07/12/13 17:32:26 n0NYovn2
佐々木さん、星占いはお好き? の巻
~中学3年時代~
キョン「お? 珍しいな佐々木、お前が星座占いの本を読むなんて。
てっきり佐々木はそういうの、非合理的だとか言ってに興味を示さないと思ってたぜ」
佐々木「とんでもないよ、キョン。占いとは長年の英知の集積だよ。僕は非常に高い敬意を払っているよ」
キョン「そうか、佐々木も女の子なんだなあ。相性占いとか気になる奴でもいるのか」
佐々木「何を言ってるんだい、キョン。僕は君以外に特段相性が気になる異性などいないし、
第一、そういう興味を持って読んでいるわけではないよ。占いそのものの結果など、
ナンセンスとしかいいようがないね。僕の興味は別にある」
キョン「それ以外に何が面白くて占いの本読むんだ?」
佐々木「いいかねキョン。
人間とは全く係わりのない星星の運行、しかも、たまたま地球という星の
恣意的なの観測位置における他の天体の動きが、人の相性に何の意味を持つものかね。
僕が興味があるというのは、そうした全く意味のないものに意味を付与する、
いわば宗教的な「まやかしの体系」創設の努力であったり、
占い師がどうやって顧客の信用を勝ち得たか、なのだよ。
言ってみれば「占い」ではなく、「占い師」の方に興味があるんだ」
キョン「そ、そうか」
佐々木「考えてもみたまえ。根底にある星座の動きやら亀甲の割れ方やら水晶の輝きやらに
意味がないとして、それをもっともらしく見せ、顧客の信用を得るというのは、
逆にとてつもない高度な人心操作能力だとは思わないかね。
占いの歴史すなわち、人心掌握術の歴史であるのだよ。
街角の占い師など特にそうさ。気づかれないよう顧客から情報を引き出し、
どちらともとれる発言で顧客の意識を誘導し、しかも「うそつき」呼ばわりされぬよう、
言質は与えない。
まさにプロフェッショナルと呼ぶにふさわしい鮮やかさじゃないかね、キョン」
キョン「おいおい……」
佐々木「もちろん、占い師の「聞き上手」という点が、それだけである種のカウンセリング的な
効能があることは認めるよ。特に精神科を頻繁に利用する習慣のない文化にとっては、
きちんと話を聞いてあげ、それらしいアドバイスをするだけでも、十分な意義はあると思うんだ。
ただ、それは彼らの本領ではないしね。
僕が興味があるのは、たとえばこの本のように、不特定多数の人間、それも星座や血液型といった
意味のないカテゴリーで分けた不特定多数の人間に、どうやって
「彼ら・彼女らが望むような答えを破綻なく、かつ適度な曖昧さを以って発信するか」
というテクニックなのだよ。
人間はコミュニケーションによって非常に大きな影響を受ける動物だからね。
こうした人心掌握術は非常に大きな武器になるはずなんだ。
特に、正面から立ち向かっても全く効き目がないような鈍感な人間に対するときにね」
キョン「佐々木……、お前将来、悪徳信仰宗教の改組とか、ネズミ講の主催者とかなりそうだな……
ガクガクブルブル」
佐々木「な、何故そんな話になるんだい!? 僕はただ、君に対して……」
キョン「悪の道にだけは進んでくれるなよ佐々木。頼むぜホント」
佐々木「き、キョン! だから!」
同級生KNKD氏は後に語る
KNKD「ええ、確かにキョンは血も涙もないフラクラ野郎でしたが、相手の佐々木さんにも
非はあったというか、どっちもちょっとどころでなく変というか。
類は友を呼ぶというか……」
おしまい