ギャラクシーエンジェルのSSを集めるスレ2at ANICHARA2
ギャラクシーエンジェルのSSを集めるスレ2 - 暇つぶし2ch2:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/06 02:11:54 SRv5cslL
このスレが出来るきっかけとなったお話
1945GAサイレントラヴァーズ(エンジェル隊が1945年にタイムスリップ)
今までのお話のまとめサイト
URLリンク(ga1945.hp.infoseek.co.jp)

3:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/06 02:26:01 SRv5cslL
猛虎☆全勝様の前スレの掲載分です。

猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:14:55 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」

昭和20年4月9日 ハッピートリガー PM04:30
横須賀軍港を後にしたハッピートリガーは機体を夕日に煌かせて西へと飛行している。
「ヴァニラの様子はどうだい?」
フォルテは頻繁にヴァニラの容態を気にしていた。紋章機とはいえ負傷者を運ぶのははじめてである。
「大丈夫ですよ。安定しています」
付き添いの軍医はすぐにヴァニラの無事を知らせてくれた。
高度3000メートル当たりを飛行しているため下界もよく見える、静岡県上空は雲ひとつなく富士山もよく見えている。
「あれが富士山っていうものかい?」
「ええ、この日本を代表する山ですわね。とても綺麗なお姿ですわね」
隣に立っているミントも夕焼けに染まる富士山に見とれていた。
「これは紅富士といって美しいものらしいですね。でもこんなに綺麗な富士山が見られるのは運がいいらしいですよ」
ノーマッドが富士山について解説してくれる。
「だって富士山はとても嫉妬深く美人の女性が来るとその姿を雲で隠してしまうというのですから、今日はよく見えてますがアハハ・・・」
「アハハそりゃあよかった、よかった」
「そうですわね」
「ぎゃぁあああああああ!」
ノーマッドが恒例のお仕置きを受け断末魔の声を上げる。
「コホン、さてもう後数十分で関西と呼ばれる地域に差し掛かりますわ。おそらく日没後なので目標物が特にありませんが頼みますわね」
「はいはい任せな、明石海峡が瀬戸内の玄関口なんだろ?」
「はい、その通りですわ」
ミントはフォルテの問いに海図を見ながら答える。
『それにしても烏丸大佐達は大丈夫なのでしょうか・・・・・』
はるか後方に抜き去った輸送艦隊の方をミントは心配そうに見届けた。


4:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/06 02:26:50 SRv5cslL
4 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:16:03 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」

昭和20年4月9日 紋章機輸送艦隊 PM04:30
それぞれの方向に分かれるエンジェル隊を旗艦鹿島の艦橋から見送った正光は東京湾内であるにもかかわらず機雷への神経を尖らせていた。
すでに接雷事故も起こっていたのだ。
しかしこんなものは序の口に過ぎない、浦賀水道を抜ければ太平洋の外海で米潜水艦が牙をむいているのだ。
ました艦隊の速度も遅く、潜水艦に捕まっては逃げ切るのは困難であろう。
「烏丸参謀、久々の海に緊張されていますか」
鹿島艦長平岡は正光の硬い表情を察し一声かけてくれた。
「ええ、これからの事を思うとね・・・・」
「大丈夫、うまくいくよ」
平岡は正光の肩を叩いて艦の業務へと戻る。正光も少し息を吐き再び気合を入れなおすことが出来た。
丁度その時爆音が艦隊上空に聞こえてきた。すぐに見張員が双眼鏡を向け、正光もそれに続いた。
双発エンジンの航空機が数機群れを成してこちらに向かってくる。三式一号潜水艦磁気探知機装備の陸上哨戒機東海である。
「友軍機です!」
見張員の声が響く。
「おお!館山の901航空隊のおでましか」
正光はすぐに所属部隊を察して声を上げた。東海は対潜水艦迎撃において台湾海峡や済州島、小笠原などで1週間7隻を海に葬る戦果を上げていたのだ。
「おーい!おーい!」
甲板の兵達は友軍機に大きく手を振る先に機体を夕日にてらして東海は通過していった。


5:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/06 02:29:09 SRv5cslL
5 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:17:14 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」

昭和20年4月9日 佐世保軍港引込み線 PM06:00
D51貨物専用蒸気機関車がゆっくりとバックで入線してくる。黒煙あげドレインから水蒸気を噴出し停車すると補助員炭水車に後方でカンテラを振る。
D51はゆっくり後退しまたカンテラの合図で停車する。
そしてまたカンテラが振られるとゆっくり後退しガシャンと連結作業を終了した。
「今日の荷は機密の物もありますから注意してくれ」
作業を見守る下士官が機関士と機関助士に話しかける。
「中身は何です?新兵器ですか?」
若い機関助士は興味本位で下士官に尋ねた。
「コラ、機密だといわれているだろう」
下士官より先に機関士が機関助士の頭をコツいた。
「はっはっは、まあいいじゃないか」
下士官と機関士は顔見知りであるため笑って済まされる。そして機関士に耳打ちでこっそりと積荷を教えた。
「実は沖縄で上がった重戦闘機の残骸とかで、ばらしてでも陸路で運ぶそうなんだ。気をつけろ車掌車には見張りも乗り込むぞ」
「そりゃ物騒なものだな。こっちも気をつけるよ。で、貨物15両の18時5分発と」
「うむ頼むぞ」
「はいはい」
機関士と機関助士は簡単な敬礼を交わし本務機へと乗り込んだ。
すぐに信号機は青信号に変わる。蒸気機関車独特の出発前の音が聞こえ始め勢いよく汽笛が鳴らされた。
「出発進行!」
「出発進行!」
D51の動輪がゆっくり動き始め力強く貨車を牽引していく。
「定時!」
「はい定時!」
規律正しい復唱を聞けば、後ろの貨車達もゴトゴトと動き始めてゆく。
行き先は呉軍港への鉄路の旅でこちらも紋章機輸送作戦を開始した。

6 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:20:25 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
昭和20年4月9日 ハッピートリガー PM06:30
松山航空隊の支援を受けながらハッピートリガーは呉軍港上空へと差し掛かりつつある。
「フォルテさん、呉軍港沖合いに漁船が待機しているそうですわ。そちらでわたくしとヴァニラさんを」
「あいよ、ミント。広島までご同行頼んだよ」
ハッピートリガーは速度を落としつつ暗い海に浮かぶ漁船の灯りを探していた。
「あれだね」
ハッピートリガーの前方映像を拡大すると漁船がかすかな灯りを灯して待機している。
「あれですわね。ノーマッドさん格納庫のハッチを開けますから注意してくださいまし」
付き添いの医師や看護婦はヴァニラの横たわるベッドを押さえつける。
「そうです、注意してくださいよ。ヴァニラさんが海に落ちでもしたら・・・えああ~」
ハッチが開き始めるとノーマッドが海側にコロコロ転がりだす。
「たすけて~」
コロコロと転がりながらノーマッドはハッチから飛び出していった。しかしフォルテは漁船の僅差に機体を静止させホバーリングさせているためお先に漁船側にポトリと落っこちる形となる。
「お待ちしていました!それでは患者をお願いします」
漁船から手際よく漁師に扮した水兵が乗り込んできた。そしてあっという間にヴァニラを漁船に移し横須賀から来た医師たち乗り移り残るはミントのみとなる。
「ブラマンシュ少尉お早くお願いします!」
急かす水平の声にミントは渋い表情を浮かべる。
「もう、まだお話がありますのに!!」
「いいよ、早く行ってやんや。あたしも早く輸送艦隊の援護に回らなきゃね」
「分かりましたわ、続きはフォルテさんの帰還後にしますわ。それでは行ってまいります」
「ああ、じゃああたしもあんたら降ろしたらすぐに行くよ」
短い別れの後ミントはすぐに漁船へと飛び移った。
「ふぅ・・・・さてと烏丸大佐の援護へともどりますか」
ハッピートリガーはハッチを閉め再び上昇すると東の空に消えていった。

6:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/06 20:07:19 xFqhilDb BE:80846093-2BP(6504)
ありがとうございます。
早速執筆します

7:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/06 20:43:01 xFqhilDb BE:143726786-2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」
昭和20年4月9日 輸送艦隊 PM8:00
東海によって爆雷の雨を進路上に降らせてはしたものの正光は以前暗い海を睨んでいた。
艦隊の速度は遅い、潜水艦に食いつかれれば振り払えないであろう。暗い海は正光の不安をよりいっそう煽り立ててくる。
「所属不明機を発見!9時の方向高度はざっと9千!」
「やはり来たか!」
艦長の平岡より先に正光が反応する。
「総員戦闘配置!対空戦闘用意!」
平岡のキビキビした指令はすぐに伝令に伝わり艦内にスピーカーとラッパが響き渡る。
「高いな、本土偵察か・・・・艦長!」
「どうした?参謀」
「高度から見て対空砲は届きそうですか?」
「護衛の春月、宵月の対空砲をあてにせざるえない、鹿島の砲火ではな」
「艦長!では対空砲火を撃たないでもらいますか?この暗闇・・・・相手に場所を教えるだけです」
「なるほど・・・・」

8:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/06 23:44:15 SRv5cslL
>>6
猛虎☆全勝様、時間の都合上中途半端の記載しか出来ず申し訳ありません。
後はお願いします。

9:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/08 02:08:40 eB9TnXyj
回想 1944年

昭和19年 10月23日 第3艦隊 空母大鳳艦内

白浪少尉達、若い搭乗員がガンルームで湧きに湧いている頃、
士官室でも、山口大尉ら数人の士官が酒を酌み交わしていた。
「おっやってるなー」
そう言いながら入ってきた上田中佐は、山口大尉達が飲んでいる輪に加わってきた。
「ああ、これ差し入れだから。良かったら皆で飲んで」
中佐は握っている琥珀色の液体が入ったフラスクを、大尉に差し出した。
「お~こりゃいいウイスキーだなー。
良いんですかい?こんな上物出しちゃって、あっという間に無くなりますよ」
「別にいいさ、いつも苦労かけてる分の穴埋めにすれば安いものだから」
早々にウイスキーをコップに注ぐ大尉に、中佐は申し訳なさそうな顔で笑う。
艦隊の直援任務に就く大尉達には、苦しい戦いが待っているだろう。
せめてこれぐらいの事はしておきたかった。ついでにさりげなく尋ねた。
「そういえば若い連中はどうだい?」
「ジャク(若年搭乗員)にしちゃあよくやってる方ですよ。もうちょい飛ばせばいい戦闘機乗りになるでしょう」
「そうか・・・出来ればもう少し時間が欲しかったな・・・」中佐は天井を仰ぎ瞑目した。
「あいつらにばかり無理はさせませんよ。俺達が面倒みてやります」
「すまない・・・頼むよ」
今回、母艦に乗り込んでいる搭乗員の約半数は、予科練卒の若い搭乗員である。
教程を終えたばかりの彼らは士気は高いが、技量不足は否めず。
母艦での訓練を経て、ようやく発着艦がこなせる様になったのばかりであった。
彼らにも烈風や閃電22型と言った新型機を回しているものの、慣熟飛行にも時間は必要であり、
実戦に参加させるにはまだ早かった。戦況が逼迫しているとはいえ、
むざむざ沈むかもしれない母艦に乗せるよりも、内地に残してきた方が、今後の為に良かったのではなかろうか・・・
白浪少尉達の事を考えるとよけいに心苦しくなった。

10:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/09 00:21:11 FhxxPJoH BE:134743695-2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」
昭和20年4月9日 輸送艦隊 PM8:00
正光の提案に平岡は対空砲火を待機するよう命ずる。しかし、時すでに遅く防空駆逐艦春月、宵月は艦最大の魅力である65口径10cm連装高角砲を
B29目掛けて撃ちはじめてしまった。
「ちっ馬鹿野郎!」
B29目掛けて放たれる眩い砲火の閃光がB29を襲っている。暗闇の空に響く対空砲弾の炸裂音は鹿島の艦橋にもビリビリと空気で伝わってきた。
しかし、B29は安全高度を保っているし自慢の防空駆逐艦も致命傷を与えられないでいた。
一方、上空のB29は暗闇から打ち上げられる対空砲を捉えるとすぐに安全な位置へと潜り込んだ。
「奴等撃ってきやがった!ビンゴです中尉」
見張役の若い兵士が爆撃の指揮をとる爆撃手にガッツポーズで報告する。
「慌てるな今回の我々の任務は太陽だ」
照準器をにらみながら中尉は落ち着いた口調で答える。そしてこれが報告の悪魔の運ぶ艦隊であると確信した。
「敵の砲火が一歩遅かったな何故だと思う」
中尉は若い兵士に尋ねる。
「指揮系統の混乱でしょうか?それとも発見した艦が単独で発砲したかでは?」
「ふふ、正解だが完全ではない。旗艦は俺達をこのままやり過ごそうと目論んでいた暗闇なら見えないと思ったからだ」
「なるほど!しかし駆逐艦との連携が取れずに発砲ということでしょうか?」
「そうだな、つまりこの群れは即興だ。よっし照明弾を投下するぞ」
「イエッサ!」
若い兵士が準備態勢に入る。
「よし、夜の夜明けでその姿をさらけだしてもらうぞ」
中尉が一言呟くと爆弾槽の扉が開き照明弾が数発落下傘をつけ落とされていった。





11:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/09 23:40:44 c0i0YpFx
前スレの掲載文3

7 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:22:30 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」

昭和20年4月9日 船内 PM06:45
ハッピートリガーが東の空に消えると漁船の機関音がより大きくなった。
「出発します。船内にお入りください」
漁師に扮した水兵に促されミントは船内へと入ると船はゆっくりと動き出した。
「舟入あたりに陸軍のトラックが来ていますのでそこからは陸路でお願いします」
「病院のほうはもう受け入れていただけますの?」
「昨日一部屋確保したとのことです。部屋の大掃除も済んでいますから安心してご静養ください」
「わかりましたわ。ありがとうございます」
ミントは陸軍病院の状況を心配していたが歓迎はされているようだったのでひとまず安心した。
「もうすぐ広島市内が見えるところにはいりますよ」
水兵が気を利かせてミントに広島市内が見えるところ教えてくれた。
「まぁこの地方においては大きな街と聞いておりますわ」
「ここは日清戦争の時大本営が置かれていました。陸軍病院からも近いのでお帰りの時はぜひご覧下さい」
「ありがとうございますわ」
ミントがやさしく微笑むと水兵は不器用な苦笑いを浮かべた。
「さてそれでは・・・」
ミントは立ち上がると広島市内の街並みを見ようと身体をのばした。しかし、灯火規制の広島市内は闇の中である。
ミントは残念そうに腰を下ろすとふと眠気に襲われる。漁船の機関から伝わる振動はとても心地よく疲れもありご自慢の耳を
アイマスクに眠り始めた。
「お疲れでいらっしゃるのね」
ヴァニラに付き添っている看護婦が予備の毛布をミントにかけてやる。
「後40分程度でつくと思いますので」
水兵も眠りを邪魔しないよう付き添いの医師たちそっと到着時間を教えてくれた。


8 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/14(月) 23:23:54 ID:tJ30ac5L ?2BP(6504)
昭和20年4月9日 紋章機輸送艦隊 PM06:30
こちら輸送艦隊は大島を左手に伊豆半島を迂回しながら下田港を右手に驀進している。
日もすっかり落ち索敵の結果潜水艦や航空機は発見できなかったので正光も少し気を楽に海を眺めている。
「航海は至って順調、日も落ち波も静かなり」
平岡艦長がそっとつぶやく。
「そうですね。今のところは・・・・もうすぐ浜松か」
伊豆半島を抜けると浜松沖を通過する事になる。思い出されるのは航空母艦信濃のことであった。
「なぁに大丈夫さね参謀、信濃のように未完の器じゃなかろうね」
初めて海を渡る二機の紋章機を信じろと平岡は正光の肩をたたいた。
「失礼します!エンジェル隊分隊より入電、我ら分隊は硫黄島千鳥、元山両飛行場を奇襲し戦闘機郡を壊滅せり」
その瞬間周りの参謀や士官がどっと声を上げる。
硫黄島玉砕の一報から早数週間、米軍に第二の痛手をつけたのである。


12:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/11 02:29:28 yUAs5EUk
前スレ掲載文4

10 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/15(火) 00:23:24 ID:UPgFb4xe ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」
昭和20年4月9日 広島市街地 PM7:30
舟入での乗り換えは驚くべき速さで終り逃げるようにトラックは出発した。
トラックは厳重に締め切られているもののいたる所に穴が開いている。ミントはそこから暗闇の広島を見ている。
「もう相生橋です、もうちょっとで第二病院ですわ」
T字の鉄橋を渡り広島県産業奨励館という所を過ぎるとトラックは広島城の方へと曲がって行った。
「もうすぐ広島城ですわ、ここはねー日清戦争の時大本営が置かれまして今でもその建物がありますんで見に行ってください」
ミントにご当地自慢をする兵士はとても満足げに笑っている。
「そうですわね。時間がございましたら伺わせていただきますわ」
ミントも丁寧にそのすすめにニッコリと笑って答えた。
「ブラマンシュ少尉、もうまもなく到着です」
もう1人の兵士が外の様子を見ながらミントに到着を教えてくれた。
トラックはゆっくり門を通過すると玄関前で停車した。
後ろの目隠しがバッと外されると軍医と看護婦が全員外に出てミント、ヴァニラの到着を待っていた。
「敬礼!」
全員が統率の取れた敬礼をミント、ヴァニラに送るとミントは慌てて敬礼を返す。
「直れ!ヴァニラ・H少尉は診察室へミント・ブラマンシュ少尉を病室にお連れしろ」
「はい!」
軍医のキビキビした命令に看護婦たちがいそいそと動き始めた。


13:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/11 22:38:14 zSU1dvGy BE:107794894-2BP(6504)
いつもありがとうございます。

明日に新作を書きます

14:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/12 22:52:24 k8wUgMtZ BE:191635788-2BP(6504)
昭和20年4月9日 ガトー級潜水艦キングフィッシュ PM8:00
夕刻に訪れた爆雷の嵐は艦隊を襲う目的の潜水艦達に被害を与えていた。
「ようやく安定してきたか」
キングフィッシュ艦長のライン・マリオ大佐は爆音の恐怖から逃れられた事に胸をなでおろす。
「よし潜望鏡潜度まで浮上するぞ」
「イエッサ!」
キングフィッシュはゆっくりと水中から這い出てくる。同じガトー級数隻と網を張っていたが残りは無事なのであろうか、ラインの頭に不安がよぎった。
実際に東海は基地にあったありったけの爆雷を相模灘に投下していた。しばらくは通常の対潜哨戒にも影響が出るであろう。
「報告します。左舷魚雷発射管ニ門損傷、現状での復旧は不可能です・・・・」
「仕方ないさ。魚雷が爆発しなかっただけでもご加護はあったよ」
残念がる部下を慰めるようにラインは話す。
「艦長時間です」
副長が時計をみながら報告する。
「よし、潜望鏡を伸ばせ。見逃すなよ」
「は!」
潜望鏡を覗く兵士の肩をたたきながらラインは身構える。
『横須賀のリベンジは俺がはたすさ!!』



15:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/14 00:28:54 lQFyX6r1
前スレ掲載文5

11 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/17(木) 10:16:31 ID:AY0K6sbe ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」
昭和20年4月9日 広島市街地 PM7:45
ヴァニラはすぐに診察室に運ばれ、ミントは病室へと案内された。
病室はとても広く細部にわたるまで掃除されていた。本日はミントも泊まるということで仮眠用の布団もしかれている。
「ここはおそらく大部屋ですね。ヴァニラさんVIP待遇じゃないですか」
「陸軍の見栄とはいえちょっとやりすぎですわね」
ミントはあきれた様にノーマッドに答える。そしてノーマッドを花瓶の横に置くと窓を一杯に開けて夜風を呼び込む。
陸軍第二病院は太田川のそばにあり、すぐに爽やかな風が病室へと吹き込んでくる。横須賀とは違い広島の風は肌寒くなく心地よいもので
ミントはしばらく窓から外の眺めながら髪を夜風にそよがせていた。
「ブラマンシュ少尉失礼します」
「あ、はい」
窓を閉めて振り返ると看護婦が立っており、ミントは髪を直しながら振り返った。
「松崎五郎先生がお見えです」
「とうぞ、かまいませんわ」
看護婦が扉を開けると中年男性が入ってくる。
「遠路遥々ご苦労様でした。アッシュ少尉の治療を担当する松崎です」
「はじめまして、ミント・ブラマンシュです。よろしくお願いします」
ミントが深々とお辞儀をする。
「さて、まずは診断結果だが航空機の機銃に撃たれたわりには軽症のようですな。アッシュ少尉の力に関してカルテと一緒に報告を受けています」
ナノマシンについて松崎はすでに理解をしているようでミントに説明は求めないようである。
「素晴らしい医療であるようですな、医者たるものあのような力は皆ほしがるでしょう。あーしかしだ、アッシュ少尉自身体力が相当落ちていると私は見受けます」
「大丈夫なんでしょうか?」
松崎の言葉にミントは不安そうな表情で質問する。
「なぁに安静にしていれば大丈夫ですよ。当面はナノマシン治療を認めることは出来ませんが人間には自然治癒力もあります。体力が回復するまではそれに頼りましょうや」
「わかりました。本日よりお世話になりますわ」
「うむ、では私はこれで・・・・ブラマンシュ少尉も今日はゆっくり休んでください」
松崎は再び診察室へ戻っていった。
「看護婦は交代で待機していますからいつでもおよびください」
看護婦も後から病室を出て行く。
「ふぅ・・・とりあえずは当分ここのお世話になりそうですわね」
ヴァニラの診断を聞いてミントは少し肩の荷が降りたようであった。鞄からメモ用紙を出すと何かを確認している。
「なんですか?」
「え、これですの?呉への帰り方ですわ。明日は呉に戻りませんとフォルテさんは輸送艦隊の支援にいかれましたし私が着任挨拶に行って紋章機格納場所も視察しませんと」
「1人で大丈夫なんですかね」
意地悪そうな声でノーマッドが尋ねる。
「広島県産業奨励館まで歩いて市電乗って広島駅へそこから呉線で呉、どうです?」
ミントは勝ち誇ったようにノーマッドを見る。
「すごくねーよ」
「ともかく!明日は午前中にここを立ちますからヴァニラさんの事を頼みますわよ」
その後、渡されたブラウスとモンペを鞄から出すとミントはため息をついた。
「そ、それ着るんですか。あはははは!」
ノーマッドをつかんで壁にたたきつける。
「・・・・・・・・・・・・」
「いいですの!わたくしだってこんなしたくありませんわよ。でもこの制服では街は歩けませんし・・・」
自分に言い聞かせるように変装用の服を枕元におくとヴァニラの寝るベッドに腰を降ろしてヴァニラの到着を待った。


16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/15 01:50:31 K4gRoVUY
保守

17:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/15 20:30:31 VqMJINWP BE:167681287-2BP(6830)
昭和20年4月9日 輸送艦隊 PM8:05
上空からキラキラ照らす照明弾は輸送艦隊を白昼のように照らし出した。
これを見るなり鹿島の機銃も唸りを上げる。見つかってしまっては照明弾を撃ち落とすしかない。
「曳航船を守れ!弾幕をはるんだ!!」
鹿島でも砲撃手が大声で指揮をとる。各艦の赤い閃光が照明弾に吸い込まれていく。
しかし、時を同じくして駆逐艦宵月の左舷から水柱が上がった。
「左舷後方に魚雷命中!」
宵月の艦橋に悲鳴のような伝令が飛び込んでくる。
「しまった!潜水艦が・・・・・対潜怠っていたな!各艦に報告いぞげ!」
「は!」
宵月からの発行信号はすぐに鹿島にとどいた。
「宵月!左舷に被弾、雷撃を受けたようです」





18:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/16 00:31:09 5Zyevx63
回想 1944年

10月24日 ルソン海峡東部 小沢艦隊

朝を向え、空母大鳳は船体に陽光を浴びながら突き進んでいた。
艦橋に集まった人員は既に臨戦態勢を整え、小沢長官達の姿もあった。
参謀は皆、どこか落ち着かない様子であり、
腕時計を何度も確認したり、もどかしそうに首を動かす者もいた。
敵の行動圏内に入り、皆気が立っている・・・うかつな事を口にしようものなら、喧嘩になるかもしれない。
上田中佐は、小沢長官の表情を伺ってみた。
長官は相変わらず、仏頂面のまま前を見ていた。
周囲に気取られないよう、表に出さないのか、それともこれが素なのか?
どういう心境でいるのかは分からないが、内心あまり穏やかではないのではなかろうか。
考えてみれば、小沢長官の境遇はどうにもついていない。
機動部隊の提唱者の一人であり、ようやく自分がその要職についたかと思えば、
既に艦体は連戦のおける消耗にて再建途中にあり。
マリアナでは、準備不十分なままの出撃で、満足な戦果も出せず。
航空隊は無駄に消耗、空母も瑞鶴、飛鷹の2隻を失った。
その後、待望の装甲空母大鳳、雲竜型、新型機の配備と、戦力の回復に勤め上げ、
ようやく目処が立ったところに、今回の捷一号作戦における囮任務。
小沢長官は作戦成功の為と、あえて引き受けたというが、正に断腸の思いだった・・・と思う。
自分に出来るせめてもの事は、いかに敵を引き付け、尚且つ、艦隊の一隻でも多くを連れ帰り、
一人でも多くの優秀な兵士を生き残らせる。その為の作戦を組み立てる事。ただこの一つに尽きる。
例えそれが、最終的な敗北の先延ばしであっても、今はやるしかない・・・

19:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/16 23:56:37 5Zyevx63
そんな矢先、血相を変えてやって来た電信員によって、場の空気は一瞬にして変わった。
電信員の手には紙片が握られており、視線が集まる中、呼吸も整わないまま電信員は叫んだ。
「索敵機より入電! 敵艦隊発見!!」
敵艦隊発見の報に、一斉にざわめく。未明に出した索敵機の一機がとうとう敵を捕らえたのだ。
紙片を受け取った小沢長官は、僅かな間目を通し読み上げる。
「正規空母らしき艦影2ないし3、軽空母らしき1ないし2・・・」
間違いない、敵の機動部隊だ。
内容を聞いて上田中佐はそう直感した。
発見した位置は、ルソン島から東部の海域。艦隊の規模は大きいが、
空母がこれだけとは思えない。他にも空母群がいるはずだった。
十分とは言えないが、とりあえずこちらの存在を知らせるには十分であろう。
そう結論を出した中佐は、長官の方へ向き直った。
「長官、敵艦隊との距離を詰め次第、予定通り航空隊を出撃させましょう」
「うむ、わかった。では、打ち合わせ通り、準備を進めてくれ」
静かな声で言い終えると小沢長官は、艦隊の進路を南へ変更させ、すぐに航海参謀達に航路の調整を命じた。
悠長にしてはいられなかった。急ぎ上田中佐は、航空参謀の雑賀中佐と最後の詰めに入る。
航空隊の様子や、戦力等、出撃までにしっかり確認しておく必要があった。

20:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/16 23:59:15 5Zyevx63
訂正

>十分とは言えないが、とりあえずこちらの存在を知らせるには十分であろう。


少々早いが、とりあえずこちらの存在を知らせるには十分であろう。


21:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/18 00:21:42 UDT10LBg
前スレ掲載文6

13 :猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ :2008/01/21(月) 00:27:45 ID:tGYulUnB ?2BP(6504)
第四部Aパート「ヒロシマより愛を込めて・・・・」
昭和20年4月9日 瀬戸内海 PM8:00
ミント達を下ろしたフォルテはハッピートリガーをとんぼ返りさせ輸送艦隊との合流を目指していた。
レーダーで輸送艦隊の進路を確認しながら距離を詰めていくハッピートリガー、周辺にはこれと言った敵の反応はない。
とはいっても紋章機のレーダーに連動する識別信号もなくトリックマスター、ハーベスターの放つ信号で区別する輸送艦隊以外の海上に展開する艦船航空機は
全てアンノウンとして映し出されていた。
艦隊は無論無線封鎖を行っており、フォルテは頭をかきながら映し出されているレーダーを見つめていた。
「うーん・・・・これは味方なのか?敵なのか?」
ハッピートリガーのコンピューターは動きと速度から輸送艦隊周辺の潜水艦を確認しているが怪しい動きがなく見極められない状態だった。
「それにしてもこの時代の戦争はのんびりしているねぇ・・・・」
索敵技術は両軍フォルテから見て初歩も初歩、先に見つけて攻撃を仕掛けるという言わば原始に近い戦闘方法思わず呟いてしまう。
しかし、それは嘲笑ではない。かつて自分がやった最初の戦いを皆がやっているという懐かしさのものでもあった。
「まぁ・・・・烏丸大佐がついているんだ。速度維持のままでよしとしようかね・・・さて・・・」
おもむろに席から乗り出すと沖縄で手に入れた三八式歩兵銃を取り出す。
「ん~いいねぇ!こういうのは本当にいいよぉ~」
思わず口が緩み三八式に頬ずり、ガンマニアに悲しい性である。
守備隊に配給されていた銃で手入れもろくすっぽされていなかったものだがこの数日で博物館に飾れるほどの手入れが施されている。
三八式の長さはフォルテの心をつかんでいるのである。
「ハンドガンタイプも早く見せてくれないかねー」
フォルテは三八式を抱きしめながらまた目を輝かせていた。



22:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/18 00:23:55 UDT10LBg
前スレの掲載分はこれで最後になります。
本来はもう一話、本スレの一話前となる。
前スレ>>24にあったのですが、過去ログからの摘出は無理でした。

23:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/18 20:26:59 OQDyubkw BE:215590289-2BP(6830)
昭和20年4月9日 ガトー級潜水艦キングフィッシュ PM8:05
「初月級に魚雷命中!!」
「アングラーだな・・・・まあいいだろう。駆逐艦に当てても意味はない俺達は確実にフライングデビルを狙っていくぞ」
「イエッサー」
狭い艦内に緊張が走る。足の遅い外洋曳航船とはいえ駆逐艦にガードされている、別の艦が雷撃をくわえているだけに反撃の爆雷投下が始まるのも時間の問題であった。
さらに発射管を二門損傷、満足な扇状の雷撃も困難であった。
「艦長、報告ですとフライングでビルは相当な装甲を持っているそうですが」
「その通り、しかし方法はある。あの曳航船を沈めればいいのさアレだけのワイヤーと曳航船の重さなら海の藻屑だ」
ラインはニヤリと笑うと腕時計に目をやった。照明弾の燃焼時間を計っているのである。
『照明弾はあと10分は光っているが・・・打ち落とされる高度までくれば勝負はこの5分だ』
深く息をはき左手で艦内マイクをとるとラインは力強い声で話し始めた。
「達する。本艦はこれより爆雷をすり抜け輸送艦隊から700で雷撃を加える、本任務に許された時間は5分だ。各員日ごろの成果を見せてくれよ!」
すぐにマイクをおき帽子をかぶりなおすとキングフィッシュは機関音を奮い上げ輸送艦隊へと走り出した。
一方、同じ海域で網を張り輸送艦隊に一番槍を加えたアングラーは魚雷を再装填し発射をタイミングをうかがっていた。
「1番2番ファイヤ!」
艦長のは素早く発射の命令を与えた。
宵月の魚雷命中から数分、次は複数を命中させ壁をこじ開けようとするアングラー電光石火の早さである。
魚雷を撃つと艦はふっと軽くなる感触が襲う。そして手負いの宵月に二本の魚雷が迫っていった。
「魚雷二番命中!!」
「あの艦は立てになるつもりか、よし3番4番を発射しろ!」
一分以内にソナー班が魚雷の命中を艦長に報告するとアングラーの艦長はさらに魚雷を発射させた。






24:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/20 03:24:01 FClgwUWH BE:74858055-2BP(6830)
昭和20年4月9日 輸送艦隊 PM8:07
米潜水艦の奇襲に艦隊は混乱の渦中にあった。
左舷に魚雷3発を命中させられた宵月は黒煙を噴きながら艦隊から脱落していく。
しかし、宵月を援護する余裕は艦隊にはない、紋章機を逃がさなければならないのである。
宵月の発光信号からも「我レニ構ワズ」と打っている。
その信号を鹿島から確認した正光は苦虫を噛み潰す思いで作戦指揮をとる。
「櫻と楓に爆雷投下を!桂丸と太平丸に発光信号!ワイヤー切断の準備をとな!」
「は!」
伝令が信号所に走る。
「紋章機を放棄する気ですか烏丸大佐!」
別の士官が早速噛み付いてくる。陸の海軍は辛いと正光は思いながらも説明を始める。
「紋章機の装甲は沖縄戦や横須賀奇襲で敵も察知しているはず。そうなれば敵がとる行動は曳航船を沈めその重みで水中に
紋章機を引きずり込むはずでしょう!」
「そ、そうですな・・・・失礼しました」
士官はばつが悪そうに黙り込んだ。




25:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/21 00:50:02 z4+nGTEC
回想1944年 ルソン島東部 米38任務隊 第3群上空

スロットルを開き、馬力を上げると、うなる爆音がコクピット内に木魂し、さらにやかましくさせる。
速度計の針は600キロを越えているにも関わらず、前方に見える機影は未だに大きくなる気配は無い・・・
頑丈な機体は、多少の機動で異常が起きるわけではないが、いかんせん重かくてもどかしかしく、目で追う機影は、徐々に小さくなっていく。
――もうこれ以上は無理だ。
ジョーンズ中尉は乗機の性能限界を実感した。
やり場の無い怒りの余り、スロットルを掴む手が手袋越しにギリギリと鳴った。

艦隊上空に現れた日本機は、直援機の追尾を受けているにも関わらず。しぶとく飛び続けていた。
北方から飛来する機影が電探に捕らえられてから数分後、雲間より姿を見せた日本機は、
38任務部隊に属するフレデリック・シャーマン少将揮下の第3群艦影を認めたらしく、
旋回しながらこちらの存在を逐一発信し初めた。
無論、戦闘機隊が黙っている筈もなく、空中指揮所の誘導を受け、直援に入っていたヘルキャット数機が撃墜を試みるが、
追撃を受ける日本機は、ヘルキャットの存在など、気にも留めるそぶりを見せず直も接触を続ける。
高度を上げたヘルキャット隊は後方に食い付こうとするも、日本機は余裕を見せた飛行で翻弄していた。


26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/02/22 00:05:21 uSDqurnd
ほす

27:猛虎☆全勝 ◆Aur0rKhDNQ
08/02/22 00:57:14 cUm/97qa BE:188641679-2BP(6830)
昭和20年4月9日 ガトー級潜水艦キングフィッシュ PM8:07
キングフィッシュはセ潜水時の最大戦速で輸送艦隊を目指した。距離を詰めれば放射に魚雷を放っても二門を補えるのである。
ラインはこの一撃にかける、無謀ではあったがこのチャンスは最大にして最後のチャンスであろう。
彼はそう考えていた。
距離の感覚はソナーをつけない者でも分かってきた。爆雷を投下し始めている、艦がビリビリと揺れ始めているのも感じていた。
「まだまだ我慢しろよ!」
魚雷の発射スイッチをひねろうとする部下を制止しさらに距離を詰める。
「艦長限界です!!!」
ラインの横で副長が怒鳴っている。
「よし!カウント10だカウントしろ」
「イエッサー!」
ラインは魚雷発射を10秒後に決めると腕時計を見つめると同時に副長のカウントに耳を向ける。
彼にとって生涯で最も長い10秒であろう。聞こえるのは副長のカウントとスクリュー音のみである。
この頃、トリックマスターを運ぶ外洋曳航船桂丸は魚雷の回避運動を始めていた。船は大きく面舵を切ると
後続のハーベスターを引く太平丸も面舵を切った。
そこへ左舷後方を航行する駆逐艦櫻が割り込み爆雷を投下した。







28:名無し陸戦隊 ◆ozOtJW9BFA
08/02/23 21:18:35 IPUkaZUM
回想1944年

ルソン島東部 米38任務部隊 第3群上空

現れた日本機の形状は、三座の単発機だった。
一見、艦上攻撃機に似ていなくもないが、その機動性は全く別の物である。
ジョーンズ中尉がこの機体を見たのは、今回が初めてではなく、
以前、マリアナ諸島攻略の際、艦隊上空で同じ機体と遭遇した事があった。
今回とは状況が異なるが、やはりヘルキャットはその1機に翻弄され、最後は見事な機動で遁走せしめていた。
その後のブリーフィングで、その時の機体が新型の艦上偵察機、彩雲(MART)だと言う事を知らされた。
追いつけなかったのも道理で、おおまかに告げられた彩雲のデータは、最高速度330ノット以上を誇る偵察専用の機体であり、
ヘルキャットの最高速度をやや上回っていたのである。
しかし、今飛んでいる彩雲を見ていると、その情報の正確さに疑問が残った。
ヘルキャットよりも高速とはいえ、やや上をいく程度のはずだが、
こちらを離しにかかる速力は、どう控えめに見ても、340ノット(630キロ)は越えている。
もしかして、以前よりも性能が向上しているのか?一つ心当たりがあった。
ここ最近入ってくる艦内の噂で、日本でも2千馬力クラスのエンジンを積んだ新型機の生産が始まったらしい事を耳にしていた。
戦闘機が中心であるが、他にも艦上攻撃機や爆撃機も新型に更新されたとの話もある。
噂の出所が信憑性のある者だけに、とうとうジークの後継機の配備が始まったのかと皆で話したものである。
しかも、それらは既に配備が開始されており、我々が目にする機会も近いと囁かれた。
その時、戦闘機乗りであるジョーンズ中尉は、敵戦闘機の噂しか興味を持たなかったが、
今考えてみると、既存機もチューンアップしたのかもしれない・・・例えばエンジン換装等。
そうすれば、疑問に対するつじつまが合う。


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