08/02/14 10:46:03 Gg6/RwoY
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【らき☆すた】こなた×かがみ【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart2【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart3【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart4【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart5【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart6【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart7【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart8【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart9【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart10【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart11【こなかが】
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【らき☆すた】こなた×かがみPart12【こなかが】
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3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 10:46:33 Gg6/RwoY
ここで話題になった同人誌
(一般)
Lucky point (東ガル会)
Lucky point summer (東ガル会)
Lucky point autumn (東ガル会)
セブンすたー (GUNP 杜講一郎xさくらあかみ)
ついんころねこ (なぐ茶)
すく☆スク かがみん (ゆーのす)
はろ☆ハロ かがみん (ゆーのす)
せるふぃっしゅ2 (I'LL調 あかりりゅりゅ羽)
こな☆かがまんが ぷらす (PNOグループ はせ☆裕)
ちょこっと☆ラッキー (MIKIHOUSE)
伊香保温泉物語 (煉瓦)
幸いなる星 呪いたる目録 ふたつぼし☆☆ (Hellfragrance)
Sweet Spice (ぱるふぇ)
コココナカガガガ (ハネゴヤ)
こころのおと(ハネゴヤ)
キラボシ(SW919)
アンダンテ(麦畑)
コイビトミマン (旅人)
LUCKY☆STRIKE あじゅじゅじゅした~ (チョボにょぽ)
(18禁)
こな☆かが (ASTRONOMY)
彗星 (いちごさいず なつめえり)
しの☆はら (うきょちゅう 篠原重工営業部)
らき☆ちょ (恋愛漫画家)
LOVERY POCKY (ciaociao あらきかなお )
らっきー☆すたー (GABALL SCREEN)
「KONA×KAGA」(めろぷり+Petite*Cerisie)
こなかが漫画の連載している所
あお色えんぴつ
URLリンク(www.geocities.co.jp)
GUNP
URLリンク(gunp.jp)
よろず4コマ
URLリンク(www.lcv.ne.jp)
GABALL SCREEN
URLリンク(snowrabbit.lolipop.jp)
PNOグループ
URLリンク(www117.sakura.ne.jp)
ふたばミシャ絵保管庫
URLリンク(hp29.0zero.jp)
ニコニコ動画のこなた×かがみリスト
URLリンク(www.nicovideo.jp)
4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 10:46:57 Gg6/RwoY
本スレでの冬コミおすすめ同人誌
一般
はぐ☆ハグ☆かがみん (ゆ~のす通信)
は・ぴ・ら・き (虚弱畑)
破顔一笑 (クラスメイト・ショック)
セブンすたー2 (GUNP 杜講一郎xさくらあかみ)
柊さんちのリラッコナ(おでんや)
CapriceStar (ししゃもはうす)
R18
蒼☆菫 (CELTRANCE)
CICADA DRIZZLE (しもやけ堂)
HOME SWEET HOME (いちごさいず)
まそっぷ (ごべらっつぉ)
?
らぶ☆すた (彩也学園)
うぃんたぁ☆ふぃーばー (BBBえくすとら)
もちもち (スペースオレンジパンケーキ)
5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 10:50:35 ZB5NrkM7
>>1乙!
さあ、始まるザマスよ!
6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 10:58:44 siY57E6o
>>1乙でがんす
7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 10:59:34 e+6Mw1AH
>>1乙
まともにはじめなさよ!
8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 11:04:37 e2fraRg7
>>7
「私の出番がうにょ~ん……どんだけ~……」
>>1乙んがー
9:7-428
08/02/14 11:23:51 KdZ+m0wf
>>1乙です。
・バレンタイン祭り参加作品です。
・6レス使います。
10:1/6
08/02/14 11:25:10 KdZ+m0wf
どうしてコートを着てきたのだろう…。
まだ残雪が残る町を歩いてきたのだから、手にしているコートにはお世話になった。
しかし今私のいるところでは、長袖のシャツを着ていることですら罪悪感がある。
私はネクタイを少し緩めこの場にいることを後悔していた。
地元から少し離れたデパートの一角に設けられた期間限定のコーナーに、女性達が群がっている。
私もその中の一人になる決心をして家を出たのだが、今まで無縁の世界に飛び込むには敷居が高い。熱気と人口密度に帰ることを考え始めていた。
朝出かける前、つかさの問いかけにはラノベを買ってくるとごまかしていたから、帰りは本屋に寄らなくてはいけない。
コートと共に手にした大き目のバッグは、どう見ても本屋にラノベを買いにいく姿ではないけどね。
しかしこのバッグには今日買ったものを人目につかないよう運ぶという、重要な役割があるのだから仕方ない。
「お菓子会社の陰謀に…」
そう呟く私の横を誰も気にかけることなく次々と女性が通り過ぎる。不意にその中の一人に私は突き飛ばされた。
通路に立ち止まっていた私が悪いのだが、にらみながら振り返る。しかし更新され続ける人々の顔にめまいを覚えた。
人に酔った私は無意識に流れに乗る。気がつくとそこは売り場の真ん中、チョコレートの甘い香りに包まれた女の園にいた。
バッグとコートを持った右手に力が入る。ここまで来たら後には引けない。実行あるのみ。一通り見てみよう。
チョコ菓子の新作はすべてチェックしているけど、バレンタインチョコの品揃えは知識が無い。
思わず噴出しそうになるネーミングや形に納得したり、赤面したり、憂いたり… 私の出来る一通りのリアクションを出し尽くしたところで、会場を一周し終えていた。
私の買うのは義理チョコ30個。私が今年関わった人全員分だ。
チェック済みの義理チョココーナーへと向かう。一通り見る時は流れに沿っていけばよかったが、目的の場所に向かうには人を掻き分け進まなければならない。
通路で考えている女性に立腹する。過去の私に苦笑。
目当ての場所は比較的空いていた。ここならゆっくり選べそうだ。
義理を前面に押し出したものは安っぽいな。しかし元々義理用なので価格も安いから仕方ない。
とりあえず200円の物を買おう。200×30で六千円、結構な出費だが覚悟は出来ている。
かごの中に同価格の違う種類の商品を入れていく。すぐにかごの中は30個のチョコでいっぱいになった。
バッグ、コート、そしてチョコ満載の買い物かご、私の右手の限界はどこまでだろう。
「合計で30点、九千円になります」
一万円札を出し売買成立。買い物かごがデパートの紙袋二つに変わった。火照った身体を休ませたい。
私はデパート内の喫茶室に入り、オープンサンドとアイスレモンティを頼んだ。待っている間に偽装工作を開始する。
先ほど無造作に財布にしまったレシートとおつりの千円札一枚を丁寧にしまいなおす。千円札に描かれている偉人が、私の見栄っ張りを諌めている。
紙袋からチョコを取り出し、持参のバッグに詰め替える。押し込めるほどではないが、隙間に余裕なく入れ終わる。
普段こないこのデパートの紙袋も丁寧にたたみ、バッグの隅に滑り込ませた。
「お待たせしました」
その声が聞こえたのは持参したラノベを4ページほど読み進んだ時だった。
11:2/6
08/02/14 11:26:20 KdZ+m0wf
お腹を満たした私が次にすること、それは本命チョコの購入だ。私が今年関わった人は実は31人、31個のチョコを用意しないといけないのだ。
どうしてか? それは一つだけでは… 恥ずかしい。からかわれたり、重く取られたり、好きな人にあげるのは初めてだし…。
それをごまかすため全員分。いいでしょ、私のことなんだから。ほっといてよ。
地下の食品売り場はすいていた。洋菓子のお店が集まるエリアをめざし迷うことなく進む。
家族共有のパソコンで調べたお店の商品は、フルーツのペーストを練りこんだフランスのパティシエ手作りチョコ。
姉が来るたび画面を大学の案内ページに切り替える私は、さながらいやらしいページを見ている男の子のようだった。
そのような苦労を重ねて見つけた一品が、日本で売っているのはこのデパートだけだった。
目的のお店のショーケースの前にはお客さんは誰もいない。人気ないのかな? 不安になる私。
サンプルを見て私の希望と同じものだと確信してお店の人に声を掛ける。
「あの、この四個入って三千円する分を欲しいんですが…」
「ご予約はいただいてますでしょうか?」
「予約ですか? いいえ…」
「申し訳ありませんが、こちらの商品はご予約分の限定販売となっております」
「…」
チョコ買うのに予約が要るのか、どおりで誰もいないわけだ。って感心している場合ではない。
「予約したら買えるのですか?」
「申し訳ありません。既に売り切れております」
「…」
自分の甘さに絶望した。私の生まれて初めてのバレンタインチョコは売り切れで買えないのか。
こんな苦い思いをするイベントなんて、いままでどおり無視すればよかった。
『甘酸っぱいフルーツと上質なカカオの苦味が少し大人を演出します』
今の私達にぴったりだと思ったのに…。こなたの南国のフルーツのようないたずら好きな元気さを、カカオのような癖のある私が包み込む。
私は甘くないんだから、こなたの甘味が必要なのよ。
「あの…」
目頭が熱くなっている私に、お店の人が遠慮がちに話しかけてきた。
「こちらの四個入りはバレンタインデーの限定商品ですが、通常販売用のグラム売りでしたらご用意できますが」
「それはどのように違うのですか?」
「チョコ自体は同じなのですが、容器と包装用紙が異なります」
「えっと…」
「もちろんプレゼント用にラッピングはさせていただきます。よろしければご試食なさいますか?」
試食! チョコが食べられる。高いから自分の分は買えないので諦めていたのになんという幸運。
「いいのですか?」
「こちらです」
小さな容器の上に、爪楊枝に刺された画面で見たものと同じチョコが乗っている。親指の先くらいの大きさだが数百円はするだろう。
口に入れる。
…。
……?
………?
どうしてだろう。甘くない。酸っぱくもない。苦くもない。味覚がなかった。強いて言えばこなたの味がした。
12:3/6
08/02/14 11:27:39 KdZ+m0wf
「これを作ったフランスのパティシエは『もし本当に好きな人に贈るならこれを食べないでいただきたい。
きっと一口目はなんの味もしないだろうから。チョコを選んでいる時からその人を思う気持ちが強ければ強いほどに』とおっしゃっていました」
「…」
今、私の口の中はチョコの甘さでいっぱいだ。鼻腔に抜ける甘酸っぱい香り、舌の上でカカオの苦味が昼寝をしている。
食べたときより食べ終わった後のほうが味を強く感じる、今までにない経験。私がこなたを思う気持ちは本物ってことだよね。
「これをください。バレンタインのプレゼント用にお願いします」
「ありがとうございます。では何グラムにいたしましょうか?」
今日二枚目の一万円札を取り出した。
「お姉ちゃん遅かったねぇ。どこの本屋さんまで行ってたの?」
家に帰った私はつかさの質問に、本屋によることを忘れていたことに気がつく。
「売ってなかったのよ。だから少し遠くまで」
「あれ? これ、チョコでしょ。お姉ちゃんは誰に送るの?」
つぶれないようにバッグに入れず、手で持っていたのを忘れていた。手のひらに置いてもはみ出ない大きさが、逆に大きな主張をしている。
「そ、それは… 私が食べるのよ。つかさにもあげるね」
「お姉ちゃん、私はいいからこなちゃんにあげたらいいよ」
「なんでこなたなのよ。あいつには去年あげたから、今年は貰わないと割が合わないわ」
「やっぱりこなちゃんのチョコ欲しい?」
「い、いらないわよ。つかさ、絶対に私がチョコを買ったこと誰にも言っちゃあ駄目よ。自分用に買ったなんて知られたら、どんなこと言われるかわからないからね」
「うん、内緒にしとく」
「約束だからね」
そう釘を刺し部屋に向かおうとすると、
「お姉ちゃん、そのチョコは暖かい部屋に置いとくと駄目になっちゃうよ。冷蔵庫の野菜が入ってるところにいれるといいよ」
そういえばお店の人もそんなこと言っていたっけ。素直に従っておこう。
「つかさ、あんたは今年、どうするの?」
「私は今年も手作りだよ。お姉ちゃんが帰ってきたら、一緒に作ろうと思ってたんだよ」
「ごめん、今年は皆の分買っちゃった」
私は自分で作ったものを義理チョコとして配ることは出来ない。折角私が作ったんだから大切な人に食べてもらいたい。
私の料理は貴重なんだ。だからめったに作らない。うん、それでいい。
作らないとはいえチョコの香りが漂う台所に行かない手はない。
「つかさ、何か手伝おうか?」
「じゃあ、味見して欲しいな」
「食べていいの? 本当に!」
「はい」
と手渡されたひとかけらのチョコ。うん、おいしい。けど、台所の空気が変わる。私の出番はこれで終わり、そうつかさから言われた気がした。
「私、受験勉強してくる」
逃げるように自室に戻る。何度も見返してぼろぼろになった過去の問題集の横に置いてあった単語帳を手に取り、ベッドに寝転び復習する。
考えることなく反射神経で答えていくのももう飽きた。めくる前から分かる問題と答えに前進が見られない。
私、大学に受かるのかしら…。既に進路の決まっている三人に追いつかないと、と焦る自分に言い聞かす。
「バレンタインにこなたにチョコ渡して、受け取ってもらえたら私は大学にも合格する」
お腹空いたな。つかさ、もう一個チョコくれないかな…。
13:4/6
08/02/14 11:29:02 KdZ+m0wf
2月14日の朝。私は今までにない量の荷物を持って登校した。チョコレート30個とチョコレート1個。それと鷹宮町指定の未使用のゴミ袋(大)一枚。
「おーすこなた。チョコは持ってきたか?」
駅前でこなたを見つけると先に声を掛けてみた。先制攻撃だ。
「うわっ。かがみん、どうしたのそのチョコの量!」
「今年はいろいろあったから、お世話になった人に配るんだよ。あんたにも余ったらあげるわ」
「お姉ちゃん、余ったらって… そうだ、はい、こなちゃん 私達から」
「つかさの愛は受け取った。邪魔が入らないように、二人で学校行こうね」
「あんたいつも貰ってばっかりだけど、配ることはしないのか?」
「いやぁ、かがみん。この時期はチョコの価格が暴騰しているのだよ。落ち着いたときに買うのが賢い消費者なのだよ」
「あんたからチョコなど貰ったことはないのだが…」
「時期が外れると送る気持ちも安くなるからね」
もともと当てにはしていない。けど、ちょっと期待していた私がいた。こなたからは無しなのか。
教室に入るやいな、
「ひぃらぎぃ。どうしたんだ、そんな大量のチョコ」
と日下部の声に出迎えられた。
「ああ、あんたの分もあるわよ」
と言いながら、鷹宮町指定のゴミ袋(大)の中にチョコを30個入れる。
「どれでもいいから好きなの取りな」
そう言って私はゴミ袋を突き出す。
「こういうのって手渡しで、くれるんじゃ、ないんかよ。『これ、みさおちゃんに』って言ってくれよ」
「いらないんだったらいいわよ。ってか、なんであんたのこと、ちゃん付けで呼ばなくちゃいけないのよ」
「じゃあ、いらない! 柊から手渡しで貰えないんなら、受け取んない」
「そう、じゃあ峰岸。はい」
「あら、私もいただけるの? ありがとう、柊ちゃん」
「なんであやの受け取るんだよー。私も欲しい。欲しいってヴぁ」
「わかった、日下部、もう私の肩を揺さぶるのをやめてくれ」
「だったら手渡し。目を見てどうぞって言ってくれ」
「うるさいわね。ほれ、どうぞ」
私から手渡されたチョコを手に、日下部は教室から飛び出していった。
その後私は同様に男女区別なくチョコを配り歩いた。計算どおりの減り具合に一安心、あとは昼休みに行くB組の分だけだ。
昼休みのB組、私はお弁当と共にゴミ袋に入れたチョコを持って残りのチョコを配った。そして最後の一つになったので、こなた達の集まる机に向かう。
「お待たせ、これみゆきに」
最後のチョコをみゆきにあげて席に着く。
「私に、ですか? 泉さんにお渡しするのではないのですか?」
「そうよ、これはみゆきの分」
「しかしお見かけしたところ、かがみさんは関わった方全員にお渡ししているように思いましたが、日下部さんも今朝、泉さんに嬉しそうに報告なさっていましたよ」
「いいのよ、こなたには去年あげたし」
「足りないのでしたら、私の分を半分泉さんにお渡しするということで…」
「そこまでみゆきに気を使わせたら悪いわね。ちょっと待ってて」
そういい残し私は自分の教室に置いてあった、あのチョコを取りに行った。
14:5/6
08/02/14 11:30:19 KdZ+m0wf
「これ、私が食べようと思って買ったんだけど、よかったら受け取って。たいしたものじゃないのよ、自分用なんだから」
そう言って私はこなたに、デパートの地下で買ったフルーツチョコを差し出した。
「かがみ、これって…」
「何よ、あんたの分本当にないんだから、これで我慢しなさいよ」
「かがみさん、これは…」
こなたもみゆきも同じ反応をしている。なぜ? 私は渡すものを間違えたのか? 保存方法が悪くて溶けちゃったのか?
焦る私。
「どうしたのよ。ほら、取っときな」
そう言ってさりげなくチョコの入った包みの底を見る。別に汚れていない。
再びこなたの顔を見る。依然驚きと困惑の表情。どうしてよ。みゆきの顔を見る。こちらはなぜか納得して感心している。
悪いものではないということはみゆきの顔を見て解った。しかしこなたの驚きは尋常ではない。早く受け取れ。
「受け取れないよ… これはかがみが食べようと思って買ったんでしょ?」
え? なに? 受け取れない? それじゃあ、大学落ちちゃうじゃない。私のチョコ… 愛なんだよ。受け取ってよ。
「かがみさん、本当に御自分のためにお買いになられたのですか?」
「そ、そうよ。駄目だったかしら…」
「それでしたら泉さんは受け取れませんね。このチョコはどういうチョコかご存知ですよね、かがみさんが一番よく」
「…」
「私はこのチョコを知っています。泉さんもたぶんご存知のはず」
こなたは小さくうなずく。
え? 有名なの? そりゃあ予約で売り切れていたから名前は通っているのかもしれないけど、今時の子が知っているものだったの?
「かがみさん、ここは素直に言わなければ、泉さんを困らせるだけですよ」
「す、素直って… 私はこなたのために、デパートまで行って… いや、こなたのためじゃなくって、私がこなたにあげたかったから…」
「かがみさん、がんばって」
「こなたのことを思って、このチョコを選んで買いました。受け取ってください」
そう言って私は空いていたもう片方の手を添えて、両手でこなたにチョコを差し出した。
「あ、ありがとう」
こなたの手にチョコが渡る瞬間、私の口の中にあの甘酸っぱい香りが広がった。
放課後。
「かがみん、今日暇?」
「何よ、受験生にかける言葉じゃないわね。そうね…買い物だったら付き合うわよ。この前ラノベ買えなくて行きたかったから」
「じゃあついてきて」
いつもはみゆきが一人、上り民として別れる所で今日はつかさだけが一人、下り民になって消えていった。
三人で東京方面へと向かう。今日は秋葉腹か。しばらくしてみゆきとも別れ、二人きりになった。
いつもの駅に着いても乗り換えをせず、電車は地下を走り続ける。
「どこまで行くのよ?」
「ついてきて」
このやり取りが何度続いただろうか、と思い出すころこなたは私の手を引いて電車から降ろしてくれた。
降りたのはこなたが来春から通う体育大学の最寄り駅。どこに連れて行ってくれるの?
「こっちだよ」
一人では迷子になりそうな路地を抜け、着いたのは一軒の喫茶店。
「ここなんだ…」
そう言うとこなたはドアを開け入っていく。どうもたびたび来ている感じだ。
15:6/6
08/02/14 11:31:34 KdZ+m0wf
感じのよさそうなお店のご主人にこなたは軽く挨拶している。その軽さが店の常連を物語っている。
迷うことなく奥から二番目のテーブルに向かい、私のために席を引いてくれた。落ち着いた雰囲気はご主人の人柄だろう。
何時間でもいられる空気が漂うそんな空間に、私は夢心地になる。
「ホットチョコレート二つ」
こなたはそう注文すると私に話をしてくれた。
「ここ、私が最初にデートしたところなの」
こなたにも付き合っていた男性がいたのか…。悔しい、羨ましい、妬ましい、誰に対して?複雑な気分。
「と言っても、相手はみさきちだけどね」
「日下部か」
どうしてだろう。急に心が休まる。男性ではないとわかったから、いやそれ以外の感情もあった。
「大学受験の時、みさきちとここ見つけたんだ。それからちょくちょく、ここにみさきちと来てるんだよ」
「そうなんだ、で、今日の用事は何なんだ?」
そう私が聞くとホットチョコレートが二つ運ばれてきた。それを一口、口にする。少し熱い目がおいしい。
そうか、今日はここのホットチョコで、バレンタインのお返しにするのか。こなたからのお返しにしては、気が利いているな。
「ここをかがみに紹介するのが、私の今日の用事」
「どういうこと?」
「私は私が出会ったものすべてを、かがみと共有しようと決めたんだ。嬉しかったこと、楽しかったこと、感動したこと、素敵な場所、
もちろん、悲しかったこと、腹が立ったこと、不愉快なことも含めてね」
「え?」
「私はかがみといつも同じ時間を過ごしていたいんだ。一緒にいても、いなくても。二人の間に隠し事はないようにする。
これが私のバレンタインのお返しだよ。受け取ってくれるよね?」
「こなた…」
本当は、ここはこなたと日下部の空間なんだ。だって今にも日下部の声が聞こえてきてもおかしくない雰囲気。
私が座っているここは日下部の指定席なんだろう。春から四年間、ここで二人は遊び、語り合い、勉強して… これはないかな?
とにかく交友を重ねていくのだろう。私のいないこの喫茶店で…。今まで私はみんなと違うクラスだった、
しかし歩いて一分もかからない隣のクラスでは、昼食を共にすることなど障害ではない。
春から始まる大学生生活で、私たちの距離は物理的に大きく離れる。その距離を少しでも縮めるためのこなたなりの気配りか。
私に寂しい思いをさせないための、こなたからのバレンタインプレゼント。受け取らないわけがない。
「なによ、こんな大切なもの受け取ったら、一年で返せないじゃない。返し終わるまで一緒にいなさいよ」
「あ、私、今日バイトなの。もう行くね。ここの会計よろしくー」
そう言うとこなたは風のように去っていった。私は慌てて伝票を掴もうとテーブルに目をやる。
するとこなたの席に残された白いカップが目に入る。それには半分ほど残ったホットチョコレートと、あふれんばかりのこなたの愛。
私はその愛がこぼれないように慎重に引き寄せ、口へと運ぶ。こなたの愛の甘さを感じ取る。そして会計を私に押し付けたこなたに捨て台詞を吐いた。
「今日は間接キスだけでいいわよ」
16:7-428
08/02/14 11:35:08 KdZ+m0wf
以上です。
17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 13:35:19 hYHbIc0K
>>16
GJ!
ディテールが細かい所が好きなんだぜ。
18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 16:13:29 ZB5NrkM7
>>16 GJ!大学は違っても頑張ってほしいな・・・
19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 17:08:17 VYhRZkaY
>>16
暖かい気持ちになれたよGJ!!
このスレの職人さんたちのおかげで、今年のバレンタインデーは
チョコレートをいっぱい食べた時のような幸福感でいっぱいだ。
まとめてですまんが、ありがとう!!
20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 17:36:05 Xt8ROp81
こなたがかがみのチョコを強制略取したようです
URLリンク(www.nicovideo.jp)
なんというDating Violence
21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 18:23:34 +nqm9b62
>>1乙ー!
14日というバレンタイン当日に14スレ目というのは何やら感慨深いものがあるなあ
>>16
こなたからのお返しが素敵ですなぁ…あったかい気分になれるです。GJ!
某動画サイトでこなたとかがみのドラクエⅢの新作きてたね。
今見てるトコ。
22:4-248
08/02/14 20:01:27 Biczs/P+
お久しぶりです!
今日は以前予告していた漫画を投下したいと思うのですが・・・大丈夫でしょうか?(´・ω・`)
バレンタインとまったく関係のない内容なんですが^^;
23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:05:34 0rVzmnxL
>>22
是非ともお願いします。俺は待ってるぜ。
24:4-248
08/02/14 20:14:02 Biczs/P+
それでは投下いきます(`・ω・´)フンガー
タイトルは「冬の寒さとココロの温度」
冬の中でのあったかい話をテーマに描きました
バレンタインと関係ない話ですみませ…orz
バカップル&甘々注意報出しておきますのでご注意を(´・ω・`)w
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:16:06 IBNF864o
すばらしいってレベルじゃねーぞ!!GJ!!
26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:24:09 q93jgfQQ
>>24 GJとしか言いようがない
27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:36:31 5vq96Cdb
>>24
久々にきたー!!!
GJですよ!!!!甘くて、鼻から液体でそう…。
28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:41:02 3+tXCe7S
>>24
すごいっす。いや、マジで。
かがみかわいすぎる。
29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:43:41 aNbuS0uD
金とれるレベル
というか俺なら余裕で払う
30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 20:56:24 L4yTDO5w
URLリンク(www.raki-suta.com)
こっちにもぺたり
>>24
いつもながらお見事です
31:10ー79
08/02/14 21:13:46 P2d1C2lT
7ー428さん
GJ!照れ屋なかがみん可愛いですよw心情描写が綺麗で読みやすかったです!
4ー248さん
こちらもGJ!こなたマフラーいい!ずっとかがみに巻き付いていて欲しいw御馳走様でしたー!
>>30さん
いいこなかがwGJ!
32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 21:18:01 0rVzmnxL
>>24
GJ!
これはもう甘々注意報どころか、警報を発令せにゃならんねw
33:8-784
08/02/14 21:35:00 Vsk6vKT3
バレンタイン盛り上がってますね。お祭り騒ぎに便乗ですw
>>16
この二人なら、大学違っても大丈夫だと思いました。かがみの捨て台詞の間接キス~には笑いましたw
>>24
ちょっwww レベル違うw 超GJです ! ずっと待っていた甲斐がありました !
これは4-248さんの復帰と考えていいんですよね?
>>30
カワイイw
それでは今夜の落書き行かせていただきます。その前に前スレ>641さんありがとうございます !
投下するか悩んだ、問題の30話です↓
(注意) ひょっとするとこの板にふさわしくない表現が含まれているかもしれません
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
4-248さんの神漫画の後を汚してすいません (汗)
それと、前スレ688さんのように漫画描いてくれる人が増えて、とても嬉しいです !
34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 21:35:58 6ASaq1SG
URLリンク(sakuratan.ddo.jp)
甜菜
35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:02:21 0rVzmnxL
>>33
GJ!
スパロボの一般兵みたいなかがみが怖いな。
36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:28:43 avL+vBqd
>>16
>>24
>>30
>>33
皆GJ!甘いこなかがを堪能させてもらったよ
37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:43:44 ZqEIq/yR
職人さんたちGJ!!
>>30
かがみのマフラーについてkwsk
何に付属してたんだ…?
38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:44:08 KT0DZKOa
投下数は少ないけど内容がめちゃくちゃ濃い祭りですね。
みなさんGJすぎます!
39:10-45
08/02/14 22:45:19 Evc5Pvta
10-75さん
かがみの切なさとこなたの思いが良いですね
序盤と終盤の心情変化の対比も相変わらずお見事、の一言に限ります。
7-428さん
このお返しなら、きっと2人が違う大学にいっても、きっとずっと大丈夫ですねw
かがみの最後の台詞もまたナイスツンデレ……w
4-248さん
こなただけが唯一ゆるされた専用マフラーの権利とは……
あ、甘々過ぎる……身体のあらゆる場所から血がッ!!
8-748さん
かがみ覚醒ですねw
四コマ目でいったい何が起こっているのやら……w
>>34さん
別スレのですかねー?
こなたの傷を癒そうとするかがみの優しさを感じます。
自分も投稿しようとしているネタがあるんですが、今回主軸となるものが
とある物をほとんどそのまま使用した形になってしまってるんですよね……。
この場合やはり投稿は回避、するとしても避難所とかのほうがいいですかね……。
40:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:53:35 e9X7WjLu
>>16
>>24
>>30
>>33
みなさん。すばらしいものを作っていただき
ありがとうございました。
41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:57:54 nVFZDMlo
>>37
フィグマ長門有希
42:10ー79
08/02/14 22:59:06 P2d1C2lT
8ー784さん
かがみ覚醒w相変わらずGJ!ラブラブすぎるw
10ー45さん
感想ありがとうございますw読んで下さって感謝です!
こちらで投下しておkかと思います!期待して待ってます。
43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 22:59:27 komj4BHh
あのな、柊。ウチ思うんやけど。
柊も、桜庭センセも、ついでに高良も、ぶっちゃけ、家事できひんやろ?
それを補うかのように、泉、天原センセ、柊妹が対になっとるやん。
つまりや!ウチが未だ結婚できんのは、家事が出来てしまうからなんや!!
そこで、柊に是非、家事のできん奴を紹介してもらえんかと……
え?なんや?祭りで取り込み中?
そ、そりゃ~すまんかったなぁ(汗
てな訳で、職人さん方GJや!!一括で申し訳ないけどな。
44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 23:00:56 5OlM6dYl
>>24
待ちに待っった甲斐がありました!何と言う甘甘、ニヤケっぱなしw
想像を超えた素晴らしい新作です! GJ d(゜Д ゜)
45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 23:05:44 5OlM6dYl
ageてもうた・・・スマン orz
46:8-784
08/02/14 23:07:57 Vsk6vKT3
>>35
ちょっと怖かったですね。自分の中のブラックな部分が出てしまったかもしれません。
次回からまたバカップルにします
>>36 >>40
ありがとうございます !
>>37 >>38
今回本当にごめんなさい。微妙にヘコむことがあって、心が少し疲れていたから、作品にも影響したのかも・・・
>>39
やりすぎましたw 心のテンションがマズイ方向に向かってしまいました。
次回からまた元の調子に戻したいです
47:8-784
08/02/14 23:11:54 Vsk6vKT3
>>42
ありがとうございます !
変な方向にラブラブで申し訳ないです
48:8-616
08/02/14 23:13:27 uEeSloxG
>>16
かがみの最後の台詞がグッときました、GJです!
>>24
携帯では見れなくて涙目です。いつか必ず見ます!
>>30
これは…早くねんどろいどであんなことやこんなことをして遊びたいですなw
>>33
服が脱げる効果音に思わず吹きましたwいつも萌えあり笑いありの漫画をGJです!
さて、バレンタインシリーズの当日編がギリギリで完成しましたが…今からの投下大丈夫でしょうかね?
49:10-45
08/02/14 23:21:40 Evc5Pvta
8-616さんが投稿されるようなので、
自分はやはり避難所のほうにいかせていただきますね~。
8-616さんの作品、楽しみにしておりますw
50:8-616
08/02/14 23:28:41 uEeSloxG
あわわ><
10-45さん、本当に申し訳ないです。確認の余裕がかったので…。さっさと投下を始めます!
規制に引っ掛からないよういくらか間隔を開けて書き込みしますが、もし引っ掛かってしまった場合は続きを避難所に投下します(代理携帯がないので)
・9レス(もしくは10レス)お借りします。
51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/14 23:29:46 I8GtMaO+
_ _
, -―|`' ´ `>、 _
-=′'′ | X´::〉::_> 、 は、はやく食べるよろし!
/ ヘ ヽ\ ',::::/
/ .:./ | |: ! \ ヽ ',:::|. |/ , --、
. / ,/:.:.:| :| | ヽ. ト、 _゙_、 ', !::|. | , </ `i |`!
///.:.:.:.l \|_| 斗 '\ ヘ. |、 N. | , '´//// 、| ̄T_/ 〉
| /!:.:| |ヘ!` ヾ \ |: |弌 | |:.:| , < | | | !-ヽ__l `Tj
|/ |:.:.', |"ひ) イびゞ `!/" ル' |:.:| / ! | !| _ヽ |_i∠
ヽ.:.:.:Vl /// 、 /// ノ` ´/ 斗-イ. ヽヽヽ| , -テ、 }
ヽ!|个 ヽ⌒>_.ィ_/ / フ ̄ 7 / | Y
| | | _! └ ´ /:::/ / / , '′__//_/..........|__|、____
| |/:::::/ ̄ y’:/ / / > '′-ー" _,,.. _,,._ ,,.._ ,,.._ _,,.. ゙ ヽ、
| ∧:::::l /::::/ / / _, ′ / /,,r"i/ ,r"i/,,r"i/,,r"i/,,r"i 、 ヽ
Y | ',::::| /::::/ / / / / ´.:| / ./ /#; / /#.; / /#; / ,/#; / ,/#; / .," i |
| !/ヽ| /, イ|/! / ヽ イ :.:.:| i i. /#; / ,/#; ./ /#; / ,/#; / ,/#; / .,' / /
| K !/ / | / / | .:.:.| ヘ. |〃/ ,|〃/ ,|〃/ .,|〃/ , |〃/ .,"..;;/ /
/ |/ ,、下、 !' / ! :.:.| ヽ ヽゝ' `ヽゝ~ ヽゝ' ~ヽゝ' ~ヽゝ' " /
| | / ヽ } / | :.:.! ゙ ー-- 、、... _ ____ ,,,,, .... --―"
52:決戦はバレンタイン!当日編(1/9)
08/02/14 23:30:10 uEeSloxG
「…まだ降ってたんだ、雪」
「あ、お姉ちゃん。おはよう!」
「ゆーちゃん、おはよ」
「雪、積もるのかなぁ?」「どうだろうね、今の調子じゃわかんないよ」
「そっか、そうだよね」
「こけたりしないよう、気をつけて登校しなよ?岩崎さんにあげるチョコ、割れたら大変だから」
「え!?な、なんでそのことを知って…」
「むふふー、昨日遅くまで頑張ってたみたいだしね。可愛いね、ゆーちゃんは」「あわわわ…」
「顔真っ赤にしちゃってー」
「も、もう!…それじゃあ私行くねっ」
「あらら、逃げちゃった…ちょっといじり過ぎたかな?」
「こなた、お前も早く学校に行くんだぞー」
「分かってるよ、お父さん!」
「バレンタイン、楽しんでこいよ!」
「ふぅ………バレンタイン、か」
――決戦はバレンタイン(当日編)――
家を出ると、空には昨日から引き続き雪が舞っていた。ゆーちゃんにも言った通り、今の段階で積もるかどうかは分からないけど、もう少し激しく降ってきたら十分に有り得るだろう。
傘をさしながら、いつもの待ち合わせ場所へ急ぐ。
舞う雪に視界を遮られつつあったが、どうにか時間までに着くことが出来た。
「おっす、こなた」
「おはよう、こなちゃん。今日は一段と冷えるねー」「二人共おはよー。見て見て!この寒さで髪が跳ねたまま凍ってさ…アホ毛みたいになっちゃった」
「あんたのアホ毛はいつものことでしょうが…」
「あはは!それ面白いねー」
「つかさの反応は温かいねぇ。それに比べてかがみんは…雪より冷たい」
「冷たい女で悪かったな!」
今日もいつもみたいな馬鹿げたやり取りをして、学校へ向かう。
相変わらず、こんな時期でも色恋沙汰には縁が無かったりするんだよねー。
53:決戦はバレンタイン!当日編(2/9)
08/02/14 23:31:46 uEeSloxG
朝一から寒い教室の中で授業浸り。夜更かしして眠たいんだけど…暖房も休みごとで切られるから、おちおち昼寝も出来ないよ。
昼休みだけは例外で、唯一暖房が入れっぱなしになる休み時間だから暖かくて過ごしやすいんだよね。
「泉さん、眠たそうですね…。さっきから食事が進んでいませんよ?」
「うん、眠いんだけど…今日は授業中に一睡も出来なかったから」
「授業中に寝ようとか考えるな!」
「あはは、そうだねー」
「つかさ、あんたも人のこと言えないから…」
皆の声をBGMに、食べかけのチョココロネを口に運ぶ。
あ、これはもしかして自分から自分へのバレンタインチョコになるんじゃ?うわ…虚しい。どうせ食べるなら…ちゃんとしたチョコ、欲しいよね。
そう思った直後、私は自然にかがみの方を見ていた。あれ?何でだろう…。
でも、もしかがみからチョコ貰えたら嬉しいだろうな。ツンデレだもんね…絶対萌えるよ、これは。うん、だって私…かがみから貰えることだけを期待してる。
「ねぇ、こなた。…今日の放課後、ちょっと時間ある?」
「へ?」
私の頭がかがみのことでいっぱいになりそうだった時、その抑制がかがみ本人によって行われた。
「放課後、空いてるか聞いてるの」
「放課後?構わないけど。つかさは…」
つかさの方に目をやると、何やら照れ臭そうに笑っている。いや、私が色目使ったんじゃないからね。
「あのね、私はゆきちゃんと用事があるんだー。だから気にしなくていいよ!」「泉さんは何も心配することありませんよ。つかささんは、私がしっかりお預かりしますので」
さらにみゆきさんがとびきりの笑顔で答える。そっか、二人も用事があるんだね。
「それなら大丈夫だね」
「コホン、それじゃあこなた。授業が終わり次第、私のクラスに来てくれる?」「うん、分かった」
かがみはそれだけ言い残すと、さっさと教室を出て行った。昼休み、まだ少しあるのに…。
54:決戦はバレンタイン!当日編(3/9)
08/02/14 23:32:53 uEeSloxG
午後の授業は午前より幾分過ごしやすく、昼寝と説教を繰り返しながらもあっという間に放課後に差し掛かろうとしていた。
「こなちゃん、また明日ねー」
「それでは失礼します、泉さん」
「んー、またね」
HRが終わり、つかさとみゆきさんは仲よさ気に教室を出て行った。
あの二人…明らかに怪しいよね?きっと二人でバレンタインのチョコのやり取りでもするんだ…。
なーんだ、意外とすぐ近くに色恋沙汰があったのか。
「そうだ、私もかがみのクラスに行かないと…」
ふと、かがみからの呼び出しを思い出す。
今日は何の用事だろう?ラノベの新刊か?それとも…男の子にあげるチョコを一緒に選ばされたり…。
想像して何だか身震いをしてしまった。急いでコートを羽織り、足早に隣のクラスへ向かう。
~~~♪~♪
「ふぇ…?」
廊下に出た瞬間、かがみと電話する時以外は滅多に鳴ることのない携帯が、やけに短い着信音を響かせた。
「………メール?」
その着信音の短さから、メールということはすぐに分かった。
私の携帯宛てに来るメールなんて…きっと大したものじゃない。そんな風に思ったけど、念の為に携帯を開いて受信ボックスを確認する。
無題のメールが並ぶ画面の中…たった今届いたメールだけ、妙な題名が付いていた。
55:決戦はバレンタイン!当日編(4/9)
08/02/14 23:34:02 uEeSloxG
『ハッピーバレンタイン、こなちゃん♪』
「…つかさ?」
題名しか見ていないけど、私はすぐに送信者が分かった。私のことをこなちゃんって呼ぶ人なんて、つかさくらいしかいないから。
題名に困惑しながらも、私はとりあえずメールを開いてみた。
“今日はこなちゃんに指令を与えます。”
「は?」
一行目から既にワケの分からない、つかさクオリティ全開だった。
何でいきなり指令なのさ…何時からつかさは私の上官になったわけ?そんなことを考えながら、私は続きを読み進める。
“指令って言っても、本当に簡単なこと。こなちゃんならきっと出来るよ!”
いやいや、つかさ指令官殿。いきなりそんなこと言われてもね、私にも色々と聞きたいことがありまして…
“それで、指令の内容なんだけど…”
私の意見は無視ですか、ああそうですか。
メールにも携帯にも文句を言うことなんて出来ない。もはやつかさクオリティに巻き込まれるしか無いと察した私は、画面をゆっくりとスクロールさせる。
“義理の中の本命を見付けてあげて欲しいの”
「義理の中の…本命?」
意味不明な文が続く中で、この一文は妙に気に掛かった。いや、相変わらず意味が理解出来ないのは確かなんだけどさ…。
義理って言うのは、義理チョコのことだよね?じゃあ本命は本命チョコのこと?…義理なのに本命ってどういうこと?
つかさは私に何を伝えたいのさ?
何か答えに繋がることが書いていないか気になって、ボタンを押す指の動きを速くする。
“これだけじゃ分かりづらいと思うから…ヒントをあげるね。”
上手いタイミングにヒントという言葉を見付けて、私は妙に期待しまう。つかさの奇妙な文に魅力を感じ始めるくらいに。
“答えは…こなちゃんとお姉ちゃんの中にある。”
「…はい?」
ちょっと待ってよ。かがみならまだしも、このメールの意図が全く理解出来ていない私自身が答えに関わってるのは…おかし過ぎるでしょ?
“もしお姉ちゃんが勇者になっていたなら、この指令は私の独り言にしていいから。でも違ったら…こなちゃんが見付けあげて。”
「はぁ…」
勇者?ネトゲの話ですか?そんな疑問を受け流すよう、文の最後に“私は二人を応援してるから”なんて書いてあったけど、正直知ったこっちゃない。
「もういいや…」
理解することを諦めた私は静かに携帯を閉じる。
そして止めていた足を再び進めた。
56:決戦はバレンタイン!当日編(5/9)
08/02/14 23:36:02 uEeSloxG
「かがみ、来たよー!」
「お疲れ、それじゃあ行こっか」
「今日はゲマズ?それともメイト?」
「違う…帰るのよ」
「え、用事って一緒に帰るだけ?」
「ま、まぁそうね…」
「ふーん、まぁいいけど」
うん、ただ帰るだけなのは予想外だった。いや、別に全然構わないんだけどさ。二人で並んで校門を抜け、いつもの道を逆方向に歩く。その間、絶えずたわいもない会話が続いていた。
「こなた、ちょっと…近くの公園に寄っていい?」
かがみはたわいもない会話の中にたわいもないお願いをしてきた。
「公園?いいけど…ブランコにでも乗るの?」
「乗らないわよ…」
しっかりボケたつもりなのに、返ってきたツッコミは余りにも弱かった。かがみ、どうしたのかな?
気になりながらも、私はかがみの後を着いて行く。
立ち寄った公園にはいくつか小さい街頭があるだけで人は一人もいなかった。
「これ…あんたにあげる」「は、はぃ?」
いきなりかがみから上擦った声が出たのと同時に、何か赤いものを押し付けられた。掌に乗せてよく眺めてみる。
これは所謂…バレンタインチョコだ。ま、まさか本当に貰えるなんて…。
「こ、これは…」
「勘違いしないでよ!ぎ、義理よ!義理チョコなんだからね!!」
「義理…チョコ………」
「そうよ義理……あっ………」
私がチョコを貰えた感動とそれが義理チョコだと聞いて複雑な心境になっていた時、かがみの鞄の中から何かが落ちた。
「あれ、それは?」
「え!?こ、これは……もう一つ…良さそうなのがあったから。一応、予備にって思って………」
かがみは急いで落ちた物を拾い上げ、鞄に押し込む。どうやらそれもバレンタインのチョコだったみたい。
「予備?私への…?」
「そ、そうよ!あんたは…チョコの好き嫌いがありそうだから。ね、念の為に………」
「念の為?」
…かがみの話、何だか胡散臭い。それに違和感を感じる。少なくとも私が普通のチョコ好きなのは、毎日のお昼ご飯から分かるハズだよね?それなら予備なんか用意するより、普通のチョコを買って来た方が早くない?
それに、あっちのチョコ…チラッと見えたけど、青っぽい包装紙に、薄い紫のリボンが巻かれたチョコ。とてもじゃないけどバレンタインには似合わない色合いだった。コンビニで売ってるバレンタインチョコに…あんな変な配色包装がされたチョコ、あったっけ?
…良く考えてみれば青と紫って、何か見覚えのあるような…。
57:決戦はバレンタイン!当日編(6/9)
08/02/14 23:37:25 uEeSloxG
………待てよ?
ふと、つかさのメールの内容が頭をよぎった。
義理の中の本命見付ける。私とかがみの中にある。
用意された二つのチョコ。青と紫のおかしな包装。
「そういうことか…」
「…どうしたのよ?」
つかさの伝えたかったことが、なんとなく分かった。うん…本命は私とかがみの中にある。
「かがみ、私…いらない」「え?」
そう言って、やけに赤い包装が目立つ箱をかがみの手の中に返した。突然の私の拒絶に、かがみの表情は一気に曇る。
「…そ、そっか!別に私から貰っても、嬉しくとも何とも無いわよねっ!」
「違うよ、かがみ」
「…え?」
「こっちのチョコはいらないの。…私はそっちのチョコが欲しい」
そう言ってかがみの手にある赤いチョコと、鞄から少しはみ出た青いチョコを交互に指差す。
「こ、これ…?」
「うん、それだよ」
かがみは私からの予想外の言葉に焦り始めていた。
けど私は、逆にこの反応を見て確信を持った。
「で、でもこれは…」
「私に渡す為の…予備の義理チョコなんでしょ?なら別にどっちを貰ってもいいよね?」
ちょっと意地悪なやり方かもしれない。だけど、折角のかがみの努力…無駄にするなんて絶対嫌だもん。
「うぅ…でも………」
「私はさ、義理でも何でも良いんだ」
でも本当は…ちょっとだけ本命チョコを期待してる。
「…」
「ただ…かがみからの気持ちが欲しい」
本命という最高の形を、かがみに貰いたい。
「…っ」
「かがみ…」
かがみは私の熱弁に観念したのか、鞄に入った方のチョコを怖ず怖ずと前に出してくる。
受け取ろうと手を前に出した瞬間、かがみは口を開いた。
58:決戦はバレンタイン!当日編(7/9)
08/02/14 23:38:47 uEeSloxG
「こ、こなた…っ!このチョコ…ね………」
「ん、どうしたの?」
「その……わ、私が………作った、の」
「…そうなの?」
やっぱりか…。何と無く分かってはいたけど、改めてみると凄く嬉しい。でも私は、敢えて何も知らなかった素振りを続ける。
「で、でもとても見せられるような出来じゃなくて…や、やっぱり………」
「私に…作ってくれたんでしょ?」
「そ、そうだけど…」
「ならありがたく貰うしかないじゃん!」
かがみの不安に震えた手をそっと握り、そのまま自然な形でチョコを受け取る。かがみは複雑な表情を浮かべていたけど、私はそれに最高の笑顔で返した。
「………」
「かがみんお手製かー」
箱を裏返したりしながらじっくり眺める。
私とかがみを象徴する色合いが、今はやけに愛おしく見えた。
「………こなた」
「どしたの、かがみん?」「それ………本命だから…」
急な言葉を聞いて、顔の温度が2度くらい上がったような気がする。
あはは、私らしくないな。そ、そりゃあ手作りならほぼ高確率で本命だよね。私ってば馬鹿だね、全く。
そんなことを考えながらかがみを見ると、あっちはもっと順調に顔面温暖化が進んでるみたいだった。
「…好きなの、こなた」
「うん…」
「うん、って…?」
「私も…かがみのこと好きだよ」
私は二人の間にある距離を縮めていく。自然と顔の熱は引いていて、かがみだけが真っ赤なままだった。
やっぱりかがみは照れ屋な嫁だね。
「こなたぁ…」
「大好きだよ、かがみ」
夕日が沈みそうな寒空の中、私達はチョコよりも甘くとろけるキスをした。
59:決戦はバレンタイン!当日編(8/9)
08/02/14 23:40:06 uEeSloxG
甘い一時を終えた私達は、少し落ち着くためベンチに腰をかけていた。
「何で最初からこっちを渡してくれなかったの?」
「だって…見た目は悪いし、味も分からないし、こんなチョコ渡す勇気が無かったのよ」
「つまり…かがみは勇者になれなかったワケか」
つかさの言ってた勇者の話はこれのことか。
かがみが最初からこのチョコを渡していたなら勇者。違ったなら私にこのチョコを見付けろってことだった。
でも良く考えてみたら…かがみがドジだったからたまたま二つのチョコの存在が私にバレたけど、普通は見付けるとかほぼ不可能だよね…?
「ねぇ…勇者って何のこと?またネトゲの話?」
「指令官殿のお話だよ」
「はぁ…?」
まぁいいよ、結果オーライだったから。
「よし!折角だから二人でチョコ食べよっか」
「え?私にもくれるの!」「ダメだよー。これはかがみが私の為に作ったんだから私が大事に食べるの!かがみは赤い包装のやつ!」「あ…そ、そうね」
かがみってば、また顔が赤くなってる。いちいち反応が可愛すぎるよ…全く。
そんなことを考えながら、私は自分のチョコの包装を解いていく。うん、お店で売ってても可笑しくないような包装の仕方だと思う。包装の下から洒落た箱が現れたので蓋を外すと…この世で一つしかない、かがみが私の為に作ってくれたチョコが並んでいた。
雰囲気からして…生チョコかな?ちょっと斜めった感じがあるけど、それすら何かしら素敵な演出にしか見えない。
ああ、本当に頑張って作ってくれたんだ。
感動に浸りながらチョコを口へ運ぼうとしたその時…
60:決戦はバレンタイン!当日編(9/9)
08/02/14 23:41:22 uEeSloxG
「…なんじゃこりゃぁ!!」「ふぇぇぇ!?ど、どしたの…かがみん?」
「どうしてこれが………私のがこの中に入ってるのよー!!?!」
かがみが突然、意味不明な奇声を発した。
自分のチョコの箱を、瞳孔が開ききった目で見ながら、肩で息をしている…。
な、何か怖いよ…かがみ。
「まさか…つかさ!?もしかしてあいつ、昨日の晩に………」
「か、かがみ?大丈夫…」
指令官殿、あなたは一体どこまで伏線を張っているんですか?かがみが獣化しつつある今、もう私は何も理解したくありません。
「あのバルサミコ…帰ったら覚えてろ………」
その最後の一言を…私は多分忘れない。
ハッピーバレンタイン…かがみ。
そしてさようなら…つかさ指令官。
――。
「ガトーショコラがうにょーん………」
「つかささん、どうかしました?ガトーショコラはうにょーん出来ませんよ?」「うーん。こなちゃん達が上手くやってるか気になって…」
「何か不安なことがあるんですか?」
「私のおまじないが、効いてるかなぁって…」
「おまじない…ですか?」「うん。こなちゃんがね、本命を見付けるおまじない…」
「…本命を見付ける?」
「実はね、かくかくしかじかで………」
――。
「ああ、そういうことでしたか」
「ゆきちゃんはどう思う?」
「それならば大丈夫ですよ。必ず…上手くいきます」「こういうのは…備えあれば憂い無しって言うんだよね?」
「はい、そうですね。…こなたさんに与えられた指令は、本命の中から本命を探すことなんですから」
「そうだねー。あ、ゆきちゃん……私のガトーショコラだけど、美味しくできてる?」
「はい、とても美味しいですよ。つかささんのお気持ちが心に響いてきます」
「えへへ、嬉しいなぁ。」「うふふ…」
「今日はハッピーバレンタインだね、ゆきちゃん!」「そうですね、つかささん」
―Happy Valentine for you!―
61:8-616
08/02/14 23:44:01 uEeSloxG
以上です。
バレンタインギリギリの時間にスレジャックしてしまい、更に10-45さん…本当に申し訳ありませんでした。
前作で誤字があったので、今回はしっかり確認したつもりですが…もし何かあればスルーしておいて下さい。
あと、レスの最初にスペースがあることを質問されていましたが、あれは規制対策ではなく、単なる私の癖ですw
いつも携帯からなので…もしもパソコンからは読みにくくなっているなら申し訳ないです。
62:11-228
08/02/14 23:57:05 h+crw2UG
コ・・コテ貰ってたなんて知らなかったんだぜ
と言う訳で「ヴぁ」レンタイン投下なんだってヴぁー
URLリンク(blog26.fc2.com)
>>61
gjです!
つうかつかさは何時からみゆきさんに兵法を習ってたのか気になるw
63:10-45
08/02/14 23:58:22 Evc5Pvta
8-616さん
ナイスつかさ!ですねw
つかさの言葉をヒントにかがみの本命にこなたが気づけてよかったですw
かがみも二週間の苦労が報われてよかった!
見事な3部作、GJでした!
自分のほうは、とある理由で本スレの投稿すべきか悩んでいたんで、
丁度8-616さんが来てくださったことにより、避難所にいく決心が出来たんで、むしろ感謝ですw
64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 00:21:39 0Zi0CB5W
>>61 GJ!やっぱかがみはちょっと弱気なのがいいね!
>>62 あ、甘え・・・。ウラヤマシス・・・
>>63 こちらもGJ!ついついこのシリーズの1~6も読み返してしまった。面白かったです!
65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 00:29:01 X7hf0d2d
>>49で、避難所に投下された10-45氏の作品はこちらです
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
66:6-774
08/02/15 00:34:03 heFwVXVp
バレンタインデー祭りの日に規制とは、何たる過ち……
さてはて、職人の皆様、一括で申し訳御座いませんがGJ!!
私も一作、愚考してまいりました。
皆様の御眼鏡に適いますかは、甚だ不安ですが。
愚考した拙作。以前書かせていただいた1月○日シリーズ(仮)の外伝部になります。
実際、続きとしては案が幾つかあるだけで、まだ書いてはおりませんが。
外伝が書けただけでも、一杯一杯です。
タイトルはバレンタインデーに合わせて 2月14日。
投下よろしいかはちょっと自信がありません。故に一時ほどまで様子を見たいと思います。
67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 00:35:27 X7hf0d2d
保管庫のお絵描き掲示板もぜひご覧頂きますよう。
68:6-774
08/02/15 01:07:30 heFwVXVp
さて、予告した刻限、一時を過ぎました所で、少々乗り遅れた感がありますが、拙作を晒したいと思います。
タイトルは先程申し上げたとおり 2月14日
1月○日シリーズの外伝になります。
この日に到達するまであれやこれやあったのですが、それはまた別シリーズとして開始できたらな、と思います。
では、レス計算が得意ではないので何レス消費かは分かりませんが、お付き合いください。
69:6-774
08/02/15 01:12:32 heFwVXVp
さて、2月14日。所謂バレンタインデーであるが、渡される方は兎も角、渡す側にとっては必死になって準備を行う必要がある。それが本命ならば、なおのこと。
では、互いを想い合う少女達、彼女達がそれぞれの為に必死になってチョコを作る様を2月13日に遡って見てみたいと思う。
2月13日、時刻は昼頃。高校三年生は既に家庭学習期間に入っており、学校に行く必要が無いため割と気楽な時期ではないだろうか。進路が決まっていない場合はそうでもないが。
さて、進路が決まっているかどうかは兎も角、この物語の主人公である四人組も翌日に控えたスーパーイベントの為に入念なる準備を行っていた。
しかし今、4人組と言っても一人足りないのだが……
「みゆきさん、遅いね~」
そう言ったのは泉こなた。いつもの様に人の字を書く猫口をしながら、今日はエプロン装備。お菓子作りの準備は万全。
「そうね、みゆきが遅いなんて珍しいわね」
答えたのは柊かがみ。こなたと同じくエプロン装備。そして、さり気なくこなたの隣に立ち、或いは傍目にはその肩を抱いているようにも見える。本人に自覚なし。
(ゆきちゃん、大丈夫かな……?)
口に出さず心の中で呟くのは柊つかさ。エプロン装備は、言うまでも無いだろう。
さて、ここいらで少し話しておかなくてはならないことがある。こなたとかがみは両想いである。友人、では無く、恋、の方で。
ただし、あまりにも近く居すぎる為に本人達はそのことに気が付いていなかった。
なので未だ現れていない登場人物、高良みゆきが色々手を回して、恋心を自覚させるまでには至ったのだが、何の因果か、相思相愛であることには気が付かない、と言う鈍感振り。
仕方が無いので、みゆきは事情を周りに話して、告白イベント、両想いであることに気が付かせる、そのための詰め将棋を今行っている、と言うわけだ。
このバレンタインも勿論その一つで、事情を承知しているつかさは、上手くいくかどうか、まぁ、割と心配している。
と、その時だ。
「遅れてすみません。材料の買出しに手間取ってしまったので。私のせいで始められなかったことを謝ります。それとも、何か奢ったほうがいいでしょうか?」
謝罪を述べながら入ってきたのはみゆき。エプロン装備であることは……面倒だからもう言うまい。
「いやいや、みゆきさんなら可愛いからオールオッケー!」
ビっと親指を立てるこなた。‘可愛いから’の発言にかがみのみゆきを見る目に殺気を帯びたが、本人は自覚なし。気付いたのはみゆきとつかさ。でも余計なことは言わない。
「じゃ、じゃあ、みんな揃ったし、とにかく始めようよ」
空気を変える為に、つかさが提案。ことお菓子作りに関しては彼女の右に出る対抗馬はここにはいない。故に首を横に振るものは誰もいない。
さて、チョコレート作りの始まりなわけだが、
「ちょっと……素材用チョコの量多くない?」
と、かがみ。
「そうでしょうか?これでも考えて買ってきたのですが……」
みゆき。多いのは承知のうえ。考えてきたのは別のこと。今は言わずとも後で分かるだろう。
「ま、必要な分だけ使って、後は普通に食べちゃおうよ」
こなた。実に彼女らしい提案。だが、
「ま、まって!余った分のチョコは私に頂戴!後で使うから」
慌てるつかさ。その言葉に反応するのは姉であるかがみ。
「え~、もしかして本命?」
違うよぉ、と首を振るつかさを尻目に、余った分はつかさに渡す、と言うことで決着が付いた。
70:6-774
08/02/15 01:13:42 heFwVXVp
ところで、チョコレート作りの工程をご存知の方はいるだろうか?
自分が欲しい、決まった形にするためにはまず溶かす必要が当然、ある。
故に、
「あ、かがみんや、鼻にチョコが付いてるぞ♪」
「え、嘘っ!」
「ちょっと待ってて、取るから」
跳ねたチョコが誰かにくっついて、それを意中の人が取ってあげる。なんて定番なイベントか。
取ったほうも、取られたほうも想い合っているのだから、顔が紅くなるのもやむなし。で、互いに
(こなたは―)(かがみは―)
((私の事、どう想ってるのかな……))
なんて考えてるのだから、ちょっと呆れたものだ。いい加減気付きなさい。
さて、実はチョコ作りの工程、よくは知らないので省いてしまうのだが、とにかく後は型に嵌めるまで、と言う状態。
さてはて、バレンタインチョコ。形といえば当然、
「ハート型でしょ!フラグ立てるには必須だね!!」
グッと拳を握るこなた。そんなこなたを愛しそうに眺めながら、あることに気が付く、かがみ。
「ところでこれ、私達の間で渡しあうものよね?フラグって……あんたもしかして私達の中に好きな人がいるとか?」
期待半、不安半の問い。
聞いてるみゆつかは背筋が凍る思いがした。こなた流に言えば、ここで選択肢をミスったらバッドエンド一直線。
こなたは、問いを発したかがみを見、次いで自分のステータス、貧乳に手を当て考えること凡そ30秒。
「女同士……だよ?」
ヤバイ、本気で思うみゆき。
「そ、そうよね……」
落胆の仕方がいつもと違う、気が付くつかさ。
「でも……ありなら……」
ボソっと呟いたこなた。おや?
「私は、かがみが好き!」
言った!ついに言った!聞いたかがみも顔を真っ赤にしている。
だが、人生そんなに甘くない。と、言うか2人が鈍感すぎる。
「そ、そうよね。私も、こなたが好きよ……親友だもんね」
「う、うん、そう、親友だもんね~」
ここで身も蓋もないことを言えば、こなたはかがみをノンケだと思っている。かがみもこなたをノンケだと思っている。
故に、今の告白。好き、の度合いをずれた方向に解釈してしまうのだ。なんと言うヘタレ。でも、親友、と言うニュアンスに悲哀が込められている分、悲しいすれ違い。
一瞬でもお2人がくっついたと思った私の時間を返してください、とみゆきは口にも表情にも出さないが、思った。
「つかささん……この詰め将棋、かなり難易度が高そうです」
「う、うん……2人ともどんだけぇ~」
で、まぁ、なんやかんやあったわけだが、ついにチョコは完成。
完成は今日でも渡すのは明日。
「で、この残ったチョコはどうするのよ?」
「えへへ~、内緒だよ♪」
妙に楽しそうなつかさを訝りながらも、かがみは、こなたと一緒にアニメ○トに買い物に行く。
かがみと一緒ならポイント溜まるしねぇ~、と本当は一緒に居たいだけなのに強がるこなた。本心に気が付かないかがみ。前 途 多 難。
「さて、つかささん。明日のメインイベントの為の準備を始めましょうか」
「うんっ!」
頷きあう、みゆつか。さてはてメインイベントとは?
71:6-774
08/02/15 01:15:00 heFwVXVp
さて、2月14日。
「渡しあい~」
昨日作られたチョコがみんなに配分される。ハート型。
「かがみん、私のハ~トを、た・べ・て」
「……本気にしちゃうわよ」
「え、何か言った?」
「な、何でもないわよ!」
と、ヘタレ2人組は、婦婦漫才。
そこへ、
「お姉ちゃん、こなちゃん、見てこれ」
「「うおぉぅ!」」
声が揃う、パーフェクトハーモニー・完全調和。だが、やむなし、つかさが持ってきたモノは全長2メートルはあろうかという巨大チョコ。
「昨日の余りで作ったんだよ」
正確には、わざと余らせて作ったんだよ。多目にみゆきが買ってきた理由は、これ。
「あまりに大きすぎますので、切らないと食べられませんね」
微苦笑する、振りをするみゆき。
「すみませんが、泉さん、かがみさんで切っていただけませんか?」
「えっ、私達で?」
「はい」
反論する暇を与えるほど、この作戦はチョコほど甘くは無い。ささっと二人の手に結婚式場で見かける、
「入刀の儀用の包丁です」
を、握らせる。
それが意味する所、流石に鈍感なこなかがでも分かるようだ。今2月、でも室内温度は7月位?
「さぁ、遠慮なさらずにどうぞ」
「チョコ、入刀~♪」
「ど、どうする、こなた?」
「う~ん、ここでやらないと、空気嫁って言うね。私なら」
「じゃあ……」
「やろうよ、かがみ」
「うん……」
「それに、最初がかがみとだと―」「最初がこなたとだと―」
「「嬉しいからね!」」
こうして、恙無くバレンタインは終わった。だが、みゆつか、そしてこなかがを応援する機関の戦いは終わらない。いつか本当の気持ちに互いが気が付くまで、応援しよう、どこまでも!
72:6-774
08/02/15 01:22:20 heFwVXVp
以上です。3レス失礼しました。お付き合いくださいまして、ありがとう御座います。
長々と規制に引っ掛っていた為、中々顔を出すことが出来ず、申し訳ありませんでした。
それでも、職人さんたちのこなかがへの熱い想いはしかとこの胸に刻んでおきましたよ。
さて、今回。外伝と言うことで、1月から2月へ飛んでいます。その間なんやかんやあって、こなかがを応援する団体、みたいなものが出来たのでしょう。
つかささんですら、既にみゆきさんの策謀、その片棒を掴むまでになっております。
そもそも、こなかががこの話では鈍感すぎるだけなのですが……
まぁ、最近はこういった鈍感な2人だからこそ、見ていて歯痒く、構いたくなるのでは、と思うようになりました。
故に、鈍感です。ヘタレと呼ばないでやってください。
今回、完全に第3者視点です。如何だったでしょう?
もし、御好評いただければ、正伝としての続きもこの形式を取りたいと思いますが……
さて、この話の中でこなかががくっつくのは何時になることやら……私も判断付きませんね。
73:9-310
08/02/15 01:51:14 5dpB0GHt
>>16
甘く切ない話しながら、ハッピーエンドという個人的には斬新な終わり方が良かったです。
チョコを渡すシーンでも感情の揺れ方なども、参考になりました^^
>>24
本当にGJです!絵の才能がない私としては、羨ましい限りです。
原作に近い雰囲気の漫画で、実際に放映されてほしいですね。
寒い冬も、この二人の前では暑くなるための演出ですねw
>>33
いつもニヤニヤしながら読ませてもらってます!
かがみが!…これは…今後の展開が楽しみですねw
さりげにハート付きで喜んでるこなたによって、妄想が止まりませんw
>>49
みゆきの予想外の一言で、うろたえるこなたGJです!これは策士なのかw
甘~いお話をありがとうございました。美味しく読ませていただきました~。
>>61
つかさの立場が美味しすぎるw
笑いやユーモアのセンスが羨ましいぐらい、とても楽しいお話でした。
甘いお話の中にも、つかさ独特のワールドが展開されているのがGJです。
つかさらしさを崩さず、策士化しているのが尊敬に値します。バルサミコには吹きましたw
>>72
おぉ、このシリーズ大好きですw
策士みゆき&副策士つかさですか~、今後も楽しみにしています!
そしてどこまでも鈍感なこなかがですねw
お互いに恋に気付いた時の反動も凄そうです。今までの行動全てを思い返して…w
えーと、もう結構前になるのですが、『かがみ開きすぎっ!』を最後に投稿が途絶えてました。
色々と忙しかったのもあるのですが、1作品用意したので投稿してもよろしいでしょうか?
ちょっとスランプで、ミスなどがあるかもしれませんが…。
74:9-310
08/02/15 02:34:08 5dpB0GHt
一応、前の方が投稿してから1時間いれたのでこれから投下したいと思います。
題名は『メルトダウン』で、『かがみ開きすぎっ!』の続きです。
10レス前後使う予定です。
バレンタイン祭り参加作品です(一日遅れましたが…
75:『メルトダウン』 1
08/02/15 02:35:34 5dpB0GHt
「やっほ~、つかさにかがみん♪」
「こなちゃん、いらっしゃい。」
「おーっす、こなた。」
「かがみの太る時期の到来だね~」
「って、おい、なんだと!?」
雪もそろそろ限界を迎え始め、溶ける物が他にもたくさん出てくる時期である。
今日はまさしくその当日であるが、私の場合は受験で脳まで溶けそうな勢いだった。
そう、大学入試が数日後に差し迫った数日前なのである。
『メルトダウン』
「いやぁ、チョコレートの季節だからね。かがみは注意しないt…いはいいはい!」
「余計な事を言うからよ。」
「かがひ、いはいっへは!」
「お、お姉ちゃん、そろそろ放してあげたら?」
そういわれてようやくこなたの頬を放す。この感触が良くて放したくなくなるのよねぇ。
「かがみ…もう少し手加減してよ…。私だってデリケートなんだからサ。」
「なーにがデリケートよ、化粧とかあんまりしてないくせに。」
「そりゃ、いつもはしてないけど、たまにはしてるんだよ?」
「じゃあ例えば、いつしてたのよ?」
「ん~、入学式とか写真撮る時とか?あと、かがみとのデート前は欠かさずしてるね♪」
不意打ちに顔が熱くなる。でも、付き合い始めて数ヶ月も経つ。さすがに慣れてきた。
「へ、へぇ、あんたしてたんだ。全然気付かなかったわ。」
「ひどっ!せっかく時間かけてるのに…。」
「仕方ないでしょ、あんたと行くような場所じゃ気付きにくいわよ。」
私の反応がいたって普通だったのに対してか、今まで気づいてなかった事に対してか、
どことなくがっかりしてるようだったが、後者の場合は仕方がないと思う。
行くところはゲマズやアニメイト、良くて映画かお互いの家だし、最近は受験でそれらすらいけない。
それでも気付くべきかもしれないが、相手の顔が良く見れる場所じゃないと気付けないと思う。
正直ムードのあるデートなんぞ行った事がないし、こっちから計画しない限りないだろう。
前に一度計画したものの、雨で計画崩れして、その後は受験で忙しくて実行できてない。
今日は受験を控えた直前かつ、最終となる息抜きである。
「結構大変なんだよ?このさらさら感を保つのって。」
「そうだよねぇ、それだけ長いと大変そう…。お姉ちゃんも結構苦労してるよねー。」
「…さらさらって、髪かい!」
「うん、そだヨ。かなり大変なんだよねぇ。最近はゆーちゃんにも手伝ったりしてもらったり…」
「ほっぺた関係ないじゃないのよ!」
「ばれた?でも、ちゃんと手入れはしてるよ~。化粧はしてないけどね。」
「手入れぐらいなら誰だってやるわよ、まったく。」
「でも、あんなに長くやんなくたっていいじゃん。いくら受験でストレス貯まるからってさぁ…」
「やつあたりじゃないわよ!ただ、あんたの…!!な、なんでもない…」
思わず、柔らかくて気持ちいいからやりすぎたって言いそうになってしまった。
素直に言ってしまえばいいと思う人もいるだろうが、弄られると分かって言うのは特定の人しかいない。
そして私は弄られるのは嫌いではないが、だからと言って自分から志願する気は毛頭ない。
76:『メルトダウン』 2
08/02/15 02:36:12 5dpB0GHt
「ん~~?なにかなぁ、かがみん。気にせずデレてごらん♪」
「言えるかぁ!そして、デレとか言うな!」
「いいじゃん、減るもんでもないし~。それにこれじゃあ、私が理不尽な怒りを食らったみたいだし。」
「だから、違うって言ってるでしょ!た、ただ…柔らかったから…つい…。」
それでも言ってしまうのは私の心の弱さか…決して弄られるのを望んでるわけじゃないからね!
「確かにこなちゃんのほっぺたって柔らかそうだね~。」
「素直に言えばいいのに~。むふふっ、照れたり怒ったり、相変わらずかがみは可愛いねぇ。」
「だぁー!人前で恥ずかしいこと言うなー!!」
「お姉ちゃん、お、落ち着いて!」
しばらく弄り倒された上に、つかさの天然発言も重なって、私は抵抗できないままだった。
お決まりのパターン、結局いつもこうなるのよね…だ、誰も嫌だなんて言ってないわよ?
ただ、こう男女で言う尻に敷かれる感じかしら…怒られたわけじゃないんだけど、敵わないのよね。
たまに勝てても、すぐに切り返されて結局弄られるのは私になるから、完全勝利したことないし…。
どうにかして完全勝利、つまりこなたが弄られっぱなしになる方法を考えていると、
「かがみんや、本来の目的を忘れていないかい?」
「本来の目的?」
言われなくても分かってる。でも、ここであることにピンと来た。
「私がなんのために今日ここに来たのか分かってない?」
「受験前の最後の息抜きよね?」
「そうだけど、そうじゃなくて!…かがみ、わざとやってる?」
「冗談よ、バレンタインでしょ?わざわざ言わなくても分かるわよ。」
「んじゃあ、はい。」
こなたはおねだりの顔をしながらこっちを見て、手を出している。明らかに催促してる体勢だ。
あちらからチョコを差し出してくるかと思ったが、これはかえって好都合だ。
「あー、ごめん。今年は受験で忙しいから作ってないんだわ。受験後でいいなら作るけど?」
「え、だっt(むぐっ)」
一度制止して、つかさにしばらく黙っているか、話をあわせるように言って、解放する。
つかさは素直すぎるから、あらかじめ止めておかないと何から何まで話す危険があるからね。
「ねぇ、つかさ、何を言おうとしたの?」
「ふえっ?そ、それはお姉ちゃんが…。」
「あんたが作ってくれるかなって少し期待してたのよ。
でも、少し考えればこなたも私達と同じで、忙しいのにね。ただそれだけよ。」
「えーっ!それじゃあ、今年は私チョコ0個じゃん!そりゃないよー…。」
よっぽど私からのチョコを期待してたのか、心からがっかりしたようだ。
顔だけじゃなくて、体全体から気が抜けたようになってる。青菜に塩とはこの状態を指すのね。
「ゆたかちゃんとか、バイト先からもらえるんじゃないの?」
「ゆーちゃんはみなみちゃんので手一杯だったし、バイトは受験で行ってないからもらえないよ…。」
「ご、ごめんね、こなちゃん。私も実は料理学校のことで忙しくて何もしてないんだ…。」
「私達だって貰ってないんだし、お互い様よ。今年ぐらい諦めたっていいじゃ…?。」
こなたが持っていたカバンから出してきたのは二つのチョコレート。
片方はハート型の箱でリボンに結ばれ、もう一つは袋に包んであって、同じようにリボンで結ばれてる。
「これ…かがみに。こっちはつかさに。」
「あんた、この時期に手作りしたの?」
「だ、だって、かがみと…付き合ってからの初めての…バレンタインだから…。」
こなたは俯きながら、恥ずかしそうに私達にそれを渡し、私とつかさはそれを受け取る。
77:『メルトダウン』 3
08/02/15 02:36:44 5dpB0GHt
照れて恥ずかしそうな、普段とあまりにも違う雰囲気のこなた。
何回か見たことのある状態だけど、それはいつも私がちょっとした意地悪をした時ばかりだ。
こなたは、相手からの反応があってからこそ、それを盾に相手を茶化すことが出来る。
自分だけが何かをした時は、それをおおっぴらにするのが恥ずかしいタイプなのだ(多分)。
もちろん、その都度、相手となる対象の輪を大きくしたり、小さくしているため、
オタクという輪にしたり、家族内の輪にしたりしているため、普段は恥ずかしがらない。
でも、今回は私達3人の中で、極端に言えば私とこなただけでの輪だったのだろう。
ただ、私だけであれば、恥ずかしがることなくがっかりしただけだった。
しかし、料理好きのつかさですら作ってないと聞いたら、自分だけという意識の上に、
私が作れなかったのも仕方が無いという考えから、恥ずかしいという感情が成り立つのだろう。
もちろん、これも作戦のうちである。ちょっと可哀相ではあるけど、いつものお返しだし、いいわよね?
「(お姉ちゃん、凄いね。本当に言った通りの反応だよ~。でも、可哀相かも…)」
「(そうね、これ以上はやりすぎになるわね。そろそろあれを出すか…)」
そうつかさに耳打ちして、私はベッドの下から『それ』を取り出す。
「ほら、こなた。私からのチョコ、しっかり受け取りなさい。」
「ふえっ?だ、だって、さっき…」
さっきの表情から一転、目を丸くして私のことを見てくる。
「う・そ・よ。ちゃんと作ったわよ、昨日の夜にね。」
「…っ!もう、かがみの意地悪!本当にもらえないかと思って、私すごくショックだったんだから!」
「ふふ、いつものお返しよ、たまにはいいでしょ?あんたに負けっぱなしじゃ、つまらないもんね♪」
「ぶーっ、私は弄るだけなのに、かがみはいつも意地悪だ!」
「し、仕方ないでしょ。人を弄ることにおいては、あんたに敵う人なんていないじゃないのよ。」
おもいっきり頬を膨らませて講義してくるこなたは、どうみても可愛らしい子供だ。
でも、そんなことを考えている暇も僅かしか与えられなかった。
「…まぁ、いっか。かがみの愛をちゃんともらえたし、満足、満足♪」
「それにお姉ちゃんが意地悪するのは、こなちゃんがお姉ちゃんを弄るのと同じで、愛情の裏返しだよ♪」
「つ、つかさっ!」
「そんなのは分かりきったことだよ、つかさ。ただこうしないと、かがみが不満だからさぁ。」
「あんたもさっきまで思いっきりしおれてたのに、何を言うか!」
「私はちゃんとかがみが作ってくれたって信じてたヨ?だから、いつくれるか待ってたのさ。」
絶対嘘に決まってる。チョコを出した時の顔の表情や、あの後の反応は絶対素のはずよ。
でも、そんなことを冷静に言える状態じゃなく、つい大声になってしまう。
「う、う、嘘だっ!だって、さっき思いっきり驚いてたじゃない!」
「確かに、こなちゃん凄いびっくりした顔だったよ?」
「いやぁ、私って演技派だよねぇ~。残念ながら、かがみがやることはお見通しだよ♪
…それにしても、会話に自然とアニメネタが入るあたり、かがみもずいぶんオタクっぽく…。」
「うぐぅ…」
「ほら、その台詞もね♪」
「今のは素だ!ってか、私はオタクじゃない!」
「じゃあ、あれだね、きっと。オタクの才能!」
「わぁ、お姉ちゃん才能あるんだって!良かったね♪」
「そんな才能嬉しくない!というか、私は認めないわよ!!」
(くっ、結局弄られるのは私だけじゃない!私が甘いのか、こなたが上手いのか…きっと両方ね。)
☆★☆
78:『メルトダウン』 4
08/02/15 02:37:22 5dpB0GHt
「それじゃあ、そろそろチョコを開けましょー!」
「おぉーっ!(おー…)」
その後、二重の攻撃にあった私は、ほとんど何も言う元気もなかった。
そもそも、受験勉強の息抜きなのに、なんでこんなに疲れてるかしら…。
「ほら、かがみが先に開けてよ。」
「う、うん。」
「あ、それじゃあ私は牛乳取って来るね~。」
つかさはそういって、そそくさと出て行ってしまった。
空気を読んだのか、それとも居辛かったのか。どっちでもいいけど、ありがたい。
改めて箱を手に取り、丁寧にリボンを緩ませ、箱を開けるとそこには「かがみは私の嫁!」と書いてある。
一体全体、こいつはどうしてこう恥ずかしいことを堂々と出来るのかが不思議だ。
こなたでも恥ずかしいと思うことはあっても、さっきの理論を含めてもその範囲がやたら狭い気がする。
「あ、あんたねぇ…。」
「かがみは私の嫁じゃ不満?」
「そうじゃなくて、少しはムードとかさぁ…まぁ、あんたらしいっちゃ、あんたらしいけどね。」
「でも、かなり気合入れたから味は保証するヨ。あ、もちろん愛も入れたけどネ♪」
「恥ずかしい台詞禁止っ!…でも、忙しいのに作ってくれてありがと。」
「なになに、かがみのためならお安いご用だヨ!それじゃあ、私もかがみのを~。」
すぐさまこなたは私があげた箱を開け始めた。
一応、昨晩数時間かけて作ったものだし、それなりに自信はあるけど、ドキドキの瞬間だ。
「どれどれ~、かがみが作ってくれたチョコの出来栄えは、っと!おぉ、ちゃんと出来てる!」
「ちょ、なによそれ!褒められても、嬉しくないんだけど?」
「いやいや、美味しそうだよ、かがみん♪それにしても、〈I Love You Konata〉って、ベタだね~。」
「べ、ベタで悪かったわね!」
「でも、ちゃんとかがみの愛は受け取ったよ~♪額縁にでもいれよっかなー。」
「入れんな!ちゃんと食べなさいよ、人が苦労して作ったんだから。」
「冗談だよ、かがみ~。それじゃあ、一口もらうとしま…って、ん?何かまだ箱に入ってる。」
こなたの言うとおり、ハートの箱の底にはカードが一枚張り付いていた。って、え?!そ、それは…!
止める間もなくこなたはそれを手に取り、読み始める。
「ま、待ってこなた、それは!!」
途端にこなたの顔が真っ赤になり、釣られて私の顔も朱に染まる。
「〈こなたへ これから一生、私と一緒に居てください。これが私の気持ちです。 かがみより〉
…かがみ、これってプロポーズ…?」
「あ、いや、ち、違うの!それは、そ、その…」
このカードが何故ここにあったのかという焦りと、おまけにそれを読まれた恥ずかしさで私は気が気でない。
おまけにこなたは真剣な顔でこっちを見てくるし、私は半パニック状態に陥っている。
79:『メルトダウン』 5
08/02/15 02:37:55 5dpB0GHt
少しの間が空いて、不思議そうな顔になり始めたこなたを見て、何かを言わなければならないと思うも、
それでも私は混乱から抜けられず、紡ぎだせる言葉は本当のことしかなかった。
「き、気持ちが通じ合ってるならチョコだけじゃ足りないかと思って、カードを書こうと思ったのよ…。
何を書いたらいいのか分からなくて、つかさに素直な気持ちでって言われたんだけど、書いてみたの…。
でも、は、恥ずかしくて渡せたもんじゃないから、捨てたはずだったのに…何故かそこに入ったの!!」
半分やけになりながら一気にまくし立てて、私はすぐに俯いてしまった。
本当のことだし、今更なことだけど、これはそのまま読んだら本当にプロポーズだ。
でも、私の複雑な気持ちは全てこなたによって消えうせた。
「ぷふっ、相変わらずかがみって素直じゃないね~。」
「だ、だからそれが素直な気持ちよ!」
「違うよかがみん。私が言ってるのは、そこまで書いてるのに素直に渡そうとしなかってことだよ~。
それに、こんな分かりきってることを書かなくても、私は前からそのつもりだったんだけど?」
その言葉に、私の全ての脳細胞が感極まったけど、それと同時にオーバーヒートしそうだった。
(えぇ?!これはどういう展開?プロポーズとして受けられたことを、Okされたってこと?!
別にプロポーズのつもりなかったんだけど…。い、いや、私も前からずっとそのつもりだったけど、
でも、そうじゃなかったというか、まだそこまで考えてなかったけど…えーと、でもOKされた=結婚?
って、何考えてんだ私!いや、ゆくゆくはそうありたいけど、ってかこの展開はそういうことよね?)
などと、私は暴走と妄想、どちらとも取れることをしていた。
「おーい、かがみんやー、戻ってこーい。」
「…はっ!こ、こなた、何か言った?」
「いんや、まだ何も。でも、そんなに顔を真っ赤にして何を考えてたのかなぁ?」
ここぞとばかしに、ニヤニヤした顔でこなたが擦り寄ってくる。
猫口+ニヤニヤ顔というのは一見ムカつくように思えるが、こいつの場合は反則的に可愛い。
これが見れるから、私はこなたに弄られるこの立場が好k、コホン、嫌じゃないのよ。
「な、なんでもないわよ。…ただ、ちょっと嬉しかっただけよ。」
「おぉ、さっすがかがみん!ツンデレの本領発揮だネ!」
「だから、私はツンデレじゃない!」
「普段は素直じゃないのに、私と二人きりの時はデレてくるんだから、まさしくツンデレだよ~♪」
「素直じゃないのは認めるけど、デレてくるってなんだ!それに、二人きりの時に限らないでしょうが。」
「いやいや、今日だってつかさがいなくなってからじゃないと、素直さのカケラも無かったよ。」
「そ、そんなことなかったわy…」
「はい、かがみ、あ~ん。」
「?!な、何よ突然!」
80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 02:38:15 jKbx7vUI
URLリンク(zenpo-huchui.com)
これ既出?
81:『メルトダウン』 6
08/02/15 02:38:21 5dpB0GHt
何の脈絡もなく、いきなりこなたが自分で作ったチョコを一口サイズに割って、私の口元に運んできた。
…というか、いつの間に私の手から取ったかしら…さっきまで握ってたのに。
「ほら、やってよかがみぃ。それとも口移しがいい?」
「ば、馬鹿言ってんじゃないわよ!」
「んじゃ、はい。あ~ん♪」
「…あ、あ~ん。」
口に入れた瞬間、チョコレートの風味が一杯に広がる。
でも甘すぎず、ほど良い苦味を持った本格チョコの味で、チョコが溶けるのと同時に口もとろけそうだ。
私が今まで食べた中で一番美味しいものだった。もちろんこなたの気持ちが入っているからこそだ。
私の中では世界一、宇宙一のものだけど、味だけで純粋に見ても、市販のとは比べ物にならない。
「私の自信作なんだけど…どうかな?」
「正直、言葉で言い表せないぐらい美味しいわ。ただ甘いだけじゃないし、凄い深い味かも…。
チョコレートでこんなの初めてよ!」
「良かったぁ、愛を込めた甲斐があったヨ!…それに、やっぱりかがみはツンデレだと確認できたし♪」
「ど、どういうことよ?」
「だって、ちゃんとあ~んってしてくれたし。つかさがいたら絶対やってないでしょ?公の前じゃなおさら。」
「うっ…そ、それは…。だぁ、もう!素直に褒めたんだから、あんたも純粋に喜びなさいよ!」
(ったく、こいつは常に私を弄ることしか考えてないんじゃないかしら…不満じゃないけどね。)
「いやぁ、気に入ってもらえて心から嬉しいよ。糖分控え目、味も色々調整したオリジナルだからネ。」
「ちょっと引っかかるわね…でも、ありがとう、こなた。」
「愛しい嫁のためだもん、当たり前だよ。それじゃ、今度はかがみ・を食べる番だね♪」
「わ、私?!」
思わずビクッと擬音が似合うような反応をしてしまい、こなたも何事かとこちらを見てる。
(ええぇ!?!?さ、さっきのOKしたから?!で、でも、いくらなんでも展開が速すぎよ!
バレンタイン効果?知らないわよそんなの!い、嫌じゃないけど…心の準備とか…色々時間がまだ…!)
「かがみどうしたの?この流れからしたらフツーじゃん。そんなに驚かなくてもいいんじゃない?」
「ふ、普通?!あ、いや、ま、まだ心の準備が!!つ、つかさだって戻ってくるかもしれないし!!」
「別に戻ってきたって問題ないじゃん?それとも他の人がいるとやっぱり素直になれないとか?
かがみんもついにツンデレを自覚し始めたのかな、かな?」
「いや、問題大有りでしょ!そ、そんなのつかさに見られたら…」
「…?かがみ、なにか勘違いしてない?チョコを食べようって話をしてるんだヨ?」
「えっ?!あ、ああ、そうよね、なんでもないわ。」
(もしかして、さっきのは聞き間違い?そうだとしら恥ずかしすぎる…こなたの顔がまともに見れないわ…)
「でも、勘違いするような話をしたっけな??確かあの時は…愛しい嫁の…ブツブツ。」
真剣な顔でさっきのフレーズを思い出しているらしい。そ、そんなに真剣にならなくていいから!
むしろ思い出さないで居てくれた方が、私のためだから!私のためを思って、ね?
82:『メルトダウン』 7
08/02/15 02:38:59 5dpB0GHt
「い、いいじゃないのよ、その話はもう。私のチョコを食べる番なんでしょ?」
「…!ああ、そうかぁ~」
再度ニヤニヤ顔になったこなた。あぁ、嫌な予感がするというか、もはや確信かしら。
私の必死かつ切実な願いは通じず、このあとの言葉により無残に散ることとなった。
「な、何よ。」
「さっき私が〈かがみのを食べる番〉ってやつを聞き間違えて、私がかがみを食べると思ったんでしょ?
もう、かがみはエッチなんだから~♪」
「うっ…ち、ちがっ」
「何がどう違うのかなあ?ねぇ?」
「うぅ、うるさい。と、溶けないうちにチョコ食べなさいよ!せっかく作ったんだから。」
「…それも、そだね。んじゃ、かがみよろしく~」
今度は冷静に考えて、どうすればいいかを判断する。これ以上弄られるネタを提供したら、私が持たない。
受験後ならいいかなぁ?なんて悠長に考えている自分も中にはいたが、それはまたいつか脳内会議しよう。
「は、はい、あ~ん…」
「あ~ん♪…パクッ」
「っ?!?!」
「かがみもちょっとだけ食べちゃった♪あはっ」
私が差し出した軽く指をくわえられただけなのだけど、それがいかほどの破壊力を誇るものか分かるでしょ?
(お、お、おおおおお落ち着け、私!ゆ、指を咥えられただけよ!そう、咥えられた…だ…ふおおお!!)
「顔の沸騰具合、過去最大だね~。初々しくて、可愛いなぁ、もう♪」
「…っ!ち、ち、ちち、チョコの味はどうだったのよ!」
「もちろん、最高においしかったよ♪随分腕を上げたんじゃないかな?」
「ほ、本当?」
「クリスマスのやつよりは美味しくなってるよ。ほら…」
私の口に入れてくれるもんだと思って待っていたら、自分の口に入れ…!!
「ん~っ!!(く、口移し?!?!)」
「ありがと、かがみ。来年も期待してるヨ。ご馳走様でした…かがみも美味しかったよ♪」
ボンッ!!…プシュー………。柊かがみ、オーバーヒートにより離脱。
「あちゃー、ちょっとかがみにはまだこのシチュは刺激が強かったかな?」
ドタドタドタ、ガチャッ!
「ごめーん、牛乳なくってコンビニまで買いに行ってたら遅くなっちゃったよ~…お姉ちゃんどうしたの?」
「いやぁ、ちょっと弄りすぎちゃったかなぁ?あははっ。」
「顔真っ赤だよ?熱とかじゃなくって?」
「さすがつかさ、そっちの発想か。いや、そうじゃなくってね、実は…」
「言うなーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
私の声が家中にこだました。
☆★☆
83:『メルトダウン』 8
08/02/15 02:39:40 5dpB0GHt
つかさが戻り、私が復活したところでつかさにもチョコを渡し、つかさも私に用意してくれていた。
といってもつかさは、調理師免許用の専門学校にすでに合格しているから、暇なんだけどね。
こなたとつかさもお互いにチョコレートの交換を終えて、皆で遅めのおやつとなった。
つかさのチョコは相変わらず手が込んでいて、私にもこなたにも大きなハートのものだった。
前にこなたが、義理でも渡したら本命と勘違いされると言っていたけど、それを再認識するわね。
「ふぅ、美味しかった。さすがつかさ、中々やるね。」
「そりゃ、専門学校に通うことになったんだから、当たり前でしょ。腕前は文句なしよ。」
「て、照れるよ、お姉ちゃん…」
「まぁ、普通の受験だったらつかさには辛かったかもネ。」
「な、なに~!」
「否定は出来ないけど、それはちょっと酷いかも…」
「お、お姉ちゃんまで…」
ごめん、つかさ。私でもそれはフォローしづらいわ。こなたも人のことは言えない立場だけどね。って…
「そういえば、あんたはどこ受けるのよ?まさか大学には行かないとか言い出さないでしょうね?」
「うん、行かないよ。」
「ちょ、おまっ!大学行かないでどうするつもりよ!」
思わぬ告白につい大声になってしまう。
大学に行かないって、こいつ本当に自宅警備員、またの名をニートになるつもりなんだろうか?
そう思って、真意を問いただそうと意気込んだところで、
「いやだなぁ、冗談だよ冗談。」
「じ、冗談かぁ、そうだよね~。びっくりしたよ、こなちゃん。」
「はぁ…ビックリさせんじゃないわよ。どうするか真剣に考えちゃったじゃない。」
「なにを言っても私の心配をしてくれるかがみ萌え~♪」
「し、心配ぐらいしたっていいじゃない!それで、結局どこに行くつもりなのよ?」
「う~ん…ひ・み・つ♪ってことで。」
「ぶっ」
こなたの似合わない台詞に思わず吹き出してしまったが、これはこれでこなたらしくないけど、可愛らしい。
でも、今はそこに気を取られてはいけない。私が言えたことじゃないけど。
「秘密って、どういうことよ?隠し事は…」
「大丈夫、ちゃんと教えるからさ。ただ、今はってことだよヨ。3月になったら教えるから。」
「まぁ、合格したらの話になるんでしょうね。」
「む~、ちゃんと合格するもん。おとーさんとまた賭けもしてるしね。」
この陵桜にも合格したのも、父親との賭け事に勝つためという不順極まりない理由だったからね。
でも、そのおかげで私はこなたに出会えたんだから、どうあれ感謝しないとね。
「こなちゃん、今度はなにを賭けたの?WiiやPS3とか?」
「いや、Wiiはもう既に購入済みだよつかさ。PS3もバイトでどうにかなるしね。」
「じゃあ、新しいパソコンとか?」
「そんなのよりよっぽど私にとって大きなものなのだよ♪まぁ、それもその時教えるよ。」
こなたの趣味に合いそうで、高額なものか何か珍しいものと言われても今の以外あまり思いつかない。
何か限定者のフィギュアとかだろうか?でも、あの言い方だと物じゃないのかな?う~ん…まぁ、いいか。
「…ふ~ん。でも、その代わり3月に入ったら絶対教えないさいよ?」
「合格発表が終わった時にでも教える、それは約束するよ、かがみん。もちろんつかさにも言うよ。」
「わ~、楽しみだね、お姉ちゃん!」
果たしてそれは楽しいことなのかは分からないが、気になるというのは認めよう。
84:『メルトダウン』 9
08/02/15 02:40:06 5dpB0GHt
それより、何故行きたい大学を隠す必要があるのかに対して疑問が残るわけだ。
あまりにも低レベルだから?でも、あいつならそんなことは気にしないはずだと思う。
逆に実は相当難しいところで、逆に恥ずかしいとか?…なくはないけど、隠すことはないわね。
ここから遠くて、私にそうそう会えなくなる?それはあるかもしれないけど…あまり考えたくない。
一番ありそうなのが最悪のパターンってのが気になって、私は一応聞いてみた。
「こなた、一つだけ答えて。」
「ん、怖い顔してどったの?」
「その希望してる大学って、私が…いつでも会える場所にあるの?他の地方とかじゃないわよね?」
「むふっ、かがみはその心配してたのか~。それならご安心あれ、かがみと近くに居る事が最優先だからネ♪」
「じゃ、じゃあ!」
「かがみの家、というかここと、かがみの志望大学の近くどっちかだヨ。」
「良かった、ひとまず安心だわ。」
最悪のパターンでない上に、こなたがそこまで気を使ってくれたのが何より嬉しかった。
でも、気になる点はもう一つある、というより、いま浮かんだ。
「…ここまで素直なかがみんって、何か違和感あるなぁ。口調だけは相変わらずツンデレだけど。」
「ちょ、それどういう意味よ!…まぁ、それは置いておいて、近くの大学を優先してくれたのはいいんだけど、その条件に縛られて自分のやりたいことは制限してないわよね?こなたを縛ってるようなら、嫌だから…。」
「大丈夫だよ、かがみん。ちゃんと自分のやりたいことはやるようにしてるからさ。」
「そう?ほんとに?…ならいいんだけどね。」
「もう、そんなに心配しなくていいって。気軽に生きようよ、かがみん♪」
「あんたが軽すぎるから心配になるんでしょ?!二人して突っ走ったら誰が止めるのよ?」
「まぁ、それもそうだね~。でも、二人で突っ走る愛の道は誰にも止められないよ、ね?かがみん♪」
〈ね?〉のあたりで私の首に腕をまわして抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと。恥ずかしい台詞禁止って言ったでしょ、もう…。」
1ヶ月強の時間が経っても、不意に抱きつかれるのには未だに恥ずかしい。
こなたにキスするのには慣れたんじゃないかと言われたけど、内心はもちろん活火山状態だ。
正月も徹夜で若干ハイになってたから、寝起きにキスなんてしてたけど、今思い出しても…
「…どんだけ~」
(そうそう、どんだけ~…って!)
「こ、こなた!つかさが見てるから、離れなさいって!」
「周りの視線は気にしないって言ったじゃーん、かがみぃ。」
「屁理屈はいいから、離れろぉ!!」
半ば強引に引き離されたこなたはもちろん、空気化しかけていたつかさもどこか不満そうだ。
その後、こなたの機嫌をとりつつ、つかさにも話題を振りながら過ごすという何とも疲れる時間になった。
少なくても、私にとっては…やれやれ。
☆★☆
85:『メルトダウン』 10
08/02/15 03:00:24 5dpB0GHt
その後も、臭いものや机に書いてある落書きのユニークさ、物価高騰によるお菓子の値段上昇などについて話した。こなたがネタに走り、つかさがボケて、私が突っ込むか弄られるいつもの感じだった。
4人で過ごしてきた高校3年間、こういう空気の中でずっと過ごしてきたからか、どこよりも心地よい。
弄られたり、気苦労があったりしても、息抜きとして最高のものとなった。みゆきがいないのが残念だけどね。
「つかさー、ちょっと来て手伝ってー!」
下から突然いのり姉さんの声がする。時間を見ると6時前、おそらく夕飯の手伝いで呼んだのだろう。
…悔しいけど、料理の手伝いで私が呼ばれたことは中学に入ってから一度もない。せいぜい皿洗いだ。
「すぐ行くから、ちょっと待ってー!…ごめん、ちょっと行ってくるね。」
「いってら~(いってらっしゃい)」
つかさはすぐに立ち上がって降りていった。
「もうこんな時間かぁ、私もそろそろ帰らないとね。」
「そうね、おじさんも心配するだろうし。」
「かがみも、そろそろ『おじさん』じゃなくて、『おとーさん』って呼んでみたら?絶対喜ぶと思うよ♪」
「な、なななに馬鹿なこと言ってんのよ!出来るわけないでしょ、そんなこと!」
「うぶで余計な事ばかり考えては、顔を赤くするかがみ萌え~」
「うぅ、うるさい!」
「その反応!最高だよ~、やっぱ可愛いねぇ~♪」
さっき突き放したのを根に持ってるのか、執拗に弄り続けてくるこなたと反撃が出来ない私。
擦り寄ったり、上目遣いで見上げてきたり、後ろから抱き付いてきたり、やられ放題だ。
私も少なからず抵抗してみるも、こなたには逆効果なのか、私が恥ずかしいだけで終わる。
この小動物みたいなこなたの連続攻撃に私の『理性』という精神はボロボロになりつつある。
ひたすら顔を赤くしてる私にこなたの行動はエスカレートし、ついには…
「ひゃうっ!…こ、こなたぁ!!」
「おぉ、予想以上の反応だね。」
「いい、いきなり、うなじを舐めないでよ!」
「じゃあ、いきなりじゃなきゃいいの?」
「そ、そういう意味じゃないわよ。私にも理性ってのがあるんだから…その…ほどほどにしなさいよね…。」
「かがみん、それって…「みんみんみらくる、みーくるんるん~」」
突如、恐ろしく音程を外した声と共に、音楽が流れ始めた。これは確か…こなたの携帯だ。
「ごめん、かがみちょっと待っててね。
〈もしもし、なーにおとーさん?…うん、まだかがみんちだよ。…えっ?ああ、そうだごめん!
今からすぐ帰るから、下準備だけ済ませてて!…分かったよ、だから悪かったって。…うん、じゃあ。〉ピッ
かがみ、ごめん!今日夕飯の当番だったのすっかり忘れてたよ!!今から帰って作らないと…。」
「いいのよ、そんなの。また受験後にいつでも来てよ。今度はそっちにいくかもしれないし、遊びに行ってもいいしね。二人切りもいいけど、みゆきとつかさを呼んでもいいしね。もちろんゆたかちゃんとかも。」
「そだネ、何か考えておいてよ。私も私なりに考えておくからさ。んじゃ!」
「あ、待ってよ。玄関までは送るから。」
「夫を送るのが嫁の仕事だしね~♪」
「それは朝の話でしょ?夜の場合は、嫁を見送る夫でしょ。ほらいったいった。」
「えぇ、それこそ屁理t…って、うわ押さないでよ、危ないって!」
こなたの反論を無視し、玄関にたどり着く。
「それじゃあ、気をつけて帰りなさいよ。夜道は危ないんだし。」
「格闘技やってたから平気だよ~。万が一があっても、かがみが助けてくれるだろうしネ。」
「…万が一、何かあったらな。」
「んじゃ、またね~、かがみん。今度は〈かがみを〉食べに来るから、覚悟しといてよ♪」
満面の笑みを浮かべて最後に言った一言は、本気なのか冗談なのか、期待と不安を抱きつつ、
私はつかさに揺すられて正気に戻るまで、呆然と玄関前で立ち尽くしていた。
---続く?
86:9-310
08/02/15 03:04:18 5dpB0GHt
以上10レスです。
続く?というのは、時系列的なつながりであって、バレンタインはこれで完結です。
次回は2月下旬になると思います…希望者が居ればですが^^;
先ほど書いたように、スランプだったりするので、ミスがあれば指摘してください。
ただ、もしかしたら数え切れないほど出るかもしれないです…。
もちろん、話自体の感想もよければお願いします。
87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 04:47:06 eFrZxSDB
>>25
ぐぁぁ!!
あまりの甘さに吐血した!!
GJすぎる!!!
>>61
つかさ指令…仕込みすぎだよwww
だがGJ!やっぱり今日は甘すぎる…全身溶けそうだ
>>62
あーもう、あー!甘いー!!
>>72
見てるほうがやきもきしてしまう・・・こりゃみゆきさんも苦労するね。
だがそれがいい。GJ!
88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 10:19:50 cnKjwqCY
>>80
もうとらに委託されてるぜ
89:7-438
08/02/15 12:41:03 u6JRimFd
>>86
GJ!!続き、是非とも頑張ってください(≡ω≡.)b
見た所、特にスランプといった印象を受けませんでしたが、
書き手が感じるジレンマですかね…よくわかります。
メルトダウンと聞いて、とあるゲームのスキルが思い浮かんだ私は、違う意味で末期でした。
自分もバレンタインネタを、と思ったんですが、なーんもネタが
振ってこなかったんで前スレ>>593の4コマの続きかきますた。
【へたれ4コマ-やふぁこな】
URLリンク(momoiro.s4.dxbeat.com)
コマによって線の太さが違うのは気にしたら負けです…。
補足としてこなたの格好は、某ネトゲのBOSSの格好で、前スレ>>597さんが
はっつけてくれたURLをみていただければ、どっと絵が見れます。(´・ω・`)
当初はパンツ穿かせてたんですけど、かがみの要望により脱がせてみました。
にしても、4コマむずかしー!w
90:7-438
08/02/15 12:54:20 tJeO1yFf
うお、4コマ目、日本語間違えてるorz
かがみ側吹き出し外の文字は
『我慢は近いわ』→『限界は近いわ』で脳内変換よろ!
91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 13:51:45 SHUnhT/N
投下作品が多くてGJが追いつかないが、とにかくGJ!
92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 15:11:39 maeIg0yi
>>89 かがみが既に危険な状態だ!GJ!
ところで同人誌の『大好きだよっ』っていうのはこなかが本ですか?分かる方おられたらお願いします。
93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 15:56:37 SHUnhT/N
>>92
かがみが中心に話が進む、友情メインのこなかが本。
そして今日もまたお絵かき掲示板で事件発生。
昨日の祭りと相まって、何かもう頭の中がこなかがで飽和してしまうぜ。
94:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 16:15:40 1efFYFB/
>>92
ニヤニヤというよりはほんわかとする>93氏の言われた様な内容です。
柊家のあの方が素晴らしい立ち回りをされますw
95:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 17:05:32 tBC7VW99
>>86
あああ、かがみメルトダウンしてるw
GJですw 面白かったですよ? ホントにスランプなんですか?
>>89
ネトゲのことはよくわからないのですが、かがみが危険な状態なのはよく分かりますw GJ !
4コマ漫画増えてきて幸せです
96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 17:19:26 2E4OxmV1
「ああぁぁっ!こなた、うれしいっ!!私、私のチョコを受け止めてくれるのねっ!
はああっ!分かったわっ、出すから、もう、もう、全部こなたに受け止めてもらうからぁっ!!
ね、見てね、ずっと見ててね!
私がたくさんたくさんひり出しちゃうところ見てっっ!
私のウンチの匂い、オナラの匂いたくさん嗅いでえぇっーーーっ!
ここ一週間カカオ豆ばかり食べてたからチョコの味がするはずよ!
お口いっぱい、お腹いっぱいチョコたくさん食べてえぇぇーーーーーっっ!!」
ビビバブビビビーーーーーーッッ!!ブブブゥゥッ!!
ぬりゅっ!みぢみぢみぢみぢみぢみぢみぢっっ!!ビブブッ!ブリブリブリブブブッ!!
ぬちぬちぬちにちゃっ!にゅるうううっ!!ブリブブビブババババッッ!!
ぶぶぶうううっ!ぶぴいいいっ!ブッ、ブッ、ブッ、ブブウウウウウッッ!!
かがみの肛門から信じられないほど大量の大便がひり出された。その量も臭いも凄まじく、かがみ自身も今まで経験したことの無いほどのものだった。
そしてそれをすべて愛するこなたの顔を便器にして排泄しているという事実がかがみの官能を暴走させていた。
「ふごごっ!!おごおおっ!うぶうううっ!むううっ、むはああっ!おぎょっぉぉっ!
げはっ!おむむむぅ・・・げほおおっ!ごほっ、げほっ!おごぐおっ、おむぅぅ・・・・っ!!」
その大量の大便は当然こなたの口内に収まる筈も無くほとんどが顔面を汚した後すっかりぬるくなった湯船の中に落ちていく。
先ほどのこなたの大便とかがみの大便とが混ざり合った湯は奇妙な生暖かさを2人の肌に感じさせていた。
97:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 17:19:51 2E4OxmV1
「おおおぁぁぁーーーーーっ!!こなた!!
私のウンコッ、ウンコッ、汚いウンコ見てぇぇっ!!すごいのおおっ!
ウンコでこんなにいい気もちになったの初めてよぉっ!もっと、もっとしたい、ウンコしたいぃ!!
こなたのウンチ食べて、私ウンチ大好きになっちゃったのぉっ!ねえ、これから、これから毎日私にこなたのウンチ食べさせてええっ!
私、こなたのウンチたくさん食べて、もっと、もっとたくさんウンコするからあっ、こなたの前でたくさん、たくさんウンコしたいのぉっ、好きいっ!こなた愛してるわぁっ!!
もう、もう、絶対こなたのことはなさないからっ!!あああーーーーーっ!
イク、イク、こなたっ!私ウンコしながらイッちゃうよぉっ!!私、私、あひいいぃぃーーーーーーーっ!!」
ビチビチビチビチビブビイイイィーーーッッ!!ブババッ!ブジャアッ!ブピピッ!
ぬりぬりぬりむりむりりりっ!!ぼちゃぼとぼとっ!ブビブビッ!ずるずるずるるるるうぅぅーーーーっっ!!
ブッボオオオッ!!
「あうあぁぁーーーーっ!か、かがみぃ・・・・んっ!!かがみの・・おごっ!
んぶうっ!ウンチ、すごいよぉぉ!はああっ!熱いいっ!かがみのウンコ、ウンコが熱いいっ!!
ウンコしてるかがみも可愛いよ……。
好きだよ、かがみのチョコ、大好きだよおおっ!!うああっ!はああーーーーっ!!」
2人の絶叫とかがみの水っぽい屁の音がバスルームに響き渡る。
禁断の快楽に絶頂を迎えた2人は糞だらけの湯船に抱き合ったまま肩までつかり、身体中に互いのチョコを塗り付け合った。