涼宮ハルヒ【いじめSOS団】第八弾at ANICHARA2
涼宮ハルヒ【いじめSOS団】第八弾 - 暇つぶし2ch100:SOS団の終焉
08/03/15 01:42:12 5LQDBRvb
100get
【みくる視点】
「ミッ♪ミッ♪ミラクル♪みっくるんるん♪」
鼻歌交じりに自宅に戻る私。
コンビニで買い物した帰り道、面白いもの見せて貰っちゃいました。
キョン君が自転車で近くの公園に走っていったの。
何だろうと思って公園のしげみからのぞたら誰かと話してる。
よく見たらそれ、私の最も忌み嫌う女、涼宮ハルヒだったんです。
最後まで全部見ちゃいました。涼宮がキモ面してギャアギャア泣き叫んでたっけ♪
さすがの電波女も相当私のいじめが堪えたみたいです。ふふふっ、嬉しいなあ。
けどキョン君ったら可愛い♪涼宮を抱きしめて「朝比奈さんをみんなで説得しよう!」だって。
熱血丸出しなんて今時流行らないですよ。
けど、やっぱり最初に私を裏切って涼宮に肩入れしたのはキョン君だったなあ。
キョン君は何だかんだ言って涼宮が好きだもんね。傍目から見ればバレバレw

私は部屋の押入れを漁る。今頃キョン君は古泉君や長門さんに電話してるはず。
SOS団全員で私にいじめを止めさせる為に。けど・・・
「ふふふ・・・そうはさせませんよキョン君♪涼宮ハルヒには徹底的に地獄を味合わせるんですから・・・・・・。」
私は押入れの奥にあった金属バットを取り出して1人笑った。


101:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/15 09:12:24 tM0Wn9Cr
うわー、この展開、何だか凄いな。

102:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/15 11:09:22 mdFzplJU
wktk

103:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/15 12:38:12 8Olt3D+p
>>100

104:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 10:27:44 o38LhHzT
あれ?

105:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 13:48:46 9lz5QvV2
続きをお願いします。

106:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 13:38:14 3Weiar+4
落ちませんように

107:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 13:59:53 +EFgXmUy
続き希望

108:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 16:19:01 2NL278S7
涼宮ハルヒ消失までしか読んでなくても
SS書いていいですか?

109:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 16:45:54 3Weiar+4
>>108
ご自分の判断で

110:俺バージョン
08/03/17 18:44:53 cNCebrQP
【みくる視点】

バットを手に持つがふと閃く

「涼宮さん、今までとても辛かっただろうし、もうやめにしようかな…」
とみくるは言い自宅を出た。

どこに行ったかと思えば、着いた先は………ホームセンターだった。

早速、店内に入り品定めをする。

「ん~、これは高いな~。ん~諦めよう…」
「そうだ!これにしよう♪」
手に取ったのは…


鉈だった。
(ちなみに最初に見てたのはチェーンソー)

「5980円になります。ありがとございました」
店員からお釣りを受け取ると、店を出て帰宅する。

「えへへ、ちょっと高いけどいろいろ割引してたから定価より安く買えちゃった~♪」
帰り道はルンルンだった。鉈を持ちながら鼻歌を奏でる。はたからみればかなり狂乱している様にみえる。


シャッシャッシャ…
家に着くなり、研石と水を用意し買ってきた鉈を研ぐ。

「涼宮さん私が全部終らせてあげる。あなたの人生を(ニヤリ)」

みっみみらくるみ~くるんるん♪と言う歌と共に研ぐ音がこだまする不思議な夜だった。


どうでしょうか?かなりベタベタな展開です。批判の嵐が来る事は覚悟してます。

111:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 20:40:39 feBffevq
なんかギャグSSみたいなフレーズがたまに入るけど、
笑顔のまま狂ってく演出として秀逸だとおもう

112:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 21:39:36 cuyWw5Yk
他の未来人たちは何やってるんだよw

113:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 23:32:19 +tVwfNoV
病んでるかと思ったら、ギャップがすごいな(w

>>100までのと>>110はそれぞれ別の人だよね?

114:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 00:33:31 rr2Y3UqS
どうも》110です(^-^)/

ここに来てからまだ三日なのでSSとはなんですか?

》111さん
ありがとう。

》113さん
全くの別人だよ。見比べる時は俺の方が改行が多い所を注意して見てね。(携帯から投稿してるからPCでどう表示されてるかわかりませんが…)


スク○ズの言○とひぐ○しの○ナを足して2で割った感じに仕上がりましたね…ほ~んとベタベタ…

俺が投稿したのは、あくまで
アニメでいうとOVA的な物です
(本編と関係無いっていうか、パラレル的な)


好評だったらまた更新したいと思います。

115:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 00:40:22 rr2Y3UqS
どうも》110です(^-^)/

ここに来てからまだ三日なのでSSとはなんですか?

》111さん
ありがとう。

》113さん
全くの別人だよ。見比べる時は俺の方が改行が多い所を注意して見てね。(携帯から投稿してるからPCでどう表示されてるかわかりませんが…)


スク○ズの言○とひぐ○しの○ナを足して2で割った感じに仕上がりましたね…ほ~んとベタベタ…

俺が投稿したのは、あくまで
アニメでいうとOVA的な物です
(本編と関係無いっていうか、パラレル的な)


好評だったらまた更新したいと思います。

116:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 01:20:42 NUB9Pi+E
人の書きかけの作品勝手に続き書いて台無しにすんな、アホ。

117:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 02:11:00 qAzHWHTF
過疎ってる手前、人はどんどん来て欲しい所だけど、お前みたいなのが来ると
なると考え物だし、何だか悲しくなるな…
わざとやってるにしても、本気でやってるにしても、幾ら何でも酷すぎだろ…
出来れば前者である事を願う。
とにかく貴様はこのスレに二度と書き込みをしないでくれ。お願いだから。

118:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 02:19:58 rr2Y3UqS
110です(^-^)/

》116 お前俺のレス見たか?
「あくまでパラレル的な物」って書いたよな?

まぁ俺が書いた奴なら誰でも書けるけどな。
まぁ後は来ねぇからなんとでも言えるけど…
まさか「荒らし」って、叩かれるかねぇ~別にいいけど


》117 わかった。二度と書き込みしません(^-^)/

119:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 02:28:27 k1/SKqmD
病んでるスレだな・・・

120:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 07:53:56 YRKLJoOL
おいおい…

121:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 08:35:35 vtwlxTc/
何かこのスレ空気悪い


122:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 13:40:45 vzgGfQv4
>>118
貴方は2ちゃん自体初めてかい?

出来れば>>2をよく読んでから来てほしかった所だが。
SS投稿のマナーや、基本事項は、ぐぐれば必ず出てくるはずなのでそこを見ておくれ。
他人の作品を引用して書く場合、書き手の許可を得てからやるもんなんだよ。
勝手にヘソ曲げてるようだが、「批判を覚悟してます」って自分で言うてるじゃないか・・・。

それからアンカーレスは 》じゃなくて、>> ね。

123:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 16:41:38 M8ZZM7X4
当初執筆していた人はどうしたの?

124:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 17:45:24 YWM+0m/U
いつからここは住人が勝手に続きを更新しあっていいスレになったんだかw
元の投稿者がきちんと話をまとめてから一気に書いてくれればこうはならんのに。つうかそれが出来ないなら投稿すんな。

125:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 17:55:56 J1ti3Zy9
閉鎖空間が発生したようですね

126:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 22:03:44 tBlV9V/J
投下中?まだ未完のものがあるみたいだけど投下大丈夫か。
長門いじめの書いたんだけどさ。



127:長門いじめ
08/03/18 23:31:37 tBlV9V/J
迷ったんだが、いーや。投下するぞ。
初めてだったんでちょっと甘いかもな。機会があったら救いのない奴が書きたい


放課後、普段のわたしなら真っ直ぐに部活に向かう所をお手洗いへと足を運んだ。情報総合思念体のわたしには必要ないものだけれど、ヒューマノイド・インターフェースであるわたしの体は生理的にそれを訴えていた。
用を足し終え、扉を開こうをすると、扉が開かない。壊れた訳ではない、とわたしは推測する。
扉のノブを掴むがガチャガチャと鳴るだけで、開かないのは人為的な理由に拠ることが分かったから。扉の向こうでは人の手によって扉が開かないようにノブが固定されている。また、『いじめ』というものかとわたしは悟る。


128:長門いじめ
08/03/18 23:32:35 tBlV9V/J
またかと言うのはこれが初めてではなく、前にもこういった事を認識しているから。

初めは学校に登校すると、机の中にぎっしりとゴミが詰まっていた。休み時間に席を外すと鞄の中にしまってあった筈のノートや教科書に「根暗」、「調子に乗ってるんじゃねーよSOS団」とマジックペンででかでかと書かれていた。
授業中、消しゴム等の小さな獲物がわたしの頭を目掛けて飛んでくる。飛ばした相手へと視線を向けると、クラスメートの女子達がにやにやと笑って「本当にうざいよね、SOS団。特に涼宮!」と陰口を小声で叩いていた。
わたしは、推測する。彼女達はSOS団、特に涼宮ハルヒに不満を持っているものも本人には言えず、比較的大人しく見える外見をしているわたしをいじめのターゲットにしたもよう。
しかし、そう推測したものも彼女達を理解は出来なかった。何故SOS団や涼宮ハルヒを気に入らないのか、そしてその結果わたしをいじめようと思ったのか。涼宮ハルヒに直接手を下さないのは分かる。報復が怖いからだ。
けれどいじめというのは相手に嫌悪の情を抱いたりして、発生するものだとわたしは認識している。 わたしは彼女達に何もしていない。それなのに彼女達はわたしをいじめる。預かり知れぬ所でわたしが彼女達に危害を加えたというのか。
そんな風に色々と推測を立てる事も出来るけれど、わたしは彼女達の事を理解しようとは思わなくなった。それは情報総合思念体としてのわたしじゃなく、わたしという個体が拒否しているからだ。理由はこれもまた不明。




129:長門いじめ
08/03/18 23:36:04 tBlV9V/J
ばしゃり。
その音ともに頭上から大量の水が降ってきた。バケツいっぱいに満たされた水を向こう側から掛けられたのだ。
一回で終わる事もなく、合計六回ほど水浴びをした。そしてわたしは濡れ鼠となる。セーラー服はたっぷりと水を吸って重くなり、下着までもその被害にあいびしょびしょとなった。
ようやく開放された扉を出るともう彼女達は出て行った後で、わたしも同様にお手洗いから外に出る。すると廊下には水が滴って私が歩いた跡が出来る。
出来た小道を眺めがらわたしは予定通りに部室に行くかを悩む。
今までのいじめはわたしひとりで対処(例えばごみはゴミ箱に投じ、教科書の落書きは消せるものは消しゴムをかけて)をしてきたからSOS団のメンバー達に知られることもなかった。わたしには友達というものもなかったので他のクラスに伝わることもなかったのだ。
しかし、今のずぶ濡れのわたしを見たら何かしら気付かれるに違いない。鋭い涼宮ハルヒはいじめを察するかもしれないし、それに、あなたに気付かれたりしたら。わたしは、何を、とは言えないが説明が出来ない。




130:長門いじめ
08/03/18 23:37:52 tBlV9V/J
その時、丁度、わたしの目の前にあなたが現れた。わたしが使ったお手洗いは部室に行くまでの途中にあるものだったから、部室に行こうとしたあなたは此処を通る。よぉとあなたはわたしに挨拶をして、直ぐにわたしの異変に気が付いて慌てて駆け寄ってきた。
「どうしたんだ!?長門」何もない「何もないじゃないだろう!さ、寒くはないのか」(そう言われれば寒いかも知れなかった。今の季節は冬というもの。廊下を通り抜ける北風が私の身体に鞭を打つ)平気。問題ない。
「そんな訳ないだろう!」
真剣に怒るあなたを目の前に見るのは久しぶりの事だった。本当に私は平気で、そう言ってるのに、わたしはあなたに怒られてしまった。
「とにかく寒いだろ。今日はお前、帰れ」

わたしが言うことに耳を傾けず無理矢理手を掴んで来た道を戻ろうとする。それはわたしの意志を聞かんとするものだったが、わたしは抵抗しない。
あなたが何故肩を震わす程に怒っているのか、それもまた未知なことだったのだが不思議と彼女たちの事とは違い、理解したいと思ったから。

あなたの手のひらが特別にあたたかく感じる理由をわたしは知りたい。


終わり

131:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/19 17:15:39 slorptTJ
>>130


132:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/19 17:33:22 slorptTJ
タイトル「虫歯」

ハルヒ「痛っ、痛たたたっ!!」
キョン「?、どうしたんだ?、ハルヒ」
ハルヒ「うん、左の奥歯のほうが痛いの。虫歯かな…」
キョン「だったら、その虫歯、歯医者に行かずに、俺が治してやるぜ!!」
ハルヒ「え?ほんと!?」
キョン「あぁ、まかせと・け!!」バキッ!!

キョンはハルヒの顔の左の奥のほうにアッパーカット。
その衝撃にハルヒはテーブルの角に頭をぶつけて倒れ、また、左の歯が3本ほど飛んだ。

ドサッ

倒れた直後、キョンは飛んでいった歯のほうにいった
そこで1本の穴のあいた歯を見つけこう言った。
キョン「ハルヒ、良かったな!!虫歯が取れたぜ!!」
しかし、ハルヒの返事はない。

キョン「おい、何寝たふりしてんだよ!!」
何度揺さぶってもハルヒは起きない
キョン「ウ…、ウソだろ?俺がハルヒを殺したっていうのか?
う、う……、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

キョンは部室から飛び出して逃げていった

BAD END

みんなも虫歯には気をつけような~

落ちが思い浮かばない

133:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/19 18:34:57 rnQ4late
わけわからんw

134:SOS団の終焉
08/03/20 00:14:40 mPcoGSp4
え~・・・しばらくぶりに来たら荒れ気味だが申し訳ないです・・・。
文章表現に神経使いすぎて思うように進まなかったので。
今日は一気に投下します。

その前に>>130>>132乙です。

135:SOS団の終焉
08/03/20 00:17:22 mPcoGSp4
【古泉視点】
「そうですね。では月曜日の昼休みに屋上で集合しましょう。
念の為、当日朝打ちあわせしてもいいかも知れませんね。はい、では。」
彼からの電話を切る。内容は無論涼宮さんへのいじめの件。
SOS団みんなで朝比奈さんを説得しようという彼の提案には僕も賛成です。
もっとも、もう少し早く決断して頂きたかった気もしますが。
僕も長門さんも朝比奈さんに口をはさめないので、
彼に先頭に立って説得してもらうより他手段は無かったのですから。
何はともあれ、この1週間続いた涼宮さんへのいじめにピリオドが打てそうです。
素直に嬉しいです。機関の一員としてではなく、SOS団副団長として。
北校に転校してSOS団に入った当初はあくまで機関から派遣された監視役でした。
しかしそれからすごした1年半の歳月はSOS団を僕にとって機関以上の大切な存在に変えていました。
そのSOS団が今崩壊の危機にあります。何としてもそれは避けたい、いえ避けなければなりません。
僕や長門さんと違いごく一般人の彼に頼ってばかりなのは心苦しいのですが、
これでSOS団も涼宮さんも救われると僕は信じています。
そう考えると、この1週間溜まっていた憂鬱な気分が解消されるのが分かります。
明日土曜日に行く予定だったデート、こんな時に行くのは不謹慎と彼女に断っていたのですが、
事態が解決に向かいだした以上行ってみるのもいいかも知れませんね。

おっと、すみません。みなさんに今まで伝えていませんでしたね。
実は僕はつい最近恋人が出来ました。
誤解なさらないで下さいね。男性同士ハッテン場に出掛けるわけではありませんので。
ちゃんとした女性ですよ。
近頃掲示板でも動画でも僕がガチホモだというのが定説となっていますが、
勘違いも甚だしいと申し上げておきます。
僕は確かに超能力者ですが、それ以外はごく普通の健全な男子高校生です。
恋愛の1つくらいしますよ。
さて、というわけで彼女に改めて土曜日デートの申込みをしましょう。


136:SOS団の終焉
08/03/20 00:20:00 mPcoGSp4
【ハルヒ視点】
土日が過ぎてまた月曜日。私は1人家を出る。正直まだ怖い。
土曜日キョンが電話で有希も古泉君も仲直りしたがってると聞いたわ。
みんなでみくるちゃんを説得していじめを止めようって。
これまでの様な酷い仕打ちが無くなるのは嬉しい。
でも、いじめが無くなったとしても、SOS団のみんなと元通りやっていけるのかしら?
特にみくるちゃん。卒業まで後半年で忙しくなる時期なのに仲直りできるのか心配。
他の団員にしても、今回のことが尾を引いてぎこちなくなるかも・・・。
そんなの嫌だ!

「ようハルヒ」
学校への坂道にさしかかる手前で声がした。振り返るとそこにキョンがいた。
「あ、あんた随分早いわね。」いつものこいつなら遅刻ギリギリ。
私と同じ時間に登校することは無かったのに?
「い、いや。たまたま早起きしちまってな。家にいてもすること無いからこんな早く出ちまったよ。
んで坂道でお前の後姿が見えたから、なんとなーく声かけた、と。」
やけにあたふたとするキョン。何赤くなってんのよ?大体早起きしたって言う割には寝癖残ってるし、
制服も慌てて着たって感じがする。しかも坂道の手前でまるで待ち構えてた様に声かけて・・・ん?
待ち構えて?もしかして・・・・・・。
「えーっとだ、朝早くいきなりお前のやかましさに付き合わされるのも癪だが、
会っちまった以上仕方ない。一緒に行くか?」
キョン・・・私が1人でいるのが不安なの分かってこんな早くに待ってた?
「何よやかましいって!団長に対して無礼の極みだわ!しょうがないわね、お供させてやるわ!!」
「へいへい団長様。」 ありがとう・・・キョン・・・。

1時間目の授業が終わるとキョンが振り返り話しかける。
こんな今まで当たり前だった日常すら久しぶりだ。
「ハルヒ。古泉に朝比奈さんを呼び出すときの打ち合わせとかしたいから、ちょっと古泉の教室に行ってくる。」
「あ、私も行く。」
「いやお前はいいよ。2人で話がしたいからな。」
そう言ってキョンは教室を出て行った。
普段の私なら団長に隠し事なんてと怒るんだけど、今はキョンに任せておこう。


137:SOS団の終焉
08/03/20 00:22:04 mPcoGSp4
【キョン視点】
俺は今朝普段より1時間早く家を出て坂道でハルヒを待っていた。もうハルヒを1人にしないと決めたからな。
あいつ会った瞬間安心しきった顔してたな。やっぱり今まで1人でいたのが相当心細かったんだろう。
その癖、口では「お供させてやる」なんてえばり散らしてたがな。もう少し素直になれないものかハルヒよ。
もっともあいつはあの位偉そうなのが丁度いいのだが。

今俺は古泉の教室の前にいる。今日ハルヒと朝比奈さんを和解させるんだが、
朝比奈さんの怒りは相当なものだろうから念を入れて打ち合わせたい。
ハルヒを連れて来なかったのは閉鎖空間の話題とか本人に聞かれたらまずい内容もあるからだ。
しかし・・・古泉の席ってどこだ?あいつの姿が全く見えないんだがトイレか?
「すみません、古泉に会いたいんだけど席どこかな?」
たまたま近くにいた女子生徒に聞いてみる。
「古泉君?今日は来てないわよ?」
え・・・?古泉がいない??
馬鹿な!あいつ金曜電話した時は必ず参加するみたいなこと言ってたぞ。
「今朝先生が欠席って言ってたわ。本人から連絡なかったみたいだけど・・・」
学校にも言わずに?どういう事だ?何か緊急事態でも発生したのか?閉鎖空間とか?
いやしかし、今のハルヒはいじめから開放されて心底安心しきってるはず。
大体何か起きたのなら俺に電話の1つでもくれていいはず。
俺はとっさに携帯を取り出し古泉に電話する。
プルルルルル・・・プルルルルル・・・
出ない。電波が届いてるから閉鎖空間ではない。しかし待っても古泉は出ない。
仕方なく俺は電話を切りハルヒの待つ教室に戻っていった。
「キョン、古泉君何だって?」「今日あいつは欠席だと。」
俺は簡略に答えて話しを打ち切る。後で「休み?なんで風邪?」と聞いてくる声がしたが
答える気にはならなかった。またハルヒを不安にさせ兼ねんが、俺自身が動揺していたからだ。
古泉、一体どうしたんだよ・・・・・・。


138:SOS団の終焉
08/03/20 00:25:31 mPcoGSp4
ハルヒと普通に話せるようになった最初の日。良かった事と悪かった事が1つずつあった。
まず良かった事。今日1日朝比奈さんによるハルヒへのいじめは無かった。
今までの様な上履きに画鋲だの教科書に落書きだのは一切無かった。
これは朝比奈さんの方もいい加減ハルヒと仲直りしたいという意思の表れか、
それとも単に俺がずっとハルヒのそばにいるので手を出さなかったのか?
楽観的に前者だと思いたいのだが、これまでの朝比奈さんの冷徹さからして多分後者だろう。
だとしても、ハルヒに一切害が及ばなかったのは幸いである。
おかげでハルヒにもわずかだが笑顔が見られるようになった。

次に悪い事、と言うべきだろう。古泉と連絡がつかない。
あれから何度も電話してるのに1度も出ない。着信はしてるんだから気付いてるはずなんだが、
返事さえよこさないってのは幾らなんでも変じゃないか?
あいつの身に何かあったのではと不安になる。とにかく、朝比奈さんにはSOS団全員で説得しようという話だったので、
古泉がいない以上明日以降に説得はお預けとなった。
仕方ない。今日は帰ろう。

下校もハルヒと一緒だ。朝比奈さんと仲直りするまでは出来るだけハルヒのそばにいることにしたからな。
本当は久々に部室にも寄りたかったが、朝比奈さんがいるかも知れない今ハルヒを連れていかない方がいい。
「ねえキョン、古泉君どうしちゃったんだろうね。」
不意にハルヒが口を開く。
「今まで無断欠席なんて一度も無かったのにね。SOS団のミーティングや不思議探索でも、
あんたと違って1度も遅刻しなかったのに・・・心配だよ。」
一言余計だが、ハルヒの顔に再び不安が浮かぶ。
「大丈夫だ。明日になればきっと古泉も来るよ。」
確証は何も無いが、ハルヒを元気付けてやる。
「早くみんなと仲直りしたいのに・・・。」
やれやれ古泉よ。ハルヒがこんなに不安そうなのにお前は一体何をやってんだ?おい。
その晩もう1度だけ古泉にかけた。やはり返事は無かった。

火曜日。1時間目が実験なので教室を移動した。その帰り道の事だった。
「ねえキョン、今日も古泉君来てないのかしら?」
「わからん。次の授業が終わったらまた古泉の教室に・・・」「キョン!あれって!」
突然ハルヒが指差した方向。そこには廊下を1人歩く古泉の後姿があった!
「古泉君!」ハルヒが駆け寄る。俺も後に続く。
あの野郎、全然連絡取れないから何があったのかと心配したじゃねーか!
古泉が俺たちに気付き振り向く。「おい古泉、昨日なんで電話に・・・」次の瞬間、
ドカッ!!「キャッ!」
ハルヒが勢い良く倒れる。あまりの出来事に俺は息を呑んだ。
古泉が思い切りハルヒの腹に蹴りを入れたのだ。
いきなり蹴りを食らったハルヒは腹を押さえて倒れこむ。辺りが静まり返る。
「お、おい古泉!何を!?」
そう言って古泉を見て俺はギョッとした。倒れたハルヒを見下ろす古泉の目。
いつものさわやかスマイルは消えて、そこには怒りに満ちた表情があった。
「・・・・・・。」
古泉は俺に一瞥くれると何も言わず立ち去っていく。追いかけようと思ったがやめる。まずはハルヒだ。
大の男に、しかも仮にも超能力者野郎に全力で蹴りを入れられたハルヒは倒れたまま咳き込んでいる。
「ハルヒ!大丈夫か?」
「な・・・なにこれ・・・何で古泉君が私を蹴るの?何がどうなってるのよ・・・?」
分からん、分からねえ!こっちが聞きたいくらいだ!
一緒にいじめを止めて元のSOS団に戻ろうと話してた古泉が何故?
1つだけ分かること。金曜の晩最後に古泉に電話してから今日までの間に何かあったのだ。
それも俺達にとって良くない何かが・・・。


139:SOS団の終焉
08/03/20 00:34:14 mPcoGSp4
【ハルヒ視点】
昼休みになってもお腹の痛みが残る。蹴られた行為そのものよりも、
蹴った相手が古泉君だという事実が私を苦しめてる。
どうして?古泉君はいじめには反対してたって、
みくるちゃんと仲直りすることにも協力してくれるってキョンが言ってたじゃない!
当のキョン自身も古泉君の豹変に動揺してる。もう訳が分からない!
私が教室でうずくまってるとキョンが教室に戻ってきた。
「ハルヒ、今廊下で朝比奈さんに出くわした。いや多分俺を待ち伏せしてたんだろう。
ハルヒと一緒に屋上に来てって言ってた。」
「みくるちゃんが?どういう事?」
「俺にも分からん。とにかく行こう。古泉の件も何か知ってるのかも知れないし。」
行きたくない。こんな時に向こうから呼び出すんだ。絶対何かみくるちゃんは企んでる。
でも行かなきゃ。これをのり越えなくちゃSOS団は元にもどらないから・・・。

屋上にはみくるちゃんだけでなく古泉君も有希も、SOS団全員がそろっていた。
かつて親友の絆で結ばれていた5人が今睨み合っている。
みくるちゃんだけは薄笑いを 浮かべているけど・・・。
「どういう事だ古泉!?お前もハルヒと仲直りしたいって言ってたじゃねーか!!」
キョンが激しくまくしたてる。
「ええ確かに電話した時はそのつもりでしたが、気が変わりました。僕は朝比奈さんを支持します。
いえ、言い方が悪いですね。正確にはここにいる最低な女、涼宮ハルヒを僕は絶対に許さないということです!」
そういう古泉君の表情はさっきと変わらない怒りが露になったまま。
「そんな・・・なんでだよ?何で急に!?はっきり説明しろ!」
みくるちゃんだけでなく古泉君まで私に敵意をむき出す状況に1人必死で食い下がるキョン。
私はそんなキョンが可哀想に思えてくる。私の為に・・・。
「そこまでおっしゃるのなら御説明しましょう。この女は・・・
僕の・・・僕の彼女に暴行を加えたんですよ!それも金属バットで!!」
えっ・・・・・・?

140:SOS団の終焉
08/03/20 00:37:03 mPcoGSp4
「あの日、と言えば勿論貴方も分かりますよね?金曜の晩に貴方が僕に電話した日です。
その日の夜、涼宮ハルヒは僕の彼女を人気の無いところに誘い込んでバットで殴打しました。
彼女は手足と肋骨を折る重傷です。」
何それ・・・私そんなことやってない!大体古泉君に彼女がいたこと自体初めて聞いたわよ。
それにその日の夜なら私・・・。
「何言ってんだ古泉!ハルヒがそんな酷いことするはず無いだろ!だいいち金曜の晩、ハルヒは俺と会って・・・あっ」
キョンはそこまで言ってからしまったと言うように口をつぐむ。
それを聞いてみくるちゃんが冷たい笑みを浮かべた。
「へえ~・・・キョン君、私に隠れて勝手にその女に会ってたんでしゅね~♪」
「違うよ!古泉君、私そんなことしてないよ!」
これは絶対罠よ。私を陥れる目的で・・・。
けれどかつて無い怒りが全面に押し出された顔の古泉君は聞く耳を持ってくれない。
「だまれ!!僕がただの憶測で言ってると思ってるんですか!?
僕は彼女自身から貴方の犯行だと聞いたんです!」
彼女自身?誰なのそれって??
「意識を取り戻した彼女から全て聞きましたよ。11時頃に予備校からの帰りで夙川の土手沿いを歩いてたら
涼宮ハルヒに出会った。話があるからと土手の人気の無い場所に連れてこられて、
いきなり背後からバットで足を殴られた。倒れたところへ更にバットで身体を何度も殴打され動けなくなった。
そしてこの女は最後にこう言ったそうですよ。『あんたの彼氏の古泉君に私はいじめられている。
これはその復讐よ。SOS団団長に逆らった見せしめ。恨むなら古泉君を恨みなさい。』ってね!
彼女は涼宮ハルヒをよく知ってる人物です。間違いはありませんね。」
最後に古泉君は私をはっきりと睨みつけて言った。
「確かにこの1週間貴方を無視したのは悪いです。
しかし・・・だからといって無関係の僕の彼女に手をかけるなんて・・・貴方はそれでも人間なのか!!」
頭の中がぐるぐる回る。のどの奥がピリピリする。みんなの顔が歪んで見える。
まともに立ってられない・・・。

141:SOS団の終焉
08/03/20 00:39:28 mPcoGSp4
何もかも狂ってる。今まで聞かされてる事は全て見に覚えの無い事ばかり。
なのに、あたかもそれが真実であるかのような雰囲気。
もう私には反論する力も消えていた。そんな私をただ1人かばい続けるキョン。
「ま、待て。何て言うか・・・その話おかしくないか?
大体、ハルヒを良く知ってるって、お前の彼女って誰・・・」
「そんなことどうでもいいでしょう!
それより貴方はさっき涼宮ハルヒに当日の晩に会ったとおっしゃいましたよね?」
「それがどうした?」
「貴方が僕に電話したのが9時でしたから、涼宮に会ったのはそれより前、
つまり事件より2時間以上前になる。涼宮ハルヒにアリバイはありませんよ。」
キョンも言い返せなくなっていた。横でやり取りを聞いてたみくるちゃんがクスクス笑う。
「本当に酷い人でしゅね涼宮さんは♪私達への仕返しに何の関係も無い女の子に暴力振るって
見せしめなんて♪私の告白相手には罵声を浴びせて追い出すし、人間として最低の種類でしゅね♪
こんな屑人間、生きてる価値ないと思いまーしゅ♪」
「全くですね。僕はこの女は絶対許しません。SOS団の副団長は今日限りで辞任します。
いえ、そんなもん最初から無しにしたいくらいですよ。」
私は屋上のフェンスにもたれかかる。今朝まではやっとみんなと仲直りできると信じていたのに・・・
結果はより悪く、最悪の方向に向かってるじゃないの・・・。キョンが私に駆け寄る。
「ハルヒ・・・」
「私じゃないよ・・・私そんなことやってないよ・・・。」
「分かってる!俺はお前を信じてる。」
そう言ってるキョンだけど、明らかに動揺を隠せないでいる。

キーンコーンカーンコーン♪チャイムが屋上にも鳴り響く。
「みなさん、そろそろお昼休み終わりでしゅよ、教室に帰らなきゃ♪」
笑顔のみくるちゃんはスキップしながら去っていった。
「それでは僕もこれで失礼します。ああ、それと最後に・・・」
そう言うと古泉君はキョンの胸倉をつかんだ。
「これ以上涼宮ハルヒの肩を持つなら、貴方も僕の敵として扱います。それでは。」

142:SOS団の終焉
08/03/20 00:40:56 mPcoGSp4
【キョン視点】
俺は何も言い返せなかった。有り得ないハルヒの暴力。それが真実かの様に振舞う朝比奈さんと古泉。
古泉は乱暴に手を離すと階段を降りていった。
胸倉をつかんでだあいつの目、あれはハルヒに向けていた目と全く同じだった。
憎しみだけに支配された目。ハルヒは座り込んだままだった。
「ハルヒ、大丈夫だ!俺が絶対誤解を解くから!な!」「もういいよキョン・・・。」
そう呟いたハルヒの目を見て愕然とした。今までの悲しみや寂しさといった感情が消えたうつろな目。
それは全てに絶望した目だった。立ち尽くす俺を横目にハルヒは階段を降りていった。
くそっ!どうして、どうしてこんなことに!?屋上に残ってるのは長門だけ。
「長門!俺にはもう訳が分からねえ!何がどうなってるんだ!?」
「私は忠告した。朝比奈みくるに中途半端な説得では失敗する可能性が高いと。」
「説得すら出来なかったじゃねーか!何で古泉までが敵対するんだ?」
「・・・・・・。」長門は答えない。
そういや、こいつも親玉に手を貸すなと言われてたな。だがこのままではハルヒが危ない。
SOS団の存続どころか、ハルヒ自身が自殺しかねない。助けられるのはもう俺しかいないんだ!
だが、俺には分からないことだらけだ。こいつは俺の知らない事も知ってるはずだ。
「長門・・・最後の頼みだ。ハルヒを助けるのを急力しろとは言わない。
せめて、今回の事件の正体だけでいい、教えてくれ!」
しばらくの沈黙の後、長門は静かに頷いた。
手は貸せないが、こいつも本心ではハルヒを助けたいのだろう。それから長門は事件の真相を語り始めた。
「今回の事件は全て朝比奈みくるが仕組んだもの・・・。」


143:SOS団の終焉
08/03/20 00:42:30 mPcoGSp4
【古泉視点】
事実上のSOS団脱退宣言をした僕は、帰り道まっすぐに病院に向かいました。
面会した時、丁度彼女は眠っていました。起こすのも可哀想なので傍らに腰掛け寝顔を眺めます。
僕の最愛の女性、橘京子を・・・。

彼女と初めて会ったのはいつだったでしょう?初めは敵同士でした。いや、厳密には今もそうなのですが。
僕は涼宮ハルヒを世界の神とする機関、彼女は佐々木という女性を神とする組織に所属。
両組織は互いに相反しており、全く相手の主張を受け入れない冷戦状態が続いています。
そんな敵対組織の幹部の中で唯一と言っていい話が通じる相手が京子でした。
僕は何度か敵対組織との交渉役として派遣され京子と対話しましたが、
彼女は他の幹部と違い、いつもこちらの主張を丁寧に聞いてくれていました。
双方の溝が埋まる事はありませんでしたが、そんな彼女の優しさに次第に僕の心は揺り動かされました。
まあ、その彼女の優しさが天蓋領域やポンジーをまとめられない一因とも言えるのですが・・・。
そして何度か会うにつれお互い惹かれあうようになり、今年の夏頃に交際する様になりました。
SOS団にも機関にも秘密で。それからの数ヶ月間僕は幸せの頂点だった。
それなのに・・・・・・あの女、涼宮ハルヒがそれを壊した。
脳裏に金曜の事件の事が蘇る。


144:SOS団の終焉
08/03/20 00:43:43 mPcoGSp4
あの晩、彼との電話を終えてから京子にデートの電話をした僕。
その時出た彼女の消え入りそうな悲痛な声が今も耳に残る。
『苦しい・・・助けて・・・。夙川の土手にいるの・・・動けない・・・。』
僕が取るものもとりあえず家を飛び出し夙川に着いた時、京子は全身傷だらけで意識を失っていた。
敵対組織の幹部という彼女の立場も忘れ僕は機関所属の病院に彼女を運んでいった。
当然両組織に僕達の交際はばれた。
機関は敵対組織に治療費は全面こちらで工面するかわりに一切警察には口外しないという条件で折り合いをつけた。
警察が関わると互いの組織の事まで調べられる恐れがあったからだ。
敵対組織の中には闇討ちしたのは機関じゃないかと疑う者もいて、機関とは緊張関係が続く。
「貴方も辛いでしょうけど、橘さんはきっと助かるわ。」
森さんの一言にどれだけ救われたか・・・。元は僕達が隠れて交際したのが原因だ。
機関の立場を危うくしたと怒られても仕方ないのに、僕の事を気遣ってくれたのだ。

145:SOS団の終焉
08/03/20 00:45:12 mPcoGSp4
一晩の集中治療でようやく京子は意識をとりもどした。
当分入院が必要だが、命には問題ないと聞き涙が流れた。
しかし翌朝目を覚ました彼女から聞いた事実はショック以外の何物でもなかった。
襲ったのは涼宮ハルヒ、原因は僕のいじめに対する報復。
普通なら信じられない。しかしかつて機関の調査の際、涼宮も調べ顔を良く知ってる京子が見間違えるはずはない。
何より僕の最愛の女性が嘘をつくはずもない。
考えたくも無い現実が僕を襲う。
京子に重傷を負わせたのは涼宮ハルヒ。
確かに僕は彼女を無視した。しかしだからといって無関係な京子をこんな目に遭わせるのが許されるのか?
僕はこんな最低な女の下で楽しんでいたのか?SOS団の副団長として過ごした結末がこれか?
そう考えるとSOS団でのうのうとしてた自分自身にも怒りが湧く。
その夜、僕は自室で1人酒を食らった。

土日が過ぎ月曜になったが、学校に行く気にはならず1日病院で過ごした。
全身包帯の京子はそれでも優しく微笑み「またデート行きたいね」と言ってくれた。
僕らSOS団が原因でこうなったのに、僕を責める素振りは全く見られなかった。
夜気付いたら、携帯に彼の着信が散々あった。
どうせ今日来なかった事と涼宮ハルヒの件だろう。
知ったことか。もうSOS団などどうでもいい。いや、むしろ関わりたくもない。
僕の京子をこんなにした元凶。そうだ明日はっきり脱退すると伝えよう。
涼宮の監視が出来なくなるが、それは他の北校にいる機関の人間で十分だ。
脱退の際、涼宮に一発蹴りくらいはいれてやろう・・・。


146:SOS団の終焉
08/03/20 00:46:30 mPcoGSp4
延々続いたが、次回で最終回。土曜日までに必ず投下します。

147:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 00:54:16 fU5ShJWL
>146
乙。
リアルタイムで読めて嬉しいな。とても良かった。
金属バットをこう使ってくると思わんで、良い意味で期待裏切られたw
まだ気になることもあるし、最終楽しみにしてる

148:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 09:23:26 c4ksKszn
>>146
乙です

149:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 13:07:41 Akadcw2D
>>146

まさか古泉がここまで豹変するとは。
予想外でキャラがたくさん出て来たし

それにしても、弱々しいハルヒがここまで萌えるもんだとは思わなかった・・・。

150:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 17:10:52 mrF9pxLG
>>146
乙です。今後の展開に期待します。

151:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:57:43 nHLvo4cY
古泉(というか橘)をどうやって騙したんだろ?
続きが気になって仕方が無いぜ!
乙!

152:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 19:07:04 757/mtOO
泉こなたがバットで殴打したんじゃね?
声で判ったとか

153:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 20:12:12 NvjdFwme
>>146
続き頼む

154:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 20:42:28 iIn+Fr+q
>>152
不覚にも吹いてしまったw

155:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 21:43:29 H5kmFvRI
(≡ω≡.)あんたの彼氏の古泉君に私はいじめられている。
    これはその復讐よ。SOS団団長に逆らった見せしめ。
    恨むなら古泉君を恨みなさい。

156:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 21:46:16 H5kmFvRI
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
ある意味最強のハルヒいじめ?

157:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:44:51 U4vQeoJe
>>155
春日部からご苦労です
電車賃かさんだでしょう

158:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 05:06:27 CmVoQYNV
ラストは、ぶち切れたキョンが朝比奈さんをバットで殴り倒すんだけど、
なぜか間違えてハルヒを殴ってしまい、ハルヒ死亡。キョン少年院行きぐらいの奴で頼むね。

159:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:40:49 xyQA0oPj
久々に来てみた。というわけで作品投下してみる
一気に投下するわけじゃないから、気長に待って暇つぶし程度に読んでくれると嬉しい
じゃ、始めるわ


 あぁ、めんどくせぇ。ったくやってられっかよ。
 俺は今、誰もいない放課後の教室で一人黄昏ている。普段ならSOS団本部もとい文芸部室へ赴かなければならないのだ
が、とてもそんな気にはなれなかった。部室に行ったとしてもロクな事が無いしな。あいつに話してつくづく身に染みたぜ。
 良い事と言ったらただ一つ。朝比奈さんのメイドコス姿ぐらいだ。こんな所で自分の性癖を語るのも変なのだが、どうや
ら俺はポニーテール萌えだけでは無く、メイド萌えの気もあるらしい。恐らくメイド萌えは後天的なものだ。朝比奈さんの
あんなに可愛らしいメイド姿を目の当たりにして、メイド属性が付加されないハズがない。
 今日も俺の荒みきったこの心に潤いを与えたいのだが、その潤いも僅かな時間しか得られない。なぜなら文芸部室にはSOS
団の団長様こと、涼宮ハルヒがいるからだ。ハルヒの手に掛かれば、朝比奈さんから得た聖水も、瞬時にヘドロと化してし
まうからな。
 まったく、俺はいつまでハルヒの放埒に付き合わされねばならんのだ。大体こういう役目は谷口が受け持つべきなんだ。
本来なら俺はこんなマヌケじゃなくて、もっとこうクールでニヒルなキャラのハズなのだが…。
「やっと見つけたわ! あんたここで何油売ってんのよ。はやくきなさい! 今日は大事な会議があるって事を忘れたの!?」
 噂をすれば何とやらという奴か。畜生、俺には安らぎの時間も与えちゃくれないと言うのか。
「ちょっとアンタ聞いてるの! 馬鹿みたいにぼけっとしてないで、こっちにきなさいよ!」
 ったく偉そうにしやがって。俺をあんまり見くびるなよ。いくら俺が仏のキョンと呼ばれていたりいなかったりするから
と言って思い上がりやがって、さすがに今回は堪忍袋の尾が切れたぞ。
「うるせーんだよ! あんまり俺を怒らせんじゃねぇ!」
 俺だって言うときゃ言うんだ。いつまでもハルヒのオモチャじゃない。馬鹿にされちゃ困る。
「誰に向かってそんな口利いてんのよ」
 当然のことだがハルヒはこれでもかと言うぐらいに目をつり上げ雄叫びを上げた。
「は? お前は自分の名前もわかんねぇのかよ! ハルヒだよハルヒ、涼宮ハルヒ様に言ってんだよ!」
「そんなこと聞いてんじゃないわよ! アンタ、SOS団の団長であるこのあたしにそんな偉そうな口利いていいの? って聞いてるのよ!」
 顔全体を真っ赤にしてハルヒが反論する。
「だったら最初からそう言えよ。そんな遠回しに言われても困る。第一、SOS団なんていうお遊びクラブの団長にそんな権力あるわけねーだろ。
つけあがるのも大概にしろ!」
「ちょっと何よ! キョンのクセに!」
 ハルヒは手の先まで真っ赤にしてヤカンみたいな声を出した。

160:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:41:38 xyQA0oPj
 なんか知らんが気分がいい。やはり不満を貯めておくのは体に良くないな。
「とにかくだ。俺はもうこんな下らん部活は二度と行かないからな! なんなら退部届だって出してやってもいいぞ」
「待ちなさい。アンタは大事な雑用係りなの! SOS団を止めることはこのあたしが許さないわ!」
 ハルヒの口調はいつも通りの威勢の良さだったが、表情は微かに不安げだった。
「許してくれなくて結構だ」
 俺はそう言い放ち、教室を立ち去ろうとハルヒから身を翻しドアへ歩み出す。
 ハルヒの罵声が背中に突き刺さる。しかし俺は振り返らなかった。ここで振り返ったらハルヒの思う壷だ。あいつもガキ
と一緒だ。放っておけばそのうち静かになるさ。
 と、その時だった。俺の袖が急に鉄アレイをくくりつけられたかのように荷重が加えられた。さすがの俺もなんだとばか
りに後ろを振り向いた。
「待ちなさいよ…」
 その荷重と声の主は無論ハルヒだった。しかも目には涙を溜めてやがる。
 俺は敢えて沈黙を保ち、前を向き直した。泣き脅しなんか通用するものか、俺は今までこいつに散々な目に遭わされたん
だ。もう二度とあんな思いはしたくない。毎日毎日奴隷のように扱いやがって。俺が生徒会長になったら、まず第一にする
事は奴隷解放宣言だ。って、そんな必要はもう無いな。ここで俺がハルヒに掴まれた袖を思いっきり振りほどき、再び歩き
出せばけば、晴れて自由の身だ。このご様子だと、そんな事をされたら、いくらこの猪突猛進唯我独尊女だろうと、俺を追
いかけることは出来ないだろう。
 よし、これほど脳内で次に行うべき行動を吟味したんだ。後は行動に移すだけさ。
 俺は前述通りに袖を思いっきり振りほどき、さっきの歩調を崩さぬような歩き出した。
 どうやらハルヒもここまでされたら追ってこないらしいな。
 俺は階段を登り、屋上まで向かった。なぜ屋上に行くのか。と言えばあいつに会うためだ。そう、俺のSOS団への不満
を親身になって聞いてくれたあいつに会うためにな。
 俺はいつもなら鍵が掛かって開くことが無い屋上へ繋がるドアを開けた。

「どうだった?」
 端正なその顔に澄ました笑顔を浮かべて佇む少女が、透き通るような声で屋上の床と共に夕映えに照らされながらそう聞いてきた。
「一応、あいつらからは離れられそうだ。だが、ハルヒの事だから明日になったらコロッと態度が変わってまたしつこく、
部活に来い。とか言われるかもしれん…」
 しかも今日よりドギツイ説得が待っている事だろう…。
「そっか…。でも良かった。いつまでも苦労してばかりじゃ、キョンくんが可哀想だもんね」
「ありがとよ。朝倉」

 と、ここで疑問が浮かぶであろう。なぜ長門によって消されてしまった朝倉がここにいるのか。それに俺がなぜ朝倉に恐
怖せず会話が出来るのか。なぜ俺を殺そうとした朝倉と、朝倉に殺されそうになった俺が共にいるのか。という疑問が。
 その疑問を解決するのには昨日に遡らなければならない。そう、俺が朝倉と再会した昨日。日曜日に。

161:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:42:40 xyQA0oPj
 では、しばし記憶遡航の旅を満喫してみてくれ。

 ………
 ……
 …

 SOS団恒例行事の終日市内散策ツアーを終え、身も心もクタクタになりながら、まるでサービス残業に明け暮れるリス
トラ寸前の窓際サラリーマンのように、夕焼けが地面を赤く照らす黄昏の街をノロノロとチャリを押して歩きながら帰路に
ついていた。チャリに跨る気力さえない。
 しかし今日も大変だった。どんな神のいたずらか知らんが、午前の部も午後の部もなぜかハルヒとペアで市内を巡る事に
なってしまったからだ。しかもハルヒはここぞとばかりに俺に無理難題を押しつけて来やがる。今日ほど両手に華を抱えて
楽しそうに市内散策をしていたであろう古泉に殺意を芽生えさせたこともない。ナイフを所持していたなら切りかかってい
た所だぜ。良かったな古泉、俺が急進派のヒューマノイドインターフェースじゃなくて。
 それにつけてもハルヒには人を思いやる気持ちは無いのだろうか。普通の人間なら、12000円もする商品を120円にまでまけ
るよう店員に頼め。だの、マンホールをこじ開けて下水道の中に何か不思議は無いか調べて来い。だの言わないはずだ。あ
いつは世の中の不思議を探す前に、自分から欠落した思いやりの気持ちを探してもらいたい。
 いつまで俺はこんな生活を送らにゃならんのだ。朝比奈さんのいれてくれるお茶だけでは割に合わんぞ。
「じゃあ、わたしがいれてあげようか?」
 突如背中に聞き覚えのある声が突き刺さった。それと同時に俺の体は激しい拒否反応を起こし、歩く事が出来なくなった。
恐怖から来るものか、そいつが何かしたのか知らんが体、主に足が異様に重たい。それに全身をロウで固められたみたいに動かない。これじゃあ平伏す事だって出来ないじゃないか…。
「ねぇ、聞いてるの?」
 再び背後から音声の追い討ちがかかった。
 聞こえているに決まってる。今の俺はお前のせいで逃げる事すら出来ないんだよ。
「キョンくん?」
 俺の名を呼んだと同時に、そいつの顔がいきなり俺の前に現れた。そう、俺を恐怖のどん底に陥れてくれた忘れもしない
あいつの顔が。
「なんで、お前が…」
 そう、こいつは長門に倒され光になったはずだろ? どうしてここにいるんだよ…。
「知りたい? じゃあ、簡単に教えてあげる。わたしはあの時長門さんに情報連結を解除されてチリみたいに消えちゃった
んだけど、わたしは情報統合思念体にそのチリを集められて再構成されたの。簡単に言えば復活したって言うこと」
 非常に簡単なご説明ありがとう。ちっ、結合思念体も余計な事をしてくれるな…。
「で、また俺を殺しにきたのか…」
 朝倉は後ろ手に組み俺をのぞき込むように、
「そんな事しないわよ。わたしはあなたに罪滅ぼしをしにきたの」
「別に罪滅ぼしなんかしてくれなくても構わん。だから悪いが帰ってくれ…」
 たとえこいつに罪滅ぼしをされたとしても、俺の体はこいつがそばにいるだけで麻薬中毒者の禁断症状に近い状態に陥っ
てしまうんだ…。だから何もしてくれなくていい。ただ俺の前から姿を消してくれるだけでいいんだ。
「そういうわけにはいかないわよ。とにかくこっちに来て」
 朝倉はそう言い、俺の袖を掴んでどこかへ歩き始めた。
 ガシャンと自転車が倒れる音を背中に浴びて、俺は為す術も無く連行される。
 盗難被害に遭わないことを願おう。

 俺が連れて行かれた場所は、よりにもよって、いつもSOS団が根城としている喫茶店だった。
「で、こんなところに連れ込んできてどうするつもりなんだ?」
 こっちは今すぐにでも家に帰って、愛しのベッドに心も体も癒されたいんだ。
 こんな苦しみしか無い空間に俺はいたくない。

162:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:43:54 xyQA0oPj
「どうするもこうするも無いわよ。わたしはただ、あなたに罪滅ぼしがしたいだけなの」
 だから、その罪滅ぼしとやらで俺をどんな目に合わせてくれるんだ?
「あなた、最近悩みがあるでしょ?」
 朝倉は少し首を曲げ、何でもお見通しですよ。と言いたげな眼差しを俺に向けた。
「あ、ああ確かにな。だが、お前にその悩みを打ち明ける気は無いね」
 少し困ったような表情を浮かべる朝倉。しかし朝倉はすぐ、いつものように人当たりの良さMAXの微笑みを俺に向けて
こう続けた。
「でも、一人で悩みを抱えるより誰かに打ち明けたほうが気が楽になると思うの。だから、ね?」
 なんなんだ一体、メンタルカウンセラーにでもなったつもりのか? 
「だから、なんでお前にその悩みを打ち明けなきゃならないんだよ。お前に打ち明けるくらいだったら、猫にでも打ち明け
た方がまだマシだ。とにかく、俺はもう帰らせてもらうぞ…」
 さすがに言い過ぎたかな。心なしか朝倉が寂しげな表情を浮かべているように見える。
 だが、こいつは俺を殺そうとしたんだ。こんな奴に慈悲など無用。今更謝られても許してやれるものか。しかも何が悩み
相談だ。ふざけるのも対外にしてもらいたい。
 俺は自分が頼んだアイスティーを一気に飲み干し席を立った。
 背後から朝倉が俺を呼び止める声が聞こえる。正直止めてほしい。他の客やら店員やらが俺を冷たい目で見ているような
気すら起きる。これじゃまるで俺が悪者のみたいじゃないか、確かに今回は俺が悪者なのかもしれないが…。
 ここまで第三者に恐怖したのは初めてだぜ。早いとこ店を出よう。
 会計ぐらい払ってやればよかったかな…。

 店を出た俺は、星空を見上げ溜め息を漏らした。
 今思えばあんな冷たく当たらなくても良かったのかもしれない。あいつだって一応反省していたみたいだし、少しは悩み
を打ち明けても良かったのではなかろうか。
 どうして人間は一人になると、こう色々と弱気になったり後悔したりしてしまうのだろうか。それとも他の誰かがいると
強気になってしまうだけなのであろうか、しかしもうすべて終わってしまったことだ。今更悔やんでも仕方がない。今はこ
の言葉ですべて片付けよう。それでいいんだ。
「やれやれ」

「待ってよ、キョンくん」
 遠くのほうで声が聞こえた。朝倉の声だ。
 あいつも律儀な奴だな。ここまでしつこく構ってくるなんて、まさに委員長という肩書きが似合う性格をしている。
 俺は後ろを振り向かず。近づいてくる駆け足の音を耳でよく捉え、少しずつ歩む速度を落としていく。
「ねぇ、待ってよ」
 服の裾に重みが加わった。
 驚いた俺はつい後ろを振り向く。
 そこには俺の裾を掴み、少しかがみ具合に、荒げる息を胸に手を当て落ち着かせようとしている朝倉がいた。
 ここまでされるとさすがの俺でも勘違いしてしまうじゃないか…。
「な、なんだよ…」
 朝倉は息を落ち着けながら、
「まだ話は終わってないよ。悩み事があるならわたしにもわけてよ…ね?」
 上目遣いにそう言ってくる朝倉の頼みを、俺は断る事が出来なかった。
「ああ、わかったよ…。話せばいいんだろ、話せば…」

163:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:45:14 xyQA0oPj
 その言葉を聞いた朝倉は、満面の笑顔を俺に向けこう言った。
「ありがとう。キョンくん」
 この時からかもしれない、俺の心にある変化が起きたのは。

 俺は正直に悩みを打ち明けた。大体はSOS団というかハルヒへの不満。その他は特に語るような事もない下らない悩み
ばかり。というか、ハルヒへの不満に比べたら、他のことなんか雛鳥のように可愛い不満ばかりだからな。まあ、その不満
はここでは自粛させて貰う。好きに想像してくれ。
 朝倉は俺の悩みを真摯に聞いてくれた。今なら朝倉に対する愚行の数々を詫びる代わりに刺されたっていい。
 朝倉と会話する中で、俺は一つの答えを導き出した。
 SOS団との縁を断ち切ろう、と。
 世界の破滅なんか知るか。大体俺は、古泉が以前言ってたように、普通の高校生であり人間だ。朝比奈さんや長門や古泉
のような特殊な人間ならまだわかる。だが、俺はあくまでただの人間、そう普遍的な凡人なんだ。なのに、どうして世界の
崩壊を防ぐなんて重たい指命を背負いこまされねばならんのだ。それも強制的に、だ。こんな理不尽な事があってたまるか。
今ならまだ引き返せるはずさ。俺はまだきっと片足首までを底無し沼に沈めたぐらいに過ぎないハズだ。いや、もっとかも
しれない…。だが、まだ助かる。てか、助からなきゃ困る。助かるさ。きっと。俺だってそこらにいる高校生みたい自由に
暮らしたいし、自由に生きたいんだよ。この支配から卒業したいんだ。
 ただそれだけなんだ。
「ねぇ、キョンくん。キョンくんってば…」
「あ、わりぃ朝倉、なんだ?」
「あのね。わたし、明日から学校に戻ろうと思うの。だから、よかったら明日も話してくれない?」
「ああ、もちろんだよ」
 その返事を聞いた朝倉は小指を出し、
「じゃあ、ちゃんと約束。指きりして?」
「わかった」
 俺もすかさず小指を出し、朝倉の小指を俺の小指に絡めた。
 この時、俺の心に恐怖はまったく無かった。あるのは安堵感、ただそれだけだった。

 …
 ……
 ………

 とまあこんな感じだ。笑いたいなら笑ってくれ。
「キョンくん。じゃあ、帰ろっか」
 それもそうだな。今日もいろいろと疲れたし、それにあいつらともあまり会いたい気分じゃないからな。あいつらが活動
を終える前にさっさと学校をふけるとするか。

 しかし、今日は大変だったな。さっきのSOS団の件はもちろんだが、朝倉が戻ってきた時のハルヒときたら「これは事
件だわ。今日の放課後は会議よ!」とか言って張り切りやがって。まあ結局俺は会議などには参加せずに、こうやって朝倉
と肩を並べて帰っているのだが、今頃あいつらはハルヒの下らん戯れ事に付き合わされているんだろうな。つくづく可哀相
だ。まあ、それがあいつらの任務だから別にとやかく言う気は無いが。

 ちょっと小腹が空いた俺は、朝倉を誘ってコンビニに寄ることにした。
 今になって思う。素直に帰っておけばよかったと。
「キョンくん。そんなに食べちゃうと、晩御飯食べられなくなっちゃうよ?」
 ウチの親が妹へ口癖のように言ってるような事を言う奴である。
 カレーパンとソーセージサンドぐらいじゃ、俺の腹の容量は微動だにしないのさ。
「朝倉は何か買わないのか?」
「ううん、わたしはいい」
「悪いな。付き合わせちまって」
 お詫びとしてジュースの一本ぐらい買ってやろうと思ったのだが、今の懐のぬくもりではそれをしてやる事すら困難だ。

164:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 20:55:09 h9ZSaYTw
>>155
深刻なシーンのはずなのにww

165:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 21:25:17 LDIKgUzc
      +
 +
     ∧_∧  +
  + (。0´∀`)
    (0゚つと )   +
 +  と__)__)

166:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 21:37:21 XhGWTXvX
>>163
どうみてもプロの(ry
さーて、次はいつ投下してくれるんだ?教えてもらおうじゃないか

167:SOS団の終焉
08/03/22 22:54:54 uU/6Zibh
やっとエピローグまで終わった。
では最後になります。

168:SOS団の終焉
08/03/22 22:55:31 uU/6Zibh
>>158
少し惜しかったなw

169:SOS団の終焉
08/03/22 22:59:41 uU/6Zibh
【みくる視点】
「うふふ、面白かったあ。こんなに上手くいくとは思わなかったわ。」
その夜、家に帰ってもついつい笑みが出てしまう。
涼宮ハルヒをどん底まで追い詰める作戦は大成功でした。
「それにしても・・・」テーブルに置かれたカチューシャとカツラを見る。
我ながら良く見つけたものね、涼宮にそっくりなカツラなんて。
これをかぶって、禁則事項で涼宮と同じ声にしただけで引っ掛かるなんて、機関も案外抜けてますね♪
原始人の集まりなんてちょろいものw
古泉君もこれで完全に涼宮ハルヒと決別するだろう。古泉君の彼女には気の毒ですが。
あ、でもあの橘って女、以前私を車で誘拐した犯人でしたよね?
ふふふ・・・じゃあ自業自得ですね♪
土手で待ち伏せして涼宮の声で「古泉君の事で相談があるの。」って言ったら
「はい、分かったのです。」なんて間の抜けた返事しちゃって。
バットでフルボッコにした時の「痛いのです!死んじゃうのです!」という悲鳴も爽快だった。
最後に古泉君がいじめた報復と思わせる台詞残したらまんまとはまってくれたし。
けど古泉君も馬鹿ですよね。大人しくガチホモに甘んじていれば良かったのに、
彼女作るからこういう目にあうんですよ・・・。
凶器に使用した金属バットは、翌日映画撮影で行った森林公園の山中に埋めてきました。
機関が警察に依頼することは無いと思うけど念のためです。証拠はみんな隠蔽です♪
この変装セットも早めに焼却処分した方がいいかな。
ともあれ、これで涼宮ハルヒは完全に追い詰めました。私の初恋を台無しにした女・・・
私を今まで散々おもちゃにした女・・・絶対に許さないんだから!
キンコーン 
突然家のチャイムが鳴った。何だろう、こんな時間に?
集金ならこの前払ったばかりだし・・・。
「ひゃーい♪」とりあえず返事してドアを開ける。そこにいたのは・・・
「キョン君?」
そこには傘をさし、暗い表情のキョン君がいた。いつの間にか外は雨になっていた。


170:SOS団の終焉
08/03/22 23:03:15 uU/6Zibh
どうしてキョン君がいるの?彼は私の家は知らないはずなのに・・・。
「あれ~キョン君どうしたんですか?こんな夜遅くに。
1人暮らしの女の子の家に突然来ちゃ駄目ですよ♪」
つとめて冷静を装ってみる。
「朝比奈さん・・・。」キョン君が厳しい顔で詰め寄る。
「全部貴方の仕業だったんですね・・・。」
な、なんでそれを?
「え~、何の話ですかあ?それよりお茶でも飲みませんか?今入れてあげ・・・」
「とぼけないで下さい!長門から全部聞きましたよ!
古泉をハルヒと決別させる目的で橘を襲ったんでしょう。証拠品も見つけましたよ!!」
キョン君が突き出したもの。それは橘京子を殴打したあの金属バット。
嘘、ちゃんと埋めたのに・・・。
「埋めた場所も長門が正確に教えてくれましたよ。動かぬ証拠です。」
あの根暗宇宙人、余計な事をキョン君にたらし込んだな!最初に長門さんを何とかするんだった!
もう誤魔化しはきかない・・・。
「朝比奈さん、貴方は狂っていますよ!ハルヒが朝比奈さんを傷つけたのは悪いです。
けどだからってここまでやるなんて・・・こんな事して何になるっていうんですか!!」
「・・・キョン君が悪いんですよ。そうやっていつも涼宮さんの味方ばっかりするから。」
「朝比奈さん・・・。」
「いっつもキョン君は私が涼宮さんにいじめられてる時、表面上は私に同情しといて、
必ずあの女の言いなりになってきたじゃないですか!」
今まで溜めてきた不満をキョン君に向けて叫びに変える。
「私もうあの女と一緒にSOS団にいりなんて我慢できないの!あいつを抹殺したい!
キョン君は私を助けてくれますよね?」
「・・・・・・。」
「キョン君が仲間になればあの女は孤立して自殺でもしてくれますよ。ね、キョン君。
キョン君は優しいもんね♪私を助けてくれますよね♪」
私はキョン君に抱きつき身体をすりつける。私の胸にいつも欲情してるキョン君ならイチコロ・・・
ドンッ!
信じられない反応。思い切り私は突き飛ばされ壁に叩きつけられる。
いつもの優しいキョン君では無かった。キョン君が私をはっきり拒絶している。
「朝比奈さん。貴方は最低だ。もう貴方には何を言っても無駄みたいですね。
そういう事なら俺も最後の手段に出ます。」そう言うとキョン君は踵を返した。
「ど、どこに行くの!?」
「警察です。朝比奈さんが暴力行為をしたのを全部言います!
このバットは証拠品として提出します。さようなら!」
キョン君は部屋を出て行く。どうして私の邪魔をするの?悪いのはあいつじゃない・・・。
私が狂ってる?狂ってるのはあの女の方なのに・・・。私を敵視するキョン君が涼宮本人に思えてきた。
憎い、憎い、憎い・・・。
私は走り出すと、キョン君の背中に思い切り体当たりした。
不意をつかれてキョン君が倒れ、持っていたバットが足元に転がる。

涼宮ハルヒは私の敵。それを助ける貴方も敵。

気がついたら私は金属バットでキョン君の頭を殴りつけていた。キョン君は一撃で気を失った。
許せない涼宮ハルヒ・・・コロシテヤル!

171:SOS団の終焉
08/03/22 23:05:23 uU/6Zibh
【ハルヒ視点】
みくるちゃんだけでなく古泉君にまで拒絶された。
頭の中は真っ白になって、昼休みからのことは何も記憶に無い。
気がついたら自分の部屋でパソコンの前に座っていた。
私はこの1週間余りで大切な人に裏切られる痛さを嫌というほど味合わされた。
SOS団のマスコットキャラみくるちゃん、何でも私の要望を叶えてくれる副団長の古泉君。
私の大切な仲間が2人も私と決別した。有希は何も言わないけど、
あの娘だって内心では私に不満を溜めてたはずだわ。
私の思い出、ううん、私の存在そのものだったSOS団は今崩壊しようとしている。
元はと言えば私のせいだ。誰も責められない・・・。

昼間、キョンだけは最後まで私をかばってくれてた。
思えばわたしはあいつに一番むちゃくちゃ言ってきた。私はキョンに甘えてきた。
キョンが好きだったのよ。今だから分かる。でも・・・だからこそ今のままじゃいけない。
きっとみくるちゃんと古泉君はこれからも私をいじめる。キョンはきっと1人で私をかばうわ。
集団のいじめを1人で止める人の結末は大体決まっている。
巻き添え・・・。古泉君の昼休みの言葉が浮かぶ。
『これ以上涼宮ハルヒの肩を持つなら、貴方も僕の敵として扱います。』
下手をすればいじめの矛先は私からキョンに移る。それだけは嫌!
私の最愛の人がいじめられるのを見るのは私自身がいじめられるより嫌。
キョンを助けるには・・・私自身がこの世から消えるしかない・・・。
私は今自殺サイトを巡っている。もうこれ以上キョンを巻き込みたくない。
SOS団が消えたら生きてる意味が無い。
もういい。疲れた・・・・・・。外の土砂降りは今の私の心そのもの。


172:SOS団の終焉
08/03/22 23:06:53 uU/6Zibh
突然雨の音を破って携帯が鳴り響いた。携帯を取る。
なぜだろう。私はディスプレイを見る前から誰の電話か直感的に気付いた。
「・・・もしもし。」
「遅いなぁ。さっさと出なよ電波女。」
「みくるちゃん・・・・・・。」その声からはかつての愛らしい響きは消え失せていた。
「あのさあ、話があるんだけど今から会わない?今までの事、全部清算しちゃいんです。」
「いい・・・もう私に関わらないで。」
「へえ、いいんですか?そんなこと言ってキョン君がどうなっても知りませんよ?」
キョンが!?どうして??
「みくるちゃん!キョンに何したの!?」
「さあ・・・来れば分かりますよ。すぐ来てくださいね♪新池で待ってます。」
「分かったわ、今から行く!だからお願い、キョンには手を出さないで!」
「偉そうな口聞いてんじゃねぇよ、さっさと来い電波女!!」そこで電話は切れた。
行きたくない。でもキョンが危ない!
私は両親に気付かれない様にドアを開けると土砂降りの中、傘も持たずに飛び出していった。

173:SOS団の終焉
08/03/22 23:14:36 uU/6Zibh
家から走って5分程の所にある待ち合わせの池。
ここは1年前、SOS団の映画撮影会でロケしたあの池だ。
撮影したのは池にあった桟橋みたいな場所。そこを見ると桟橋の上に1人の傘をさした人影が見える。
あれね、間違い無いわ。私は桟橋に走っていく。
「みくるちゃん!」
「どれだけ待たすのよ?おかげでハイネケン二缶開けちゃったよぉ♪」
みくるちゃんはそう言って、持っていた空缶を池に投げ捨てた。
傘もささずに走ってきた私は身体も服もずぶ濡れになっていた。
「みくるちゃん!キョンは?キョンは何処よ!?」
「そんなに焦らなくても、私の後ろにいるでしょ。」
みくるちゃんが後を指した先、桟橋の先端の広い部分に人が1人横たわっていた。
「キョン!!」
「大丈夫、バットで頭殴ったけど、気を失ってるだけよ。
もっとも、私がちょっと押して池に落とせば死ぬわねフフ・・・。」
「止めて!キョンを助けて!」「それは貴方次第ですよ。」
キョンを人質にして私を呼び寄せたみくるちゃん。用件はもう分かっていた。
「ねえ、この池覚えてるわよね?貴方は映画撮影の時、その場の思いつきだけで私を池に放り込んだわ。
この薄汚い池にね!その時どれだけ私が身体と心に傷をおったかしら。」
そうだったわね。今にして思えば私って本当に酷いことばかりしてた気がする。
「あの映画のロケでどれだけ傷心したか・・・。
それ以外にも、キモいコスプレさせたり、マスコットにされたり、
お前のいいおもちゃにされたわ。SOS団に入ってから私には地獄の毎日だった・・・。」

174:SOS団の終焉
08/03/22 23:15:56 uU/6Zibh
「みくるちゃん・・・謝る、謝るよ・・・。私どうしようもない女だよね。
許してもらえるなんて思ってないわ。だからせめてキョンだけは助けて・・・。
こんな酷いことするなんてみくるちゃんじゃ・・・」
「うるさい!!」みくるちゃんの叫びが雨の中をつんざく。
「そうやっていつもいつも、私をこういうキャラだってお前の思い込みだけで決めつけて!!
そういうとこが一番嫌いなんだよ!!」みくるちゃん・・・。
「お前はいつもそうやって自己中してる癖に、人をおもちゃにしてるくせに、
勉強が出来て運動も出来て行動力があって。私、何にも勝てなかった。
お前みたいな奴に・・・!何でも出来るお前が羨ましかった!
そんな奴にコンプレックス持つ何も出来ない駄目な自分が嫌いだった!
だから自分を変えようと努力したのに・・・やっと好きな男性が出来て、
これでやっと変われると思ったのに・・・。それをまたお前が邪魔して・・・
うっ、うう・・・。」
みくるちゃんの顔が濡れてるのは雨のせいだけじゃ無かった。
「許せない!許せない許せない許せない!!お前さえいなければ!!」
ガンッ!みくるちゃんが傘を足元に叩きつける。
「・・・死んでよ。」そう言って懐から取り出したのはサバイバルナイフ・・・。
「お前が生きてる限り私は不幸なのよ。お前さえ死ねば私は変われるんだ!」
みくるちゃんはナイフを振り上げるとこっちに突進してきた。
「わあああああああああ!!」ドスッ・・・

175:SOS団の終焉
08/03/22 23:17:39 uU/6Zibh
【みくる視点】
自分でも訳が分からなくなって、めちゃくちゃにナイフを振り回す。
激しい雨の中、私と涼宮ハルヒはくっついたまま動かない。
「・・・どうして・・・どうして避けなかったの・・・」
ナイフは彼女の胸に深々と突き刺さっていた。
涼宮ハルヒの服が見る見る赤く染め、ナイフを伝って私の手も染めた。
「お前なら、簡単に避けられたはずなのに・・・。」
「・・・かもね・・・。でも、もう終わりにしたかった・・・くっ」
胸を押さえてその場に膝をつく。
「み、みくるちゃんは・・・私と・・・一緒、だったんだよ・・・。」
な、何を分からない事を?「どうして私がお前と?」
「私は・・・みくるちゃんが羨ましかったの・・・。みんなから優しくされて・・・
心配してもらって・・・周りから変人扱いばかり・・・されてた・・・
私には・・・みくるちゃんが羨ましかった。」
そんな・・・涼宮さん。
「キョンもそう。私には文句ばかりの癖に・・・みくるちゃんにだけ優しくって・・・
私は悔しかった・・・。」
「涼宮・・・さん。」
「アハハ・・・久しぶりに・・・普通に呼んでくれたね・・・。嬉しい・・・・・・。
私・・・楽しかったよ・・・高校に入って最高の仲間に会えて・・・。」
そう言うと涼宮さんは力を失い倒れました。
「もう止めて!涼宮さん死んじゃいます!」
「いいの・・・これ以上私の思うままに生きてても・・・みんなに迷惑が・・・。
痛いよ・・・苦しいよ。でも・・・みくるちゃんも苦しんでたもんね・・・。
最後のお願い・・・。私が死んでも・・・それは全て受け止めて、乗り越えて・・・!
そうすれば・・・みくるちゃんは変われる・・・。誰よりも優しい人に・・・。」
「分かったから!分かりましたから!死なないで下さい、涼宮さん!!」
息も途切れ途切れ・・・もう喋らないで!
「みくるちゃん・・・自信を持って・・・。みくるちゃんは・・・
本当は誰よりも・・・強くて優しい娘・・・・・・。」
・・・・・・。嘘・・・でしょ?
「涼宮さん!目を開けて!死なないで下さい!!」
けれど涼宮さんはもう答えなかった・・・。
「涼宮さん!涼宮さん!」
降りしきる雨の中、こんなに呼んでるのに・・・私のそばにいるのに・・・。
「涼宮さん!いやあああああああああああ!!」完


176:SOS団の終焉
08/03/22 23:20:21 uU/6Zibh
エンディング 歌詞が最後のハルヒとみくるに一番合ってたので。
URLリンク(www.youtube.com)
後の画像は無視で・・・。

177:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 23:22:33 legLL7E/
・・・なかなかなEND・・・なのか?
結構楽しめました

178:SOS団の終焉
08/03/22 23:22:56 uU/6Zibh
【エピローグ 長門視点】
もうすぐ年越しと呼ばれる時期になる。涼宮ハルヒが死んで1ヶ月が経つ。
彼女が刺された時、私はマンションの自室で事態を全て把握していた。何も出来ずに。
その時、私は初めて涙と言うものを流した。
偽りの生命なはずの私に悲しみという感情があったのか・・・。
私は最後まで何1つ手出しすることを許可されなかった。
涼宮ハルヒの観察という任務をこれほど邪魔に感じたことはない。
そして、そうまでして涼宮ハルヒの情報爆発による進化の過程のヒントを求めていた
情報統合思念体の期待と裏腹に、涼宮ハルヒが死んでも世界は何も変化が起こらなかった。
4年前に観測されたあの情報爆発は一体何だったのか?
回答を見出せないまま失望した情報統合思念体は、観測価値を失った地球を去っていった。
そのため地球に駐在していたインターフェイスも皆消去され情報生命体に戻った。
私も他のインターフェイス同様に消去される予定だった。

しかし私はあえてそれを拒否した。
この身体のまま地球に残ると申請し、条件付きで残ることが許された。


179:SOS団の終焉
08/03/22 23:24:31 uU/6Zibh
他の元SOS団員のその後にも触れておく。
朝比奈みくるはあの後警察署に行き、全てを自首した。現在も服役中。
TPDDを使用すればすぐに未来に逃げられるはずだが、彼女はあえて刑期を終えるまで服役するそうだ。
未来に帰れば更に命令違反の重罪で厳罰が下るだろうが、彼女はそれも全て受ける覚悟でいる。
あの朝比奈みくるの異時間同位体は全ての罰を乗り越えた姿なのだろう。

古泉一樹は事件の数日後に転校した。橘京子闇打ち事件は涼宮ハルヒの仕業では無かった。
更に謝るべき相手の涼宮ハルヒはこの世にいない。
そうした事実に古泉一樹の精神は限界に達したのだと思われる。
誰にも告げずにこの街を去っていった。もう2度と私達の前に姿を見せることは無いだろう。

こうして涼宮ハルヒの作り上げたSOS団は涼宮ハルヒの死によって終焉を迎えた。
『宇宙人未来人超能力者と遊びたい』涼宮ハルヒの願望が具現化されたSOS団。
しかし固いと思われた絆はあっけなく崩壊した。私達の友情は危ういバランスの上にあったのだ。
ふとしたきっかけで、すぐに崩れ去ってしまう・・・。
けれど1つだけまだ残された絆がある。一見最も薄そうでいて最も厚かった絆が・・・。


180:SOS団の終焉
08/03/22 23:26:31 uU/6Zibh
昼休み、私は今学校の中庭にいる。中庭にある木の下。そこに今日も彼はいた。
「・・・なんだ長門か。・・・いつ以来だお前の顔見るの?」「139時間ぶり。」
「お前の説明は相変わらず分かり辛いな・・・。」興味無さそうにそっぽを向く彼。
涼宮ハルヒの死以降、彼は変わってしまった。
涼宮ハルヒが殺された時、一番近くにいながら気を失っていたせいで助けられなかった。
その罪悪感から彼は塞ぎこみ、他人との接触を一切拒むようになってしまった。
クラスメイトとさえ最近は全く会話していない様だ。学校に来ない日も珍しくない。
このままでは遠からず彼は駄目になる。私が情報統合思念体に地球に残ると要請した理由がこれだ。
彼を助けたい。彼は何度も私の危機を救った。今度は私が彼を助ける。
「・・・・・・。」「な、なんだよ長門?」
気付いたら私は彼を抱きしめていた。今の私にはこれしかしてあげる事が無いから・・・。

地球に残るにあたり情報統合思念体が提示した条件、
それはインターフェイスとしての能力を全て排除する事。
地球を捨てる以上、インターフェイス等置いても意味が無いからだ。
つまり今の私は特殊な能力の無くなったただの女子高生。
構わない。むしろ私の望む結果と言える。
やっと人間として彼に接することが出来るのだから・・・。
私は彼を愛していた。けれど涼宮ハルヒも彼を愛してるのを知ってる以上彼に想いは伝えられない。
そもそも人間でない私にそれを言う資格などない。けれど今は涼宮ハルヒはいない。
彼を救える人間も誰もいない。もう私の想いを妨げる要素は一切無かった。
涼宮ハルヒの死に涙したと言いながら、反面で満足している自分が嫌いになる時もある。
涼宮ハルヒの死も、SOS団の終焉も全部私の望んだ結果では無かったのか?
私は人間としては恐らく最低な部類に属するだろう。
けれどそれでもいい。彼のそばにいられるのなら。
だから私は言わずにいられなかった。
「貴方を・・・・・・愛してる・・・。誰よりも・・・・・・。」


181:SOS団の終焉
08/03/22 23:27:59 uU/6Zibh
長々と書き続けてきたがこれで終わりです。
最後の長門のエンディングは蛇足だった気もするが。

今後はしばらく読む側に回って楽しみたい。

182:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 23:33:56 legLL7E/
お疲れ様でしたm(__)m

183:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:26:42 24Fqe91T
>>181


んじゃ、>>163氏の続きが投下されるまでのツナギとして俺の作品でも読んでみてください


題名【谷口テクニック】
よう、みんな。俺だよ俺。天下のナンパ師谷口だよ。
今日はな、天からのお告げだか虫の知らせなのかは知らんが、俺の脳みそはある電波を受信しちまった。
そう、それは何かと言うと
『お前は教室に忘れ物をした』
という電波だ。そしてさらにオマケで
『今のタイミングで戻れば貴重な体験。そしていいおもいも出来る』
という電波も受信しちまったわけだ。
この俺が受信した電波だ。間違いなどあるはずがない。
きっとAAランクプラスの朝倉、もしくはAランクマイナーの長門あたりが教室にいて、
『谷口くん、私ずっとあなたのことが…』
ほっほーい!ちょ俺自重

てな事になるに違いない。
男谷口。据え膳食わぬ訳にはいかない。
という事で、だ。俺は閉められた教室のドアを勢いよく開けることにした。
ついでに女をイチコロにする俺自慢の鼻歌も忘れはしない。
よし、入るか。
俺、参上。
「WAWAWA忘れ物」
ぬぉわ!ちょっと待てよ!話が違うぜ…。
オイオイ…なんで朝倉や長門じゃないんだ…。最低でも涼宮ぐらいにしておいてくれよ…。
つかなんでキョンと、あれは確か最近涼宮が作った変な部活に入部してた転校生の古泉とかいったな。で、その二人がこんな所で…、しかもこんな事を…。
見損なったぜキョン。お前はそういう趣味があったのか…。
変なことされる前に俺は退散するか…。
「すまん、ごゆっくり~!」

184:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:27:25 24Fqe91T
へっへ~ん。逃げるが勝ちってな。
ここまでくればもう安全だろ。しかし今日は嫌なモン見ちまった。
よりにもよってあんな濃厚な…オエッ…考えただけでも反吐が出そうだぜ。
今日ははやく帰って寝るとするか。
はぁ、今日も下駄箱には何にもなしかよ…。いい加減俺の魅力に気付いてくれる女子はいないのかよ…
ってキョン!なんでお前がここに!?
オイ待て、話せばわかるって…。だからこれ以上近付くな…。
うわあっ!テメェ一体俺をドコへ連れて行きやがるつもりだ!

視聴覚室?
テメェこんな所で一体何を!
いてぇな…。そんな勢いよく放り込む事ねぇだろ。
しかも薄暗くて何も見えねぇ… 。
うおっ、まぶしっ!
電気付けるなら俺を放り込む前に付けやがれ。
って古泉。お前なんでこんな所に!?
いるんだったら電気ぐらい付けとけよ。まったくコイツも悪趣味な奴だ。さすが涼宮に勧誘されるだけあるぜ。
ん?背後から殺気が!
オイキョン!パイプ椅子なんか振り上げて一体何しようってんだよ。まさかソイツで俺の頭を…ぬぉわ!

………
……


いってぇ…。頭がジンジンしやがる。しかも電気まで消しやがって…。畜生。キョンのヤロウ覚えてろよ…。
ん?なんだ?手足の自由が利かねぇぞ。って待てよ!一体なんだこりゃ!
なんで俺がロープで机に貼り付けにされてんだ!?
畜生、しかもよりによってこんな格好で…。

あ?俺がどんな格好で貼り付けにされてるか知りたいだと?

185:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:28:33 24Fqe91T
仕方ねぇな教えてやるよ。
俺は今まさに普通のどこにでも教室の机に仰向けに載せられ、机から伸びる足にそれぞれの四肢を一本づつ荒縄でくくり付けられてやがる。
簡単に言えば逆コの字の体制だ。俺って意外と体が柔らかかったんだな。
くそぉ…しかし情けねぇ…。せめてこのおっぴろげられた股を閉じたいぜ。
そうだ。そういえば奴らはどこに行った?
暗くて何も見えねえ…。
クソ、今日ははやく帰りてぇのによ。マジアイツら許さねぇからな。

「ぬぉわ!」
突如視聴覚室の扉が開き、横から強烈な光が俺を照らしやがった。
畜生驚かせやがって!

「おい!テメェら一体俺をどうするつもりだ!!」

………。

あれ?なんか様子がおかしいぞ。
俺は首を思いっきりひん曲げて光が射すほうを見てみた。
ん?待てよ。なんで岡部が!?
「おい谷口。お前こんなとこで何やってんだ!」
「待って下さい!これには深い事情が」
「言い訳はいい、お前何時だと思ってんだ!もう夜の10時だぞ!」
何!?アイツら俺を放置して帰りやがったってのか!?
「ほら、何してる!さっさと帰れ!」
オイオイ無茶言うなよ。こんな状態なのに帰れるわけねーだろ。

俺は岡部に縄を解いてもらい、ようやく愛しの帰路についた。
岡部がたまたま学校の見回りをしてくれていて助かったぜ。

186:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:29:11 vWE3yXLw
乙です。
もしかしてらき☆すたのSSも書いてた人かな?
こなたが死ぬやつなんだけど。

187:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:29:55 24Fqe91T
で、次の日。
昨日あんなことあったし学校を休みたかった所だが。俺は母親につまみ出されるように学校に行かされる羽目になっちまった。

しかし胸糞悪い。何がだって?決まってるだろ。キョンだよキョン。あの野郎。昨日はあんな事した挙げ句放置プレイまでしやがって。
しかも今日は何だ。昨日の出来事はどこ吹く風でいきなり朝俺に挨拶までしてきやがった。
そして今は昼休み。俺達はいつもの三人で仲良くランチタイムって奴だ。
おい国木田。騙されんなよ。コイツは今だからこそ普通にお前と喋ってはいるが、とてつもなく恐ろしい奴なんだぞ?
これは嘘じゃねぇ。俺の実体験をもとにしているんだ。
コイツがいなけりゃ今にでも国木田、お前に教えてるとこだぜ。

で、放課後だ。
俺は今昨日と同じ視聴覚室にいる。
授業が終わるなりキョンの野郎がいきなり俺をここに引っ張り出しやがった。
「キョン。もういい加減にしてくれ。昨日あった事は誰にも言ったりしねぇよ。だからさ…」
クソ、古泉と一緒になってニタニタしやがって。俺の話は無視かよ。
オイ何だよ!いきなり張り倒す事ねえだろ…。
ん、なんだって?助けてもいいが朝比奈さんを…。そ、そんな事出来るわけねーだろ!
ふざけんのも大概に…うわっ!いってぇ。ムチで叩く事ねぇだろ…。てかそのムチどこから…。
オイ次は何だ!?古泉、止めてくれ!ロープでまた俺の手足を縛ろうってのか!頼む。勘弁してくれ!
わかった!わかったやるよ!やればいいんだろ!
というわけで俺は今、学校の門の前で朝比奈さんを襲撃する準備をしているんだが、一向に来る気配がねぇ。
もう夜の9時だぜ?いくら明日が休みだからって涼宮達はこんな時間まで残ってるのか?
それにそろそろ用も足したくなってきたし…。
「なあキョン。もう俺帰っていいか?頼むよ。来週の月曜に絶対やるからさ…」
何だよキョン。ニヤニヤしながら近づいてきてよ…。
え?
「 や ら な い か 」
キョン。やらないかって何をだよ…。

188:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:30:52 24Fqe91T
ちょっ!古泉。いきなり手を引っ張るなよ!
オイオイ、俺は一体どこに連れていかれちまうんだ…?

………
……


そうして、俺がキョン達に連れて行かれたのは、近所でも有名なハッテン場のトイレだった。
トイレに入るなり、俺はキョン達に素裸に剥かれちまった。
「キョン。一体ここで何を…」
「よかったのか、ホイホイ付いて来て」
てめぇらが勝手に連れてきたんだろうが。
「僕たちはノンケでも構わず食べてしまう人間なんですよ?」
知らねぇよ。頼むから今日は返してくれよ。
「わかったからさぁ、さっきも言ったが朝比奈さんの件は月曜日に…」
「嬉しいことを言ってくれるではないですか」
だから人の話を聞けって!
ぬぅわ!
「それじゃあ、とことん喜ばせてやるか」
言葉通りに、キョンはすばらしいテクニシャンだった。
俺はというと、精神に与えられる恐怖の波に身を震わせて悶えていた。
しかしその時、予期せぬ出来事が…
「うっ……出そう……」
「ん。もうか?意外に早いんだな」
「ち、違う。実はさっきから小便がしたかったんだ…。帰ろうとしたのもそのためで…」
「そうか…。いい事思いついた。お前、俺のケツの中でションベンしろ」
「えーっ!ケツの中にか!?」
「男は度胸!何でも試してみるものさ。きっといい気持ちだぜ。ほら、遠慮しないで入れてみろ」
キョンはそう言うと、素肌にまとった制服を脱ぎ捨て、たくましい尻を俺の前に突き出しやがった。
自分の肛門の中に小便をさせるなんて、なんて野郎だ。
しかし、キョンの鬼のような形相を見た俺は、死にたくないという生存本能が…。
「それじゃ…やるよ……」
ズズッ
ズッ
「は、入ったぜ…」
「ああ、次はションベンだ」
「それじゃ、出すぜ……」
シャーッ
チュチューッ
「いいぞ、腹の中にどんどん入ってくるのがわかるよ」
チューッ
「しっかり、ケツの穴を閉めとかないとな」
「くうっ……」

189:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:31:34 24Fqe91T
この初めての体験は、今までには計り知れない恐怖と絶望感を俺にもたらした。
あまりに激しい恐怖に、小便を出し切ったと同時に俺のペニスは、肛門の尿の海にあっけなく果てちまった。
「この分だと相当我慢してたみたいだな。腹ん中がパンパンだぜ」
はぁ……。
「どうした?」
「あ、あまりに気持ちよくてな……。こ、こんな事したの初めてだからよ………」
「だろうな。俺もお前とは初めてだ」
「ところで、僕のキンタマを見て下さい。コレをどう思いますか?」
なんだよ古泉いきなり…。
「すごく…大きいな……」
これでいいだろ。だからもう帰してくれ…。
「デカいのはいいですから、二人の行為を見てしまっては、僕も収まりがつかないんですよ」
「ああっ……!?」
「今度は僕の番ですよ」
もう、やめてくれ…。
「いいですね。よく閉まって吸い付いてきますよ」
「で、出ちまう……」
「どうしたのです?先程出したばかりなのに、もう出てしまうというのですか?性欲絶倫なんですね」
「ち、ちげぇよ……」
「何です!?今度はウンコですか!?あなた、僕をバキュームカーか何かと勘違いしてるのでは?」
「しーましェーん!!」
「仕方ないですね。いいですよ。僕が栓をしておきますから、このままどうぞ?」
「ああ、クソまみれでやるのもいいかもしれないな」
「えーっ!?」

と、こんなわけで俺の初めてのイジメ(ハッテン場)体験はくそみそな結果に終わっちまった…。


fin

190:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:45:13 y7XPtof5
夜中に笑わすなwwwwww
面白かった。乙

191:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 01:58:53 SJ7WEaEC
なんといういじめ

192:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 02:02:23 zsUG6AcR
性的いじめwwwwwwwwwww

口直しってレベルじゃねーぞ!

193:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 02:42:02 Fg/310Fd
いじめっていうから相当酷いことやってんのかなって
思ってこのスレ開いたけどそうでもなかった
SOS団の終焉に限ってはね。

ハルヒ関連のSSでこんなに感動したのはこれが始めてだ。
ただ、あのあとハルヒを病院にみくるが連れて行って
奇跡的に助かったっていうほうが良かったかも。

194:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 08:20:53 L+Oshug1
>>176
乙です!
すばらしかったです!!

195:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 08:25:28 L+Oshug1
>>189
も乙

196:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 11:58:42 eGe3rAbz
涙からネタまで提供してくれる、何だこのスレは(w

>>181
乙でした。
これは予想外の結末だった。
みくるがここまで策謀を巡らすなんて・・・。
ちょっとした推理ものの気分で楽しめました。

197:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 14:53:07 L+Oshug1
>>181

でも、
ハイネケンで吹いたww

198:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/23 17:52:51 Ds9Si3Us
>>181
不覚ながら感動した
ギャグSSでよく見るネタがたまに混じるのが今まで楽しく過ごしてたんだなぁ、と
感慨を感じると共に鬱展開のギャップが際立つね。
実はみくるいじめに転換するのかと予想してた、罪を背負って生きるのもハルヒかと。
あとキャラが下衆ではなくて狂ってはいるが根はわりとまともなのが切ないね。
でも長門はヤンデレになるのかな?

>>189
不覚ながら吹いたw
でもホモに迫られるのって普通の男にとっちゃいじめより怖いよなw
テラくそみそwww

199:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 01:03:10 jyoVLACp
では、こっそり>>163からの続き投下してみる



 ますますやるせないぜ…。
 まあ朝倉が笑顔で「大丈夫だよ」って言ってくれたし、そのお言葉を有り難く頂戴しておくか。
 そういや昨日の喫茶店代も払ってないじゃないか…。小遣いが入り次第至急返金しよう。

 店員にやる気の無いお送りの常套句を聞かされ店を出た俺は、一気に血の気が引いた。まるで親に見られたくないものを見つけられてしまった時と感覚が似ている。
 そう、何を隠そう俺の目と鼻の先には、いつもの四人組がいたからである。
 さらに、あろう事かハルヒは仁王立ちを決め込み、俺のほうをサバンナで獲物を捕らえようとしているライオンがごとき
鋭い眼差しで睨みを利かせている。長門と古泉はいつもの表情そのものだったが、どこか威圧的で軽蔑的なオーラを放って
いるようにさえ感じる。これが俺の思い込みなのか否かは定かではない。朝比奈さんは相変わらずだな。ハルヒと俺の顔を
交互に見てオドオドしている。いやー、この人はいつもお決まりの反応をしてくれるので実に助かる。やっぱり自分の予測
範囲内で行動してくれる人間が一人ぐらい居てくれないとな。
 なんて、考えている場合では無さそうだ。ハルヒが腕を組んだまま、俺たちの方ににじり寄ってきた。
 ハルヒに何を言われるか予想し、それにどう抵抗するかをオーバーレブ寸前に脳みそをフル回転させていたまさにその時。
「アンタ、一体どういうつもりなの?!」
 ハルヒの怒号が俺の左横に飛んで行った。
 そう、朝倉の方向にである。
「へ?」
 すっかり拍子抜けしてしまった俺の口から間抜けな声が飛び出る。
 その声を聞いたのか聞いてないのかは知らんが、ハルヒは俺に一別をくれて再び朝倉に厳つい視線を浴びせる。
「どういうつもり…って、一体何が?」
 朝倉はいつもと変わらぬ笑みを浮かべ返した。
 するとハルヒはもう一度俺に視線の照準を合わせ、
「何がじゃないでしょ。どうしてアンタがこいつと一緒にいるのよ」
 隣から、
「だって、今日はわたしと一緒に帰ろう。ってわたしが誘ったんだもの」
 と、いつも通りの朝倉の爽やかな声が飛ぶ。
 俺はハルヒの鬼のような眼光から目を背けそっぽを向いた。仕方ないだろ、あんな殺気に満ちあふれた形相をしている奴とにらめっこ出来る奴がいるなら、是非
名乗り出てほしいものだ。まあ居るはずないだろうが。

 ハルヒは俺がそっぽを向いてから一、二呼吸置きぐらいした後にわざとらしく大きな溜め息をつき、
「あっそう。もういいわよ」
 振り返りざまにそう言い残し、SOS団の連中の元へ戻って行き、いつものやかましい声で、
「みんな! 帰るわよ!」
 という言葉を俺の耳に残し、ハルヒ達の背中は街の喧騒に消えた。
 あいつらの姿が完全に見えなくなってから、俺も朝倉と別れ家路についた。
 帰り際に朝倉が言ってくれた、
「よかったね。涼宮さん達から離れることが出来て」
 という言葉に、何故かわからなかったが俺は素直に喜ぶことが出来なかった。
 俺の心には、まるで喉につっかえた魚の骨みたいに胸糞悪いものが残った感覚がした。

200:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 01:04:54 jyoVLACp
 そして次の日の朝、なんだか目覚めがすごく悪い。いつものように妹から無理矢理起こされたから、というのもあるのだが…。やはり夜更かしはよくないな。
 しかし、俺だって好きで夜更かしなどしていたわけじゃない。喉につっかえた魚の骨が、いくら水を飲んでも取れなかったせいだ。
 それに喉に骨がつっかえてる感覚が未だにする。これ程に調子の悪い朝は生まれて初めてだ。

 石のように重たい体をなんとか起こし、重労働かのような朝の支度を済ませて学校へ向かっている最中、いつものアイツが話しかけてきた。
「よう、キョン」
 今のグロッキーな状態でこいつと肩を並べて歩くのは非常に過酷だ。出来れば一人にしていただきたい。
 しかし、こいつはそんな切なる願いを無視し、いつもの谷口節を利かせて延々と喋ってやがる。
 俺はというと、ひたすらこいつの演説に適当な相槌を打つだけである。
「オイ聞いてんのかキョン?」
「ああ、聞いてるよ。昨日言ってた女子の話だろ?」
こいつの言いたいことなんざ聞いてなくてもわかるさ。女の話、次点に涼宮の数知れぬ蛮行に対する愚痴と陰口、そして先生への不満。こんなところだろう。
「ちげーよ、その話はさっき終わった。涼宮だよ涼宮」
 そんなにハルヒが好きならSOS団にでも入団すればいいじゃないか、きっと仲良くなれるぞ。嫌気がさすぐらいにな。

谷口との無意味な話、というか演説を聞かされ教室に行くと、朝倉が笑顔で出迎えてくれた。
「おはよう」
 俺も軽くおはようと返し、自分の席へと足を進める。
 そう、いつもハルヒが後ろで待ち構えている俺の席に。
 しかし今日はいつもと違っていた。そう、カバンはあるがハルヒの姿が無い。それどころか机の様子もおかしい。
 どうしてハルヒの席にクシャクシャになった紙が乗せられているのだろうか。
 まあ、あいつの事だ。なんか下らない考察でもまとめていたのだろう。そして没になった考察をクシャクシャにして机の上にでも放置しているのだろう。
 それに今あいつがいないのは、紙を全部使い果たして印刷室にでも用紙をかっさらいに行ってるのか、完成した考察をあいつらに渡すためにコピーしに行ってるのか。のどっちかだろうな。
って、俺は何考えてるのだろうか、あいつとはもう何も関係無いというのに…。

 谷口や国木田の話しをしながら始業のベルを待っていると、始業のベルと同時にハルヒが教室に入ってきた。
 それと同時に、谷口も国木田に誘われるように自分の席へ戻っていく。
 先生が教室に来たのもそれからまもなくしてだった。
 それまで、俺とハルヒの間に会話は無かった。
 無論会話したくないが故にハルヒが後ろで何をしていたか、どんな体制で先生を待ち構えているのか、知る由もない。
 朝のホームルームの最中、先生はある提案を出してきた。それは何かと言うと、
「最近、授業中にも関わらずお前達がうるさいといろいろな先生から苦情があってな」
 あからさまにこっちのほうを見て言わないで頂きたい。
「せっかく朝倉も戻ってきたことだし、席替えでもするか。心機一転。これでお前達も心を入れ替え、真面目に授業を受けるんだぞ」
 まあこっちとしても都合がいいな。もしや後ろの奴とも離れられるチャンスだし。

201:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 01:07:02 jyoVLACp
 というわけで席替えをしたのだが、どういう訳かハルヒはいつものポールポジションを外さない。さすが神様、進化の可能性、時空の歪みと言った所だ。
でもって俺はというと、どういう訳かハルヒとは一番離れた席。つまり廊下側の一番前の席に選ばれた。
これで今度こそ、さらばハルヒ、フォーエバーと言ったやつだ。

 しかし俺はまだこの時、この居慣れたクラスが今まで俺が知っていたクラスとはまったく別のクラスになっていた事にまったく気付いてなかった。
 俺が異変に気付き始めたのは昼休みになってからである。
 谷口や国木田と机を囲みながらご飯を食べていた時の事である。
 いつもなら学食に行っているであろうハルヒが教室にいた。しかも机に頭を突っ伏せている。
 珍しい事もあったものだ。財布を持ってくるのでも忘れたのだろうか。
 そんな時だった。数人の女子がハルヒに話しかけた。ここからじゃ話の内容はよく聞き取れなかったが、なんかハルヒの事を心配している様子だ。
 どうしたんだ。今まではハルヒなんかと話そうとする奴も居なかったのに。それにこういうのは朝倉の役目じゃなかったのか。
 俺は教室を少し見渡し、朝倉たちが仲睦まじくお弁当を並べているグループに目をやった。
 朝倉は俺の視線を感じ取ったのか、こっちのほうを向いて微笑みを返す。
 なんだか隣がやかましい。そう谷口だ。谷口は朝倉の笑顔を見るなり
「やっぱいいよな朝倉。前にも言ったがアイツはAAランク+の…」
 また始まったよ。女評論と恋愛指南をするのはいいが、それを少しは実践で役立てたらどうだ。
 俺は谷口の話に耳を傾けるふりをしながらハルヒが居る席のほうに今一度目をやった。
 しかし、さっきまでいたハルヒと女子達の姿は消えていた。どこへ行ってしまったのだろうか。ハルヒの事だろうから、
恐らく「あんた達、あたしに学食の一つや二つおごりなさいよ!」とでも脅して飯を奢らせているのだろう。
さっきの女子達気が弱そうな連中しか居なかったからな。ほら見ろ、ハルヒと関わるとロクな事がないんだよ。
 すると、いきなり心地のいい透き通った声が上から降ってきた。
「どうしたの。わたしの話してるみたいだけど?」
 振り向くと当然ながら朝倉がそこにいた。
 俺の方を見てそんな事言われても困る。お前の話をしていたのは、今俺の前ですっかり黙り込んでだらしない馬鹿面を浮かべている谷口であって、俺じゃないんだからな。
「いったいどんな噂話してたの。教えてよ」
 だから俺に言われても困る。
「いや、お前の噂話をしていたのは谷口であって俺じゃない。聞くなら谷口に聞いてくれ」
 それを聞くなり谷口は、
「あのーっ…変な話じゃなくて! あのですね。朝倉さんは可愛いなって話をですね…。な、国木田?」
 オイオイ、さっきまでの威勢はどうした。偉そうに恋愛講座を開講してたのはドコの誰だよ。
「え? 僕に振られても困るよ」
 ほら、無茶振りするから国木田も困ってるだろ。やれやれ
「まあ、ともかく変な話じゃないから安心してくれ。あそこの女子達も待ってるぞ。だから戻ってくれ」
 朝倉は少し悩ましい表情をした後すぐ笑顔に戻り、
「うん、わかった。あっ、それとキョンくん。今日、一緒に帰ろう?」
 まあ、これから俺は晴れて自由の身だしな。まあ別にいいだろう。
 俺は朝倉に快くオーケーの返事を出した。
 すると朝倉は、
「ありがとう」
 と言いながら首を少し横に傾げてウインクをして、朝倉を待つ女子の元へ、その流れるようなロングヘアーをなびかせ戻っていった。

202:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 01:08:11 jyoVLACp
 この時、俺が底知れぬ優越感に浸ったのは言うまでも無い。
「俺たち、友達だよな!
 無論、このセリフを吐いたのは谷口である。
 やっぱこいつはアホだ。

 しばらくして、涼宮に話しかけていた女子達が戻ってきたのだが、そこに涼宮の姿は無かった。
 まあ差し詰め、金を渡すなり、「あんた達の役目は終わったわ! さっさと帰りなさい!」とでも言われて追い返されたのだろう。
 何故かあいつらが笑っているのは気掛かりだが…。まあ、ハルヒの陰口にすっかり花が咲いて盛り上がりでもしていたのだろうか…。
 まあいい、考えるだけ無駄だ。ハルヒと俺はもう無関係。赤の他人なんだからな。
 結局ハルヒは放課後まで戻ってこなかった。部活動に熱心なのはいいが、少しは社会のマナーというのを考えたらどうだ。
ていうかあいつがSOS団の活動をしていたと決まったわけではないが、きっとあいつなら恐らくそうに違いない。
 それより先生、不良高校生を取り締まるそぶりを少しは見せたらどうです? 確かにあいつは言って聞くような人間じゃ無いけど、カバンはあるのに生徒がいないという
謎の机の存在を、少しは指摘してもいいとは思うんですが…。

 で、放課後である。俺は今、約束通り朝倉と肩を並べて下校をしているわけなのだが。何故か嬉しくない。それは、と言うと谷口や国木田までもがいるからだ。
 特に谷口。お前は何だ。本来俺の役割である朝倉との会話を奪いやがって。
 何が「朝倉さんて本当に頭がいいんスね」だよ。以前お前が偉そうに述べていた。
女は一気にガツンと落とすのが鉄則。
という教えはどうしたんだ。忘れたとは言わさんぞ。
 まあ仕方ない、俺は国木田と話すか。そういやこいつらと一緒に帰るのも久々だしな。
 そんな時だった。前方目測約10m付近に、見覚えのある栗毛のふわふわロングヘアーと、深緑のベリーベリーロングヘアーの二人がユサユサと髪をなびかせながら歩いているじゃないか。
 一瞬話しかけようとも思ったが、何せ間合いがありすぎるし、第一俺もう、あの二人とは無関係の人間なんだ。
もう一度言うが、俺はSOS団とは無関係、赤の他人なんだからな。
あの美味しいお茶を飲めなくなるのと、可愛らしいメイド姿を拝見出来なくなるのは残念だが…。これから普通の高校生としての人生を贈ることが出来るなら、
それぐらいのリスクも仕方ないだろうし、我慢も出来る。
 しかし、鶴屋さんはいいとして、どうして朝比奈さんもこんな早い時間に帰ってしまっているのだろう。ハルヒの気まぐれで本日は休部にでもなったのか?
まあいい。しつこいようだが、もう一度言わせてもらう。
 俺とSOS団は無関係、全くもって赤の他人だ。

203:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 01:24:21 V2goddyI
wktk

204:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 02:31:12 jSc3eOFW
なんという生殺し
しかしキョン。これはいいツンデレww
頼む、はやく続きを投下してくれ

205:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 07:22:11 wk7DnJi0
>>202
続き頼む

206:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 17:30:01 C0Wjo664
流石……。

207:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 20:51:48 fF/vobAP
消失世界みたいな・・・。

208:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 22:08:28 jyoVLACp
なかなか完結しないし投稿遅くてすまん

では>>202からの続きをちっと


 そして次の朝。俺はいつもより早い時間に学校へ向かった。それは何故かと言うと。
 俺の憂鬱な朝は妹の顔を見て始まる。しかし今日は違っていた。
俺を夢から現実に引き戻してくれたのは、ウチのペットであり妹の友達でもある猫のシャミセンだった。
あろう事かシャミセンは俺の顔を寝床にしようとしていたのだ。吸入口を塞がれた俺は、呼吸困難のお陰で夢から醒め、
6時30分という何とも微妙な時間に起きた。いや起こされた俺は、このまま再び床に就いたら寝過ごしてしまうだろうと踏んでそのまま起きていたのである。
 まあ、俺を起こそうと部屋に入ったのであろう妹の驚いた表情を見れたのでまあいいとしよう。
 とりあえず俺のどうでもいい朝の出来事を語るのはこれぐらいにして、先程も述べたが、俺は今いつもより早く学校へ向かっている。
 そんな時だった。俺のすぐ前をまたもや栗毛色のロングヘアーが、ひょこひょこと可愛い歩調で歩いているでは無いか。
 何を血迷ったか、ついつい俺は、その栗毛色のロングヘアーの持ち主もとい朝比奈さんに話し掛けてしまっていた。
「お、おはようございます朝比奈さん」
 少し控えめな感じで、軽く会釈までする俺。
 朝比奈さんは立ち止まり、ちょっとキョトンとした表情を浮かべ、
「あ、はあ…。おはようございます…」
 こちらも俺と同じように少し控えめな感じで、さらに会釈を返し、何事も無かったかのようにまた前を向いて歩き出してしまった。
さっきまでの歩調より少し速いのは気のせいだろうか。
 しかし今の反応は気掛かりだ。普段なら「あ、キョンくんおはようございましゅ~」などとエンジェルボイスとキューティースマイルを俺に向けてくれるはずなのに。
もしやハルヒの奴、朝比奈さんに俺を無視するように吹き込んだか…。
だとしたら許す事は出来ないな。朝比奈みくるファンクラブがあったとしたら、会員NO.00番になりたいぐらい慕っているこの俺に、こんな仕打ちをするとは。
「よう、キョン」
 あ? なんだ谷口か。
「どうしたよキョン。こんな所で馬鹿みたいに立ち止まってよ」
 どうでもいいだろ。てかお前にだけは馬鹿とは言われたくないぞ。
 しかし、いつもより15分は早く来ているというのに、なんでお前がこんな時間に登校してるんだ?
「それがよ~キョン聞いてくれよ。俺はいつもみてぇに目覚まし時計に起こされたんだよ。だがな。何故かいつもの時間とちげーんだ。だから早く来たってわけさ」
 つまりなんだ。目覚ましのタイマー設定を間違えて、せっかく早起きしたから、学校にも早く来たって訳だな。
 こいつらしいと言ったらこいつらしい理由だ。
「そういやお前も早いよな。どうしたんだ?」
 なんとなくこいつには朝の出来事を話したくなかった俺は、適当に。
「たまにはな」
 と返しておくとしよう。
「なんだキョン。実は言えない理由でもあるんだろ?」
 まったく面倒くさい奴だ。
「ねーよ」
「隠すなよ」
 こんな下らない掛け合いをしているうちに教室についた俺は、新しい席と今までの席を間違えぬよう注意し、新しい我が席に腰を下ろした。
 しばらくすると、ほかのクラスメイトたちも順々にわらわらと入って来た。

209:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 22:09:57 jyoVLACp
 その中の女子の団体様の中から
「おはよう」
 という声が。そう、谷口の大好物こと朝倉である。
 挨拶と同時にこっちに笑顔を向けてくれたのは気のせいなどではないと信じたい。
 朝倉は自分の席にカバンを置くなり、すぐに他の仲間たちが恋しそうに待つ女子達の輪の中に埋もれていった。
 それからまもなくして、ハルヒも教室へと入ってきた。しかも他の女子達と一緒にである。さらに驚いたことに、昨日話し掛けられていた女子達とはまた別の女子達とである。
 さらに驚くのはこれだけではない。ハルヒのトレードマークとも言うべきリボン付きカチューシャがあいつの頭には装着されていなかった。
そう、まさに何も乗っていないまんま素の状態だったのである。
 あいつカチューシャ取るとあんな感じだったんだな。って、俺は何を考えているのだろうか。ハルヒがカチューシャを取ろうが取るまいが関係無いじゃないか。
って、またまた論点が違う。カチューシャがどうとか以前に、いつの間にあいつは様々な女子と交流を持つような社交的な性格に変貌してしまったんだ?
 そんな事を考えているうちにハルヒは、さっきの女子達と昨日同様どこかへ去って行ってしまった。
 しかし、いくら社交的になっても、あいつのぶっきらぼうな面は変わらないんだな。
「おはよう、今日は二人とも早いんだね」
 そう話し掛けてきたのは国木田である。
「ああ、たまにはな」
 国木田になら朝の出来事を話してもいいと思ったが、谷口がいたのでやはり黙っておこう。
 谷口は谷口で自慢げに今朝の事を話してるし、まあ黙って聞いておくか。
 まあそんなこんなをしているうちに始業のベルが鳴り、先生も教室に入ってきたので、それぞれは黒板の方を向いた。
 そういやハルヒがまだ来てないな。さっき一緒に出掛けた女子達はいつの間にか帰ってきてるというのに。しかもまた先生は無視してホームルーム続けてやがるし。

 こうして、結局ハルヒが教室に戻ってきたのは俺達が昼飯を食べ終え、さっき俺達三人の話の輪に交じってきた朝倉等と会話をしているときである。

210:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/24 22:11:01 jyoVLACp
 しかしあいつは午前中何をしてたんだ? 制服をあんなに汚して。しかもどこか湿っている気もする。
 おっ、そうか。これで線が一本につながったぞ。俺の考察はこうだ。
 朝。ハルヒは数名の女子を連れ出し、裏山の森かどこかへ行き、「あんた達も一緒に不思議を探すわよ!」などとがやり付け、ハルヒは先陣を切って不思議を探しに行った。
ハルヒの蛮行を見た女子達は、呆れかえって帰ってきてしまった。しかしハルヒはそんな事とはつゆ知らず、一人で不思議を探していた。
 と、こんな感じであろう多分。
 しかし気の毒だなハルヒ。他の奴らが帰ってしまったのにも関わらず一人で探していたなんてな。まあせいぜい不思議探しでも頑張るがいいさ。
「どうしたのキョンくん? ぼーっとしちゃって」
 いや、別にぼーっとしていたわけではないのだが。
「いや、ちょっと考え事しててな」
「考え事って何だよ? 教えてろよ」
 谷口、またお前は一々。
「僕も知りたいな。キョン、どんな考え事してたんだい?」
 国木田、お前もか。
 どうして同じ事を聞かれているのに谷口だと苛立ちを感じるのだろうか。これはきっと聞き方以外に、何か他の原因があるに違いない。
「大したことじゃない。あ、そういや次の授業って何だっけ?」
 とりあえずこの台詞でごまかしておこう。
「えっ? う~ん…。次の授業は国語だよ」
「国語かよ…。俺はどうもあいつの授業はニガテなんだよなぁ」
 俺の気持ちを察してくれたのか、単に次の授業は何か思い出していたのかは知らないけど、朝倉が助け舟を渡してくれた。
ま、朝倉の事だから前者だと思うが。
 すると、丁度いいタイミングで予鈴が鳴ってくれた。
 ひとまずはこれで安心だ。
 俺は、今のハルヒの事を他の誰かに喋りたくなかった。自分の中だけに留めておきたい不安が、現実になってしまいそうで…。表面的にはアイツの存在を消していたのかもしれない。

 ………
 ……
 …

 SOS団とは無縁の生活を始め、大体二週間が経過した頃である。
 その頃になると、下校時は朝倉達のグループと俺達のグループは一緒になって帰るようになっていた。

211:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/25 00:05:28 S2n5pjG4
続きwktk

212:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/25 07:55:18 uQvt0le6
>>210
続き書いてくれ

気になって眠れなさそう

213:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/25 20:10:15 BmhFSb0A
いじめ描写少なすぎてすまん
とりあえず完結したんで全部投稿してみる

では>>210からの続き


 そんな時である。朝倉がこっそりと俺に耳打ちをしてきたと。その内容は何かと言うと。
(明日の放課後、時間大丈夫?)
 と言った内容である。
 一瞬俺の脳裏にすごく嫌な思い出がよぎったが、俺は快く(オッケー)と(何か俺に用でもあるのか?)と朝倉に耳打ちし返した。
 すると朝倉は、(秘密。ここじゃ恥ずかしいもん。だから、この手紙読んで)と、ソフトクリームのような返事を返してきたと同時にポケットに恐らく手紙を入れられた。
 ん? タバスコと刃物の間違いだって? いやいや御冗談を。今の朝倉は俺の踏む限り全く一般的な女子高生だ。まさか、いきなりナイフを向けるなんて事。
「なんだよ二人でコソコソ。俺にも教えろよ」
 さすがは谷口だ。俺と朝倉の不振な掛け合いを見て黙っているハズが無い。
 谷口。言っておくが、こういう場合は空気というものを読んだ方がいいぞ。
 ほらみろ。他の連中も便乗してきたじゃないか。
 しかし、こういうのもたまにはいいかもしれんな。俺が望む高校生活って言うのは、変な灰色空間で巨人に襲われるのでもなければ、害虫に襲われるのでもない、
ましてや終わらない夏休みを延々と繰り返す事じゃない。こういうものだったんだ。俺だって一人の男であり高校生。
なんかこう、甘酸っぱい青春に胸を踊らせたいと思ったりもするのさ。
 まあとりあえず明日までに、上手く国木田他を撒く上手い口実を考えておかねば。

 というわけで次の日の放課後。
 何とか谷口達を撒いた俺は、教室に誰もいなくなると予想される時間までブラブラと校舎をさまようことにした。
 さっき少々ネタバレしてしまったが、皆さんも気になるであろうから手紙の内容を公開しよう。
『放課後、あなたにだけの用があるので教室で待ってます。 朝倉』
 一々手紙にするほどの事でも無いと思うのだが。
 それに、せっかくなら人っけの無いところで要件を済ませればいいのでは? とも思ったが、この無駄に高鳴る鼓動を維持し続けるのもいい。

「はあ……」
 この溜め息は俺のこの昴ぶる気持ちから来たものでは無い。そう、気付くと俺は旧館もといSOS団の部室があるであろう部室棟の入り口に、足を踏み入れようとしていたのである。
 何やってんだ俺は…。今更あいつらの所へ行ったとて、何言われるか解らんし、合わせる顔もない。それにもしかしたらSOS団なんかもう…。
 俺は振り返り元来た軌跡を辿ろうとしたその時である。
 俺の視界に、今一番会いたくない奴の姿が飛び込んできた。
 そうハルヒである。さらにあろう事か視線まで会ってしまっている。
 どうやらハルヒは中庭から校舎に戻ろうとしたらしい。
 最近では見慣れてしまったハルヒの体操着姿。
 今日もやられたのか。


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