【らき☆すた】こなた×かがみPart20【こなかが】 at ANICHARA2
【らき☆すた】こなた×かがみPart20【こなかが】 - 暇つぶし2ch375:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:15:37 alKDaMJP
受験勉強の合間にアルバイトをすることを、賛成する親はいない。私はそれを一般常識だと思っていた。
そして女性同士が愛し合い、お付き合いを始めることが非常識なことである。これも常識だと思っていた。
しかし今の私は、この常識が間違っていたものだと気がついた。いや、正確には間違えにしてしまった。

「かがみの好きにしなさい」
アルバイトの面接を受ける前に求めた親の許可は、その一言で了承された。
放任とも取れるお父さんの言葉に、私は家族から突き放された不安に取り乱しそうになった。つかさの言葉を聞くまでは…。
「ごめんね。お姉ちゃんの全国模試の結果、お父さんに言っちゃった」
私は結果を両親に告げていなかった。それが自分に対する甘えになるのを恐れていたからだ。
第一志望の外大は常にA判定、全国順位で二桁に入ることも数回あったが私は満足しなかった。
それはあくまでも模擬試験、大学に合格した訳ではなかったからだ。つかさもみゆきも、日下部も峰岸も… そしてこなたも… 既に進路は決まっている。
私だけまた一人ぼっちの状況、どうして私だけが皆からはぐれるんだろう。その悲しみを認めたくない、そのことも模試の結果を封印する動機だった。
「お父さんはかがみのがんばりを見ているからね。アルバイトもがんばりなさい。こなたちゃんにも認めてもらいなさい」
水面の下であがいている姿など、誰にも見せることは無いと思っていた自分が過去のものになりつつある。
だって、私が住んでいるこの水溜りはきれいに澄んでいる。表面に出ている部分だけを見ていたのは私だけ、
他の皆は水中のがんばりをお互い認めて、そして励ましあってきたのだろう。私が一人ぼっちにもなるはずだ。
進路が決まっていないことに感謝しなくてはいけないな。皆見るがいい、私のあがきを。

「いいのよ、つかさ。結果を見せなかった私が悪いんだから。けど、お父さんはこの結果を聞いて許してくれたの?」
「いいや、違うよ。大人になったかがみの姿を見たからだよ」
『大人』の一言に反応する。私達は… まだ… そう言う関係には… その…。赤面する私を不思議そうにうかがう、つかさ。
「お姉ちゃんは普段からしっかりしてるから、私はいっつもお姉ちゃんのこと、大人だなって思ってるよ」
そう言う意味だとは思っていた。どうして恥ずかしかったのだろう… 恥ずかしい。

不意にテーブルに置かれた私の模擬試験の、判定評価のプリントが宙に浮く。
「これで落ちたらかがみ、洒落になんないね」
まつり姉さんに、もてあそばれる私の実力。いい加減なこと言わないで欲しい。けらけら呑気に笑う顔に腹を立てる。
「まつりお姉ちゃん笑わないでよ。お姉ちゃん絶対受かるよ」
そう言ってつかさはまつり姉さんからプリントを奪い取る。が、足を引っ掛けて転んでしまった。
「つかさが滑ったら駄目でしょ。縁起でもない。かがみは滑らないようにね」
「お姉ちゃん、ごめん…」
しおれるつかさを慰めつつ、まつり姉さんを睨み付ける。
「な、なによ。私が悪いの? 今日は私、何も言ってないじゃない」
不本意な反応に戸惑うまつり姉さんは、これ以上何も言わずに部屋に戻っていった。

「かがみ、まつりはあれで応援しているつもりなんだよ」
「うん、わかってる。わかってるけど、あの言い方は素直じゃないわね」
「お姉ちゃんみたいだね」
「つかさ!」


このようにして掴んだアルバイトの許可だ。明日の初勤務は、皆

376:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:18:15 alKDaMJP
「お姉ちゃん。服これでいいかな?」
朝から何度聞いただろう、この台詞。その度に決まってこう答える。
「あんたねぇ、どうせお店で着替えるんだから、おしゃれしなくていいのよ。私だって普段着なんだから」
「でも、お店入る前にお客さんと会ったら恥ずかしいし…」
「大丈夫よ。つかさはキッチンで、お客さんの前には姿を現さないんだから」
十二時の開店に間に合うようにと、私達は十一時から勤務だそうだ。本当は、私は十二時十五分前に来たら良いと言われたのだが、
つかさがひとりでは心細いということで、私まで一時間前集合になってしまった。
「服の心配をしていて遅刻なんてしたら、こなたに笑われるわよ。早くしな」
時計を見ると九時を少し回っていた。これは駅まで走らなきゃいけないな。

予定の電車に何とか間に合い、飛び乗ったと同時に電車が動き出す。すいている車内の席はどこでも座れるが、私達は立ったまま電車に揺られた。
「お姉ちゃん、こなちゃんは一緒じゃないの?」
「こなたとは待ち合わせしなかったから、先に行ってるんじゃないの?」
「どうして待ち合わせしなかったの?」
「なんだかわからないけど、こなたから『明日は一緒に行けないから』ってメールが来たのよ」
「こなちゃんと喧嘩したの?」
つかさの顔が曇る。
「そんなんじゃないわよ。思い当たる節はないわ。大丈夫よ」
これは間違いない。と言うのもメールが来る前まで、私達は電話で話をしていたからだ。あのたわいのない会話に、こなたの機嫌を損ねるキーワードはなかった。
電話を切った後に思い出したように来たメール。こなたは開店に合わせて来るものだと解釈していた。
「大丈夫よ」
つかさの心配が、仕事へ影響しなければいいと思いながら繰り返す。
車内が込み始めたのをきっかけに、つかさとの会話をやめた。都心へ近づくにつれ緊張の度合いが高まる。
私はうまく接客できるだろうか…。

二人だけで降り立つ秋葉腹の駅。いつも人通りが絶えない駅前は、週末のイベントがあるらしく身動きできないくらいだった。
イベントとは関わらない私達は裏道を歩く。もちろんこの道はこなたが教えてくれた道。怪しげなお店の前を早足で通り過ぎ、
表通りに出たときにはすでに時計は十時五十分を指していた。急がないと遅刻してしまう。
「つかさ、走るわよ」
私はつかさの手を取り、走り出す。よろめきながら付いてくるつかさの手が離れた時、お店の前に私達はいた。
十時五十五分。遅刻は免れた。しかしつかさの顔に表情はない。今日の体力は使い果たしたようだ。がんばれつかさ、今からが本番だぞ。

ドアを開けると私達は怒鳴られた。
「あんたたち、遅刻よ、遅刻! 罰金よ!」
「ふぇ?」
つかさの力ない反応に時間が止まる。
「え? 時間過ぎちゃった?」
「何言っているのよ。団長の私より遅いなんて、団員にあるまじき失態ね。罰として今日の昼食はあんたが買ってきなさい」
「ちょっと、こなた。遅れたわけじゃないんだからいいでしょ?」
「泉さん、もうこのくらいでいいんじゃありませんか?」
キッチンから小野店長がこなたを諌める。やり足りないらしく不満そうなこなたに一礼してから私に向かって、
「朝からずっと練習なさっていたんですよ。かがみさんに認めてもらいたくて」
と説明する。
こなたが私に認めてもらいたい? どういうことだろう。


377:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:21:35 alKDaMJP
「かがみは面接の日、ハルヒのDVD買ったって教えてくれたよね。その時私のこと似てるって言ってくれなかったから…」
子供か、こいつは…。
「あんた、今日は何時に来たんだ?」
「ん? 九時…」
「私達に『遅刻よ!』って叫びたいために、そんなに早くから待ってたのか?」
「まあね」
この努力を他に回すことは出来ないのだろうか…。私は呆れたが同時にこなたと遊びたくなった。
「やれやれ」
肩をすくめてキョンの真似をする。しかし客観的に見て、普段の私と変わらない。それはこなたも感じたようで、
「ごめんね、かがみん」
と、素で返された。申し訳なくなった私は、小声で答えた。
「似てるわよ、ちょっと焦っちゃったくらい」
うつむくこなたが微笑んだのが見えた。

つかさはキッチンに入り、料理の下準備にかかった。私はすることがなく、と言ってもただお店の中で座っている訳にもいかない。
当然だが私がつかさを手伝えることなどまったくない。そして店内の準備はこなたが既に済ませている。どうして私がいるのだろう?
これでは本当に、つかさの付き添いでしかないじゃない。私の横では私の髪で遊ぶ幸せそうなこなたがいるだけ、って和みすぎだろ?
「さっきの話なんだけど、お昼、私が買ってこようか?」
「つかさが作るからいいよー」
一蹴された。何もしない罪悪感と、初めて接するお客さんのことを考えるので、私は落ち着かないのである。体を動かしたい。

「けど、何もしないって訳にはいかないわ」
「いいのですよ。涼宮さんが望んでいること。今の時間がその望み、そのものなのですから」
「どうして、こなたを特別に扱うのですか?」
「禁則事項です」
小野店長は茶目っ気たっぷりに、みくるの真似をする。こういうお店なのか、と私は判断した。
こなたが一年以上も続けているのは、ただお金が欲しいからだけではなく、この店長とお店が好きなんだろうと思った。
そしてその大切な空間に私達を招待してくれた。こなたはいつまでも私達に贈り物を配り続けてくれる。私はその思いに、答えることが出来るだろうか…。

「おはようございます」
ドアの鈴の音と共に、みゆきが出勤してきた。
「駅前にたくさんの方がいらして苦労しました」
「あー 今日はゲマズでイベントあるから。きっとその後、お店に流れてきていっぱいになると思うよ」
「みなさん、来られるのですか…?」
顔色が変わるみゆき。人数の多さからか? それとも何かあったのか?
「階段の下まで続くくらいの列かな」

平然と答えるこなたは慣れたものなのだろうが、私とみゆきはこの後の忙しさを想像して顔を見合わせたまま沈黙する。
しかしこなたって、こんな子だったっけ? めんどくさがり屋の子供だと思っていたのが、今では私に仕事を教えてくれている。
もっともコミケで見せた自分の欲望に対する情熱を、余すことなく行動に置き換える性格は認めていたけどね。
ここでは何を燃やしてがんばっているのだろう。楽しいから? いや、それだけじゃない気がする。
こなたの中に大人が見えた。


378:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:23:56 alKDaMJP
動けない。
私の身体がベッドに貼り付いて、起き上がることが出来ない。私が出来ることは天井を見つめて、つかさの呼びかけに答えることだけだ。
「気をつけて行っておいでー」
「うん、行ってくるよー。お姉ちゃんも、勉強がんばってね」
今日、私は試験勉強の日と言うことで、アルバイトはお休みにしてもらっていた。昨日の初勤務から一晩明けた今朝、私の身体に異変が起きた。
…筋肉痛か。
慣れないうえに目まぐるしく入れ替わるお客さん、緊張している暇なんてなかった一日が遠い昔のような気がする。
こなたは私と遊ばない日に、こんなことしていたのか…。いくら慣れてないからといっても、私も体力には自信があった。
ここまでハードだとは思わなかった自分が、いかに甘い考えであったかを痛感した。そしてこなたの偉大さも。

「いてて…」
寝てばかりではつかさになってしまう、いや、そのつかさは今日もアルバイトに出かけたのだ。
不器用ながらも注文に答え次々と作り出されていた料理に、今思えばつかさの天性を感じる。私はただ必死にそれを運んだだけだったのに。
私の身体が、昨日の事を思い出すのを拒絶する。今はふくらはぎがその先頭に立っている。なんだか私は私に負けたみたいだ。
悔しさから涙がこぼれる。
「どうして私に負けなきゃならないのよ!」
腹が立ってきた。そしておなかが空いた。朝ごはんは何かな…。布団から抜け出し、ベッドの高低差を利用して床に足を下ろす。
どうも身体のほうも食事を取ることには反対しないようで、私を台所まで運んでくれた。階段の手すりに掴まりながらの昇降はさぞ滑稽だったろうけど。

食事が済んで自室に戻った私はベッドに戻るか、机に向かうか考えていた。今日の私は何もする気が起きない、ベッドで寝転びながらラノベでも読みたい気分だ。
本棚から取り出した読みかけのラノベを持って、あえて目を背けていた机の上に目を走らせる。
そこに一枚のプリントを見つけた。全国模試の判定評価のプリントだ。まつり姉さんの顔を思い出す。
「負けてなるものか」
怒りと共にやる気が出てきた。もう少し受験生に優しい応援の仕方があるだろうと、自分勝手ではあるが抗議したい。
しかしその抗議をすることより、私が大学に合格すれば何倍にも見返せる。合格した私を想像してにやける。
私はラノベをベッドに放り出し、机に向かった。過去の問題集はどこを開いても知っている問題と答え、正直、飽きた。

携帯電話が私を呼ぶ。メールの受信を知らせる音に、私は手を休め確認した。送信主はみゆき、何の用事だろう?
『かがみさん、受験勉強はかどっていますか? お邪魔でなかったら私もご一緒に、勉強させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?』
みゆきからのメールは、私をマンネリから救ってくれた。すぐに返信する。
『私も一人じゃはかどらなくて、みゆきがいてくれたら助かるよ。何ももてなせないけど、来てくれたら嬉しいわ』
『ではお昼過ぎにお伺いいたします』
よし。これで私の気合も入れなおせる。そろそろと部屋を出て行き、お母さんに尋ねた。
「お母さん、湿布無い?」
「お父さんが使っていたのが確か… あら? 無いわね」
携帯電話を取り再び送信。
『みゆき、来るとき湿布を買ってきて。お願い』
友達にこんなこと言うなんて、昔の私では考えられない。いいよね、みゆき、頼んでも。


379:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:26:41 alKDaMJP
遅めの昼食が済んで、一息入れていたところにみゆきが尋ねてきた。みゆきは早めの昼食を取ったらしく、私の昼食の時間が終わるのに合わせて来てくれたようだ。
手には私の家族分のケーキと私のための湿布。
「お役に立てて光栄です」
とはみゆきの言葉。本当に嬉しそうに、私に湿布を渡してくれた。頼まれた方が喜んでいる奇妙な光景に私は照れる。
素直にありがとうと言わなければ…。
「悪かったわね、みゆき。変なもの頼んじゃって」
これではだめだ。頭を掻きながらもう一言。
「ありがとう」
人に物を頼んで感謝する。私の一番苦手なことをやってみた、そしてやれた。
「み、みゆき… 気分悪くしてない? その… ごめんね」
「お慣れにならないことをなさって、心配されていますか? 私が出来ることは限られています。それはかがみさんも同じこと。
その欠けた所を補えるのが友達じゃありませんか?」
「そ、そうね…」
「このように泉さんの前でも出来たらいいですね」
微笑むみゆきに見つめられて、私は言葉が出ない。

「慣れてないといえば、私も今朝、筋肉痛になりまして… お恥ずかしながら」
「私もあそこまで、仕事が忙しいとは思わなかったわよ」
「昨日は近所でイベントがあって、お客様が大勢いらしたのですよね?」
「あー こなたが言ってたわね。あいつよく働いてるわよね」
「泉さんは責任感がありますから、小野店長もとても信頼なさっていましたね」
「こなたのこと見直したわよ。最後のほうには先輩って呼んじゃったもの」
「うふふ。先輩ですか。実は私も泉さんをそうお呼びしていました」
「こなたは不思議な子よね。今でもどうしてこなたのことが、好きになったのか分からない時があるの」
「泉さんは魅力的な方です。私も憧れることがありましたよ」
「だ、だめよ。みゆきはこなたを好きになっちゃ」
「うふふ。私はまだ恋愛をしたことがありませんから、かがみさんが羨ましいです」
「いや… そう言われると、なんだかむず痒い…」
「その後どうですか、泉さんとはうまくいっていますか?」

こなたとキスをした夜を思い出す。お風呂場では私がこなたに迫ったが、つかさに邪魔されて出来なかった。
その後、私の部屋でこなたから迫ってきて、私のほほにキスしてくれた。まつり姉さんに言わせるとそれは子供のキスだが、私にとっては一生の思い出。
思い出し笑いを隠せない。
「あらら、かがみさん。私は野暮なことをお聞きしたようですね」
「なによ。もっと聞いてくれていいのよ」
「いえ… 私も聞いていて恥ずかしいですよ」
うつむくみゆきに優越感。みゆきにも早く、素敵な人が現れるといいわね。けどどうして幸せな人は、自分の幸せを分けたいと思うのだろう。
このお裾分けは迷惑かな? 
「そうだ。折角買って来てくれたんだから、湿布張るのを手伝ってよ」
「そのようなことは、泉さんにお頼みください」
「なによ。みゆき、妬いてるの?」
「禁則事項です」
変な言葉、覚えちゃったわね。

貴重な受験勉強の時間を割いて交わしたこの会話を、つまらないものだと言う人がいたら私の前に来て欲しい。
きっと言ったことを後悔するだろう。私の幸せの前では。


380:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:29:49 alKDaMJP
夕食を固辞してみゆきは帰っていった。今日の勉強会は私が筋肉痛であったため、終始お喋りで終わってしまった。
しかし私の合格を待っていてくれている人がいる、それを再確認しただけでも私の受験勉強が意味あるものだと自信を持った。
痛みをこらえてベッドに横になっている私に訪問者が来た。
「お姉ちゃん、具合どう?」
朝、顔を合わせたわけでもないのに、つかさは私の異変に気が付いていたのだろうか、姉の面目がない。
「ちょっと疲れただけよ」
笑顔で答えるが、痛みを堪えることが出来ない。

「かがみん、もう年じゃないの?」
え? どうしてこなたがいるの? 私は不意の出会いに心がときめく。ん、けど何て言った、私が年を取っているだと。
「な、何しに来た!」
言っちゃった…。本当はお見舞いに来てくれたのが嬉しくて、甘えたくて、抱きしめたいのに駄目だな私。
「いやぁ。つかさが『おにぇえちゃんの、ぎゅあいが、わりゅい、みたいだから、心配なにょ』って言うもんだから、来てみたんだ」
「こなちゃん、今の私の真似?」
「そだよ。つかさだよ」
「うぇーん。私そんな喋り方しないよー」
私は苦笑した。どうして私の周りにはいつも人がいるのだろう、静かにして欲しいよ…。嬉しいな、ありがとう。

「で、かがみ様は筋肉痛で動けない、と」
「はは… 結構ハードよね、仕事って」
「けど、つかさは今日も元気に働いてたよ」
「それを言うな」
「私も元気だよ」
「皆まで言うな」
「で、かがみ様、『だけが』筋肉痛で動けない、と」
「み、みゆきだって筋肉痛だって言ってたわよ」
「みゆきさんは、かがみの家まで来て、かがみ様はベッドの上でお出迎え」
「う、うるさいわね… そ、そうよ私は体が弱いのよ、労わりなさい!」
「おー。だったら今日は、私がかがみ様の面倒を見て進ぜよう」

私の中の時間が止まる。こなたが私の面倒を見てくれる…。お願いしようかな。
私はこなたを見つめた、こなたと目が合う。すぐ私は目を逸らせた。そのまま視線をはずして、
「いいの? 夜、遅いよ…」
「泊まるから大丈夫」
「明日、学校でしょ!」
「冗談だよ。ゆいねえさんが十一時頃に、迎えに来てくれるって」
あと二時間もないじゃない…。泊まっていけばいいのに…。馬鹿。

「後はお風呂に入って寝るだけだけど、お願いするわ」
「じゃあ、お風呂一緒に入る?」
「それは駄目よ」
「どうして?」
悲しそうなこなたの目が私は嬉しい。私だって一緒に入りたいよ。けど、私はけじめを付けたお付き合いがしたいの。
「私は家族に私達が付き合うって宣言したの。そして恋人同士って認めてもらったの。友達なら一緒にお風呂も入れるけど、
恋人同士が一緒のお風呂に入るのは、家族の前ではおかしいと思うのよ。これは私が決めたルールだけど、守りたいのよ。こなたと正々堂々、付き合うために…」


381:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:33:00 alKDaMJP
言い終わって私は後悔した。つかさがいるじゃない! つかさには、まだ私達の関係を話していない。
私達はまだ一人歩きできない子供な関係。世間の目に晒された時、どのような対処も出来ない未熟者なのだ。
つかさにばれないようにする。これが世間から身を隠しているバロメーターになるはずだ。ばれてしまったら私達は近すぎるということ、自重しなければならない。

それは、つかさが寝静まったあとの家族会議でまつり姉さんの
「つかさはまだ幼いから、聞いたらショックじゃないの? 女の子同意が付き合うなんて聞いたら。それも友達と姉だし」
の一言で決まったこと。私はつかさにも伝えて共に浮かれたい。内緒になんてしたくなかった。しかし、
「かがみは浮かれると、言わなくていいことまで話よね。煽られたら黙ってないでしょ? 耐性がないのよ、あんたは」
と続いたまつり姉さんの言葉に、私は黙るしかなかった。
「すべてを隠しても協力してもらうことが出来るのは、姉妹の特権じゃないかな? お父さんはそう思うよ。これはつかさにしか出来ないことなのだから」
つかさにしかできないこと…。私が取り乱して家出した夜の事を思い出す。神社の境内でつかさが話したこと。
『私は私が出来ることをして、お姉ちゃんの力になるよ』
パジャマのまま私を探してくれた妹の、精一杯の主張に今は、すがろう。

その決意が私の不注意で壊れてしまった。恐る恐るつかさがいるのであろう場所を覗う。しかしそこにつかさの姿はなかった。
「あれ… つかさは?」
私の記憶がおかしいのだろうか。つかさはこなたと一緒に、私の部屋に入ってきたはず。狐に抓まれた私を、こなたは不敵な笑みで見つめる。
「かがみは夢中になると、前後が見えなくなってすぐ暴走するね。つかさは話の途中で出て行ったよ。ここに来る前に頼んでたから」
「どう言う事よ」
「仕事のことで、かがみに話があるから席を外してってね」
「そうなの? じゃあ仕事の話しなきゃ。何なのよ」
「もう… かがみは… どうして…」
寂しく呟きながらこなたは私に抱きついてきた。ベッドの上で上半身を起こして聞いていた私は、その勢いを受け止めきれずにこなたと共に倒れこむ。
枕が私の頭を受け止める。こなたの頭が私の胸の中に納まる。こなたの香りと温もりが私に暖かくかぶさる。

「つかさの前じゃ、こんなことしちゃ駄目なんでしょ。かがみ様の掟では」
「いいのよ、いつでも… どこでも… 誰がいても… 私にはこなたしか見えないんだから…」
「本当にかがみは、私がいないと駄目なんだね。一直線すぎるよ」
「あんたがいるから、私も素直になれるのよ。悪かったわね」
「私もそうだけどね」
「こなた…」
私はこなたの唇を目指した。しかし今の私は筋肉痛で、腹筋だけでは頭を持ち上げられない。こなたを私の上から下ろし、横に寝かせる。
お互い身体の片側をベッドに付けて、向かい合ったまま寝ている。私の右腕はこなたの首の下にあり、その手はこなたの頭を絶え間なく撫でている。
自由な左手でこなたの右肩を押さえる。見つめ合うだけの時間が、幸せを膨らませる。両手を胸の前で組んだこなたは、私の次を待っているようだ。
私がこなたに近づいたのを見届けて、こなたは目を閉じた。そして心持、あごを上げたように思えた。
お互い早くなった呼吸で胸が上下する。そのリズムは合わせたように重なっていた。これがファーストキスになるのか…。


382:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/05 20:36:04 +ueQpVlf
保管庫のSSをコピペする荒らし
どんどん行動がキチガイになっていくな


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