07/12/09 10:17:33 K3115ozz
「そこだ、キョン。最大のボトルネックは流通構造なんだよ!」
その佐々木の言葉を聞いた時、こいつは何を言っているんだと怪訝な瞳で佐々木の顔を見つめたのが本当のところだった。
だからいつもの様に話を聞き流してしまえばいいだろうといういう、俺の考えが甘かった。
佐々木の話はいつもの雑談・勉強モードから懸け離れており、魚の流通に関して淡々と述べていた。
事業目的は鮮魚・地魚の急送による直接販売であり、港と料理屋や小売店に流通経路を発掘する事であった。
最大のネックである既存の流通経路に対抗するには、ニッチ分野でのルート開発しか有り得ないだろうと・・・・。
佐々木は喜々とした表情で話を進めてゆき、その話の相手をしている内に夜が明けてしまったので、佐々木を車に乗せて家まで乗せ
て帰る事にした。年頃の娘を二日連続外泊させたんだから、親御さんに俺から謝りの1つでも入れておこうとも思った訳だ。
助手席で眠る佐々木を横目で見ると、実に満足感に溢れた表情をして穏やかに眠っていた。この表情を見れるのは家に着くまでだ。
・・・・後で写メで撮っておこう。
佐々木を家まで送り親御さんにお詫びをして家に帰った俺は2日分の疲れを癒すべく、最長睡眠時間記録を更新してやろうと思いなが
ら寝床に着いた。
ぷるるるる・・・・
電話が鳴っている。ウザいぞ。寝たばかりなのにまた邪魔する気か。
ぷるるるる・・・・
ほっといてくれ。俺は眠いんだ。
ぷるるるる・・・・
やれやれ、俺には落ち着ける時間も暇もないのか。液体金属の中でクロールしている様な重さを感じつつ電話をとった。
「・・・・・・」
ノイズひとつ無い沈黙の時間。間違い電話ならとっとと謝って切るのがマナーなんだぜ。最近の若い奴は礼儀も知らな・・!
・・・長門か?
「・・・・図書館まで、来て欲しい」
電話は必要最低限の内容を伝えただけで着信モードへと切り替わり、ふたたび沈黙の時間の時間を取り戻した。
長門が電話してくるなんて最近は珍しいな。あいつが電話してくる以上は何だかの宇宙的・未来的・超能力者的な問題が起こっている
に違いない。寝床から起きた俺は頭を掻き毟りつつやがて1つの言葉を呟いていた。
「やれやれ」