涼宮ハルヒ【いじめSOS団】第八弾at ANICHARA2
涼宮ハルヒ【いじめSOS団】第八弾 - 暇つぶし2ch251:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/08 21:46:45 DLNWGGrV
 誰かと肩がぶつかった。
 何がイッテェだ。肩がぶつかったくらいで叫びやがって。
「オイ、肩がぶつかったんだよ! シカトしてんじゃねーぞ!」
 ったくなんなんだよ、それぐらいで。
「うるせーな」
 怒りに任せてそう呟く俺。さらにそれだけでは怒りが収まらなかった俺は、肩がぶつかったぐらいでガタガタ騒ぐ貧弱モヤシ野郎の顔を見てやろうと振り返りながら
「肩がぶつかったぐらいでな…」
 んだよ。と続けようとした時、俺の視界にはとんでもない光景が飛び込んで来やがった。
 それと同時に、背筋に液体窒素でもかけられたかのような身も砕かれる程の寒気が走る。
「あ? 何だテメェ? もう一回言って見ろやオイ!」
 皆さんおわかりだろうが、敢えて状況説明をさせてもらう。
 俺と肩をぶつけたのは、この異常な絡み方と、いかにもな容姿と口調からして、この学校ではハルヒに次いで在校生ならその名を知らないと言っていいぐらいの有名人、
そして学校一のヤンキーと言っても過言では無い程の不良学生が仕切る、二年の不良グループである。ビデオではこのような光景すっかり見慣れてしまったが、
実際に体験するとなると底知れぬ恐怖を感じる…。
 むしろドラマを見てしまったせいかも知れない…。次に何をされるのかが予想できてしまう。どんなにルートを変えて考えてもボコボコにされるフラグしか立たない…。
「オイテメェ、シカトコいてんじゃねぇぞ!」
 そう言って俺のネクタイを掴んで無理矢理引っ張って来やがった。
「オマエよぉ~、山田さんに肩ぶつけといてタダで済むと思うなよ」
 そして、今まさに俺はその不良グループに絡まれてるのである。名前は山田と…。まあ、その取り巻き達。噂によるとコイツらは、最近三年が進路活動で大人しくなったのをいい事に、
突如我が物顔で学校を闊歩し始めた全く持ってタチの悪い連中なのである。
 さらに理不尽な事に、コイツらは下級生に無理矢理因縁を付けては、金を巻き上げたり、手足のようにコキ使わせたり、万引きやらひったくりやらを強要させたりと、
まさに下劣極まりない下衆野郎共の吹き溜まりみたいな集団なのである。
 そういやついこの間、俺のクラスメイトである山根も、コイツらに絡まれて困ってたっけ。まったく、ちゃんと注意して生活して無いからそうなるんだ。
 まあ、かく言う俺も今まさにコイツらに絡まれてネクタイを引っ張り上げられ、軽い呼吸困難に陥ってる所なんだが…。って、そうだよ。こんな悠長に状況説明+人物紹介をしている場合じゃない。
俺は今、とてつもなく最悪な状況に身を置かれてるんじゃないか? ああそうだ、そうに違いない…。
「オイ! テメェ聞いてんのかオラ!」
 そう言って掴んだネクタイをさらに引っ張り上げる取り巻き。
 頼むからそれ以上締め上げないでくれ…。
「オマエさ、山田さんをあんま怒らせない方がいいぜ?」
 と、さらに取り巻きの一人が俺の顔を馬鹿にしたように見下ろす。
「ああ、山田さんをマジで怒らせっと死ぬぜ。オマエ? はやいとこ謝っとけよ」
 と、もう一人の取り巻きも便乗。
「す…、すいま…せん…」
 首がネクタイに絞められて上手く声が出せねぇし呼吸もできねぇ…。
「あ? よく聞こえねーぞオラ!」
 だったら、今その手に掴んでるネクタイを離してくれ。いくらでも謝ってやるから…。

252:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/08 21:47:41 DLNWGGrV
 と、その時である。
「それぐらいにしといてやれ」
 なんと、俺と肩がぶつかった山田の取り巻きから救いの言葉が。
「コイツだってワザとオレにぶつかって来た訳じゃ無さそうだしな」
 あれ? 噂と違うぞ…。
「山田さんがそう言うなら…」
 はあ…。助かった。ってあれ? 俺と肩がぶつかった奴が山田だったのか。てっきりさっきまで俺のネクタイを力任せに引っ張ってた奴が山田なのかと思っていたぜ。
 まあそんな事はどうでもいい。なんだ、山田って全然いい人じゃないか。やっぱ噂は所詮噂だな。
 よし、じゃあ速いとこ謝って部室へと向かうか。
「ありがとうございます。今度から気を付けますんで…。本当にすいませんでした…」
「何を勘違いしている。俺の話はまだ終わってないぞ」
 え?
「謝って済むなら警察はいらないんだよ。この落とし前はちゃんと付けてもらうぞ。そうだ、お前。今からジュースをここにいる全員分買ってこい」
 前言撤回。やっぱ最低だコイツ。
「オラ! はやく買ってこいやオラ!」
 さっきからオラオラうるせーなコイツは。買ってくればいいんだろ。買ってくれば…。
「わかりました…。じゃあ、皆さんは何が飲みたいんですか?」
「日本酒」
「ビールだオラ」
「焼酎」
「ウィスキー」
「……ウォッカ」
 えっと、五人分か…。今の財政状況じゃ痛い出費だ…。ただでさえビデオレンタル代でお手上げだと言うのに。
 って、ちょっと待てよ。それはジュースじゃなく酒だろ…。それにお前らは未成年じゃないのか? って、不良にそのツッコミはナンセンスか…。
 てかその前に、そんなもん買ってこられる訳ねーだろ。当然ながら俺だって未成年なんだし。
「あのー…。俺未成年なんですけど…」
 すると山田が。
「それぐらいわかっている。誰がお前に飲ませると言った?」
 そうじゃねーよ。
「それはわかってます。ですから…。俺、未成年なんで…。そう言うのは買えないんですけど…」
 それを聞いて、さっきからオラオラうるさい取り巻きが声を荒げながら。
「あ? 未成年? なんだそりゃ? 俺らはもう心は成人してんだよオラ!」
 だから何だよ。こっちはお前の精神状態なんか聞いちゃいねーよ。
 すると、さっきまでずっと黙り込んで、俺が絡まれてから「ウォッカ」としか口にしなかった取り巻きが、
「……俺が付いて行ってやる。それなら買えるだろ」
 確かに。って、何故俺が納得してしまったのかと言うと、どう見てもコイツはオッサンにしか見えなかったからだ。制服がスーツに見えてしまう程にブレザー姿が似合っている。
これで制服の上下が同色だったら完璧にスーツにしか見えんだろう。
「わ、わかりました…。ありがとうございます…」
 って、俺は何承諾しちまってんだか…。

253:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/08 21:49:56 DLNWGGrV
 そんなこんなで俺は、地獄の坂を下っている最中なのだが、ものすごく気まずい…。ただでさえ、今日知り合った上級生と肩を並べて歩くのだって気まずいってのに、
さらにその上級生は不良と来たもんだ。オマケに何も喋らないし。まだあのオラオラ言ってる奴が同伴の方が良かったかも知れないぜ…。
 結局お互い無言のまま、学校から一番近くというか無口な不良に無言で道を案内されるまま酒屋に来てしまった。
 俺は早いとこ買って戻ろうと思い、店に入ろうとしたその時である。
「…オイ、お前は外にいろ」
 いきなり口を開いたかと思ったらそんな事を言いやがった。
 もしかして代わりに買ってきてくれるのだろうか。だとしたら非常にありがたい。
 俺はお言葉に甘えて外で待つことにした。
 暇なので店の外から中の様子を見ることにした。すると、とんでもない光景が飛び込んできた。なんと、カゴにお酒を入れたかと思ったら、なんとそのまま店を出てきてしまったのである。
そう、いわゆるカゴだしである。さらに驚いたのは店員の対応である。「またかよ」みたいな目で見つめているだけ。さすがは不良、地元住民はもう恐怖してしまって何も出来ないらしい。
 しかしこれはあまりにもマズいだろ…。カゴの中をざっと見ただけでも5000円分ぐらいはあるぞ…。やっぱりここは注意を促して置かないと。
「あ、あの…。さすがにこれはマズいんじゃないですか…?」
 五秒程の間が空き。
「……お前に酒の味がわかるのか?」
 そうじゃなくって…。コイツには罪悪感の欠片も無いのか…。
「いや、さすがにお金ぐらい払っておかないと…」
 また五秒程の間が空き。
「…この店は俺ん家が経営している。だからいいんだ」
 結局は自分の首を自分で絞めているのだから、そういう問題じゃないと思うんだが…。
「でも、やっぱり…。品物は品物なんですし…」
 またもや五秒程の間が空き。
「…だったらお前が支払うか? せっかく今回は特別に奢ってやろうと思ったんだがな」
 そこまで言われては仕方ない。
「いっ、いえ…。ゴチャゴチャ言ってすいませんでした…」

 まあそんなこんなで、学校に戻ってきたのだが…。時刻はすっかり夜の七時を過ぎてしまっていた。
 ハルヒの事だからまだ学校に残って不良ドラマのビデオを見ているのだろうが、今から行ったら何言われるかわからん…。かと言って行かない訳には行かない。明日何言われるかわからんし…。
 まあ、今日行くしかないのだろうな。仕方ない、ある程度の覚悟はしておくか…。

254:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/08 21:51:48 DLNWGGrV
「じゃあ先輩方、俺はこれで帰りますんで…。色々と用事もあるし…」
 そう言って背を向け、部室に向かおうとした時、肩に凄まじい荷重が加わった。
「な、なんすか…」
 恐る恐る振り向く俺。
「貴様、誰が帰っていいと言った?」
 山田である。山田は俺の肩をがっしりと掴んで離そうとしない。
「いや、でもこんな時間だし…」
 すると取り巻きの一人が。
「馬鹿かお前は、これから楽しくなる時間だろが」
 いいよ別に、興味ないし。はやく自由にしてくれ。
「…お前も飲みに付き合え」
 と、万引き犯。
 俺は一体どうなっちまうんだ…。


 と言うわけで俺は今、二年の教室で不良達に混ざって飲み会とやらをしているのだが、当然のように俺はお酒などには一口も手を付けてはいない。
酒の怖さは夏休みの合宿で十分思い知らされたからな。
 しかし、コイツらも可愛い奴らである。飲み会の準備をしろ。等と俺に言い、何をするのかと思いきや、小学校でよくある六人班の形に机を並べろ。と言い出した。
 しかも俺は何故か真ん中。しかも向かいの席は山田というなんとも嫌な席に座らされてしまった。
 俺はどうすりゃいいんだ? まさかこのまま、コイツらのバカ騒ぎを見物してなきゃいけないのだろうか…。だとしたら、まだドラマを見ていた方がマシだぞ…。
ドラマなら絡まれる心配は無いし、タバコの煙たさも、酒の匂いも伝わって来ないからな。
「おいお前、なんか芸やってみろ」
 言わんこっちゃない…。
「そう言われましても、俺そういうのはちょっと…」
 残念だが、俺は人前に出せるような芸を持っちゃいないし、考えたこともないぞ。
「あんだとオラ! 何でもいいからやれって言ってんだよオラ!」
 うるさい奴だな。こんな所で醜態は晒したくないんだよ。
「はやくやれよ」
「ほら、こっちは時間ねーんだよ」
 ったく、野次るなよ。やりたくないもんはやりたくないんだ。
「だから…。そういうのはあんまり…」
 と、俺がひけ腰にぺこぺこしながら否定の意を表してるとき、山田が口を開いた。
「お前、何組だ?」
 いきなりなんだよ…。
「一年五組…。ですけど…」
 クラスなんか知ってどうするつもりなんだ?
「そうか五組か…」
 どうしたんだ? 黙り込んで。
 すると山田は取り巻きの一人に。
「そうだ。おい、アイツ呼びだせ」
 ん、アイツって誰だ?
「わかりました。アイツっすね」
 そう言って教室を後にする取り巻きの一人。というか、よくアイツという言葉一つで誰だかわかったな。
 教室を沈黙が包む。
 廊下からかすかに声が聞こえる。
 なんだか、麻雀だのタバコだのはやく来いだの殺すぞだの聞こえる。
 どうやら俺と同じ運命を辿った哀れな仲間を呼び出しているらしい。
 すると声が止み、取り巻きの一人が教室に戻ってきた。そして山田の所へ近づき、
「すぐに来るそうですぜ」
 そう言い、定位置に戻った。
 すると山田が、
「今、お前の兄弟を呼んでやったぞ。お前もこれから来る兄弟の態度を見て、自分がどうするべきかよく考えるんだな」
 そう言い、山田は酒瓶を片手でかざし、
「よし、続きでもするか」
 と威勢のいい声を上げ、飲み会は再開された。
 俺の兄弟と言われても、妹しかいないんだが…。って、そんな無粋なツッコミはどうだっていい。てか俺はもうコイツらの舎弟になってしまったのか…。一体誰が来るのだろうか。
 やれやれ。

255:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/08 23:08:08 syT8ZEwE
wktk

256:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 02:49:42 m1fxou+e
wktk

257:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:00:43 h3wQWRmw
>>254からの続き



 不良共に理不尽な絡まれ方や要求をされながら待つこと約三十分。やっと俺の兄弟とやらは現れた。
 そいつの顔を見て俺はつい声を漏らした。
「山根…」
 そういや山根もコイツらに絡まれて困ってたっけ。
 すると山根は。
「や、やあ…。キョン君…君もいたのか…」
 走ってここまできたのかは知らないがずいぶんと息が荒い。それに、結構な荷物も抱えている。
「よう、山根…」
 状況が状況なので、すごく気まずい。なんだか、お互い見られたくないものを見られてしまった感じで。
 まあなんだ。とりあえず、そのズレた眼鏡直せ。
 山根が来るなり、あのうるさい不良が。
「オイ山根オラ! お前の十八番コイツに見せてやれよオラ」
 と、俺を顎で指す。
「い、今からですか…」
 と、弱気な口調で山根。
「そうだよ! はやくやれやオラ!」
「は、はい…」
 どうやら山根は、何か芸を見せてくれるらしい。嫌なら断ればいいのにね…。
 すると山根は教卓の上に立ち、
「こ、これから…げ、芸やります…」
 と、声を震わせながら言い放ち、芸をはじめた。
 正直、見るに耐えない。山根はベソをかきながら必死に芸をしている。それとは裏腹に、この不良達は嘲笑しながら
「つまんねーんだよ。バーカ」
「もっと面白い事やってみろや!」
「オイどうした? 仲間が見てんぞ、仲間が?」
 などと罵声を浴びせている。
 さすがにコイツらには殺意が湧いた。やらせといてその言いぐさはあんまりだろ。しかも十八番等と墨も付けといて。
 それと同時に山根にも対しても怒りがこみ上げてくる。
 泣きながらやるくらいなら断れよ。断ったら何されるかわからないって恐怖があるから断れないのだろうが…。
 と、取り巻きの一人が席を立ち、山根が芸をしている教卓へ向かった。
 嫌な予感を脳裏に過ぎらせながら見ていると。
「いい加減つまんねーんだよ」
 そう言って教卓を思いっきり蹴飛ばしやがった。
 嫌な予感的中だ…。
 教室に響く、けたたましい金属音と鈍い音。そう、山根は教卓から落下し床に頭をぶつけてしまったのだ。
 山根はピクリとも動かない。そんな山根を見て大笑いする不良連中。
 さらに教卓を蹴飛ばした取り巻きは、倒れてぐったりする山根の後ろ襟を掴んで持ち上げ、
「オイ、倒れてんじゃねーぞ。はやく芸の続きやれよ!」
 等と言いながら山根を床に叩きつけた。
 さらにあのうるさい取り巻きも山根のほうへ向かい、

258:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:01:42 h3wQWRmw
「寝てんじゃねーぞオラ!」
 と叫びながら山根の腹を思いっきり蹴り上げた。
 当然ながら咳き込む山根。
 さらにもう一人の取り巻きも席を立って山根のほうへ向かい、
「オイ、そっちの肩もってくれ」
 そう言って、ぐったりする山根の上半身を持ち上げた。
 すると取り巻きの一人が。
「山田さんもコイツに喝入れてやって下さいよ」
 等と言い出しやがった。
 すると山田は。
「おう、丁度この拳も鈍ってたしな」
 そう指をコキコキ鳴らしながらゆっくり席を立ち、山根のほうへ向かい、右手を思いっきり振りかぶって山根の腹にパンチを食らわせた。
 声にもなってない声を上げる山根。
 そんな山根をお構いなしに何度も殴り付ける山田。
 いくら酒が入ってるからってこれはやり過ぎだろ…。
 これじゃ山根があんまりだ。
 俺が耐えきれず席を立とうとした瞬間、片手にずっしりと重みが加わった。
 その重みの正体は万引き犯のオヤジであった。
 数秒目が合い、
「…やめておけ」
 と、小さめの音量で言ってきた。
「で、でも…」
 クラスメイトがこんな事されてるのに、黙って見てられるか…。
「…今行ったら、お前もやられるぞ。それでもいいのか?」
 俺は渋々席に着いた。
 結局は己の体を大事にしてしまう自分に嫌悪感を抱きながら。
 しかし、何故コイツは俺をかばってくれたのだろうか。さっきから少々気になっていたが、コイツらは他の奴らとは違うオーラを感じる。
 するといきなり山田が、
「オイ、お前もやってみろ」
 そう言って俺を呼び出した。
 何故か起立する俺。
「な、なんでですか」
 当然ながら反論する。
「だらしない兄弟に、お前も喝を入れてやれ」
 そんな事言われたって…。
「い、いや…」
 出来ません。と言おうとしたとき、再び片手に荷重が加わる。
 そう、万引き犯のオヤジだ。
「…今は言う事を聞け」
 そう俺に小声で助言する。

259:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:02:59 h3wQWRmw
「は、はい…」
 俺は仕方なく承諾した…。

 しかし、コイツらもひどい奴らだ。山根は口の隙間から血をにじませてるというのに…。って、これから殴ろうとしてる俺が言えた事じゃないな…。
「すまん山根…」
 俺は小声でそう詫びを入れ、軽く腹を殴った。
「ウッ…」
 山根の苦しむ声がかすかに聞こえた。
 激しい罪悪感が俺を襲い、心臓が潰れちまいそうになる。
「なんだ? まだ喝が足りてないらしいな。ほら、もっとやってやれ」
 無論、そう口にしたのは山田である。
 しかし、これ以上やると山根も俺もどうにかなっちまう…。
「もういいじゃないですか…。山根も十分喝入れられたと思いますし…」
 俺はやんわりと抵抗してみた。
 だが、山田は俺の言う事をまったく聞こうともせず、なら次はお前が殴られてみるか? と言わんばかりの目で俺を睨みつける。
 ヤバい、マジでくたばる五秒前…。
 するとその時である。真っ当な生き方をしている俺を、天は見放さなかった。
「…なあ山田、そいつをオモチャにするのはそこまでにして、飲みを続けようじゃねーか。俺はまだ飲み足りないんでな」
 と、ドスの利いた声を発したのは、もちろん万引き犯のオヤジである。この人には本当に助けられた。こんな呼び方もあれだし、この飲み会が終わったら名前を聞いておこう。
 まあ、ワガママを一つ言わせてもらえるのであったとしたら、俺が呼び出された時にそう言ってもらいたかった。

 何はともあれ、俺はあれ以上山根を殴らずに済んだ。これでひとまずは安心だ。
 というわけで飲み会は再開された。
 山田達は山田達で、山根が持ってきた麻雀セットで、これまた山根に買わせてきたタバコをふかしながら、麻雀をジャラジャラと騒音を立ててやっている。
 しかも山根は、さっきのが十分効いたのか、教卓に背をもたれたままうんともすんとも言わない。
 まあ、隣の騒音が止まないうちは安全だろう。さすがに山田達も麻雀で勝つことに夢中になってて、山根の事は眼中にないからな。
 で。俺は今、万引き犯とちょっとした会話をしている所だ。
 飲み会が終わったら聞こうと思っていたんだが、まあせっかくだし今名前を聞いておくか。
「あの…そういや名前はなんでしたっけ?」
 約三秒の間の後。
「…鮫島だ」
 鮫島っていうのか。下の名前は…。まあいいか。
「あの鮫島さん、どうしてあなたみたいな人が、こいつらとつるんでるんです?」
 周りに聞こえたらちょっと面倒な事になりそうなので、少し声のボリュームを下げて問いかけてみた。
 今度は八秒程の間が空き、
「…そんな事はどうだっていいだろ。さあ、お前も飲め」
 そう言って、俺に缶ビールを手渡そうとし、こう続けた。
「俺はめったにこうやって他人には酒を勧めないぞ」
 なんだか上手くはぐらかされた気もしないでもない…。
 それに俺はもう酒は飲まないと心に誓ったのだ。でもまあ、こんな事言われたら仕方がない。一本ぐらいなら問題無いであろう。
 そう思って悪魔の囁きに耳を貸し、まんまと飲んでしまったのが運の尽きであった。
 無論、空けた缶の本数は一本だけに留まらなかった。

260:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:05:18 h3wQWRmw
 まあ結論から言うと、俺がシラフに戻ったのは日が出てからである。どうやら俺は酔いつぶれてそのまま寝てしまったらしい。
 ふと携帯を見てみた。
 朝の六時…。しかも親とハルヒ、その他SOS団員から何件も着信が来ている…。
 一体何言われるやら…。まあ、親が血迷って警察に捜索願を出していないこと祈ろう。
 でもって、俺は辺りを見渡してみた。もちろんの事、山田達も机に突っ伏している。それに何故か山根が全裸で床に倒れて寝ている。
 そういえば、よく記憶には残っていないが、山田達は山根をこんな姿にして、いかがわしい事をやるよう強要していたような…。
 止められなかったのは俺の責任でもあるかもしれないし、山根には後で謝っておこう…。
 まずはこいつらを起こさねば…。とも思ったのだが、今起こしたとして、寝起きの悪そうコイツらは何をしでかすかわからん…。
 なんか足りない気もしたのだが、とりあえず山根から起こそう。
山根から剥かれた制服を、山根の大切な場所にかぶせ、
「おい、山根…。起きろ、朝だ」
 体を軽く揺すってやる。
 何回か揺すってやると、山根は顔を隠すように片手を被せ、
「うぅん……。何ママ? もう朝? 僕まだ眠いよ…」
 …。今のは聞かなかったことにしよう…。
「山根、しっかりしろ。ここは家じゃない、学校だ」
 すると山根は。寝ぼけ眼を擦りながら、
「……え? あれ? あっ! キ、キョンくん!?」
 俺の顔を見るなり、完全に夢から醒めたらしく、いきなり飛び上がったかと思ったら、床に思いっきり尻餅をついた。
 しかしこの驚きぶりは異常だろ…。確かに、自分起き場所が学校で、さらには全裸、極めつけに自分の赤裸々なプライベート生活を、少々暴露してしまったのだから仕方ないとは思うのだが…。
 こいつは酒を飲んでいなかったのだからそれぐらいの状況判断力はちゃんと身につけて置いてほしいものだ。
 いや…待てよ…。そういえばこいつも山田達に無理矢理酒を飲まされていたような…。うろ覚えなのでどうとも言えんが…。
「どどど、どうして僕が…。こんな所に…」
 やっぱり飲まされたのか…。こいつも飲んでしまうと記憶が吹っ飛ぶタイプの人間なのか。というか…。
「わかったから、とりあえず服を着てくれ…。まあなんだ、その…丸見えだぞ?」
 それを聞くなり、
「ひゃああああ!」のようなわけのわからん悲鳴を上げ、服を持って廊下へと出て行った。
 まったく、さっきの悲鳴でコイツらが起きてしまったらどうするんだ…。こっちは完全に眠気が醒めたぞ。
 と、もう一度山田達のほうへ目をやる。
 よく見るとアイツがいない…。そう、鮫島である。俺は不覚にもこの中では重要人物とも言える 鮫島の存在を寝ぼけて忘れてしまっていたとは…。
 しかし鮫島も気の利かない奴だ。帰るのであれば、俺達を起こしてくれれば良かったのに…。

261:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:08:35 h3wQWRmw
みんなには申し訳ないけど、投下の頻度が遅れるかもしれない…orz
でも完成はさせるので気長に待っててくれたら嬉しいです…

262:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/10 21:34:01 ukdPmmpt
あらあら
>>261
いつでも待ってますので
続きお願いします

263:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/11 10:09:51 jQc/bu+G
まだ団員に対する本格的なイジメが始まっていないのに盛り上がる内容だなw
期待してんぜ

264:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/11 13:58:27 coIQNd3n
これが伝説の鮫島事件なのか。

265:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/12 09:54:28 MwwqWOR3
wktk

266:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/12 11:55:41 3SuRQ40v
>>264
お前…消さr

267:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/13 02:05:25 Rn7dBYKc
wktk

268:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/13 02:27:21 xA6gN49/
某所の朝倉も余計混乱する情報を与えてくれおったが
結局鮫島事件ってなんなんだ

269:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/13 06:07:14 XP0yWkOX
知らなくていいこと

270:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/13 15:25:39 NNg1CTr1


271:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/13 16:53:41 KMaDJIsq
そうか、鮫島事件の張本人がこいつかw
で、キョンも鮫島事件に巻き込まれ・・・。


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