07/11/23 23:03:28
一方、彼らが深夜の街を暴走している最中、アスカは軍刀を片手に、機能の生き残って
いる繁華街を散歩していた。
あからさまな凶器を手にうろつく少女に、だれかが通報しているようだったが、それは
意味を成さない。
彼女が刀を持ち歩くことは、すでに黙認するように各機関へ指令が飛んでいるのだ。
アスカがいく。
既に将造によって心身ともに鍛えられたその精神は、若干一四にしてすでに鋼のように
強固となっていたが、それでも自身が想った人間が死ぬのは耐えきれなかった。
自暴自棄になるほど追い込まれはしないが、自宅で寝るような気分にもなれない。
つまらなさそうに歩いていく。
そしてしばらく街を往くと、その視界に見覚えのある顔が飛びでくる。
「あ……菅原さんに、高倉さん」
と、彼女が呼ぶのは岩鬼組の重臣ともいえる二人だった。
なにやら困った顔になっていて、彼らはアスカを見つけるとぱっと駆け寄ってきた。
「おお、姐さん! ちょうどええところに」
「どうしたの」
「若と、ついでに敷島のじじいがどっかに消えよったんじゃ。姐さんと一緒かと思ったん
じゃが知りませんかのう」
「知らないわ。ねえ、パパまで消えちゃったの……?」
アスカが度を失う。
まさか将造に限って、と思うが加持の死を伝えられた直後である。
それも、加持と将造は互いに連絡を密に取り合っていたという事実もある。
あるいはその余波で、将造も命を狙われたのでは……と弱気になるのも仕方なかった。
菅原と高倉は、アスカも将造の行方を知らないとみると、二人で「一旦、事務所へもど
るか」と合点して、アスカに向いて頭を下げる。