08/06/06 20:32:52 XnMt3cy0
何故に私の仕事場にこいつがいるか。
簡単な話、こいつもここに仕事をしに来ているのだそうだ。
誤解を生みそうなので注意しておくけれども
別にこなたは弁護士でも検事でも警察でも契約顧問先の大手の会社社員でもなく、勿論霊媒師でもない。
ここにいるのはこなたの職業であるゲームシナリオライターとして
あくまでも仕事の一環として次作のための取材として来ている。
…と、言った名目を掲げてサボりに来ている。
実際、次回作のため次回作のためと言いながらも次回作が弁護士モノだった例はなく、
事務所に来て取材のようなものをする気配はない
いや一応は私のボスである所長に話を聞いてはいるが切り出しが
「そういえば所長、所長の息子、今年小学校に入学だっけ?」
と、どう聞いても取材じゃなくて世間話をしだすあたり、
ダメだこいつら…早く何とかしないと…の心境である。
そんなんだから卒業式間際まで
卒論の締め切りとサボりすぎた授業の足りない単位の為の追加課題の締め切りに追われる羽目になるんだ。
そして在学中はもちろん、卒業してからも脚本の締め切りに追われる毎日ときているのだから、
つくづく締め切りとの追いかけっこが好きなようだ。
コイツ実は結構Mなんじゃないか?
本来なら所長もこいつを追い出すべきなのだが歳の差を超えたシンパシーと言うか、
要は同じ穴の狢で意気投合してしまい、ここの事務所のゆるい空気の一因となってしまっている。
そう言えばコイツは昔から趣味を同じくする同士を見つけると
普段のものぐささを感じさせないフットワークを見せネットワークを形成するのが上手かったな、
などと軽く物思いにふけった。
まあこんな日常も悪くはないと思う。
私はそう結論を出し事務所の窓から、あの日の空を眺めようとした。