にしたらしかった。
終号機となりつつあるエヴァの月が、太陽光を受けて穏やかに光っている。
そんな、粋な友人の計らいを酒のつまみに見上げて、シンジは猪口に口を付けていた。
が、あいかわらず酒には弱い。
いくらか口ふくんで喉を焼くと、もうふらふらしていたが、その表情は一〇年前にくら
べてどことなく満ち足りているようだった。
ふと視線を降ろすと外で、月光が夜道をこうこうと、案内するように照らしている。
どこへの案内だろうか。
―あの光が、未来へ続いているといいな。
冷たくも明るい月明かりを見ながら、シンジはそう想うのだった。
若い彼らならば、きっとその先の道も歩いていけるだろう。
(完)
741:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:12:09
読んでくれた人、感想くれた人、絵を描いてくれた人、wiki作ってくれた人、
付き合ってもらってホントにありがとごぜえました。礼。
742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:17:28
>>741
あばよダチ公。
743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:19:45
感慨無量って奴だ。お疲れ。ゆっくり休んでくれ。
744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:25:22
良いものを見せてもらった
745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:31:01
扱いづらい作品同士のクロスを2スレで纏めあげたのが凄いっす
ゲッターもエヴァの空気も感じられて読んでいて楽しかった…。
本当にお疲れ様でした
746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 00:49:05
大抵クロス長編てのは途中で書き逃げする奴ばっかなんだが・・・・・
氏よ、アンタ最高だよ!!完成させただけでも偉いもんさ。良いもん読ませてもらった。
あばよ、ダチ公!ゆっくり休んでくれ
747:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:01:49
神職人さん
完結おめでとう
胸震わせる素晴らしい物語をありがとう
ホントにホントにありがとう
そしてこの瞬間に、このスレに集った皆と立ち会えたエヴァとゲッターの導きに感謝を!
748:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:03:48
一つの物語は終わり、向かうは戦いの無間地獄と・・・・・
何にせよお疲れ
749:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:07:16
関わる者全てを地獄の底まで引きずり込むようなエヴァとゲッターが、
お互いが邂逅することによりほんの一時でも誰かの幸せを作ることが出来たのなら・・・
それはきっと素晴らしいことだ!!
職人様、チープな言葉だが他に思いつかんのであえて言おう!GJ!!
750:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:45:58 4epN8bPf
>>741
職人様お疲れ様でした。いいもの見せてもらいました。
次の作品まであばよ、ダチ公!
751:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:48:56
一つの終わりは、また一つの始まりを作る。彼らの戦いは、始まったばかりだ。
職人さん乙。さて次はE meets Gか。
752:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 01:58:17
職人さん、あんた最高だよ!
故石川先生も喜んでくれるだろうな
753:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 05:40:29
友 よ
ま た
会 お う
754:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 05:52:11
きめぇw
755:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 09:09:05
完結おめでとうございます!!
いい機会ですから、このSSにふさわしいタイトル考えてみましょう。
さすがに、スレのタイトルをそのままってのは味気ないので、私はセンスに自身が
無いので、やめておきます。
756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 12:33:26
新世紀エヴァンゲリオン 世界最後の日
757:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 12:43:49
>>741
お見事です。
758:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 13:46:29
GJ!職人さんマジ乙。
759:名無しさん@お腹いっぱい
07/12/13 15:01:21
>>741
あなたは間違いなく2007年度、最高峰のSS職人です。
神作品をどうもありがとうございました!!
760:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 20:44:45
職人さん乙!
楽しく読ませてもらってました。
761:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 23:17:42
完走乙です。ゼットンスレ以来、久々に歯ごたえのあるSSでしたよ。
762:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/13 23:50:16
ゼットンスレというのについてkwsk
763:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:14:57
>>756
せめてエヴァの名前は使うなよw
764:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:16:23
だいぶ前にあったゼットンVSエヴァというスレ。
ここと同じく気合いの入った職人がいたのよ。文体からしてここの人たちとは別人だけど。
あいにくログは持ってないが。
765:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:32:21
>>763
歯牙にもかけられず悠々完走されて涙目の荒らし乙www
766:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:38:02
↑お前が釣られてんじゃねーか
767:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:40:12
このクオリティでグダグダになることもなく一気に駆け抜けたその速さには潔さすら感じる。
難点を挙げるなら、地の文での長い説明文にリズムが切られるあたりだろうか。
このペースでそこまで考え込んであるだけでも大したものなのは分かってるんだが。
768:がんばれリツコ
07/12/14 00:42:49
せっかく綺麗(?)に終わったんだけど、どうしてもやりたいネタがあったもんで短い外伝を一本。
タイトル通り「がんばれムサシ」のパロディ。
原作通りに下品だから苦手な人は、要スルー。
「流君、お願いがあるの」
と、リツコの年甲斐もないおねだりから、この短い話は始まる。
流竜馬とゲッターロボなる、凶悪にして狂暴な、味方とは思えない味方をネルフが得て
からしばらくの刻が経っていたころのことだ。
アスカはまだ来日していない。
世はセカンドインパクト後から相変わらずの日照り続きで、草も木もみな、暑さバテを
まぬがれていなかった。
特にネルフの空調が故障したときなどは、
「無愛想無感情之事、右二於イテ出ル者無ク候」
と組織内評判がトップクラスのゲンドウすらも、その、すね毛だらけのおみ足を露出さ
せて、ぬるくなった水の入ったバケツに足を浸からせているほどの暑さである。
そのような中においてただ一人、子供の如く元気を失わないのがリツコだった。
いや、子供よりも元気だった。
シンジがダレているのは無論のこと、ゲンドウに次いで無感情が売りの美少女綾波レイ
に至っても、非番の日は牢獄のような自室の中で、さらに囚人のごとく綺麗でない身なり
のまま、冷たい床にうつぶせて大の字になっているほどだ。
ちなみに、
「冷たくてきもちいいの」
だ、そうである。
769:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:44:08
なぜエアコンを使わないのかは謎だった。
もしかすれば、彼女なりに排気による環境汚染を心配していたのかもしれない。
しかし、だったらエヴァでの自爆はやめたほうがいい。
エアコンよりもはるかに巨大な汚染が広まってしまうではないか。
だいいち、自爆・撃墜・刺殺されてしまうなどというのは、主に役割を終えた人物をす
みやかに描写しなくてもよくするための制作者側の暴挙であったり、目立たない脇役にも
最後くらいは活躍させてやろう、という制作者側のハタ迷惑な温情によるのが主な出来事なのだ。
だが、筆者はいいたい。
「あなたは脇役だが我が国のみならず、世界的にも経済的貢献が大きすぎる。死ぬには惜
しいではないか。今回の映画では自重してみてはどうだろうか」
と。
話がそれてしまった。
ではなぜ、三十路にも突入しようかというリツコが元気だったのか。
理由はもちろん、ある。
彼女は、
「ゲッターロボ! ゲッターロボ! ゲッターロボ!」
と、呪文のようにその名を唱えているのだ。
どうやら、エヴァをリリスとアダムよりコピーして制作したあと、その功績に飽きたら
ず、今度はゲッターのコピーに執念を燃やしていたのだ。
まったくのオリジナルを創り出すよりもコピーを好むのは、大和民族の習性か。
だが、どこかの国と違うのはコピーしたあとの性能が大幅に上昇することだ。
食器類、刀剣類、機械類、電子部品類、あらゆるものがそうだ。
ただひとつ劣化するのはブランド力程度のものであろう。
だが普通、ダビングされたものは全ての情報が劣化するはずなのだ。
ゴーストにおいてもそうだと、ある映画監督がその弁において論じている。
摩訶不思議だった。
770:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:45:20
エヴァもコピー元はメタボリック症候群気味だが、初号機を見ても解るとおりコピー後
はスーパーモデルもかくや、といわんばかりのスタイルぶりである。
特にふくらはぎのあたりは色っぽい。
すごい。
この仕組みをダイエット商品に転化すれば大もうけできそうだ。
なんとか実現できないものか。
ひろゆきも驚きの商売になりそうである。
……また話がそれた。
さて、ゆえにリツコは、
「なら、きっとゲッターロボだってコピーすれば性能が上がるわ!」
と息巻いていた。
そう思うと止まらない。
彼女は、あの手この手で裏工作を用いて、ゲッターを一台制作できるであろうだけの、
資金を手にしてしまった。
その額たるや、小国がひとつ傾くほどだった。
それだけの大金を入手する影には、泣く者が数知れずいたという。
赤木リツコ、悪人である。
まさしくゲッターが選ぶだけのことはあった。
ただ、そのゲッターロボ自体が日本製だということを忘れているような気がするが、こ
の際、それは因果地平の彼方へ置いておくとしよう。
だが準備万端整ってから、ひとつ困ったことが発覚した。
ゲッターにはリツコの知識からするとブラックボックスとなってしまっている箇所が多
すぎるのだ。
だいたい、あの無茶な粘土アニメのような合体変形からして理解できなかった。
「合体、変形、合体、変形……合体……合体……」
大仏のように鎮座するゲッターロボの真下で、リツコは日がな一日うなっていた。
まるでお経のようだ。
だれも成仏できそうにないどころか、地縛霊になりそうだが。
771:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:46:29
それでも悟りには至らず、リツコは合体変形と名の付くものは全て実践してみた。
磁石をくっつけたり離したりしてみたり、粘土で雪だるまをつくってみたり、合体変形
が売り文句の模型に手を出してみたり、MAGIを操って交通の流れをわざと乱して車を衝突
させてみたりもした。
しかしまだ解らない。
さらに合体の根源を思いついた彼女は、夜な夜な竜馬を誘い、都下のいかがわしいホテ
ルに連れ出した。
色々やってみたらしい。
やがて、リツコはガラス越しの向かい部屋で干からびている竜馬を見つつ、風呂桶につ
かりながら半潜水して、カニのように口からブクブクと泡を吹き出していた。
そのとき、ひらめきがあった。
「もががっ!! がぼっ!」
なにをいっているか解らなかったが、とにかくひらめいたらしい。
ゲッターの奇妙奇天烈摩訶不思議、奇想天外落書無用の機構を悟ったようだった。
あわてて風呂から這い出ると、竜馬の倒れるベッドへと戻り荷物のバッグへ手を伸ばす
と紙とペンを用いて、なにやら数式らしきものを羅列していく。
なお、ノートパソコンも持参していたが水で壊れてしまっては一大事なので使わない。
リツコは神速の勢いで式をまとめると、さらに台風のような勢いで着衣し竜馬を置き去
りにして一目散に消え去ってしまった。
……かのように思われたが逆再生のように戻ってくると、再び紙とペンを取り出して一
筆書き、それを備え付けの冷蔵庫から取り出した瓶と共に竜馬の枕元におくと、今度こそ
去っていった。
なお、その紙にしたためられた文書は、
「またお願い」
とのことだった。
・・・
772:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:47:31
その翌日から、リツコのゲッター建造計画ははじまる。
彼女はいくつかあるエヴァを格納庫たるケイジの内、ほとんど使用されない第一三ケイ
ジを勝手に占拠して、そこで作業を開始したのだ。
第八ケイジに格納されたオリジナルゲッターを参考に、昼夜を問わず作業にいそしみ時
には竜馬に意見を求めたりした。
そうしてしばらくの刻が経過したのちに、リツコの追い求めた試作ゲッターの一機が、
第一三ケイジに現れることになる。
これを見た竜馬は驚いた。
なぜなら……
「こ、こいつぁゲッターGじゃねぇか」
と、彼は目を丸くしてリツコの造ったゲッターを呆然とみていた。
その花火のような突起をそなえた顔は、独特で他に例がない。
間違いがなかった。
ゲッターGは、この世界にやってきた竜馬自身が直接乗った経験はないが、しかし彼ら
にとって非常に関わりの深いゲッターでもある。
それは、ゲッター線に関わる者ならばみな知り置いていることだろうから、ここには書
かないが了承いただきたい。
だが、ゲッターGという名称をリツコは否定する。
「G? いいえ、MAGIよ」
「なに」
「これはゲッターMAGI。当方より来たりし三賢者を司ったゲッター」
「MAGIってえのは、あのでけえコンピュータの事か」
「そうよ。まだ未完成だけど、この各ゲットマシンにはMAGIのそれと同様のシステムが組
み込まれているわ。
名付けてゲッターメルキオール、ゲッターバルタザール、ゲッターカスパー。
それぞれ科学者、母親、女としてのある女性の疑似人格が組み込まれている。このゲッ
ターは一台で要塞の役割もこなせるのよ」
と、コピーついでに妙な機能を搭載したゲッターを前にリツコは自信をもっていった。
773:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:48:33
竜馬は呆れたような、感心したような、どちらともつかぬ表情でこのゲッターGそっく
りのゲッターMAGIを見上げている。
全て、リツコが独断でやったことだったが、戦力が増えることに拒否をしめすことはな
いとしてゲンドウも黙認していたようだった。
竜馬はやがて、ぽつりという。
「で……いつごろ完成なんだ」
「あと一週間もあれば」
その言葉通り、一週間が経過後、リツコは約束通りゲッターMAGIを完成させた。
完成させしてしまえば、あとはしばらく音沙汰の無かったシトが襲来するのを、彼女は
いまかいまか、と待ちかまえていたのだが、そんな折りに大問題が発生した。
それはなにか。
竜馬とシンジとレイの食中毒である。
かれらは、激しい腹痛と嘔吐、下痢に襲われてトイレから離れることができなくなって
しまったのだ。
原因はミサトのつくったカレーだ。
彼女の自宅で、カレーパーティを開催したのはいいものの、その日に限って面倒くさが
らずに張り切って創られた特製カレーは、食べた者の胃を破壊するに十分な威力を誇って
いたのだ。
あまりの破壊力に、じつはシトの一種ではないかという疑いがもたれたほどだ。
被害者の容体はひどく、入院も必要だと思われたが、そういう訳にもいかなかった。
機を見計らっていたようにシトが出現してきたのだ。
だが、この新しく現れたシトの外見を認めたネルフ一同が呆気にとられた。
その銀の下地に赤のラインが走った体は、昔の子供たちが熱狂した宇宙人ヒーローをほ
うふつとさせるものだったが、その上についている顔が問題だった。
「い、碇司令……?」
マヤそうつぶやいた。
顔が、ゲンドウにそっくりなのである。
774:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:49:43
きちんと眼鏡までかけているあたりが丁寧だ。
まるで、スーツアクターがかぶり物だけ取ったかのようなふざけた格好のシトだった。
ゲンドウはこれを見て微妙な表情をしていたが、その後ろでニヤけている冬月のことは
決して忘れないだろう。
こう見えて、根深い男だ。
だが問題はさらにある。
このようなシトは、死海文書には出現が予告されていないのだ。
ゆえにナンバリングするのはどうか、ということでこのシトは、
「番外シト、アンノウルトラマン」
と名付けられた。
由来は旧約聖書ではない、他のなにかの経典から来ているらしかった。
その異様な巨人は、第三新東京市を腕を十字に組んで発射する青白い怪光線で破壊しな
がら闊歩し、ネルフ本部に接近してくる。
しかし、今は戦う力がない状況だ。
ゲッターは常人には扱えないしエヴァはいわずもがなである。
すればやはり、リツコに白羽の矢がたった。
ゲンドウがいう。
「赤木博士。いままで浪費した金の分は働いてもらうぞ」
指令を合点したリツコは、勇み自作のゲッターMAGIに乗り込んで出撃準備に入った。
「さて。いきましょう母さん」
と。
ジオフロントから、三機のゲットマシンが出撃していく。
リツコの乗る一号機メルキオールを先頭に、MAGIによる自動操縦の二号機バルタザール
と、三号機カスパーの順で並ぶと、チェンジするべくレバーを倒した。
「チェンジ・メルキオール!」
775:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:51:12
モニタに、三賢者のシステム承認が表示されていく。
メルキオール、チェンジ許可。
バルタザール、チェンジ許可。
カスパー……
ここでまた問題が起きた。
「拒否!? カスパーが裏切った!?」
と、敵を前にして三号機が突然反乱を起こしたのだ。
リツコの悲鳴があがった。
何故だ、と思考をめぐらしていくと、迫ったアンノウルトラマンの顔が一号機のコクピ
ットスクリーン一杯に映る。
あっ、となった。
(そうか、敵は碇司令にそっくりだった!)
リツコがこころの中でさけぶ。
MAGIの疑似人格は、リツコの母ナオコのもの。彼女はゲンドウの愛人でもあった。
そしてカスパーは女としての、ナオコの人格が組み込まれている。
リツコが困惑顔になる。
(自分の娘より自分の男を選ぶっていうの!? でも)
似ているのは顔だけじゃないか、と言いたかったがしょせんは疑似人格である。
見境がない。
制御不能に陥ったゲッターMAGIは暴走し、勝手にポセイドン型のゲッターカスパーにチ
ェンジすると、アンノウルトラマンに抱きつくように迫っていく。
リツコの危機だ。
そんな時に、虚空からゲッター1と初号機が降ってきた。
「リツコさん! 早く脱出してくださいッ」
「なにやってやがんだリツコぉ!」
776:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:52:31
と、痛む腹を押さえながらネルフの守護神二体がリツコの救出にくる。
ここで彼女を失うわけにはいかないのだ。
どんなに手の終えない狂気があったとしても、敷島博士よりマシだから。
いや間違えた。
リツコがいなければ、誰がエヴァとゲッターの整備をするというのだ。
が、竜馬はまだしもシンジは非常にまずい状態だった。
なぜなら、エントリープラグ内にはLCL溶液が満たされている。
ここに下痢でいつ排泄がはじまるか解らない人間が乗るということは、どういうことか
もうおわかりだろう。
シンジの顔が青くなっている。
(竜馬さん。僕は今日で死んじゃうかもしれません)
排泄物にまみれる危ない趣味でもないかぎり、もしやってしまったら地獄の苦しみを味
わうことになるだろう。
竜馬が叫んだ。
「シンジ! 時間がねえ! MAGIの炉心を狙え! メルトダウンさせてシトごと倒すぞ!」
「はうぅっ」
二人は、リツコがMAGIから脱出したのを確認すると、アンノウルトラマンに組み付いて
身動きの取らないゲッターカスパーめがけて、ゲッタービームと二丁のパレットライフル
による斉射をくわえた。
すれば、それはゲッターMAGIに集中して装甲を破壊すると露出した炉心を崩壊させる。
そこから漏れた緑色の光が広がっていった。
ここまでだ。
「逃げるぞシンジぃ!!」
「はうっ」
これ以上とどまれば、メルトダウンに巻き込まれて地下で進化の眠りにでもつかなけれ
ばならなくなってしまうだろう。
777:終了
07/12/14 00:53:38
初号機が電源を強制排除すると、ゲッター1がそれを抱えて空に離脱していった。
同時に、初号機がA.Tフィールドを張ってゲッターを守る。
その眼下で第三新東京市の一部が消滅しながら、シトが消えていくのが確認できた。
「やばかったぜ……おいシンジ、大丈夫か」
ため息をつきながら竜馬がいう。
だが、
「……うぅぅ」
シンジの声は、すべてを否定していた。
もうこの場でサードインパクトが起きてもおかしくない。
「だめだったか……じつは俺もだ……」
二人が帰還したが、この日はやけに出迎えてくれる人間が少なかったという。
マヤなどは、そもそも姿がどこにも見えなかった。
リツコも生還してくる。むろん、彼女を見る職員の視線もどことなく冷たい。
特にレイが冷たかった。
リツコ以外に罪はないのだが、この後、三人はしばらくの間、ネルフの中で孤立していることになる。
それが逆に三人の絆を深めたかどうかは、神のみぞ知る、であろう。
たぶん、深まっていないだろうが。
やがて、リツコのゲッター建造計画は闇の内に凍結されることになった。金を使いすぎたのだ。
ゲンドウと冬月がいかにゼーレの追求をかわすかに躍起になっていたが、当のリツコは
そんな上司の苦悩もどこへやら、
「いつかまた造ってみせるわ!」
と、決意を新たにするのだった。
ネルフの戦いはつづく。
778:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 00:58:15
あ…あ…あ…あんたって人はああああああ~~~~~~~~~~~~~!
エンガチョ!もといGJ!
779:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:06:53
やらかしてくれましたなーまったくもうw
どこまで乙とGJを独り占めする気なんだ神職人!
シンちゃん…くじけないでね…
780:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:14:00
ウノレトラマンwこれはひどいw
781:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:18:23
本編終了の余韻がw
台無しw
782:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:31:40
自分で雰囲気とか余韻とかいろいろぶち壊しにしやがってwww
アンタはどこまで、どんだけwwww
783:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:48:37
>ガラス越しの向かい部屋で干からびている竜馬
あららwww
784:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 01:56:33
せめて早乙女研究所の時同様、所員全員が食中毒になればまだ救いがあったのに・・・www
>ガラス越しの向かい部屋で干からびている竜馬
某野球ゲームで「絶倫」の能力を持った選手を竜馬と命名した直後だったもんで大笑いwww
785:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 08:46:06
昨日までの感動を返せえぇぇぇぇぇ!wwwwwwwwww
しかしまぁ、アンタは御大が乗り移ったと今まで思っていたが
実は桜多だったのか!www
786:名無しさん@お腹いっぱい
07/12/14 12:31:37
このSSを読んで、唯一の問題は今まですきだったライトノベルなどでのキャラの苦悩
するシーンがうざったくなって見てられなくなったというところですね。とくに世界系
の作品は殺してやりたくなります。やはり、石川イズムは偉大だ!!
787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 12:36:14
石川イズム(笑)
788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 12:41:38
>>786
釣れますか?
789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 12:42:20
>>786
石川アンチ乙
790:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 14:41:05
せっかく綺麗に終わった話になんと言うことをwww
やっぱりあんたは最高だ!
791:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 18:20:05
>>「拒否!? カスパーが裏切った!?」
やはりこの台詞は必須かwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
792:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 19:37:03
エヴァのキャラで一番すきなのは、ついこの前までミサトさんだった。
しかしこのSSを読んでからはリツコさんが好きすぎてロマンティックが止まらない。
職人さん、遅くなったがGJを言わせてくれ。
そして、ありがとう
793:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/14 21:36:38
自演
794:ゲッター・リアル世代
07/12/14 21:43:51 zTACa9AZ
こんな話しは初めてだ~
たのしませてもらったぜ~
795:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/15 00:04:15
後はE meets Gだけど…作者さんのリアル事情が原因だろうからなぁ。
風の噂では月に飛ばされれてブラゲを一人で改(略
796:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/15 00:46:54
俺が聞いた話だとネルフ地下で山のような試作機の残骸を整理してるって聞いてたが・・
797:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/15 01:08:39
バイオレンスな麻雀かゴルフの真っ最中でしょ
798:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/15 01:12:37
ゴルフはやばい、賢ちゃんが虚無の戦場へ旅たつ原因となったスポーツだ
799:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 02:55:11
つまりブラックゲッターでゴルフをして虚無に旅立って賢ちゃんに続きを相談しに言ったのか
800:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 07:46:07
で。その様子を解説するとこうなる→「ウオオこのエネルギーはビッグバンを引き起こすほどの」
801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 10:52:26
「このブラックホールでかすぎて簡単すぎじゃー!ホールインワンばっかりじゃ!」
「やっぱり天然物はいかんのう、手加減が面倒じゃがマイクロブラックホールをこさえるか」
「この辺の恒星は殆どホールインさせてしまったからゴルフの続きは次の宇宙に行ってからにしろ」
というような会話を目玉グルグルな連中がしているのを幻視したw
802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 12:33:40
ゲッペラーの得物も当然トマホークだろうと思ってたが実はゴルフクラブだったのか…
803:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 13:56:35
トマホークを横にして叩いてるだろ
804:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 20:41:37
このスレマジで魔力有りすぎ
気が付いたらゲッターロボ三冊買ってた
805:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 21:33:06
>>804
ゲッター線に取り込まれるなよ
806:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/16 23:56:46
>>800
大事なのを忘れているな
竜馬『俺に解る様に説明しろ!』
シンジ『甲虫長、君が何を言っているのかわからないよ!』
807:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/17 20:07:30
いままで規制で書き込めなかったんで今更ですが・・・
SS完結乙です!
あそこまで風呂敷広げてどうすんだと思ったけどそれを見事にまとめ
しかもこの短期間で間隔をそれほど空けずに書くっていうのはそう簡単じゃない。
ラストはちょっとまとまりすぎたかな?って思ったけどオマケが面白すぎたんでそんなことは吹っ飛びましたwww
ただリツコがエンペラーに入る以前(まとめwikiの5-3)に
「隼人に会った」と言ってたのはどうなったのかな?と
それが気になって昼寝も出来ません。
808:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/17 21:33:18
そういや隼人はどうなったんだろな
809:名無しが氏んでも代わりはいるもの:
07/12/17 21:40:23
この神SSに触発されてゲッターSSをかいてくれる人が増えないだろうか?
もっとも誰もこの職人さんの超人ペースは(即興で書いたそうですし)
真似できないと思いますが・・・。
810:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/17 22:18:50
>>809
神の前では凡人はただ沈黙する(意訳:こんなスゲーSSの後なんで書くにも気が引ける)
という奴の存在に30ファイナルゲッタートマホーク賭けよう
811:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/17 23:02:56
武蔵‘Sが出て来た時漏れは、もうマジンガーZにグレートマジンガー
おまけに、グレンダイザーが出て来ても驚かんぞ!と、思ったのだが・・・・
同じ事思った椰子、手を挙げろ!w
812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 00:23:07
いや、別に思わなかったが
813:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 01:30:16
マジンガーは石川作品じゃないぞ
814:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 01:34:07
>>813
東映作品だな
815:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 05:50:04
ダイナミック的にはそんな展開もありだとは思うけどな
816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 07:17:28
テキサスマック参戦はありうると思っていたが
817:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 08:04:00
ゴール様&ブライ大帝(両者とも原作漫画版真ゲッターバージョン)まではあっても良いと思った
自由とはそういうものだ
818:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 10:00:53
そう、雨の日に全裸で駆け抜けるのも自由
819:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 12:55:25
>>818
ダイゼンラー乙
820:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 21:31:38
ようやく追いついた。
これだけは言わせてくれ、いい最終回だった。
821:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/18 22:03:57
一度は書こうと思ったよ…チェンゲ×エヴァ…
ケイを「ケイ(お)ねーちゃん」と呼ぶチルドレンとか。
ガイとタメで喧嘩するアスカとか。
真ドラゴンに喰われて腹ん中でシンちゃん&アスカが「うわあぁぁぁぁ!」状態を救いに出現する
キョウコ&レイの中から目覚めたユイとか。
カヲルがシンジの為ならエンヤコラ、でATフィールドを初号機のパワーアップパーツにして
ファイナルバージョン(終號機?)とか。
けどなぁ。
職人さんにあんなもん書かれたら出る幕ねぇべorz