08/05/10 03:40:40 J0+M6+67
そのひから 彼女は わたしの たったひとりの おねえちゃん。
朝のにおいで、目を覚ます。窓辺から差し込む、朝陽のにおい。
がちゃりと音を鳴らし、私は再び鞄の外の世界に触れる。
小さなあくびとともに、閉じていた目をゆっくりと開く。
ふと、上下の瞼の隙間に、見慣れぬものが映りこんできた。
何故…?この家に、私とお父様以外の存在があるはずがないのに…。
これは、一体なんだろう?という表情で私を見つめる「それ」。
「はじめまして、かしら。貴方は、一体どちら様かしら?」
口を開き、言葉を発した「それ」、いや、「彼女」。
(なァにこの子、サエないカンジぃ…)
――人に名を訊くときは、まず自分から名乗るものよ。
だがその言葉は、まだ幼く見える彼女の前では、しまっておくことにした。