07/11/29 00:37:57
GJ。
やはりエヴァ終号機というのは誤字ではなかったのか……
本来ならゲッペラーに匹敵する超存在になるはずだったという事だが、
実際にはどうなるのやら。
そしてゲッター艦隊の意外な欠点。惑星・星系規模の殲滅戦に特化したせいで
小回りがきかないのか。
301:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 00:47:36
毎度GJ!!!
でも
竜馬がプラグスーツ…
竜馬が…
ダメだあまりの衝撃展開に整理がつかん
一体この作者はどれだけの宇宙を脳内に抱えているんだ?
302:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 02:08:10
追い詰められたせいか空気が一気にエヴァっぽくなったな。
これがこれまでの揺り戻しだとするとまだまだ沈むんじゃないかとか戦々恐々。
303:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 09:44:56
う~む・・・・・ミサトの料理を食すのは流石に竜馬でも無理だったか。(爆)
304:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 10:27:34
言っても詮無いことだが
CB750か…
Zじゃないのか…
カワサキじゃないのか…
305:つづき
07/11/29 18:05:38
「おう」
というと、竜馬が瞳を閉じた。
彼なりに零号機とシンクロしようとしているのだろう。
しばらくそのままだったが、やはり零号機は竜馬を受け入れないのか、マヤの監視する
シンクロ率を表示するグラフはうんともすんともいわなかった。
(だめか……)
ミサトがそれを見て思った。
あれほどの大口を叩いた手前、竜馬ならなんとかしてしまうのではないかと、ひそかに
淡い期待を抱いていたのだが、そうそう上手く事は運んでくれないらしい。
「リョウ君、やっぱりダメよ。大人にエヴァが動かせるなら、私たちだって子供に命をか
けさせたりしないわ」
諦めてそういうが、しかし竜馬は応じない。
それどころか、閉じた瞳をかっと開けると怒ったような顔になる。
「零号機!! 寝ぼけてんじゃねえぞコノヤロウッ!
いまは地球の一大事なんだ、てめえが動かなきゃどうにもなんねえだろうが!!
それでも眠っていてえなんて抜かしやがるなら……」
がぼがぼと、LCLの溶液の中でそういう内容のことをいうと、いよいよ竜馬は目をつり
上げて、
「プラグごと食っちまうぞこの野郎!!」
と、がぼりと叫んでからトリガーを目一杯に引いた。
あまり強く引くので、トリガーが壊れてしまいそうだったが、その迫力たるや、初号機
がゼルエルを食ってしまったかのように、本当に竜馬が零号機を食ってしまいそうな勢い
だった。
306:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:06:40
すると、どうだろうか。
零号機が竜馬の恫喝に恐怖したかのように、拘束されているはずのケイジ内でびくんと
震えるように見えたと同時に、シンクロ率のグラフがストローを通る水のような勢いで伸
びていく。
それを受けてマヤの悲鳴のような報告が作戦司令室に響いた。
「シンクロ率一二〇パーセント! ぜ、零号機が起動します!!」
「うそおッ!?」
と、ミサト。
起動するだけならまだしも、シンクロ率までが異常に高い。
カヲルのようなシトとは違って竜馬は、あくまで人間である。シンクロ率の操作などで
きるはずもなく、この数値は紛れもない真実だった。
ミサトにはそれが信じられなかったのだが、この状況で嘘をいう意味などないだろう。
零号機のいるケイジの様子はここからしっかりと監視できているのだ。そこでは零号機
全身を振るわせながら、自ら拘束具を引きちぎって起動していくのが見えた。
起動は成功である。
プラグ中の竜馬はしてやったり、といわんばかりだった。
「一つ目小僧のお目覚めだぜ。操縦法はイメージだな、こいつなら訓練はいらねえ。
悪かねえシステムだ。さて……それじゃあ作戦会議といこうじゃねえか」
その言葉で、第一二のシト・アラエルへの抗戦がはじまった。
宇宙から直接飛来してきたシトは、サハクィエルにつづいて二体目であるが以前のもの
は単機にて大気圏を離脱できるゲッターロボによってせん滅された。
だが、いまはそのゲッターが動かない状態だ。
エヴァにはそういう能力がないし、零号機は弐號機のように空を飛べるわけでもない。
307:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:08:16
ではそのエヴァ単体でどう対処するかといえば必然と、地上からの直接射撃による攻撃
が考えられるだろう。
しかし現在のアラエルの位置から距離を算出すると、たとえ陽電子砲を用いたとしても
射程がたりなかった。
仮に届いたとしても射程が長すぎ、大気圏を抜けるまでに陽電子が消耗してしまって敵
の敵のA.Tフィールドを打ち抜けるだけの威力にならないだろう。
それではなんの意味もないのだ。
ミサトが頭を抱えた。
これに対しても、また竜馬が泥船にしか見えないような助け船持ち出してきた。
彼は、
「なら無理にでも届かせりゃいいんだ」
といって、次の作戦を提案する。
その内容はまず、組み立て途中のゲッターの利用だった。
この内、メインのゲッター炉心を搭載してゲッタービームの射出機ともなるジャガー号
を稼働させる。機体として稼働できないなら、炉心とロケット推進だけでも利用し、これ
に零号機を縛り付けて宇宙に飛び出してからゲッタービームを近距離で浴びせる。
零号機の大気圏の離脱・突破にはイーグル号からマント状のゲッターウイングをむしり
取って零号機にまとわせることで無理矢理対応させようとした。
原理は不明だが、あのマントは高機能のシールド能力があるらしい。
ともかく……要するに力ずくで敵に近づいて攻撃するという、いつもの竜馬パターンだ。
名目上、作戦という名をかたってはいるが作戦とはいえるレベルのものではなく、
「リョウ君にかかったら何でも力ずくねえ……それで成功するから凄いけど」
と、ミサトをして呆れさせるほどだった。
しかし現状の戦力を考えると、いくら論議してもこれ以外には手段も見あたらない。
仕方なしに竜馬案が採用されることになった。
308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:09:47
ただ、ゲッターから装備をもぎ取るのにも技術が要り、その準備にやや時間を要するの
が難点だったが、幸いにしてシトはこちらの出方をうかがっているのか、自分から攻勢に
出る気配がなく作業は順調に行われていく。
そして零号機にゲッターの部品をくくりつける間に竜馬は一度エヴァを降りて、LCLに
塗れた口を潤すために、自販機のあるフロアへと足をむけた。
ふとその目に先客の姿がうつる。
「誰かと思ったらアスカか」
「なによ、ジュース飲んでたら悪い? どうせ弐號機は動けないんだもの」
と、つっけんどんにしながら「それにしても」と付け加えていう。
「まさかプラグスーツ姿のあんたを見るとは思わなかったわ……しかも微妙に似合ってい
るのが嫌すぎる」
「こういう服はゲッター用のパイロットスーツで着慣れてんだよ。色も同じだ」
「ゲッターにもパイロットスーツなんてあったんだ」
「ああ」
というと、竜馬は自販機に寄ってコインを投入すると、コーヒーを選ぶ。
彼は本来その食の好みが完全に和の物に寄っており、飲料もコーヒーより茶の方が好き
だったが(もっといえば清酒だが)リツコの影響かいつの間にやら多少の変化があった。
竜馬は出てきたカップに口をつけながら、首をごくりと鳴らうと、やがていった。
「将造は見つかったか」
「……ううん。組の総出で探してるけど、全然見つからないの」
竜馬の問にアスカが覇気なく答える。
やはり、親代わりを失うかもしれないという不安が大きいのだろう。
彼女は将造のおかげで、岩鬼組の若頭として自らの存在意義を明確に確率することがで
きた。それがある限り自我の安定は保たれるはずだ。
309:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:11:00
しかし、それとは別に将造を通して見た肉親への情景が離れないのだ。
アスカが弱いのではない。
わずか一四歳の子供が親の愛を求めるのは、当たり前の欲求である。
竜馬ですらも、ゲッターに出会う前の幼い頃は父、一岩から受けた影響は強く、彼の宿
願だった「武道を立て直したい」という想いを果たすことが生きる目的だったのだから。
「将造の野郎は」
と、その竜馬がいった。
「そう簡単にゃくたばらねえよ。俺が保証してやる」
昨日の自身にも言い聞かせるかのようにいう。
「そうかな……まあ、パパの不死身さはハンパじゃないのは確かだけど……」
「俺が、いや俺たちがこのまま追い詰められたままでいるかよ。なんとしてでも反撃に移
ってインベーダー野郎共を皆殺しにしてやるんだ。お前がそんなでどうすんだ」
とアスカを叱咤しているとと、アナウンスが竜馬を呼んだ。
どうやら零号機の作業が終了したようだ。
竜馬はのみかけのコーヒーをアスカに「くれてやる」と押しつけ、そのまま身をひるが
えすと零号機のいるケイジへと走っていった。
残されたアスカは、
「いらないわよ人の飲みかけなんて」
というと、そのままゴミ箱に捨てて自身も作戦司令室におもむくのだった。
することが無いといっても、このままサボるわけにはいかない。
やがて、全ての準備は整って、人っ気の完全に消えた第三新東京市の中に、発射台に垂
直に固定されたジャガー号と、それに縛り付けられるように零号機がジョイントされてい
るのが見えた。
310:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:12:59
さらに上から黒いマントのようなゲッターウイングでくるまれている。
その様子を、不安げにみつめながらミサトがいう。
「いい、エヴァに空間戦闘はできないし稼働時間も五分程度しかないわ。そのことだけは
覚えておいて頂戴」
五分では、ぎりぎりの時間しかないだろう。
零号機を動かすのはシトを撃つ時だけで、あとは全てジャガー号に頼ることになる。
成功確率はMAGIがいった通り、極めて低いだろう。
だが、誰かがやらねばならなかった。
竜馬は気を引き締め直す。
「わかってる」
「あとは武運を祈るわ。では、ジャガー号点火!」
ミサトの伝令で、ジャガー号がスペースシャトルよろしく、後部のロケットノズルから
噴煙をはげしく吹きだして地上を離れていくが、スペースシャトルと違うのは、バッタが
跳ねるような勢いで空に飛び上がっていくことだ。
あっという間に成層圏にまで達した頃、しかしそれまで停止していたアラエルに活動の
兆候がみられた。
アラエルの体躯がいっそう輝きはじめるが、それを作戦司令室が感知する前に、アラエ
ルから光の渦が発せられて零号機に浴びせかけられていく。
作戦司令室が警告する間もない出来事だった。
瞬間、零号機のプラグの中の竜馬がなにか胸騒ぎのようなものを感じると、同時に自身
の深層記憶を次々と呼び起こしていく。
それは父一岩の教え、ゲッターロボとの出会い、竜や鬼との戦い、歴史をさかのぼった
思い出や、ゲッターの見せる未来に絶望したこと、さらに絶望から希望を見いだしてゲッ
ターを支配するまでに至ったことまで、彼の記憶たる記憶であった。
この状況を引き起こしたのが零号機を包むアラエルの光であることは、竜馬にも容易に
想像がついた。
311:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:14:01
「……俺の記憶を覗いている? シトが人間を知ろうとでもいうのか」
アラエルの光でなにも見えない視界に、竜馬がいう。
彼はしばらく目を閉じていたが、零号機が大気圏を離脱し始めたのだろう、明るいだけ
の視界が真っ赤に染まっていく。
ここで、竜馬が目を開けた。
そして言う。
「だがな。人様の過去を探るなんてえのは、ヒトの間じゃ一番無礼とされてんだよ!」
叫びと共に零号機が大気圏を離脱しきって、アラエルが肉眼で見える位置まで来ると自
身をくるむマントを剥がしてジャガー号から分離していく。
ジャガー号を下部から頭上にかかげて持つと、さらに叫んだ。
「人間を知ろうってなら礼儀から覚えて出直してきやがれぇッ!!」
それと同時に、ジャガー号の先端が開いて紅色のゲッタービームが発射されるとアラエ
ルの光を包み返すようにして迫っていった。
その光景が、作戦司令室から確認されている。
ゲッタービームの美しい光がアラエルを包み込むと紅く染めあげて、真に鳳凰の姿のよ
うになって焼かれていくのだ。
不思議とA.Tフィールドは発生しなかった。
まるで、シトが竜馬の叫びを聞き入れてその洗礼をすすんで浴びたかのようだった。
そして、ゲッタービームを発射するジャガー号も、その本来以上の出力を示して自身の
砲身が焼き切れてしまうほどに巨大なビームを放出するが、なおその勢いは止まらない。
あまりに反動が凄まじく、背後のロケットによる逆噴射でもそれを抑えることが出来ず
に零号機は、だんだんと地球に向かって後退していってしまう。
そして整備途中のものを使ったせいか、限界が来たのであろう、ジャガー号のあちらこ
ちらにヒビが入るとそこから放電がおきていく。
312:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:15:14
「ちっ! A.Tフィールド展開!!」
まずい、と思った竜馬がA.Tを展開しつつジャガー号から離れるが、次には爆発がはじ
まってしまう。
炉心が融解すれば、いかにA.Tフィールドとても耐えられる保証はない。
いや、間違いなく零号機は吹き飛ぶと思ったほうがいいだろう。
それを見ていた作戦司令室の面々が、
「だめだ、間に合わない!!」
と声をそろえて叫ぶ。
だが、その瞬間のことだった。
別のモニタで誰もが見ることなく映し出されていた、月の地平線がきらりと光ったよう
に見えると同時に、爆発するジャガー号の方へなにかが突っ込んでいった。
月との距離を考えると、光速並の速度が出ているだろう。
「なんだ」
と、いうと光は一瞬で速度を落としていくと、やがてその影がはっきりとしてきた。
それは爆炎を背にして人型のなにかが零号機を抱えている。
よくみるとそれは、
「げ、ゲッターだ!」
誰かが叫んだ。作戦司令室のモニタに、どんどん速度を落としていく紅いゲッターロボ
の姿あったのだ。
だが、少し形が違う。
全体的にゲッターロボよりも大きいし、そのデザインも鋭角的だ。
背中には悪魔の様な二対の翼が生えてそれが左右に大きく広がっていて、それがさらに
体を大きく見せている。
313:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:16:24
やがて、ゲッターに似たものが空間で制止した。
すでにアラエルはゲッタービームに包まれて消え去り、ジャガー号も霧散している
勝利とみていいだろう。
しかし、それより今はこの謎の物体の方がきにかかる。
零号機の竜馬がうめくようにいった。
「真ゲッターだと……誰が乗っている」
その問いかけに、ふっと零号機のモニタに女の姿が浮かびあがった。
女は純白に赤く太いラインの走ったデザインのタイツの様に体に張り付いたスーツを着
てその細い肢体を示し、金髪の端正な顔に微笑を浮かべている。
竜馬がそれを見るなり、ニヤリとなった。
「リツコか」
「ええ。今帰ったわ」
「来るのが遅えんだよ。おかげでジャガー号が粉々になっちまった。零号機も」
「代わりに持ってきたじゃない、真ゲッターロボを」
「だが、そいつはエンペラーになる前の……」
「私が造ったの。エンペラーの記憶を借りてね」
「どうやら、なにもかも覚えてきたらしいな」
「ええ。あなたたちの過去も、私たちの未来も。エンペラーのこと、終号機のこともね。
でも未来のシンジ君はエンペラーとは違う道を取ることを選んだわ」
「そうか……やはり、そうか。リツコよ、あとでとっくりと話してもらいてえな」
「もちろん。でも、今はみんなのところへ帰りましょう」
会話は、すべて作戦司令室にも聞こえていたが、それが何の会話をしているのかは当人
同士以外には解るはずもなかった。
その真理はこれから物語の終局にむけて語られていくだろう。
314:ここまで
07/11/29 18:17:26
竜馬のいう真ゲッターロボは零号機の首筋に触れると、まるで水の中に腕をいれるよう
に突っ込んで中から竜馬の乗ったプラグを取り出してしまう。
そして自身の胸に当てた。
すると、プラグは真ゲッターに融合されるかのように消え去ってしまい、次に竜馬は真
ゲッターのコクピットへと身を移していた。
まるでマジックを見ているようだった。
「零号機はもう大気圏突破には耐えられないわ。残念だけど……ここで放棄しましょう」
リツコがそういうと、真ゲッターはふわりと零号機を体から離すと、しばらくそれを見
つめるように宇宙にたたずんだ後、くるりと地球の方へ向いてそちらへ向かうのだった。
315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 18:20:15
ところで、
>>265
わざわざありがとう。
タイトルはそのまんまでどぞ。
316:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 19:43:58
GJ!
真ゲッターキタ──(・∀・)──!
てかプラグスーツ姿披露したり気合いでEVAをシンクロさせたり…やっぱり先がサッパリ読めないなw
317:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 20:28:02
零号機を失ったネルフは新たな希望、真ゲッターロボを手に入れた
帰ってきたリツコのいうエンペラーの記憶とは、終号機とは何か。謎は深まるばかり
シンジは、カオルは、レイとユイ、初号機の運命やいかに!
次回もこのスレッドにチェェェンジ、真ゲッタァァァァワン!
感想書こうと思ったら大決戦の次回予告みたいになっちまった。
318:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 20:53:25
走り出せ 夢見た明日へ 必ずいつか捕まえる
319:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 22:54:31
__[警]
( ) ('A`)>>走り出せ 夢見た明日
( )Vノ )
| | | |
320:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 23:14:31
しかし回が進む度に面白くなってきているな
構成力が凄いよ
321:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/29 23:35:17
面白いという言葉すら追い付かない面白さ!
乙です!
しかし竜馬、プラグスーツ似合うのか…そうなのか…
なんか想像すると妙にドキドキするなw
322:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 00:43:53
アニメ版の、というか早乙女研究所時代のユニフォームを思い浮かべればいいのかな
323:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 12:18:31
貞本絵の竜馬ってどんなかな?
324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 13:07:32
アスカのスーツの色違いだったりしてw
325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 14:08:19
>>324
それは8話でアスカの予備のプラグスーツ着た
シンジ状態ということ…か?
326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 20:56:03
>>273
>>315
ようやく、おいつきましたのでアドレスをUPします。
URLリンク(wikiwiki.jp)です。
もっともゲッタークロスオーバーでググれば普通にでますが
327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 22:13:27
>>326
うおおおお乙! 激しく乙! 凄まじく乙!
これは読みやすくていいなあー
まとめて読むと迫力や感動がまたひとしおだね
しかしこんなもの凄い量になってたんだ…
改めて神職人さんに敬服と乙です
328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/30 23:31:43
職人さん凄いハイペースで書いてるもんなあ
329:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 00:28:20
マジで超人としか言いようが無いです。ここまで凄まじいペースは見たこと無いです。
330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 08:05:26
実は既に最終回まで書き溜めたのを推敲して投下してるんじゃないだろうか、ってくらいのハイペース
331:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 09:25:42
>>330
合理的な手法ですな。確か、作家の篠田真由美氏も同じように作品を
書いていると聞きました。
332:つづき
07/12/01 20:39:03
八
真ゲッターが地上に降りてくる。
悪魔のようなコウモリ羽根を天高く広げ、零号機の代わりとなって帰ってくるその姿は
ネルフ本部の作戦司令室でもしっかりと確認されていた。
それが新しいゲッターロボであることは、姿形や竜馬やリツコが乗っていることからす
ぐに理解できた。
が、月の裏側から一瞬で地球にまで接近したことや、A.Tフィールドの防護もなく大気
圏を突破してきたはずだというのに、なにごともなかったかのようにしている様から、こ
のゲッターが果たしてどのような代物なのかは、誰にも予測がつかなかった。
真ゲッターは、その身を第八ケイジへ降ろしていく。
そして竜馬とリツコの二人が機体から降りて作戦司令室に入ると、ミサトをはじめとし
て全ての職員が待ちかまえていたかのように二人を迎えるのだった。
まずゲンドウがリツコの生還に簡単な祝辞を述べると、本題に入っていく。
彼女が見聞きしてきたことを、全て聞き取らねばならない。
もはや、リツコが独断で身を隠したことについては誰も咎めようとはしない。そんな常
識で物を考えて行動する状況は、すでに去って久しいのだ。
それよりも彼女のもたらした真ゲッターと情報が、この行き詰まった事態に対してどう
影響してくるのかが、リツコの帰りを待っていた者たちが知りたいことだった。
やがて、リツコがゆっくりと口き、
「エンペラーでの出来事を話すわ」
といった。
さて、このあとは彼女に代わって筆をとろう。
レリエルのディラックの海から、ゲッターエンペラー率いるゲッター艦隊に単身乗り込
んだリツコを待っていたものは種々にわたるが、順を追って説明していく。
333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:40:21
エンペラーの内部に入ったリツコはしばらく何も見えないままだったが、やがて気づい
た頃にはエンペラーの艦橋にいた。
艦橋といっても、その空間が果てしなく四方に広がっており、とうてい人間の知覚力で
はその広さをつかめないほどだった。
辺りには誰もおらず、リツコはしばらく呆然としているしかなかった。
そうしていると、しばらくしてどこからか人影が現れた。
本当にどこからともなくだった。
リツコいる周囲は、広く見渡せる場所で死角になるものなどあるはずがないのに、いき
なり視界に現れたのだ。
見えてきた人物に集中していくと、近づくにつれてその正体が明らかになっていく。
と、その時リツコが息に詰まったような感覚を覚えた。
なぜなら、己を出迎えたのであろうその人物は、流竜馬だったのだ。
ぼろぼろのトレンチコート羽織ったいでたちのせいか、いつもより年を食ってみえるが
明らかに竜馬である。
やがてそれは自分の目の前に来た。
「よく来たな」
「あ、あなたはゲッターロボの中にいたはず」
驚くリツコを前に、彼女を出迎えた竜馬はこう言う。
「俺たちは様々な次元から集ってきた流竜馬だ。さっきまでお前と一緒にいた竜馬は、
その中の一人に過ぎん」
さらりといってのける。
リツコは、混乱しそうになりながらも、かつて竜馬から聞き知ったゲッターに関わる人
間たちは多次元に渡り、やがてエンペラーに集ってくる、という説明を思い出して頭脳を
冷却していく。
334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:41:24
が。
必死に冷却しているところに、さらに超高熱の熱源を置かれるような事態が起こった。
「さて。お前をわざわざ呼んだのは他でもねえんだが……まあ、俺が説明するよりあいつ
に任せた方が早えだろう。おい、ナオコ。こっちに来な」
ナオコ、という言葉にリツコがびくんと反応した。
それは母の名前ではないか。
単に同名の別人物だと思いたかったが、竜馬が二人も三人もいるような状況では死んだ
人間が出てきてもおかしくない。
はたして、その予想は的中することになる。
「ひさしぶりね」
と、どこからともなく白衣に身を包む妙齢の美人が現れる。
「か、母さんが、ど、どうしてここにいるの!?」
完全に頭脳の冷却が追いつかなくなったリツコが、頭から湯気を出しそうになりながら
舌を噛み噛み、いう。
するとそれに対して竜馬が、ナオコの肩を抱いてぐいと引き寄せると、
「いい女だったから俺のものにした」
などと言い放つし、当のナオコもまんざらでなさそうな顔をしているのを見て、リツコ
は卒倒しそうになってしまう。
「どういうことなの、これは」
「ユイさんが私を覚えていたみたいよ。初号機の記憶を得たエンペラーが私を再生した。
……リツコ、そんな恐い目で見ないで、あなたの流竜馬を取るつもりはないから」
335:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:42:43
「ああッ」
リツコは感情的に「なにをいっている」と叫びそうになったが理性がそれを止めた。
冷静に考えればナオコのいっていることは、おかしいことではない。
最初にいわれた通り、いま彼女の隣にいるのは自分が知る竜馬とは別次元の存在であり
ディラックの海で別れた竜馬とは別人物だ。
たしかにそう考えるとこの竜馬は、自分の知るのとは女に対する態度も含めて、幾分か
違う部分があるのが見えてくる。
まず最初感じた通り、歳をすこし食っている。
それに自分の知る方は乱暴者ながらも行動の端々にちょっとした愛嬌があった。
が、こちらは同じ粗暴であっても、どこか哀愁めいた冷たさを感じるのだ。
通過した人生経験の差であろうか。
考えれば解るのだが、しかしいざ現物をみると混乱もするし嫉妬を隠せない。
が、そのあとになってさらに数人現れた竜馬を見てからは、もはや考えるのをやめた。
その中の一人などは非常に若く、高校生ほどに見える上にやたらと礼儀も正しい。
リツコは、
(もうなんでもいいわ)
と現在の思考を放棄して一回深呼吸すると、今度は別の思考が回った。
(結局、同じ男に惹かれるとは。血は争えないのね……)
である。
はあっとため息をつくリツコ。
母越えはならなかったか、と思うと同時に、こうなってくると些細な感情など、どうで
もよく感じてきてしまって含み笑いが漏れてしまう。
336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:43:47
これを落ち着いたか、という目でみたナオコが口を開く。
「あなたを呼んだ理由を説明する前に、現状の未来がどうなっているか教えるわ」
あとの語りは以下に代筆していこう。
それは、このようなことだった。
ユイと共に宇宙をさまよっていた初号機と、LCLと化したシンジを含む地球生命のなれ
の果てがゲッターエンペラーに取り込まれその記憶の一部となると、ゲッター艦隊に生命
がLCL化していく被害がでたのは書いた通りだが、これはその元凶だったシンジを過去で
ゲッターに乗せて記憶させることで完全に処理した。
ゲッターに元凶のこころを理解させることで、ヒトがLCLに還ってしまう事象を解き明
かして、次に細胞が侵入する異物への防壁を構築するかのごとくして、LCL化現象を停止
させたのである。
そしてゲッターとひとつになった初号機は、やがてゲッター線の力を得てエヴァンゲリ
オン終号機として再生していった。
それこそがディラックの海の中でみた、エンペラーと同じように宇宙を喰っていく果て
しない大きさの初号機の正体だ。
だが。
過去でシンジは竜馬から戦う意味を学び、父親との和解で心の居場所を見つけて確固た
る自我を成立させると、その影響を受けて終号機にもさらなる変化が生じてきた。
自我を確立した人間が次に求めるものは、己が住まうべき社会の防衛だ。
自分たちの文明をシトに、ましてやゲッター線にも奪われたくないという欲求がシンジ
の心の内にわき上がる。
これに終号機は己のとるべき行動を再考し始め、やがてその思考は、我はただ時天空を
倒すための僚艦になるべきではない、という確信にまで至ったようだった。
337:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:45:45
これを竜馬たちは承認する。
なぜなら、ゲッター線の存在理由は対時天空用の兵器ということに過ぎないが、竜馬た
ちは、自分たち生命がそれのみでよしとは思っていない。
だから自分たちを戦うための兵器として仕立て上げて躍らせた、大いなる意思も倒すつ
もりであったし、さらにその後の宇宙をどうするか、ということまで考えて戦っていた。
ふるさとがあった場所(この場合は宇宙になるだろう)を守りたい、というのは生き物
が戦いにおもむく根源的な感情であるからだ。
だが、それを考慮にいれて倒せるほど時天空という存在は甘くない。あるいは宇宙とい
う概念を消滅させなければ倒せないかもしれない相手だった。
では、なにもかもを犠牲にした上で、時天空を倒し、大いなる意思をも打倒することに
なんの意味があるのか。
竜馬たちは密かに悩みもしたが、その中でエヴァが竜馬たちを驚かせたことがあった。
終号機は最初こそエンペラーと同様の進化を遂げたが、進化を重ねていくにつれて、だ
んだんと戦う神というよりも、世界を生み出す神という性格が表れていったのだ。
それは終号機の内部にまるで、太陽系を模したかのような小さな宇宙が構築されていく
ことで表現される。
住まうべき世界が欲しい、というシンジの願いによるものだろう。
エヴァンゲリオン、すなわち「福音」の名に相応しい進化だった。
竜馬たちはこれにひとつの希望を見いだしたのだ。
どれだけスケールが大きくなろうとも、乱世には英雄が、治世には能臣がそれぞれ自分
たちの世界というものを守る。人の世とはそういうものだ。
つまり、時天空という全宇宙の危機を打破する力がゲッターならば、全てが終わった後
の宇宙に平定をもたらす知恵はエヴァにこそある。
それでこそ、真に自分たちの戦いは終結に向かうと考えたのだ。
338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:46:53
だが、過去において人類補完計画を阻止できなければ、せっかくの可能性を見せた終号
機も再びもとの姿へと還り、すべてはうたかたの夢となって潰えてしまう。
それは、虚しいことだ。
さらに過去ではシンジにインベーダーが寄生し、終号機の可能性どころか地球の生命体
の可能性すらも奪われようとしている。
「そこで、リツコ。あなたが必要になる」
「私が?」
「私たちの世界からインベーダーという寄生虫を一掃するための力、真ゲッターロボをあ
なた自身の手で造って、過去に持ち帰るのよ。そしてエヴァの可能性を紡いで。
そのためのエンペラーの記憶を全て伝えるために私は居る」
そこから先、どのようにしてナオコからエンペラーの記憶を継承したかはリツコ本人も
覚えていなかった。
ただ無我夢中で真ゲッターロボを造っていたことだけが、強烈なイメージとなって残っ
ている。
完成までにどれほどの時間がかかっただろうか。
たった一人での作業だ。
もしかすると、数百年の単位が流れていたかもしれない。
気の遠くなるような作業の末、やがて完成した機体に乗り込むリツコに、竜馬が白いパ
イロットスーツと、もうひとつ淡い緑色のスーツを手にもってやってきた。
それをリツコに押しつけながら言う。
「よくやってくれた。俺の手でインベーダーをぶっ殺せねえのが心残りだが、お前の会っ
た竜馬は戦闘力にかけちゃ一番だ、こういう事にゃ適任だろう。バカだがな」
「人の男にケチつけないでほしいわね」
「俺の文句を俺がいってなにが悪い。さあ、もう行け」
と、リツコは追い出されるようにエンペラーから離脱すると、コクピットの中でレバー
を握って真ゲッターに息吹を与える。
339:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:47:57
すれば、今まで経験したこともなかったような軌道で空間を跳ね返るように動きながら
亜空間に突入していき、気がつけば遠くに地球が見えるところに居た。
そこでリツコはふと、先の真ゲッターの異常機動に何事もなく耐えられた自分の体に違
和感を覚えた。かつてのゲッターでさえ、乗りこなすのに特殊スーツが要ったのに、今着
ているものは単なる繊維素材を縫い合わせたものに過ぎない。
ではなぜか、という自問をするがいくらやっても答えが出ない。
やがて考えるのにも疲れて、
「エンペラーにいる間に体も強化されちゃったのね、たぶん」
と、思うことにした。
ゲッターに触れていると論理的思考をことごとく否定されてしまうので、感覚で信じる
しかないのだ。
そして、宇宙で危機におちいっていた竜馬を救出してネルフ本部に帰るに至った。
これがリツコがエンペラーの中で経験してきたことの全てである。
さて。
ここまでリツコの弁を代筆してきたが、彼女は上記のことを水が流れるように喋ったあ
と、最後にゲンドウを見ていった。
「碇司令。母から言い伝えがあります」
「……なにかね」
「遊びすぎて正妻から、じいさんは用済みなどと言われません様に。だ、そうですわ」
ネルフ職員の面前で、しれ、と言い放つリツコ。
これにしばらくゲンドウは反応を見せずにいたままだったが、やがて、ふっと顔を下げ
た後に息を大きく吸ったかと思うと、空砲でも撃ったかのように大笑いしだした。
あまりに笑いすぎて息がつづかなくなるほどであり、寡黙なゲンドウのイメージが、が
らがらと音をたてて崩れ去るほどだった。
340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:48:39
支援
341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:49:03
隣に立っていた冬月ですらも、ゲンドウの気が違ってしまったのではないかと不安げに
その姿を見ていたが、しばらくして笑いが収まる頃になるとずれた眼鏡をなおしながら、
こういうのだった。
「そうか。彼女がそういっていたか……忠告は承っておくとする」
「それはよかった。まあ、痴話はこの程度にしておきましょう……それよりも、そろそろ
来ます。最後のシトが」
というと、リツコは作戦司令室のメインスクリーンに振り向いた。
それとほぼ同時に箱根の山岳部上空に、ヒトのDNA構造がそのまま巨大な立体となって
円を描いたような光り輝く物体が現れる。
シゲルがその波長パターンを確認すると、
「青、パターン青です。間違いありません、シトです」
リツコのいうことを裏付けになった。
少なくとも裏死海文書を信じるとすれば、カヲルがインベーダーに寄生された以上はこ
れがシトとの最後の戦いになるであろう。
ネルフの目的がゼーレの壊滅である以上、職員たちも既に敵のシナリオは知っている。
下級の職員たちは今まで自分たちのしてきたことの、ほとんどが予定調和の出来事だっ
たという事実に反感を覚えもしたが、逆に倒すべき敵の姿が明確になったことで意思の統
一もはかられた。
それゆえにシトの出現そのものを驚くことはないが、シトの正体や特徴、形まで予測で
きていたわけでない。
第一、そこまで解っているならばカヲルの侵入を防げていただろう。
まあ、それはともあれこの場では最後のシトに抗戦せねばならない。
ネルフはこの第一三シトをアルミサエルと名付けた。
しかし対策を考えるミサトが、螺旋状の帯が空中をただよう姿を見ていると、ヒトの
DNAを連想するというよりも巨大な単細胞生物でも見ているような気分になってしまい、
342:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 20:50:30
「うぅん。なんかネタ切れしましたって感じねぇ……」
と、呆れ半分になる。
たしかに今までの相手に比べるとヒモが空中に浮いているようであり、戦意というもの
をおよそ感じられない姿ではあった。
だが、ゼルエルのように鈍重そうな外見でその実、ゲッターすら圧倒する凶悪な性能を
もっていたりする可能性もあるので油断はできない。
「幸い新しい戦力があるけど、敵の動きが解らない以上は……」
と心配するミサトをよそに、竜馬は「作戦なんかいらねえよ」とリツコを引き連れてケ
イジに走るかたわら、アスカに顔をむけた。
「なによ」
と、アスカが嫌な予感を感じてひき気味に応じると、予感があたった。
「することがないなら、おめえも来い!」
嫌だ、とアスカは意思を示そうとするがその前に腕を取られて、かつてシンジが強制的
にゲッターに乗せられたのと同じように、彼女は拉致されてしまう。
もの凄い力で引っ張られるアスカが痛みを訴えて竜馬から離脱するが、この男が一度言
い出せば、どんな事でも無理矢理実現してしまうのを思い出して、逃げるのは止めた。
しかしだからといってただ大人しくは従うほど従順ではないのが、惣流・アスカ・ラン
グレーという人物だった。
彼女は真ゲッターに乗る条件として、
「イーグルに乗せなさい。同じ赤なら気も紛れるから」
と主張する。
343:ここまで
07/12/01 20:57:16
実際は色はどうでもよく、せめてメインパイロットなら面目も保てると考えたのだが、
ゲッター1を主とする竜馬からは反発が来るかと思いきや、乗る、となったらあとは大人
しいもので、
「好きにしろ」
というだけだった。
アスカは、
(加持さんみたいに大人びてるかと思ったら、シンジより子供っぽい言動もするから本当
に理解しにくい)
と思いながらも竜馬の背中を追いかけて、やがて第八ケイジにたたずむ真ゲッターに辿
りつくと、真イーグルの部位あたる胸に乗り込んでいった。
なお真ジャガーが竜馬、真ベアーがリツコの順だ。
アスカの視界に初めて座るゲッターロボのコクピット風景が映る。
操縦はシンジから聞き知った程度の知識で十分だ。
彼女の学習能力が高いのもあるが、それだけゲッターの操縦は容易なのだ。
しかしアスカは、
「それでもエヴァに慣れてると複雑に見える。操縦システムはエヴァの方が上ね」
と、小生意気に自分優位を崩さない。
ただそういう生意気な言動に出られるということは、少し元気が出ている証でもある。
「能書きはいいからとっとと起動しやがれ!」
「わかってるわよ! 真ゲッターロボ、起動開始!!」
>>326
超GJ。これで他のSSがいつでも読めるようになる。
……ちなみに、書き溜めとか無理。ここまで書けたのも全部のレスが参考になってです。本当に感謝。
344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 21:10:04
最後の使徒?あれ2体ほど少ないような。まあこの世界ではゲッター線の影響で
死海文書が書き換わったんだろうな。原作だとレイが自爆することになった使徒だけど
真ゲッターのかませにしかならんだろうな、ロボット物のお約束として新機体が出てきたときの敵
は瞬殺されるからな
345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 21:19:42
コミック寄りの真ゲッターvsアルミサエル……壮絶な融合同化合戦の予感…
346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 21:23:09
初パワーアップ合体回なのにフルボッコにされる奴を見た気がするが何だったか忘れた。
347:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 21:33:47
というか、ゲッターに限っては新メカ初登場回大苦戦も大いにありでは。
テレビ版なんか
プロトゲッター(初登場回で撃墜され乗員全員死亡)
無印ゲッター(死ななかったのが不思議な惨敗)、
ゲッターG(第一話で結局敵を倒せない程の苦戦)
という有り様だし。
348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 21:48:57
>>343
ほとんど即興でこれだけの内容をこれだけのハイペースで書いていなさるんならその方が凄いよ、
っつうかあなたの部屋はゲッター値が通常の100倍以上に達してるんじゃありませんかい?
349:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 22:03:40
よみがえったケンイシカワが書いてるに違いない。
350:名無しさん@お腹いっぱい
07/12/01 22:07:55
>>348
激しく同意!! ・・・もはや言葉もありません。
351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 22:18:40
ブラック真ゲッター到着記念パピコ。
インベーダーに寄生された真ゲみたいだわw
あと職人さんGJ
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 22:30:10
竜馬だらけwww
TV版もいるのかw
353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 22:45:14
いつぞや引用されてた竜馬会議も日常的にやってるんだろうなあ。
354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/01 22:55:50
チェンゲ竜馬出た!そして新竜馬をバカ発言wwwまさにゲッター会議www
竜馬がジャガーで良かった。ベアーに乗ったら全部持っていきかねんww
どっちにせよ今来たアルミは掟破りの逆融合で取り込まれるんだろうがな。
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 00:49:28
職人さん本当にGJ
この話の竜馬は新ゲverだったのか
ずっとチェンゲのやつで想像してたよ
リツコがあった竜馬達の中にはすごく筋肉隆々で顔に傷がある長髪の空手師範とか
リツコは竜馬のバリエーションだと思ったけど実は號だった、とか
え、この小坊主も竜馬?みたいな実はタイールとか
いろいろいたのかね
356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 02:45:20
そういえば一応ゲットマシンに分離はしてるんだ?>ここの真ゲッター
エントリープラグをすり抜けるように抜き取ったり吸収したりしてたんで
原作版號時点の一体化モーフィングチェンジ式かなとも思ってたんだが
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 08:05:06
チェンゲなら隼人とかもいるんだろうな
顔に傷のあるハンサム(キチ)ガイとか
みんなの父ちゃん弁慶とか
にしても本当ムサい
358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 09:18:35
それがイイんじゃないかぁ!>ムサい
誰も少女漫画的に超絶美形なゲッターチームなんぞ求めとりゃせんわ
きっとorz
359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 13:20:45
>>358
>少女漫画的に超絶美形なゲッターチーム
全次元の中にはそういうのもいたりしてw
他にも北○○拳っぽいのとか高○留○子っぽいのとか
藤○不二○っぽいのとか色々と
でもこいつらお互いになんて呼び合ってんだろ?
みんな竜馬だもんなあ…ややこしいw
関係ないけど、チェンゲ竜馬とナオコさんが出来上がってて
ちょっちショックを受けた自分にorz
360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 13:35:48
アークを見る限り竜馬は押しに弱そうだ
361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 15:28:10
漫画版はあれよあれよという間に「なんでこんなことに」ってタイプだなw
362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 15:58:30
>>359
師範さん(漫画版)
TVさん
真さん
ネオさん
新さん
ひろしげさん
こんな感じじゃね?
あ、ひろしげは行ってないか
363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 16:03:24
小説だっけ?>ひろしげ
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 16:56:16
>>363
うん
つかこれだと名前がひろしげみたいだな
365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 17:02:59
たかしげ?
たかしげ宙+皆川コンビのゲッターが見たかった。
そんな時期が俺にも(ry
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 17:05:39
やべーひろしげで納得してたwww
たかしげ版は続いてほしかったな。
367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 18:01:32
あれwww
ひろしげだと思ってたwww
この後作品にバグが出て来たら大変な事になるね
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 20:19:56
>>354-355
以前の描写等から漫画版の竜馬っぽくもある。エンペラー経由で記憶が混ざってるのかもしれないが。
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 20:24:26
この竜馬の中にはムサシが出撃できない竜馬と隼人の変わりにジャンボマシンダーと犬を
ゲットマシンに乗せた時にウ○コ漏らした竜馬もいるんだろうかw
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 20:44:04
記憶と経験は共有してるが、性格と身体能力はそれぞれ違うとかそんな感じかね
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 20:51:38
>>369
だとしたら新ゲ竜馬あたりが真っ先にこっぴどくからかいそうだなw
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 21:42:36
そして命がけの大ゲンカ勃発w
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 21:50:49
ファイナルゲッタートマホークvsファイナルゲッタートマホーク
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/02 23:42:43
ド
ワ
オ
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 01:56:38
多元宇宙の無限さからすれば、
『竜馬と武蔵が前後して死に、来栖丈と大枯文次が隼人と組んで
その後の歴史を紡いでいった』世界とか、
『一岩・竜馬・拓馬の親子三代でゲッターを動かし戦った』次元とかも
あったりしたのだろうか。
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 02:30:41
そりゃあ無限だからな。
恐竜軍団の生き残りが強奪したGでゲッターチームを撃破した後、目覚めちゃった世界なんてのや
博士、ミチル、達人での家族ゲッターチームやら(達人死亡後Gで元気搭乗)
早乙女、敷島、風巻での博士チームもあったかもしれないなあ
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 05:43:16
一号機 ゴール
二号機 ブライ
三号機 號と見せかけて清明
何と戦うのやら
378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 07:39:44
>>377
そこは清明よりランドウじゃないか?
379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 16:55:50
>>377-378
何かそんな敵を大決戦コミックで見たような…
380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 18:55:41
ゲッターウザーラ(ブライ操縦:ウザーラがモチーフ)
ゲッターダイ(ゴール操縦:無敵戦艦ダイがry)
ゲッタームウ(ランドウ操縦:デビラ・ムウがry)
総称は…ゲッターデーモン、だったかな?
それにしてもあの三人超ノリノリであるだったが。
381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 19:40:36
神谷声の竜馬と石川声の竜馬がいるわけか。
382:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 21:03:34
>ゲッターウザーラ(ブライ操縦:ウザーラがモチーフ)
真ドラゴンかよ!
383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 21:26:10
OVAチェンゲの最終決戦とどっちが先だったっけ?
384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:45:59
ゲッターウザーラは大決戦のアンソロだからOVAの方が先のような希ガス。
385:つづき
07/12/03 22:51:04
「わかってるわよ! 真ゲッターロボ、起動開始!!」
アスカの言葉と共に、真ゲッターの両眼に黒い瞳が宿った。
その悪魔のような羽根が左右に開き、そして真ゲッターの頭部が出撃してゆくべき空へ
つながる天井へと向く。
なお、エレベータはかつてのゲッターの時はサイズが合ったので使用することもできた
が大型化している真ゲッターは、自力で飛び立つしかない。
真ゲッターにとってエレベータ口は狭く、傷を付けないように発進するのはすこし手間
が要るだろう。
アスカは出撃すべくレバーを握りしめるが、このとき竜馬から通信が割り入る。
「抑えろよ。こいつの出力はハンパじゃねえ、下手に全開をかますとネルフが吹っ飛ぶ」
「う、うるさいわね! 素人じゃないんだから発進から全開なんてしないわよ!」
と、派手好きなのが災いしてうっかり全開に倒してしまいそうだったところに図星をつ
かれて顔を真っ赤にするアスカが、そっとレバーを倒した。
しかし、
「ひぇっ」
と悲鳴が漏れるほどの圧力が体全体に掛かったかと思うと、真ゲッターは一瞬でエレベ
ータ口へ突入して上昇していってしまい、途中の曲がり角を全て破壊しながらあっという
間にネルフ上空まで到達してしまった。
結局、発進は失敗に終わった。竜馬の激が飛ぶ。
「バカヤローッ! だから抑えろっていったろが!!」
「抑えたわよ! い、いいのよ敵を倒せば!」
アスカはそう言いながらも、壊してしまった射出口を見る。
ネルフがただでさえゼーレからの支援が止まって資金繰りにあえいでいることを考えて
気分が重くなったが、しかし、出撃してしまった以上はシトを倒さねばならない。
386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:52:38
(なにさ! ゲッターぐらい操ってみせるわよ!)
と、気合いを入れ直して再びレバーに手をかけるとさきほどの失敗を参考に、力そのも
ので御そうとはせずに、エヴァの時と同じように感覚で動かした。
すれば、今度は面白いほど思い通りに動いていくれる。
前進、後退、上昇、下降、旋回、停止、全て思うがままだ。
しかもそのどれもが、普通の人間であれば瞬時に内蔵を潰されて死んでしまうであろう
驚異的な速度をもって実現する。
さらに感覚を深めていくと、直線を瞬間移動のように動いては停止し、そしてまた別の
ベクトルに向かって瞬間移動していくという、力学を完全に無視した動きすら真ゲッター
は披露していく。
ちょっと思いついてみて、五芒星……つまりクリスマススターの形になるように一筆書
きの要領で動いてみれば、まさに指で星の形を描くかのように飛び回る。
さすがのアスカもこの無茶苦茶さには、ため息をついた。
これだけの動きについてこられる相手など、少なくとも地球上にはあり得ないだろう。
「悔しいけど、これは凄いと認めるわ」
というが、逆にそれを聞く竜馬の方はアスカに驚いていたようだった。
「初乗りで真ゲッターをここまで操れるとは……将造が見込むだけのこたぁあるな。だが
遊んでる場合じゃねえぞ、敵はすぐそこだ!」
竜馬のいう通り、アルミサエルが目前へと迫っている。
アスカが真ゲッターに戦闘態勢を取らせぐっ、とボクシングのような体勢に屈む。
するとシトが、定点回転を止めると形状を変えてくる。今度は一つのリング状の姿にな
るとムチのようにしなって動いてきたのだ。
最初、威嚇しているようにも見えたのだが、どうも様子が違う。
「なんか、妙に動きがコミカルなんだけど……」
387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:53:41
と、こちらへ襲いかかってくるでもなくヘビのようにのたうち回るアルミサエルを見て
アスカが毒気を抜かれたような顔になる。
それが作戦か、と構えもしたが、それでも敵は襲ってこない。
だが、下手に先制攻撃を仕掛ければ、どんな罠が待ちかまえているかもわからないので
真ゲッターは屈んだまま体勢で固まったまま、こう着状態となってしまう。
どうしたらいいのか解らず、アスカが、
「なんなのよコイツ!」
と、しびれを切らしてわめいた。
リツコが「落ち着いて」となだめるが、もともと竜馬に負けず劣らず喧嘩っ早いアスカ
だからどうにもならない。
もう攻撃する、といわんばかりの表情になってレバーに手をかけると、その時アルミサ
エルが再び形を変えていくのが見えた。
それは、
「ひ……ヒト!?」
丁度、マッチで棒人間を作るかのような形状になっていくアルミサエルは、真ゲッター
の前で直立する姿勢になると、やがて棒一本の腰を折り曲げて、上半身といえる部分を下
げてきた。
つまり「おじぎ」の姿勢を取ったのだ。
「バカにして! 絶対にぶっ殺す!!」
これにますますアスカが怒りをたぎらせていくが、ここでふと竜馬がなにかに感づいた
ようだった。
「待て、アスカ―前のシトは人間の心を知ろうとした。もしやこいつ、俺が礼儀を知れ
といったのを実践しているのかもしれん」
「あんたバカぁ!? いやバカでしょ!!」
「うるせえ! 見ろ!」
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:54:55
と、竜馬がいうとアルミサエルが形作る棒人間は、つぎに腕に当たる部分を差し出してきたのだ。
握手、ということだろうか。
これを見て、
「いいだろう」
と竜馬が、真イーグルから操縦系統を奪うと真ゲッターの太い腕を差し出してアルミサ
エルのそれへと重ねていく。
そして、腕と腕が完全に重なり合ったとき、それは起った。
(……アラエルにより、我らアダムの子はついに真の使命を悟った。我らはタブリスを救
い全てを彼に託す。そのための力、いまこそゲッターに貸そう)
竜馬にリツコにアスカに、真ゲッターに乗った三人の頭のなかに深く響く声が幾重にも
なって反響していく。
それはまごう事なきシト、アルミサエルの声だった。
さらに流れ込んでくるものは声のみでない。
人間がエンペラーのような超存在をイメージするのと同じに、シトを理解すべきイメー
ジが濁流のように流れ込んでくるのだ。
そのイメージから察するに。
やはり先のシト、アラエルが放った光は竜馬のいった通り、ヒトの心を理解しようとす
る行動であったようだ。
そして竜馬から全時空の有り様を学び取った彼らの下した結論は、人類との対立ではな
くエヴァンゲリオンが終号機へと成熟するまでの間、その番人となることだった。
進化もできず、寿命により死ぬこともできないが、ならばこそ永遠の命をもってでしか
成しえない守護を果たそうと、彼らは想った。
その溢れるようなイメージを受け取る竜馬がいう。
「じゃあおめえは身を犠牲にしてシンジとカヲルを救う気か。健気なこった」
(我らにとって、生と死は等価値だ。恐れる必要はない)
「そうかよ」
389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:55:57
そうしてアルミサエルがひときわ大きく光り輝いたかと思うと、棒人間だった形が崩れ
て不定形と変じていく。
そして真ゲッターの腕に触れていた部分へと集約していき、同時にその全身にアルミサ
エルの光が宿っていくと、青白く発光した。
まるで光の巨人だ。
各コクピットの視界は真っ白となるが、しかし機体の状態を示すモニタにはゲッター線
エネルギーが急上昇していくのがはっきりと示されていた。
「すごい……」
思わず、リツコが漏らす。
自身が一から造った機械であっても、その能力は未知数なところが多いのが実のところ
であったのだ。
これがシトの融合によるものなのか、それともゲッターロボ自身がシトの意思を受けて
潜在能力を発揮しはじめたのか、それらは果たして推測するしかない。
そして、その様子は作戦司令部からでもはっきりと視覚できていた。
こちらでは、発光する真ゲッターから感知される精神波長のパターンが青、オレンジ、
赤、白と目まぐるしく変化していくのが確認できた。
パターンの意味は再度記すが、各波長の色は青がシト、オレンジがヒト、赤がこれで初
登場となるがゲッター線を示すものであり、白が正体不明だ。
「な、なにが起こっているの……」
ミサトがうめいた。
先から理解に苦しむ出来事ばかり起きるが、今度もそれを見ているしかない人間たちに
とっては何が起きているのかまったく理解ができない。
せいぜい、ゲッターとシトが融合していくという物理的事象を観測できる程度だ。
しかも上のように波長が目まぐるしく変わるものだから、それがゲッターによる行動な
のかシトの攻撃なのかすら判断できない。
だが、とりあえず竜馬達が危機にさらされた訳ではないことは、やがて発光が収まった
真ゲッターより、通信が入ったことではっきりする。
390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:57:16
同盟が成立しやがったwwwww支援
391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 22:57:35
メインスクリーンに現れた竜馬を見て、ミサトがコンソールに食いついた。
「ど、どうしたのリョウ君、なにがあったの!? シトはっ」
「心配するな。奴は力を貸してくれる」
「えっ……?」
「とらわれのシンジ姫とカヲル姫を助けるってぇ、共通目的が出来たんだよ」
「でも、インベーダーに寄生された者を助けることはできないっていったじゃない」
「確かにそういった。だがな、どうやらこのアルミホイルとかいうやつもインベーダーみ
てえな能力があるらしいぜ。こいつとゲッターの力が合わされば、あるいは」
アルミサエルよバカ、とミサトが言いかけて飲み込んだ。
シトには悪いがそんな重箱の隅をつつくようなことはこの際、どうでもいい。
それよりも、予想だにせぬシトの助太刀により、絶望的と思われていたシンジの救出に
一筋の光が差してきたことは特筆すべき事柄だったろう。
真ゲッターが帰還してくる。
その通信越しからは、アスカが操縦を取るなとわめき立てていたが、いまは誰もそれに
反応している余裕がない。
「シトとヒトが、手を組む時が来るとはな。厄介な敵も時には良い作用を働かせる」
冬月がつぶやくと、ゲンドウが応じて頷くのであった。
「これで、いよいよ敵が動くな」
「奴らがどうしてくると思うね」
「人類補完計画を実行しようとするならば、その邪魔となる我々は消そうとするだろう。
情報によれば、各国で量産型が相次いで完成しているそうだ」
「早いな……こちらの戦力を整えさせる気はない、ということか」
「ああ。おそらく我々以外のゼーレ関連組織はすべてインベーダーの占領下にあると考え
ていいだろう。奴らとてゲッターを甘く見ているとは思えん。大攻勢がいまに始まる」
「我々は孤立無援ということか」
「……そうとは限らんさ」
392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:01:26
「ん。どういうことかね」
いぶしかむ冬月にゲンドウはニヤリと意味深に笑って茶を濁すのだった。
・・・
そして、アルミサエルが真ゲッターの内に姿を消してからしばらくの時が流れた。
インベーダーの大攻勢を見越したゲンドウの指示によってネルフの各位は、対抗戦に向
けて残った戦力をいつでもフル稼働できるように、再び不眠不休となって復旧作業に没頭している。
特に今まで難航していた兵装と施設の修繕はリツコの復帰によって、見違えるほど効率が上がった。
いや、というよりもリツコの持つ技術が、その姿を消す以前とは桁違いにハイレベルな
ものへと変貌していたのだ。
彼女が加わった後は瞬く間に弐號機が復活したのは無論のこと、ロンギヌスの槍によっ
て受けたネルフ本部の被害もほぼ元通りとなった上に、資金が許す限りの追加武装が施さ
れて、さながらジオフロントは地下要塞ともいうべき様相を呈していた。
以下にはその詳細を記していこう。
まず、リツコの持ってきた真ゲッターだが、これをいつでも実戦可能なように調整して
いるのはいうまでもないだろう。
今後の戦闘において、主軸となるのは間違いない。
ただし、あまりにも出力が高すぎるゆえに、かつてゲッターに乗ったことのあるミサト
やゲンドウも耐えることができず、事実上のパイロットは竜馬とリツコだけだ。
レイはいまだ倒れたままで、それどころか日を追うごとに容体が悪くなっていく始末で
戦うことは到底できそうにないし、アスカは弐號機に搭乗するので、除外する。
その弐號機の改修強化策だが、ジャガー号の損失により事実上の戦闘不能となったブラ
ックゲッターより、さらにベアー号を解体して得られた装甲素材「合成鋼G」を加工して
弐號機の装甲板として用いた。
原理は不明だが、合成鋼Gを身にまとうことで素体を拘束する必要がなくなってエヴァ
本来の力を引き出す事に成功したのと、また肩に設置されたコンテナ部に収納できるスペ
ースが異常増大している。
393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:02:37
これに、いくつかの追加装備を内蔵させた。
ひとつはマゴロク・エクスターミネート・ソードという、白兵装備だ。
形状は日本刀の中で最も長大な大太刀を、そっくそのまま四〇メートルの巨人サイズに
巨大化させた様な代物であるが、たたら製鉄によって造ったということはない。
仮に造ったとしても自重で崩壊してしまうだろう。
リツコいわく真ゲッター用のゲッタートマホークを参考にしているとのことだったが、
その威力がどれほどかは、書くまでもなく知れ渡っているだろうから省く。
この刀の破壊力はそれに追随するはずだ。
それにアスカ自身が軍刀の扱いに慣れているので、大きな戦力となってくれるだろう。
加えて、専用火器として対空ミサイルマシンガンを二丁製造した。
これは敷島のエヴァ用の新型火器案として以前の稿で出現しているが、その名の通りに
対空ミサイルを、雨あられと撃ち出す脅威の兵器だ。
片腕で用いることのできる設計を活かして、二丁の同時射撃による大破壊を望めた。
資金に限りがあるゆえ、弾は装弾した分のみの使い切りとなったが、数が許す限りのN2
弾頭を組み込んで当初の敷島案通りの破壊力を実現している。
N2爆発による被害は、計画では命中と同時に弐號機のA.Tフィールドを飛ばして標的を
包囲することで抑える予定である。
が、うまくいくかどうかは解らない。インベーダーという途方もない敵が相手であるの
でもはや被害には目をつむっているのがじつのところだった。
また、余ったイーグル号だがこれにはベアー号のブースターを追加して真イーグル並の
飛行速度を持たせた。
ただし、単純に出力を増加しただけなので、ただでさえ扱いにくいのが、もはや制御不
能の暴走弾丸と化してしまっている。
ほとんど特攻機にしか見えないということで、技術部のスタッフたちから桜花というあ
だ名がつけられてしまった。
桜花とは、旧海軍によって大戦末期に製造された特攻専用機だ。巨大な爆弾を背負って
敵艦に体当たりするという豪儀なものだが、敵の機体にくらべて絶対速度が足りないせい
で、その犠牲に見合った戦果が得られない代物でもあった。
394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:03:46
ただ本物と違うところは、このイーグル号がひとたび発進すれば敵が感づいた時にはす
でに命中しているということだった。
そしてネルフ本部そのものの強化だ。
本来、戦闘施設としての役割は第三新東京市そのものが担っているので、ネルフ本部は
あくまで司令部としての能力しか持っていない。
むしろ、エヴァを初めとした人類補完計画を推し進める上での研究施設としての性格の
方が強いであろう。もちろん、今は計画に対抗する拠点であるが。
すでに第三新東京市そのものは度重なる損害で、要塞としての能力を失っている。
仮に市が生きていたとしても相手はゼーレやシンジを取り込んだインベーダーであり、
こちらの構造を完全に把握しているのだ。
潜られてジオフロントに侵入されれば一巻の終わりである。
そこで、ネルフ本部そのものを改造して戦闘に対応できるようにした。
もっとも資金が限られているし、その多くは真ゲッターと弐號機へ回っていったので、
出来たことは少ない。
リツコは残り少ない資金を活用するため、ネルフ本部の各箇所にトラップを仕掛けてい
った。まるで忍者屋敷のように仕掛けを知らぬ者が踏み入れば、たちどころにそれらが作
動して仕留めていくようになっている。
そして、こちらが重要なのだがネルフの頭脳、というより全館の維持を司る生命線とも
いえる統括コンピュータMAGIの防衛だ。
いくら物理的に防衛しようとも外部からのクラッキングによりMAGIを占拠されてしまえ
ば、たちどころにネルフ本部は機能を停止させてしまう。
リツコは対策を考えていたが、ひょんなことからその手段は講じられることになる。
彼女が真ゲッターの調整作業をしている最中、接続したコンピュータのモニタに、ふと
「イロウル」という単語を示す数字が現れたのだ。
最初、どこからかクラッキングを受けたと思ったリツコは防衛しようとコンピュータの
キーをタッチしていたが、いつの間にかプログラムの打ち合いによるチャットをしている
ような状態になっていった。
395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:04:51
不思議な対話を続ける内、やがて「イロウル」というのが、どうやら一種のファイアウ
ォールのような存在だということが解ると、最後に「イロウルをMAGIへ」というメッセー
ジが現れてコンピュータがフリーズしてしまう。
原因がわからず困り果てていると、コクピットの外で変な音がした。
驚いてコクピットから顔を覗かせてみれば、真ゲッターの体からいくつもの管が伸びて
あちこちの壁に付き刺さっているではないか。
リツコはアルミサエルに真ゲッターを乗っ取っられたかと思って、それを竜馬へ知らせ
るべく急ぎ作戦司令室へと走ったのだが、たどり着いてみるとなにやらマヤが黄色い声を
あげている。
「どうしたのっ」
と、聞いてみると、
「先輩! これはゲッターの能力なんですか!?」
と、マヤはそのMAGIを制御するモニタのひとつを指してはしゃぎながらいった。
見れば新しいプログラムの適用が表示されており「イロウル」と表示されている。
調べてみると、たしかにファイアウォール型のプログラムがいつの間にかMAGIに流れ込
んでいたのだ。
調査すると「イロウル」はまるで人体におけるマクロファージのような性能をもってい
ることが判明する。
なお、マクロファージとは白血球の一種であり体内に侵入したウィルスや細菌、死んだ
細胞などを捕食して消化する働きをするものだ。
さらにリツコを驚かせたのは「イロウル」は未知の種のプログラムが相手であっても、
それに合わせて自己進化・自己増殖を瞬時に行い、あらゆるクラッキングに対応し、逆に
クラッキング元へ、上記と同様の性能を破壊活動に転化させたエージェントを送り込む事
すら行うものであることだった。
まさに難攻不落の要塞プログラムである。
396:ここまで
07/12/03 23:06:00
この「イロウル」が真ゲッターから流れ込んだのは、MAGIを構成する各パーティション
であるバルタザール・メルキオール・カスパーのそれぞれに物理的に接続された謎の管を
見てもわかる。
が、リツコはそれが真ゲッターの能力ものでなく、おそらくアルミサエルによるものだ
ろうと推測した。
というのも、ゲッター線によって成立する存在はどちらかというと、理論は無視してな
んでも力任せに攻撃したり防衛したりする傾向があるからだ。
たとえば、ゲッターロボは自身にクラッキングを受けたとすれば、そのクラッキングを
している相手の元へ直接飛んで物理的に叩きつぶすだろう。
たとえ時空の壁を越えてでも、だ。
データの応酬をデータでする、などという回りくどく地味な方法は絶対に取らない。
永い時間をエンペラーで過ごしたリツコには、そう確信するものがあったのだ。
そう思って解析していくと、どこかで「アルミサエルより」という意味を示す数字が羅列
されている部分を発見した。
「やっぱり。シトも可愛いところがあるのね」
と、リツコが独りで笑うのを、他の職員が不気味そうに見つめていた。
397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:08:09
イロウルもktkrwwwwwwww
支援!
398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:12:03
と、終わってしまったか
まずはGJ!
アルミサエルが融合したり弐号機がパワーアップしたりイロウルがファイアーウォールになったりと展開が全く読めないぜwwwww
399:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:19:05
予測をはるかにぶっとんでるぜ。まさかこうなるとはな。さあ次回はインベーダーゼーレとの全面戦争だ
400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/03 23:50:40
GJッ!!
でも終わりに近づいてるっぽいから寂しくなるなぁ(´・ω・`)
401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 00:00:07
ここまでワクワクするSSは初めてだで!
402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 00:06:02
使徒がこんなに可愛い奴らだったともっと早く分っていたら
傷つけあわずに済んだのに・・・。
403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 00:10:00
人とシトの共闘…感動でマジ体が震えた…
しかしなんて凄い神職人が現れたんだ
リアルタイムで接することができて、
このスレにいる皆と感動が分かち合えて、
ホントに幸せだよ
404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 00:40:21
誰か今回の真ゲッターとアルミサエルの握手とか、プラグスーツ竜馬とか
ゲンドウ呵呵大笑とかインベーダーシンジ君カヲル君とか、あるいは
エヴァ終号機の想像図とか描いてのけるゲッター線重度吸収済神絵師はいないのか
405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 01:26:36
>>404
眼で見るんじゃない、心で見るんだ。
ほら、もう見えているだろう?
406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/04 01:35:50
試しにやってみたら「ド」と「ワ」と「オ」の文字しか見えなかったぜ
407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/05 00:54:44
移転したのかな。
408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/05 01:02:18
全体的に大移転中みたいね。
409:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/05 20:12:41
移転終了かな?通常のブラウザで見られるようになった
時天空の存在を知るとアダムとリリスの末裔で生存競争とか霞んでしまうよな
人間の敵は人間って劇場版で言ってたけど、人間の味方もやっぱり人間(使徒)なんだ
410:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/06 23:43:08
保守
411:つづき
07/12/07 00:14:44
さて。
ネルフの復旧作業に関する記述はこのあたりで筆を置くとして、もうしばらく視点をそ
のままに、彼女を追っていこう。
やがて、かじりついていたコンピュータから離れると、リツコはレイが収容されている
病棟へと向かっていく。
別段、目的があるというわけではない。
あえて挙げるとしても単に見舞いをする程度である。
というよりも還ってきて最初にリツコはレイの容体を見たのだが、エンペラーから記憶
を得た彼女の知識をもってしても、レイを回復させる手当は見つからなかった。
やはり、インベーダーにむしばまれた現代のユイの魂を解放するしかないだろう。
ところで彼女がレイの元へ行く前に補足として書いておきたいのは、リツコがかつて竜
馬と出会う以前、彼女がゲンドウとの愛人関係にあったことだ。
それ自体は前に述べたと思うが、愛人関係にあった間はゲンドウに対して己のみを見て
欲しい、という感情がリツコを支配していたのは自然のことだろう。
ちなみに補足の補足になるがゲンドウはリツコの母親、ナオコとも愛人関係だった。
その人がすでに故人であるのは、あるときゲンドウに邪険にされているという事実を知
って、それから走る激情のあまり投身自殺を図ったからだ。
これらのことから見ても解るように、ゲンドウの心はもとより赤木親子にはなく、ただ
ひとつ妻、ユイにのみしかなかった。
それゆえに、リツコはユイのクローン体であるレイを憎悪するところがあった。
悪いのはゲンドウなのだが、本人でなくその妻に批判がいってしまうのは女ゆえか。
が、リツコの感情は竜馬という男の出現によって解放されることになる。
それを解説にするにあたっては、赤木親子の言葉である「男と女はロジックじゃない」
のひとことで片付けてしまいたい。
要するに一目惚れだ。
心の中のゲンドウが竜馬によって塗りつぶされたことで、ユイには無関心……とまでは
いかなくとも、憎悪をするのを止めることはできたわけである。
身勝手だが憎悪しつくしているよりは、マシであろう。
412:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:15:50
それより、ゲンドウについて少し掘り下げておきたい。
彼がユイに心が完全に残っているのに愛人をつくった、というのはおかしな話に聞こえ
るかもしれないが、その理由は単純なことだ。
要するに赤木親子の持っていた科学者としての能力を独占したかったのである。
そしてゲンドウにとって都合の良いことに、この親子は科学者としての才能は豊かで、
見聞も広かったが、恋愛ごとになると見境が無くなるという欠点があった。
ゲンドウはここを利用して、疑似の愛人関係を造り出して二人を利用したのである。
我々の世界でも宇宙飛行士という、能力的にも精神的にも成熟していなくては成れない
はずの職業に就く人間が、痴話によって騒動を引き起こしたという事件があったが、まさ
に赤木親子もこの類の人間といえよう。
しかしこれも妙な話だった。
ゲンドウは繊細で傷つきやすい人間であるはずなのだが、そのじつ息子、シンジのよう
に純情一本ではなく小賢しいところがあって、己の理想のために他人の感情を冷徹なまで
に利用するのは得意……とはいえないが、利用するのは平気だった。
なおその理想とは、この物語の最初から語られていた通り、ユイとの再会だ。
単なるエゴイストとは違うように思える。
自己中心的な人間を繊細とはいえないはずだ。
繊細にして剛胆なのだ、といえば済みそうだがゲンドウの行動を見るに、どうもそうい
う英雄的な二重さとも異なるように見える。
それなら、なんだろうか。
思うにゲンドウという男は精神が完全に子供のまま、大人になってしまっている。
幼児は他人を他人として認識する術を知らないのでこの世界は、自分の感覚だけが全て
であるように感じている。
だから自分のルールから外れる他人の行動などはは理解できるわけもなく、それらは恐
怖もしくは排除の対象となる。
子供が身勝手な行動に出るのは、このためだ。
413:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:16:56
だからゲンドウも自分が欲しい、と思うものを手に入れるためなら、周りにあるものは
全て自分の道具と化してしまう。
そこにある道具たちは全て異なる心をもって自立している存在、すなわち他者だという
ことに気づかない。
ただ幼児と違うのは人並み以上の行動力と、人間としてではなくコンピュータ的な知恵
が備わってしまっていることだが、それゆえ余計に始末が悪い。
そんな人間が、本物の子供であるシンジと円滑な人間関係が保てるはずはなかった。
彼に振り回された普通の人間たちなどは、迷惑そのものでしかなかっただろうが、それ
を書いても詮無きことだ。
まあ、ゲンドウ話はこのあたりで控えよう。
なんだか彼の悪口ばかりを書いたようになってしまった。
ともあれ、リツコはレイの元へ向かった。
病室のドアを潜ると、そこには苦しげながらもはっきりと息をしている姿のレイがあっ
た。彼女は人の入室に気づいたのであろう。
ゆっくりとリツコに頭をむけた。
「赤木博士」
「あまり調子はよくなさそうね」
「……はい」
力なく答えるレイ。
そういうだけでも精一杯なのだろう。
そのまましばらく沈黙が流れたが、やがてそれを破って最初に口を開いたのはリツコの
方だった。
「碇ユイとして聞いてほしいんだけど……よく怒らないのね」
「なにが、ですか」
「私のことよ。いえ母さんも含めて、私たちのことを」
「……それはまあ」
414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:18:02
と、レイの口調が変わった。
その表面にユイの感情が表れてきたのであろう。
表情にも静かな笑みが浮かびあがっていく。
「私も、女ですから。浮気亭主と泥棒猫は憎いですよ」
そこまでいって区切ると「でもね」とレイは付け加えた。
「子供みたいなあの人を置いて勝手に居なくなった私にも原因はあったわけだし、なによ
り今は元のサヤに収まったようなものだから。もう気にしません。
それにこういうと失礼かもしれませんが……あなたは、流さんのような器の大きい人と
一緒にいた方が、きっと幸せになれますよ」
そういうレイに対して、リツコは思わず頷いてから慌てて頭を振った。
たしかに言うとおりだとは思った。
そもそもリツコ自身、依存心は強い方だ。にもかかわらず、依存心の塊のような男を相
手にしたところでうまくはずがない。
磁石のマイナスとマイナスの両極を無理に繋げようとしても反発するのと同じだ。
が、レイ、つまりユイのいうことをそのまま飲み込んでしまうのも、リツコのプライド
が許したくはなかった。
なにか言い換えるような言葉がないか、とくるくる頭脳を回してみたものの、いい案が
思い浮かばずに話題をそらすことにした。
「病人なのによく喋るわね……これからどうするつもりなの」
「私なりにケジメをつけます」
「ケジメって」
「ケジメはケジメ。元凶は私といってもおかしくないんですから、全てのことにケリをつ
けるつもりです。彼女の体も、いつまでも拝借している訳にはいきませんし」
といって、苦しそうにしながらも笑っていう。
それにはっと気づくことがある。
415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:19:24
(ああ、この人はまた……)
失せるつもりだな、とリツコは思ったのだ。
思わず、
「卑怯者」
そんなセリフが飛び出てしまう。
さらにいう。
「母親としては失格ね。もっとも、子もいない私がいっても説得力ないけど」
この言葉に少し考えるようなそぶりを見せたあと、レイはいった。
「流さん達がゲッター線に導かれたように、あるいは私たちもエヴァンゲリオンに導かれ
て邂逅するときが来るかもしれない。いや、そうでなくては私たちの存在した意味がなく
なってしまう。シンジとあの人には悪いけれど、私がやらなくてはならないんです」
「そう……でも、悪いけど私は流君と一緒に行くわ。あっちの世界の方が性に合うの」
「そうですか。それも、一つの選択かもしれません」
レイがいうと、リツコはわずかに頷いてからきびすを返すと病室を後にする。
あとには、静寂がまた戻るのだった。
・・・
リツコが上層に戻ると、久々に、本当に久々に湯を浴びるためにシャワー室へと入って
いった。とはいえ彼女が浮浪者のごとく垢だらけというわけではない。
彼女はエンペラーで悠久の時を過ごしていたその間、食事も入浴も睡眠も、なにひとつ
取っていなかったのだ。
どうしてエンペラーの中にいる時だけ、そういう生きるのに不可欠なことが必要なくな
って歳もとらなくて済むのかのかはまったく原理が不明だったが、とにかく彼女はそうし
て真ゲッターを完成させた。
416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:20:40
しかし、現世に還ってくれば食べなければ腹も減るし、入浴せねば垢もつく。
更衣室に衣服を放り捨ててシャワー室へ入ると、並んだ個室のひとつを選んで入る。
蛇口をひねれば、湯気と共に勢いよく飛び出てくる湯の束をあびながらリツコは数日の
徹夜で汗ばんだ躯の汚れを落としていく。
たとえどのような緊張の間でも、この時ばかりは気が安らぐものだ。
しばらく目を閉じて湯を浴びていたのだが、しかしその安息は長く続かなかった。
突如として水温すらもかき消す警報が辺りに鳴り響く。
敵襲である。
総員第一種戦闘配置の報をアナウンスが飛ばしている。
インベーダーがついに来たか、とリツコはシャワーを止めた。
すぐに着替えて作戦司令室に戻らねば、とシャワー室を出ようとしたのだが、その時、
「リツコ、敵だ!!」
と、リツコ用の白いパイロットスーツとロケットランチャーをかかえた竜馬が、殴り込
むように飛び込んできた。彼は緑色のパイロットスーツを来て、その上からボロきれの様
なマントで身をくるんでいる姿だった。
ゲッター1を擬人化すればこうなるだろうと思われる姿である。
何を考えているのか、何も考えていないのか、竜馬はリツコの入っていた個室の扉を勢
いよく開放してしまう。
「ちょっと!」
と、リツコは自身の胸と局部を覆い隠して抗議する。
なお余談だが、裸体を他人に見られた時に東洋人は上のような反応を示すのに対して、
西洋人は己の顔を隠すらしい。
たしかに、プライバシーで問題になるのは己の正体が知られることだから、この反応は
極めて合理的といえる。東洋人の方が情緒を優先する、ということだろうか。
ともあれ、竜馬はスーツとランチャーを無理矢理リツコへ押しつけるとすぐに反転し、
ひるがえったマントの中のつるされた様々な刃物をきらめかせて、
417:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:21:24
支援
418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:21:41
「早く来やがれ!!」
と叫びつつ、もの凄い勢いで退出していく竜馬の横顔は嬉しそうな表情になっていた。
理由は、むろん女子シャワー室に飛び込んだことではない。
(あの戦争狂……やっぱり一緒に行くの止めようかしら)
と、リツコは呆れる。
食うより寝るより女より、なによりも戦うのが好きな竜馬だった。
それに彼女にはロケットランチャーなどという兵器を持ってきながら、自分はナタや斧
やカマに、果てはバットだの、どう見ても戦闘用ではないブツをマントの中に満載して戦
うつもりだったのには、もはや呆れを通りこして感心に一周してしまった。
しかし緊急事態だ。ぼさっとはしていられない。
リツコも急いでシャワー室を出ると最低限に肢体の水滴を拭き取ってからスーツに身を
包み、ランチャーをかついで通路に飛び出していく。
すると既に戦闘が行われた跡が、飛び散った血液とそばに転がった人間のものと思われ
る破壊された頭部に、それを失った胴体によって示されていた。
どうやら既に敵はネルフに侵入したらしい。
リツコは転がった頭を邪魔だといわんばかりに蹴り飛ばすと、通路を走りゆく。
さらに途中で現れた武装した人間の一群をロケット弾で吹き飛ばした。
弾は、本来戦車などの巨大な目標に使用する破壊力の絶大な「成型炸薬弾」が装填され
ていたのだが、それを群といえ人に向けて撃ったのだから、何も残るはずがない。
赤く染まった霧がもうもうと舞う中を、リツコが駆け抜けていく。
彼女がどうして爆発に巻き込まれないで済むのかはさておき、後から出てきた一人を残
ったランチャー本体で脳天から叩きつぶすと作戦司令室へ向かった。
見れば、今し方竜馬に呆れたはずの彼女にも、緩やかな笑みが浮かび上がっていた。
やはりゲッター線に選ばれる素質はあったということか。
リツコはエレベータをも駆け抜けるようにして作戦司令室にたどりつくと、竜馬とアスカ
がすでに集っていた。
419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:23:35
リツコさん染まってるぅぅ((((><;)))
420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:23:38
オペレータ達が必死でコンソールの操作にあたっている中、リツコの入室に感づいた
ミサトが飛んでやってくる。
「リツコ! 来たっ。ついにやっこさん達、来たわよッ」
「思ったよりも早かったわね。状況は」
「世界各国から一斉にMAGIへ不正アクセス、同時に戦自が武装蜂起。神奈川を取り囲むよ
うに攻めてきてる。すでに本部第一層へも敵部隊が侵入しているわ。
まったく、いつのまにこれだけの大部隊を展開させていたのか。信じらんない。ステルス
部隊なんてあったかしら」
ミサトが一気にいうと、リツコはそれに対してアゴに手を当てて考えながらいった。
「なるほど。なんとしてもここを陥落……いえ、私たちを完全消滅させるつもりなのね」
「知らない間にネルフの法的保護も解除されていた。すでに指揮権は日本政府に委譲され
ているわ。ゼーレ、いやインベーダーもやってくれるわよ」
「でもイロウルの防壁を突破することは難しい。たとえ私でもあれはちょっとやそっとじ
ゃ抜けないわ、そこは信じましょう。問題はやはり敵の実力行使。どう対応するの」
リツコの問に、ミサトが答えるがそれは以下に代筆しておこう。
敵、すなわちゼーレの操る日本政府直属の軍隊である戦略自衛隊ははいくつもの師団を
展開させてネルフを取り囲むように進撃中だったが、レーダーの反応や遠隔操作カメラに
よる映像では、インベーダーそのものではないようだった。
となれば、彼らはあくまで陽動、および前哨戦のための部隊に過ぎないのであり、イン
ベーダーの本隊ではない可能性は高かった。
あまり、こればかりに気を取られすぎると足をすくわれるだろう。
そこでネルフへ進撃する敵部隊への対処は、アスカに担当してもらう事にした。
彼我戦力差は、弐號機一機とわずかの支援部隊に対して、複数の師団だった。
数だけで見ると絶望的であろう。
421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:26:07
が、真ゲッターほどでないにせよ今の弐號機は、リツコの手によって極限までの強化が
施されている状態であり、その戦力はかつてのゲッターロボを上回るといっていい。
アスカ独りでも戦力的には十分、戦自は撃滅できるはずだ。
それよりも問題は、第三新東京市の地下に蜘蛛の巣のように張られたネルフ専用鉄道の
線路や、搬入口から侵入してきた部隊への対処だ。
いくら鋭いトゲで身を守っていても、内から柔肉を攻撃されてはひとたまりもない。
そもそも先に述べた通りネルフ本部は重大な欠点として、戦闘機能をまったくといって
いいほど持っていないのだ。
リツコがいくつかのトラップを仕掛けてはいるが、数が間に合うまい。
それでも戦わねば撃滅されるのはこちらのほうだ。
そこでミサトの立てた作戦はまず、動けぬレイを彼女をイーグル号の中に置いて身の安
全を図ることだった。
シトの攻撃にすら耐える機体である、少なくとも病室に居るよりは安全だろう。
MAGIの防衛はリツコのいうとおり、イロウルに任せるとして、侵入部隊そのものだ。
これの迎撃にはネルフの戦闘部隊が当たるが、正面切って戦わせたところで敗北するの
は目に見えている。
こちら側はせいぜいテロを想定した程度のもので、相手は完全な軍隊なのだ。
そこで、竜馬に白羽の矢が立った。
真ゲッターの出撃はしばらく見合わせることにして、ネルフ本部内にて竜馬は腕に覚え
のある者を引き連れてこの撃退に当たることになった。
なお、その内の一人がリツコだ。
彼女を引き連れていれば真ゲッターへ搭乗する際にもたつかずに済むメリットもあるが
ミサトは、リツコが戦場に引っ張り出されることを心配する。
422:ここまで
07/12/07 00:27:26
「大丈夫なの?」
と。
それもそうであろう、少なくともつい最近まではリツコは単なる科学者であり、戦闘員
ではない記憶の方が強い。
だが、
「伊達にエンペラーで、流君と同じ釜の飯を食べてきちゃいないわよ。まあ、食事はして
ないんだけど」
と、リツコは己が拳を開くと握ってみせた。
着ている衣服がいつもの白衣とブラウスでなく、体にぴっちり張り付いたパイロットス
ーツであるせいか、やけに頼もしくみえるのだった。
そして竜馬が走り出した。
それをリツコと、竜馬の後ろに控えていた屈強な男たちが、それぞれの得物を手の中に
追っていった。
ちょっと切り方が変になっちゃった。スマソ
423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 00:29:40
始まったな。戦自はかわいそうだな。真ゲッターで吹き飛ばしてもらったほうが
まだ楽に死ねるだろうに
424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 01:10:06
捨石の戦自カワイソス。
425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:10:18
弱点のケーブルもプラズマボムスで補強済み、武装も強化済み
普通の弐号機にだって負けたのに…
逃げてー!戦自逃げてー!
426:つづき
07/12/07 12:40:22
竜馬が引き連れた総勢は、たったの本人とリツコを含めても、たったの十人。
しかしそれ以外には、竜馬の眼鏡にかなうような腕の者がいなかった。
すでにネルフ戦闘部隊による防衛網も破られつつあり、なんともならぬ状況だ。
数で相手の方が圧倒的な分、少数精鋭で対抗するしかないだろう。
勝率が決して高いとはいえずとも、だ。
もっとも戦闘力のある竜馬とリツコの二人は、ネルフ本部の玄関にあたるメインゲート
に向かい、大挙をしてやってきた戦自の部隊を迎え撃った。
二人の姿が発見されると、すかさず銃撃が雨のように襲いかかってくるが、竜馬はひら
りと空に舞って回避するとそのまま一気に敵の中へ飛びかかりざま、両手に持ったナタで
一人の首をたたっ斬ると、着地と同時に数人を切り裂き、さらに今殺した死体をひとつ盾
に銃撃を抑えて、また飛んだ。
同時に、リツコのロケットランチャーより発射された炸薬弾が敵部隊に襲いかかって戦
車をも破壊する衝撃が一陣を吹き飛ばしていく。
一瞬にして、辺りに死屍累々の山ができあがる。
これに後続の部隊が恐怖したのか、一瞬の間、銃撃が止まってしまった。
その隙を逃すような竜馬ではない。
両手のナタを後続部隊めがけてトマホークブーメランよろしく投げつけると、それは空
を裂いて飛びかかり、一人の腕を切断し、もう一人の脚を裂いてから、くわぁん、と地面
へ転がった。
それが合図となって銃撃がまた始まるが、張られた弾幕の中に二人の姿が、ない。
どこだ、と敵が思った時にはもう遅かった。
リツコを抱えた竜馬が彼らの上空に現れると、同時にリツコが手にもった手榴弾のよう
なものをばらまきながら飛び去っていく。
一瞬の間の後、緑色の光が後続部隊を包むようにして広がっていった。
ゲッター線を使用した爆弾かなにかであろうか。
光が収まる頃には、結晶の破片のようなものが辺りに散らばるのみで、戦自隊員の姿は
どこかへ消え去っていた。
427:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:41:48
「一部隊片づいたか」
と竜馬がいう。
だが、戦況は芳しくないようだ。
他に各方面へ回した連中からは通信機越しの音沙汰がなくなって、ノイズのみが聞こえている。
(突破された。やはりダメか)
ちっ、と舌打ちしながら竜馬が思う。
竜馬の集めた人員はネルフの中では選りすぐりだったのだが、やはり戦闘に関しては、
相手の方が専門家ゆえに一枚も二枚も上手だったのだろう。
竜馬自身は化け物じみた戦闘力を持っているとは言え、身は一つだ。数で攻めてこられ
ると全てに手が回らなくなる。
「数だけは多いぜ、畜生め」
そういっていると、またゲートの奥から敵部隊の影が見えた。
竜馬とリツコは構えるが、しかし、その影があちらこちらへと轟音と共に吹き飛んでい
くと最後に盛大な爆発が起きて全て散ってしまった。
なんだ、と思っていると、そのさらに奥からなにやら、別の影の軍団が押し寄せてくる
のが見えた。
そしてずんずん迫る影の中で、野太い声が響いた。
「ワシのシマを荒らすバカタレどもは皆殺しじゃあ! 自衛隊なんぞはぶっ潰しちゃれ!
今後は岩鬼組が日本を防衛するけぇのう!!」
と、いうのは紛れもなく岩鬼組組長、岩鬼将造そのひとだった。
しばらく行方をくらましていたはずの男だが、どうしてこの場に彼がいるのだろうか。
だが、今それを問いただしている時間はない。
竜馬が将造の姿を認めるなり、大声を張り上げた。
「将造! てめえ今までなにしてやがったッ」
428:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:42:49
すると、将造の方も、
「かばちぃたれなッ、色男に引っ張り回されてたら時間食いよったんじゃあっ」
と跳ねッ返るような大声でもって返してきた。
「色男?」
「おうよ。野郎はばぶれもんじゃけえ、もう女んところへ行っておる頃じゃろう」
将造がそういった時を同じくして、作戦司令室へ場面を移そう。
ちょうどその時、司令室底部の隔壁が爆破されていたのだ。
場にいた数人のネルフ職員が吹き飛ばされて四肢を破裂させると同時に、シールドに身
を隠した戦自隊員たちが、爆破で空いた穴よりぞろぞろと這い出てきてこの場を制圧すべく
一斉に銃撃を開始してきた。
遮るものがなかった職員たちは、あわれ蜂の巣とされて果てていく。
これに生き残った職員たちからの反撃がいくが、相手は防弾装備を調えているせいで手
持ちの火器程度ではどうにもならない。
蹴散らされ、さらに、二人ほどがミサトやオペレータ達がいる上部へとはい上がってき
てしまった。
「くそっ!」
と、ミサトが拳銃で応戦するが無駄なことだ。なんとかできる相手でも、数でもない。
やはり侵入に気づくことができなかったのが致命傷だった。
その前に迎撃できていれば、弐號機と真ゲッターの威力をもってして敵を壊滅させるの
は、少なくとも戦自相手にはたやすいことのはずだったのだ。
だが、それを悔やんでも、もう遅い。
(万事休すか。こんな凡ミスで……)
429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:43:49
ミサトは思い、しかしそれでも単身特攻の構えを見せた。
が、それが行動に移されることはなかった。
次の瞬間、敵が爆破してきた穴の奥から伸びてきた火線が幾重にもなって降り注ぐと、
強面の男共が波のようになって突入してきたのだ。
彼らは戦自の人間達を、踏みつぶすようにして覆い被さると、脚を千切るわ腹を千切る
わの大虐殺に及ぶと、さらに数を増やして濁流のようになっていった。
そして、その上を浮遊して何者かが通過していく。
何者かは両足よりもうもうと噴煙をあげながら空を舞って、ミサトに迫った二人の戦自
隊員に向けて腕を差し出すと、そこが割れるように弾け飛び現れたサブマシンガンの銃口
から轟音をあげて弾丸の嵐を見舞う。
敵はミサトの目の前で、ダンスを躍るようにして跳ねてから絶命していった。
これにミサトが驚愕のあまり、手に持った拳銃を取りこぼしてしまう。
がしゃ、と拳銃が地に転がりおちた。
暴発しなかったのは幸いといえよう。
ミサトが驚いた理由は、目の前で人間が死んだことではない。
自身を助けるように、空中から銃撃を放った人間に対して驚愕したのだ。
彼女の視界に映るものは、よれよれのワイシャツに、しわくちゃとなったスラックスに
身を包んだ無精ヒゲで、長髪の髪を後ろで一本にまとめた男。
そう。その名は、
「加持君っ」
その人であった。
ミサトは、
「ど、どうして……」
あなたは死んだはず、と彼から受けた最期の電話を思い出して問うた。
430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:45:57
だが、当の加持は強面の男達に作戦司令室の守りを固めるように指示を出すと、ミサト
に振り向いてにこやかにった。
なお、浮いたままだ。足からジェット噴射が出続けている。
「よぉ葛城、久しぶりだなぁ」
「生きて……いや、それよりあんた、なんで飛んでんのよッ!?」
「ははは。あの時は死んだと思ったんだけどね。運良く……いや、運が悪いな。偶然敷島
博士に助けられてしまってね。この通りさ」
といって、加持は自身の脚を指し示す。
スラックスが黒いせいで目立たなかったが、よく見ると足から膝にかけてまでが、まる
でブラックゲッターの脚部のようになっていたのだ。
だからといって、直線にジェット噴射をすれば飛べるものではないのだが、どういう原理
なのか加持は空を飛んでいた。
と、ここまで書いて原理不明のものばかりが登場してくるのが困りものだと思ったが、
どれをとっても突き詰めるとそうなってしまうので、詮索はやめておくとしよう。
敷島やネルフの技術力なら、不可能も可能になってしまうということだ。
加持が右腕のサブマシンガンの銃口をきらめかせながらいう。
「ついでに目と耳も良くなってな。ここからでもネルフ全体の状態が手に取るように解る
んだ。いやあ、これからのアルバイトは楽できそうだ」
「か、加持君……」
変わり果ててしまった姿の加持にミサトが絶句するが、当の本人はさほど気にしている
様子もなく、からからと笑うのみだった。
タフな精神構造である。
彼もアスカ同様に、将造と共にいることで影響を受けたのであろうか。
「心配するな、脳みそまでいじくられちゃいないさ。ま、戦自の連中は俺と岩鬼組の連中
に任せておいてくれ」
「そうか、そこの人たちは岩鬼組の」
431:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:47:08
と、ミサトが戦自の隊員たちがどこにいたのか解らなくなるほどの数で作戦司令室の底
部を埋めつくさんとしているばかりの、強面の男たちを見ていった。
どうやら加持によりあることないこと吹き込まれているのか、ミサトが視線をやるなり口々に、
「兄ィの女じゃあ!」
「胴にでけー傷跡があるっちゅうのう。うらやましいのう!」
「どんな修羅場をくぐってきたのかのう」
などとわめき立てているのが見えた。
ミサトが軽く引いていたが、それに加持が苦笑しながらミサトに向けて片目を閉じた。
「考えてみりゃ、幸せになれるか、なれないかなんて、死ぬまで生きてみなくちゃ解らな
いもんな。とことんまで抗ってみようぜ」
といってから、事態を静観していたゲンドウと冬月に振り返ると、軽く頭をさげた。
「どうも」
「……今度、君にアルバイトに入られたら厄介になるな」
冬月が冗談とも本気ともとれるようにいう。
ゲンドウは黙ってサングラスのずれを直しているのみだった。
加持がいう。
「まあ、その時が来ないとダメですが。後は、外の連中ですよ。アスカが頑張っている」
その言葉通りに、外の連中に目を向けることとする。
真っ先に弐號機に乗って外界へと飛び出したアスカの目に見えたものは、天より降り注
ぐミサイルの大群であった。
恐らくN2弾頭を装着したものであろう。
ミサトが言ったとおり、なんとしてでも敵はこちらを壊滅させるつもりなのだろう。
432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:48:09
かっ、とアスカの目がひらかれる。
「来るなら来てみろおっ! 指一本触れさせやしないわよ!」
その言葉と共に、弐號機がのけぞると両手を左右に大きく開く。
すればその間に蒼い電流が走っていくと、次の瞬間には、それを大空へ放り投げるよう
にして同時にアスカが叫んだ。
「プラズマサンダーぁああ!!」
ぎゅん、と蒼い稲妻が空へ飛ぶと、四方にぱっと広がった。
それがまるで空全体を覆い尽くすような結界になると、そこへ次々とミサイルが引っか
かって落ちる事も出来ずに、超高圧電流に覆われ焼き尽くされていく。
すれば、次々に誘爆が起きて空の上が太陽になってしまったかのように輝いた。
あまりの光量に弐號機すらもしばらく動けなかったが、それは他になにか居たとしても
同じ事だったろう。
やがてそれらの光が収まってから再び動き始めた。
ぐるりと首を動かし、辺りに散らばる戦自の戦車やヘリ、輸送車や歩兵といったものに
目を付けていくと、コクピットでアスカがニヤリと笑った。
「今度はこっちの番よ」
そういって、弐號機は背中にくくりつけていた二丁のミサイルマシンガンを手に取って
がしゃりと構えると、左右の足を大きく広げて大地に固定する。
トリガーを引き絞った。
と同時に砲身が回転しはじめ砲口より轟音を以て大量のミサイルが発射されていく。
次々に空を舞うミサイル達は、その一つ一つが意思を持っているかのように、軌道を変
えて速度をも変えて、各方面に散らばる敵に対して散開するように広がっていった。
その迎撃など間に合うものではない。
先ほど降ってきたミサイルよりも数が多いのだ。
433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:50:41
そのうち、もっとも近くにあった戦車に衝突すると、弾頭がつぶれてN2爆発が起きる。
「A.Tフィールド全開!!」
爆発の余波から自分とネルフを守るために、弐號機が弾の切れたミサイルマシンガンを
放り捨てると両の手を左右に大きく広げてA.Tフィールドを投げるように発生させた。
さすがに範囲が及ばず、フィールドの守護範囲から漏れた部分が焦土と化していくが、
それでも先ほどの敵ミサイルに直撃されるよりは、遙かにマシであっただろう。
ミサイルマシンガンの一斉射撃により、戦自は壊滅的打撃を受けた。
ネルフに侵入した部隊も、押し入った岩鬼組に掃討されるのは時間の問題だろう。
だが、これで終わったわけではない。
空中から、なにか白い鳥のようなものが一二体、舞い落ちるようにしてやってくる。
それを認めたアスカがつぶやいた。
「エヴァ量産型、完成していたのね……」
白い鳥のように見えたものは、その背から白鳥のような羽根を生やした量産型のエヴァ
ンゲリオンだった。
純白のボディは神秘的だったが、しかし、その頭部だけは白いウナギの顔に、人の唇を
巨大化させてくっつけて、そこから歯が覗いたような不気味な形状をしている。
それを見てアスカは、
「不細工なツラね。悪役にはお似合いよ」
というと弐號機の右肩コンテナからマゴロク・エクスターミネート・ソードを射出させ
て、それを手の内に収めた。
なお、以後この剣はソードと記す。
抜き打ちするようにソードを上段に構えて、突撃の体勢に入る。
まず一体を袈裟懸けに両断するつもりなのだ。
434:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:51:56
だが、その時弐號機のモニタに誰かからか通信が入る。
相手はゲンドウだった。
なぜ、この人が。
と思うアスカにゲンドウがいう。
「弐號機パイロット。心配するな、あれは」
「敵ですよ! 邪魔しないでっ」
「聞きたまえ。あれはダミープラグで動いている、ゼーレ、いやインベーダーはここでサ
ードインパクトを起こすつもりなのだろうが、そうはいかん。あのプラグを完成させたの
は早乙女博士だ。ならばそのダミーは」
と、ゲンドウがそこまでいって口をつぐむと、空中でゆるやかに舞っていたはずの量産
型たちが一斉にその白ウナギのような頭をかかえて苦しみだした。
そしてその場から牡丹の花が落ちるかのようにして墜落してくるではないか。
どすん、どすん、と小さなクレーターが一二の数、出来上がっていく。
「な、なんなのよ……」
状況が飲み込めず狼狽するアスカだったが、さらに墜落して羽根がむしり取れた量産型
たちが、はいつくばるようにしてゆっくりと起き上がっていく。
と同時に、ゲンドウの通信がかき消されるようにして、弐號機のモニタに一二の窓枠が
出来上がってその中に、工事用ヘルメットをかぶった男がそれぞれ映し出された。
みな、同じ顔をしていた。
似ているではなく、人形のように完全に同じ顔かたちなのだ。
顔が丸く、それによく肥えていて美形とはいえなかったが、目つきが座っていて眉もり
りしく、いい顔をしていた。
しかし、
「……だれ?」
435:ここまで
07/12/07 12:53:10
と、アスカが呆気にとられる表情になった。
一二という数字と、通信先の表示から間違いなくそれは量産型からのアクセスだったの
だが中に人が乗っているという話は聞いていない。
ましてや、同じ顔をした連中などとは。
第一、ダミープラグは人を乗せずにエヴァを動かす装置ではなかったのか。
しかしそんな疑問はものともせずに、通信窓の一人がアスカの疑問に答えた。
「俺たちは武蔵だ!」
「む、ムサシ……?」
見れば、立ち上がった量産型たちがそれぞれ仁王立ちし、腰に手をやって弐號機に対し
ていた。先頭の一機は腕組みまでしている。
アスカから空気の抜けるような声が出たが、相手からもパイロットであるアスカの様子
が見えているのか、
「おお見ろ、武蔵四〇六八二号! あのメカのパイロットは美しいお嬢さんだぞ!」
「本当だ! 聞きしにまさる美少女とは、俺たちにも運が向いてきたなあっ」
「なにをいってる武蔵四〇八三三号、ミチルさん以上の女性はいないと我々は!!」
などと、目の前で量産型同士が取っ組み合いの喧嘩をはじめてしまう。
どうやら推測するに、ダミープラグの人格とLCLはすべてこの「武蔵」というなにか共
同生命体のようなものに乗っ取られていたらしい。
いわば、バルディエルの人間バージョンというべきものだろう。
やがて喧嘩をする量産型を見かねた武蔵の中のリーダー格らしい武蔵が一喝すると、や
っとそれは制止された。
そのリーダー格がアスカにむかっていう。
「前哨戦は終わりだ。エヴァ弐號機よ、インベーダーが来るぞ!!」
436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 12:58:51
武蔵まできやがったwww
437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 13:04:10
やべえ、ぽとりと落ちるのは牡丹じゃなくて椿だった。すまんこってす。
438:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 13:12:25
量産機乗っ取りの発想は無かったwwww
というか短期間にアイディアが途切れずに投下出来てるのがスゲェ
439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 13:14:38
コレハ予想外Death。
440:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 13:27:05
加持さんが二代目極道兵器になってしまったwwwww
しかも武蔵がたくさん現れたwwwww
先が読めない展開にwktk
あれ、量産機って五~拾参の九体だったような・・・
あと量産機のダミーはネルフ製(レイ)でなくゼーレ製(カヲル)・・・
いや、もうそんな些事はどうでもいい!ゲッターの力を信じるぜ!
441:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 17:31:15
加持さァァァんヌ!にも驚いたがそれ以上は武蔵だ。
お願い早乙女博士自重してww
442:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 17:37:02
恋をするっておなかが苦しくなることなのね
443:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 18:44:41
なんだこのカオスwwwww頬が痛ぇよwwバカwwww
444:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 19:00:40
武蔵の血肉はカヲルのLCLで出来てるのかwww
445:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/07 20:54:10
武蔵がいっぱい・・・
武蔵伝か
446:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 00:29:22
アーク本編のムサシ司令官ズは思想的にかなりヤバい方向に逝ってたが、
ここのだと竜馬の最終目標が行き届いていて大丈夫という事かな。
いやもし石川御大が逝去せずに続きが描かれてたら、艦隊の行動に今ひとつ
納得のいってない様子だった拓馬がしまいには来留間源三ぽく変貌してしまった
エンペラー竜馬に背いて戦いを挑むような展開になったんじゃないかと思って。
それにしても残りのシトどころか量産型までネルフについたとなると、
インベーダーには何か手駒が残ってんのかな?
メタルビースト化初号機とか、対ゲッター兵器としてバグでも持ち出してくるかな?
447:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 01:01:48
エヴァ弐號機に武蔵搭乗の量産型12機に真ゲッター、それに対するのは
インベーダー初号機にインベーダーカオル、このままじゃ戦いにならないけど
どうなるんだろう?
448:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 02:48:30
月とか木星とかぶつけるんじゃないの?
449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 07:30:37
ラグース細胞みたいなインベーダーが出てきたりして
450:名無しが氏んでも代わりはいるもの:
07/12/08 12:01:34
すげえ!! 正に神の展開(無論、ほめ言葉です)!!
作品全体に流れる石川テイストは何事ですか!!
これを書いている職人さんには石川先生が力を貸しているに違いない!!
451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 14:41:39
量産機のプラグには『MUSASHI』と書かれているんですね
452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 15:10:30
>>451
それだと「うおっまぶしっ」みたいで
スタコラサッサしたくなる
453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 19:30:21
弐拷機のパワーアップ、真ゲッター、量産機・・・これだけの軍団に対抗するためには
真ゲ最終回に登場したラ・グースもどきや時の狭間のインベーダー軍団を引っ張ってくる
しかないな・・・。
454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 19:56:34
エヴァ踏み台にゲッターマンセーしたいならヨソの板でやれよ
455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 20:18:09
さて、住人のスルー力は如何ほどなものかな?_
456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 20:29:42
>>453
逆に考えるんだ。
エヴァ量産機乗っ取りをしなきゃ勝てないくらいの敵が用意されていると、そう考えるんだ。
457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 21:26:31
エヴァ弐號機やブラゲも登場時は「ナニコレwww」とか思ったがめっさ苦戦させられたしな
458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 21:54:25
>>454
(・∀・)ニヤニヤ
459:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 22:04:38
インベーダーの一細胞細胞が別個にATフィールド展開できたらえらい厄介そうだが。積層装甲的に。
でも群体っぽいから心の壁的に重層できんのかな。
いずれにせよバリヤー備えたインベーダーって結構厄介だと思う。
460:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 22:39:00
インバーダーが寄生した初号機越しにゼルエルとS2機関の能力を獲得してても不思議じゃないからな。
461:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/08 23:37:46
>>458
キモイ
462:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/12/09 00:31:34
>>461
わざわざ噛み付くお前もキモい